5 / 35
第5話:愛する我が家での日々、そして動き出す隣国
ヴァルハイト帝国のベルンハルト公爵邸に帰還してから、二週間が過ぎた。
リリアーナの生活は、アストリア王国での地獄のような日々が嘘だったかのように、穏やかで満ち足りたものへと一変していた。
「リリアーナ、今日の体調はどうだい? 顔色がずいぶんと良くなって、本来の美しい肌に戻ってきたね」
朝の光が差し込む美しいサンルームで、次兄のフレデリックがリリアーナの前に、焼きたてのスコーンと自家製のジャムをそっと置いた。彼は帝国でも名高い学者であり、普段は冷静沈着な人物だが、妹のこととなると目尻を下げて甲斐甲斐しく世話を焼く。
「ええ、フレデリック兄様。お母様が毎日、栄養のある美味しいお料理を用意してくださるおかげですわ。あちらにいた頃は、冷え切って固くなったパンばかりでしたから……」
「……何だって?」
フレデリックの手が一瞬で止まり、その眼鏡の奥の瞳が、凍りつくような冷徹さを帯びた。
「冷えたパンだと……? 我が公爵家の愛娘に、そんな家畜の餌のようなものを食べさせていたのか、あの無能どもは。……なるほど。ギルベルト兄上がアストリアの王宮を焼き払いたがっていた理由が、今ようやく理解できたよ」
「お、お兄様、落ち着いてくださいませ! もう過去のことですわ。今はこうして、お兄様方がいてくださるのですから」
リリアーナが苦笑しながら宥めると、フレデリックは深くため息をつき、リリアーナの頭を優しく撫でた。
「お前は優しすぎるんだ、リリアーナ。だが、安心していい。我がベルンハルト家とカイル陛下が進めている計画は順調だ。あのアストリア王国は、今や自分たちがどれほど愚かな選択をしたのか、身をもって思い知らされている最中だからね」
「ええ。結界の崩壊と、万能薬の枯渇……そろそろ向こうの貴族たちも、ジュリアン殿下に反旗を翻し始めている頃でしょうか」
「その通りだよ。我が国の情報網によると、アストリアの国内はすでに大混乱だそうだ。特に、お前が管理していた最高品質の薬が手に入らなくなったことで、各地の領主たちが王宮へ大挙して押し寄せているらしい。自分たちの領民や兵士を救うために、薬をよこせとな」
リリアーナは、かつて自分が無償で提供していた薬の価値を思い浮かべた。
彼女が作る薬は、単に傷を癒やすだけではない。独自の錬金術によって魔力を定着させ、通常の数倍の効果を発揮するように調整されていたのだ。それが突然途絶えたのだから、国中の医療が麻痺するのは当然の帰結だった。
「ジュリアン殿下とマリア様は、どうされているのですか?」
「ふん。あの王太子は、マリアとかいう男爵令嬢に『君の愛の力で薬を作ってみせてくれ』と無茶な要求をしているそうだ。当然、何の才能もないただの令嬢にそんなものが作れるはずもない。今では、二人の間で激しい責任の擦りつけ合いが始まっているらしいよ」
その様子を想像し、リリアーナはくすりと笑った。
あれほど「真実の愛」と称して周囲に不倫を見せびらかし、リリアーナを悪者に仕立て上げていた二人が、苦境に陥った途端に醜い争いを始めている。
やはり、彼らの「真実の愛」など、何の後ろ盾もない薄っぺらな幻想に過ぎなかったのだ。
「いい気味ですわ。ですが、あのジュリアン殿下のことです。まだ、自分たちの置かれた本当の危機を理解していないのではありませんか?」
「ああ、リリアーナ。君の言う通りだ」
不意に、サンルームの入り口から低い、しかし心地よい声が響いた。
振り返ると、そこには護衛も連れずに一人で歩いてくる、帝国の若き皇帝カイルの姿があった。
「カイル陛下!」
リリアーナが驚いて立ち上がろうとすると、カイルはそれを手で制し、親しげな笑みを浮かべて彼女の対面に腰掛けた。フレデリックは、皇帝の突然の訪問にも驚く様子はなく、当然のようにカイルの分の紅茶を淹れて差し出す。この二人は昔から、リリアーナの「過保護な騎士」として結託していたのだ。
