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娼夫でいいから愛されたい

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「リューク様の、意地悪ぅ」

 リューク様の部屋のベッドに横たえられても、リューク様にしがみついたままで泣きじゃくる。

 我慢させられて、ブリーチズに染みができるくらい先走りが出ている。まるでお漏らしみたいだ。

 リューク様がおれを横抱きにして馬車を降りたのを見て、執事さんや侍従さんが駆け寄って変わろうとしたもののすぐに引いて頭を下げたのは、おれの淫らな姿を見るのが忍びなかったからに違いない。  

 リューク様が固く抱きしめ直してくれたことではしたない顔を見られずに済んだものの、ひどいよリューク様。娼夫だからって、恥ずかしい目に合わせないで。

「ああ、そんなふうに言うユアルも愛しいな。今からたっぷりと可愛がってあげるからな」

 おれにしがみつかれながらも、リューク様は器用におれの肌を暴いていく。
 すぐに下着とブリーチズを脱がされ、ボタンを外したシャツ一枚にされてしまった。

「ぁあん……」

 キスを受けながら、胸と昂ったままのそこを同時に撫でられる。

 リューク様は挿入はしないけれど、その日のためにと毎晩おれの身体を愛撫し、性の快楽を教え込んできた。 
 おれの心も身体も、意識しなくてもリューク様に従順だ。胸の先もすぐにぷっくりと熟れる。

「あ、あっ、それ、それ好き」

 肉厚な舌でネロネロと先をねぶられ、ちゅ、と吸い上げられる。同時に昂りを扱かれ、段差の部分を輪っかにした指で拗られる。
 おれは背を反らして胸を上げ、腰をゆらゆらと揺らしてしまう。

「愛してあげられやすいよ。いい子だ。ユアル」

 いい子だって言ってくれる。愛してあげると言ってくれる。

「もっと、もっと言ってリューク様」

 嘘でもいい。身体だけでもいい。おれをたっぷりと愛して、リューク様。

「可愛いユアル。愛しているよ」
「おれも、おれもリューク様、好きぃ、あ、あぁ、ああーーーー!」

 長い時間抑制されていた肉欲は、胸の先を軽くかじられながら手の動きを早められただけで、簡単に白濁を散らした。 

 自分でもほとんど出したことがなかったおれは、今だにこれだけでぐったりとしてしまう。リューク様のものも昂っているのはわかっているのに、おれはなにもできなくて、キスを受けながらいつも眠ってしまうのだ。

「ユアル、今日はもう少し先へ進むぞ?」

 けれどリューク様は今夜は息を粗くして、おれのお尻に触れた。白濁を絡めた長い指がお尻のあわいの奥に進んでくる。

「……ふあっ」

 脚を大きく開かされ、探り当てられた窄まりに指が当たる。上下にこすられれば、すごく変な感じがするのにお腹の下と双珠の袋がきゅんと疼いた。

「いい子だから力を抜くんだ」
「はい、リューク様」

 不浄の秘所をあらわにされて恥ずかしいけれど、素直に返事をして口で息をする。これがおれの仕事だから……ううん、おれが欲しいと思っているから。

 ケーキの精を……ケーキの精? リューク様の精? おれが欲しいのはどっち?

「……っ、あぁっ!」

 秘所にたくさんのオイルを垂らされ、指が中に入ってきた。きっとまだ少ししか入っていないけれど、リューク様の指がおれの中に入ったことに興奮している。

「あ、ああ、もっと、もっと入れて……」

 言葉が勝手に出る。頭の中に、お尻にも口があって、リューク様の指を食べているイメージが浮かんだ。

 実際に食べているわけではないのにそう感じるのは、おれがフォークでリューク様がケーキだから?

「……ああ、すごいよ、ユアル。私の指を呑み込むようだ。おいしそうに、中からトロリとした涎も溢れてきている。すごいな……フォークの身体はなんて神秘的なんだ」

 リューク様の声がはずむ。

 ──フォークの身体。

 そっかぁ……。リューク様はやっぱりおれをフォークだから抱こうとしてくださるんだね。

 なんだよおれ、今更だよ。わかっていたじゃないか。

 だからおれも。
 おれもリューク様がケーキだから好き。お慕いする以上の気持ちを持ってしまうのはリューク様がケーキだから。
 これは第二性の共生の繋がりなだけ、と言い聞かせる。

「リューク様、おれを愛して」

 フォークとしてでいいから。
 ここにいさせてもらえる間、リューク様の娼夫でいられる間、

「毎日精を注いで」
「……っつ、ユアル。煽るんじゃない。今日は指だけだ。まだ君は、私のものに耐えられる器じゃないからね」
「は、あああっ」

 ずぶりと指を進められる。リューク様は肩で息をしながらヌチュヌチュと音を立てて指を前後した。

 頭が真っ白になっていき、「君は器じゃない」だけが頭の中で反響する。

 そのあとリューク様がなにか言いながらおれにかぶさったけれど、言葉を聞き取ることはできなかった。

 ただ、身体は一度精を放ったそこに質量のある熱を感じて、再び勝手に昂っていたのだけれど。
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