「気楽にしてくれ、リリアーナ。今日は一人の友人として君の顔を見に来ただけだからね」
カイルはリリアーナの元気そうな姿を見て、安堵したように微笑んだ。
「先ほどフレデリックと話していた通り、アストリアの王太子は、まだ自分の立場が見えていないようだ。……実は今日、我が国の国境警備隊から報告があった。アストリアの特使と名乗る者たちが、我が国へ向けて進軍、いや、移動してきている」
「特使、ですか?」
リリアーナが眉をひそめる。
「ああ。名目は『帝国に不当に拘束されている王太子妃リリアーナの奪還』だそうだ。笑ってしまうだろう? 自分たちが夜会で公式に婚姻の解消を突きつけておきながら、都合が悪くなると『不当な拘束』だと言い張る。あの国の厚顔無恥さには、我が国の官僚たちも呆れ果てているよ」
「……どこまでも身勝手な方々ですこと」
リリアーナの瞳に、冷ややかな軽蔑の色が浮かぶ。
ジュリアンは、リリアーナが実家でどれほど愛されているか、そして彼女自身がこの婚姻をどれほど嫌悪していたかを、未だに認めようとしないのだ。
「カイル、その特使たちは今どこに?」
「我が国の国境手前の、緩衝地帯だ。我が国の軍が展開しているのを見て、中に入ることもできずに立ち往生しているよ。……リリアーナ、君はどうしたい? もし君が望むなら、特使の首をそのままアストリアの王宮へ送り返してやってもいいが?」
皇帝らしからぬ物騒な提案を、カイルは極めて穏やかな口調で口にした。それほどまでに、彼はリリアーナを傷つけたアストリア王国を許せないのだ。
「いいえ、陛下。そこまで手を汚していただく必要はありませんわ」
リリアーナは優雅に首を振ると、カイルを真っ直ぐに見つめ返した。
「彼らには、我が国が誇る最高の『もてなし』をして差し上げましょう。私がどれほど充実した日々を送り、どれほど素晴らしい方々に囲まれているか……彼らの目で直接見て、持ち帰ってもらうのです。そうすれば、あの愚かな王太子も、少しは自分のしでかしたことの大きさを理解するでしょう」
リリアーナの提案に、カイルとフレデリックは顔を見合わせ、そして満足そうに笑った。
「なるほど。絶望を直接その目に焼き付けさせるわけか。実にリリアーナらしい、最高に冷酷で美しい計画だ」
「よろしい。では、特使の入国を一時的に許可しよう。ただし、我が国の監視付きでね。彼らが公爵邸に辿り着いた時、自分がどれほど場違いな場所に足を踏み入れたのか、骨の髄まで思い知らせてやるといい」
カイルはそう言うと、リリアーナの手をそっと取り、その甲に誓いを立てるように唇を落とした。
「君を傷つけるものは、僕が、そしてこの国が絶対に許さない。リリアーナ、君はただ、その美しい笑顔を僕たちに見せてくれていればいいんだ」
幼馴染の皇帝からの、あまりにも直球な愛情表現に、リリアーナの頬がわずかに赤く染まる。
だが、その心はすでに、アストリアからやってくる無能な使者たちをどう迎え撃つかという、冷徹な計算で満たされていた。
「ありがとうございます、カイル。……ふふ、あの方々がどのような顔をされるのか、今から楽しみですわ」
愛する家族と、最強の皇帝。
彼らの後ろ盾を得たリリアーナの逆転劇は、いよいよ本格的な幕を開けようとしていた。
リリアーナの生活は、アストリア王国での地獄のような日々が嘘だったかのように、穏やかで満ち足りたものへと一変していた。
「リリアーナ、今日の体調はどうだい? 顔色がずいぶんと良くなって、本来の美しい肌に戻ってきたね」
朝の光が差し込む美しいサンルームで、次兄のフレデリックがリリアーナの前に、焼きたてのスコーンと自家製のジャムをそっと置いた。彼は帝国でも名高い学者であり、普段は冷静沈着な人物だが、妹のこととなると目尻を下げて甲斐甲斐しく世話を焼く。
「ええ、フレデリック兄様。お母様が毎日、栄養のある美味しいお料理を用意してくださるおかげですわ。あちらにいた頃は、冷え切って固くなったパンばかりでしたから……」
「……何だって?」
フレデリックの手が一瞬で止まり、その眼鏡の奥の瞳が、凍りつくような冷徹さを帯びた。
「冷えたパンだと……? 我が公爵家の愛娘に、そんな家畜の餌のようなものを食べさせていたのか、あの無能どもは。……なるほど。ギルベルト兄上がアストリアの王宮を焼き払いたがっていた理由が、今ようやく理解できたよ」
「お、お兄様、落ち着いてくださいませ! もう過去のことですわ。今はこうして、お兄様方がいてくださるのですから」
リリアーナが苦笑しながら宥めると、フレデリックは深くため息をつき、リリアーナの頭を優しく撫でた。
「お前は優しすぎるんだ、リリアーナ。だが、安心していい。我がベルンハルト家とカイル陛下が進めている計画は順調だ。あのアストリア王国は、今や自分たちがどれほど愚かな選択をしたのか、身をもって思い知らされている最中だからね」
「ええ。結界の崩壊と、万能薬の枯渇……そろそろ向こうの貴族たちも、ジュリアン殿下に反旗を翻し始めている頃でしょうか」
「その通りだよ。我が国の情報網によると、アストリアの国内はすでに大混乱だそうだ。特に、お前が管理していた最高品質の薬が手に入らなくなったことで、各地の領主たちが王宮へ大挙して押し寄せているらしい。自分たちの領民や兵士を救うために、薬をよこせとな」
リリアーナは、かつて自分が無償で提供していた薬の価値を思い浮かべた。
彼女が作る薬は、単に傷を癒やすだけではない。独自の錬金術によって魔力を定着させ、通常の数倍の効果を発揮するように調整されていたのだ。それが突然途絶えたのだから、国中の医療が麻痺するのは当然の帰結だった。
「ジュリアン殿下とマリア様は、どうされているのですか?」
「ふん。あの王太子は、マリアとかいう男爵令嬢に『君の愛の力で薬を作ってみせてくれ』と無茶な要求をしているそうだ。当然、何の才能もないただの令嬢にそんなものが作れるはずもない。今では、二人の間で激しい責任の擦りつけ合いが始まっているらしいよ」
その様子を想像し、リリアーナはくすりと笑った。
あれほど「真実の愛」と称して周囲に不倫を見せびらかし、リリアーナを悪者に仕立て上げていた二人が、苦境に陥った途端に醜い争いを始めている。
やはり、彼らの「真実の愛」など、何の後ろ盾もない薄っぺらな幻想に過ぎなかったのだ。
「いい気味ですわ。ですが、あのジュリアン殿下のことです。まだ、自分たちの置かれた本当の危機を理解していないのではありませんか?」
「ああ、リリアーナ。君の言う通りだ」
不意に、サンルームの入り口から低い、しかし心地よい声が響いた。
振り返ると、そこには護衛も連れずに一人で歩いてくる、帝国の若き皇帝カイルの姿があった。
「カイル陛下!」
リリアーナが驚いて立ち上がろうとすると、カイルはそれを手で制し、親しげな笑みを浮かべて彼女の対面に腰掛けた。フレデリックは、皇帝の突然の訪問にも驚く様子はなく、当然のようにカイルの分の紅茶を淹れて差し出す。この二人は昔から、リリアーナの「過保護な騎士」として結託していたのだ。
「気楽にしてくれ、リリアーナ。今日は一人の友人として君の顔を見に来ただけだからね」
カイルはリリアーナの元気そうな姿を見て、安堵したように微笑んだ。
「先ほどフレデリックと話していた通り、アストリアの王太子は、まだ自分の立場が見えていないようだ。……実は今日、我が国の国境警備隊から報告があった。アストリアの特使と名乗る者たちが、我が国へ向けて進軍、いや、移動してきている」
「特使、ですか?」
リリアーナが眉をひそめる。
「ああ。名目は『帝国に不当に拘束されている王太子妃リリアーナの奪還』だそうだ。笑ってしまうだろう? 自分たちが夜会で公式に婚姻の解消を突きつけておきながら、都合が悪くなると『不当な拘束』だと言い張る。あの国の厚顔無恥さには、我が国の官僚たちも呆れ果てているよ」
「……どこまでも身勝手な方々ですこと」
リリアーナの瞳に、冷ややかな軽蔑の色が浮かぶ。
ジュリアンは、リリアーナが実家でどれほど愛されているか、そして彼女自身がこの婚姻をどれほど嫌悪していたかを、未だに認めようとしないのだ。
「カイル、その特使たちは今どこに?」
「我が国の国境手前の、緩衝地帯だ。我が国の軍が展開しているのを見て、中に入ることもできずに立ち往生しているよ。……リリアーナ、君はどうしたい? もし君が望むなら、特使の首をそのままアストリアの王宮へ送り返してやってもいいが?」
皇帝らしからぬ物騒な提案を、カイルは極めて穏やかな口調で口にした。それほどまでに、彼はリリアーナを傷つけたアストリア王国を許せないのだ。
「いいえ、陛下。そこまで手を汚していただく必要はありませんわ」
リリアーナは優雅に首を振ると、カイルを真っ直ぐに見つめ返した。
「彼らには、我が国が誇る最高の『もてなし』をして差し上げましょう。私がどれほど充実した日々を送り、どれほど素晴らしい方々に囲まれているか……彼らの目で直接見て、持ち帰ってもらうのです。そうすれば、あの愚かな王太子も、少しは自分のしでかしたことの大きさを理解するでしょう」
リリアーナの提案に、カイルとフレデリックは顔を見合わせ、そして満足そうに笑った。
「なるほど。絶望を直接その目に焼き付けさせるわけか。実にリリアーナらしい、最高に冷酷で美しい計画だ」
「よろしい。では、特使の入国を一時的に許可しよう。ただし、我が国の監視付きでね。彼らが公爵邸に辿り着いた時、自分がどれほど場違いな場所に足を踏み入れたのか、骨の髄まで思い知らせてやるといい」
カイルはそう言うと、リリアーナの手をそっと取り、その甲に誓いを立てるように唇を落とした。
「君を傷つけるものは、僕が、そしてこの国が絶対に許さない。リリアーナ、君はただ、その美しい笑顔を僕たちに見せてくれていればいいんだ」
幼馴染の皇帝からの、あまりにも直球な愛情表現に、リリアーナの頬がわずかに赤く染まる。
だが、その心はすでに、アストリアからやってくる無能な使者たちをどう迎え撃つかという、冷徹な計算で満たされていた。
「ありがとうございます、カイル。……ふふ、あの方々がどのような顔をされるのか、今から楽しみですわ」
愛する家族と、最強の皇帝。
彼らの後ろ盾を得たリリアーナの逆転劇は、いよいよ本格的な幕を開けようとしていた。
あなたにおすすめの小説
王妃は春を待たない〜夫が側妃を迎えました〜
羽生
恋愛
王妃シルヴィアは、完璧だった。
王であるレオンハルトの隣に立ち、誰よりも正しく、誰よりも美しく、誰よりも“王妃らしく”あろうとしてきた。
けれど、結婚から五年が経っても2人には子は授からず、ついに王は側妃を迎えることになる。
明るく無邪気な側妃ミリアに、少しずつ心を動かしていくレオンハルト。
その変化に気づきながらも、シルヴィアは何も言えなかった。
――王妃だから。
けれど、シルヴィアの心は確実に壊れていく。
誰も悪くないのに。
それでも、誰もが何かを失う。
◇全22話。一日二話投稿予定。
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
婚約破棄された公爵令嬢は、王と交わらない道を選ぶ
富士山麓
恋愛
婚約者である王太子アルベルトから、一方的に婚約破棄を告げられた公爵令嬢エレノア。
だが彼女は、涙も復讐も選ばなかった。
「婚約は、役目でしたもの。終わったのなら、それで結構ですわ」
王宮を去ったエレノアは、領地に戻り、
干渉しない・依存しない・無理をしない
ただそれだけを軸に、静かに領地運営を始める。
一方、王となったアルベルトもまた、
彼女に頼らないことを選び、
「一人の判断に依存しない国」を作るための統治に身を投じていた。
復縁もしない。
恋にすがらない。
それでも、二人の選択は確かに国を安定へと導いていく。
これは、
交わらないことを選んだ二人が、
それぞれの場所で“続けられる世界”を完成させる物語。
派手なざまぁも、甘い溺愛もない。
けれど、静かに積み重なる判断と選択が、
やがて「誰にも壊せない秩序」へと変わっていく――。
婚約破棄から始まる、
大人のための静かなざまぁ恋愛ファンタジー
「幸せになりなさい」と言われたので、そうしました
はな
恋愛
「幸せになりなさい」と言われて育った令嬢は、
その通りに生きてきただけだった。
王子の婚約者として政務を完璧にこなしていたリリアーヌ。
だが婚約は、義妹のためにあっさりと解消される。
――それでも彼女は困らなかった。
「本が読めるので、幸せですから」
彼女がいなくなった王宮は崩れ始め、周囲は初めてその存在の大きさに気づく。
けれど彼女はもう戻らない。
“従順だったはずの令嬢”が選んだ、本当の幸せとは――
*10時と20時配信・・義妹、王子、義母、父視点も更新していきます。
*一部A Iの表現もあり
家も婚約者も、もう要りません。今の私には、すべてがありますから
有賀冬馬
恋愛
「嫉妬深い女」と濡れ衣を着せられ、家も婚約者も妹に奪われた侯爵令嬢エレナ。
雨の中、たった一人で放り出された私を拾ってくれたのは、身分を隠した第二王子でした。
彼に求婚され、王宮で輝きを取り戻した私が舞踏会に現れると、そこには没落した元家族の姿が……。
ねぇ、今さら私にすり寄ってきたって遅いのです。だって、私にはもう、すべてがあるのですから。
捨てたはずの妻が、最強の後ろ盾でした〜離縁した途端に冷酷公爵が執着してきますが、彼女は隣国で全てを掌握していました〜
まさき
恋愛
あらすじ
四年間、形だけの結婚。
公爵レオンに愛されることなく、“都合のいい妻”として扱われてきたエリシア。
消えていく手紙、義家の侮辱、そして夫の想い人の噂。
すべてに疲れた彼女は、静かに離縁状を差し出し、屋敷を去る。
――これで終わるはずだった。
だがその日から、無関心だったはずのレオンが豹変する。
彼女の行方を追い、関わった者を徹底的に排除し始めたのだ。
一方エリシアは隣国へ渡り、封じていた“本来の力”を解放する。
それは王家すら無視できない影響力――
国を動かすほどの「後ろ盾」としての価値だった。
彼女を軽んじた者たちは次々と立場を失い、
ようやくレオンも気づく。
自分が捨てたのは、ただの妻ではなく――
すべてを支配できる存在だったことに。
「戻れ。今度は、お前を手放さない」
けれど彼女は振り返らない。
これは、失ってから執着する男と、
もう二度と選ばない女の、遅すぎた後悔の物語。
「女は目立つな」と言って足を引っ張り続ける婚約者はもういらない。
ぽんぽこ狸
恋愛
侯爵令嬢ローズマリーは魔法学園の首席だ。
しかし婚約者のレジナルドから「女は目立つな」と命じられ、成績を落とすよう強要されていた。
以前からもレジナルドはローズマリーの将来に口出しし蔑ろにしつづけてきた。
そんな男をやっと捨てる機会がやってきた。
彼の言葉に従い、あえて落第する。
その結果、レジナルドは“首席を潰した男”として責任を問われ、すべてを失うことになる。
これは、自分を押さえつけ続けた婚約者を切り捨てる令嬢の逆転劇。
他サイトにも別タイトルで投稿中です。
勘違いで私を抱いていた執着王太子に真実を教えたら、泣いて土下座しました
唯崎りいち
恋愛
平民メイドのエマは、王太子フェリクスに見初められ、なぜか毎日呼び出される日々を送っていた。
「愛している」と囁かれ続けるけれど――それは完全な勘違い。
エマには、故郷に婚約を誓った恋人がいるのに。
逃げ出すために国外へ向かう旅に出るが、
そこで発覚したのは――王太子の盛大すぎる思い違いだった。
「君は俺を愛していなかったのか……?」
真実を知った瞬間、王太子は泣いて土下座。
そして、関係は一変する――。
執着系王太子×巻き込まれメイドの、勘違いから始まる逆転溺愛ラブコメ。