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第8話:届いた招待状、そして蠢く罠
アストリア王国からの使者たちが打ちのめされて帰国してから、さらに一ヶ月が過ぎた。
季節は穏やかな春から、生命の息吹が最も強まる初夏へと移り変わっていた。ベルンハルト公爵邸の広大な庭園には、大輪の薔薇が咲き誇り、甘い香りで満たされている。
「お嬢様、本日も本当にお美しいですわ!」
専属侍女のニーナが、リリアーナの髪を丁寧に梳きながら感嘆の声を上げた。
鏡の中に映るリリアーナは、アストリアにいた頃の青白く憔悴した面影を完全に払拭していた。実家の贅を尽くした食事と、家族からの惜しみない愛情、そして何より一切のストレスから解放されたことで、その肌は白磁のように滑らかに輝き、瞳は吸い込まれそうなほど深い色彩を湛えている。
今日リリアーナが身にまとっているのは、艶やかな濃紺のシルクドレスだ。胸元には、兄たちから贈られた大粒のサファイアが輝いている。
「ありがとう、ニーナ。……そういえば、お父様とお兄様方は今どちらに?」
「旦那様と若旦那様方は、カイル陛下より緊急の召集を受けられ、朝早くから宮殿へ向かわれました。どうやら、アストリア王国から極めて重要な親書が届いたとかで……」
「親書、ですか」
リリアーナは手元の扇をゆっくりと開閉させた。
ついに来たか、と胸の中で静かに呟く。
アストリア国内の窮状は、フレデリック兄様が毎日持ってきてくれる報告書によって逐一把握していた。
結界が消滅した北部地域では魔物の被害が深刻化し、農地は荒廃。万能薬を失った軍の士気は地に落ち、各地の貴族たちは王家への納税を拒否し始めているという。
さらに、ジュリアンとマリアの関係は破綻の一途を辿っていた。かつては「真実の愛」と称え合った仲も、今や責任を押し付け合うだけの泥沼の様相を呈しているそうだ。
(追い詰められたアストリア王家が、これ以上座して死を待つはずがないもの。……どのような悪あがきをしてくるのかしら)
リリアーナが思考を巡らせていると、部屋の扉がノックされ、次兄のフレデリックが顔を出した。その手には、豪奢な装飾が施された一通の書状が握られている。
「リリアーナ、戻ったよ。カイル陛下から、お前にこれを直接渡してほしいと頼まれてね」
「まあ、フレデリック兄様。宮殿での会議は終わったのですか?」
「ああ。結論から言えば、すべてこちらの筋書き通りさ」
フレデリックはリリアーナの向かいに腰掛け、その書状を机の上に滑らせた。金箔で縁取られた封筒には、アストリア王家の紋章――翼を広げた鷲の印が押されている。
「これは、アストリア国王からの正式な『謝罪使節団の派遣要請』、そしてそれに伴う、両国の最高位貴族を集めた『緊急講和会議』への招待状だ。来月、国境付近の街であるルミエールにて開催される」
「講和会議、ですか。王太子殿下の個人的な非礼を、国を挙げた外交問題として処理するつもりですね」
「そうだ。向こうの国王も、このままでは国が滅びるとようやく理解したらしい。公式な場で、王太子ジュリアンと、あの男爵令嬢を同席させ、お前に直接謝罪させることで、帝国の怒りを鎮めようという魂胆だ」
リリアーナは書状を手に取り、中身に目を通した。
文章の端々には、これまでの非礼を詫びる文言が並んでいる。だが、行間から透けて見えるのは、「これで許してもらい、以前のように結界石の提供と経済援助を再開してほしい」という身勝手な懇願だった。
「お兄様。これには、ジュリアン殿下の署名もございますわね。彼が自ら、私に謝罪することに同意したということでしょうか」
「いや、どうやら無理やり署名させられたらしい。国王に『お前のせいで国が滅ぶのだ、這いつくばってでもリリアーナ様を連れ戻せ。さもなくば廃嫡だ』と脅されたようだ。あの愚かな王太子は、今もなお、お前に頭を下げることをひどく屈辱に感じているそうだよ」
フレデリックの言葉に、リリアーナはくすりと笑った。
かつて自分を見下し、踏みにじっていた男が、今や自分の首と国の存亡を天秤にかけられ、震えながら謝罪の席に引きずり出されようとしている。
「面白いですわ。お兄様、この招待、喜んで受けましょう」
「お前がそう言うと思っていたよ。父上もギルベルト兄上も、すでにそのつもりで軍の移動準備を始めている」
フレデリックは不敵な笑みを浮かべ、眼鏡の奥の瞳を光らせた。
「だが、リリアーナ。一つだけ注意してほしいことがある。アストリアの王太子が、ただ素直に謝罪するとは思えない。情報によると、彼は『リリアーナが自分に冷たくするのは、帝国に無理やり言わされているからだ』という妄想を未だに捨てきれていないらしい」
「……まだ、そんなことを?」
リリアーナは呆れを通り越して、恐怖すら感じた。
ジュリアンという男の傲慢さは、もはや病の域に達している。
「ああ。だからこそ、あの男は何らかの手段を使って、講和会議の場でお前を無理やり連れ去るか、あるいは『帝国がリリアーナを脅迫している』という証拠を捏造しようと動く可能性がある。……もちろん、我が家の私設軍と、カイル陛下が直々に率いる近衛騎士団が周囲を完全に包囲するから、物理的な危険は一切ないがね」
「なるほど。哀れな悪あがきですこと。でしたら、こちらも相応の準備をして向かいましょう。彼らが仕掛けようとするすべての罠を、その頭上から叩き潰して差し上げますわ」
リリアーナの瞳に、冷徹な復讐の炎が灯る。
その日の午後、リリアーナは一人で公爵邸の図書室へと向かった。
彼女の目的は、かつて自身が研究していた錬金術の術式を記した魔導書だ。
(ジュリアン殿下。あなたがどれほど私を連れ戻そうと画策しようとも、私にはもう、あなたを救う義理も慈悲もありません)
リリアーナは棚から一冊の古びた魔導書を取り出し、ページをめくった。
彼女が用意するのは、あの講和会議の場で、ジュリアンとマリアが築き上げてきた嘘と虚飾を、文字通り「完全に剥ぎ取る」ための術式だった。
彼女の手によって作られる特別な錬金薬――それは、真実の愛を語る者たちの前に置かれたとき、その者の本性を強制的に曝け出させる効果を持つ。
「講和会議の日が、今から待ち遠しいですわ」
リリアーナの美しい呟きが、静かな図書室に響いた。
一方その頃、アストリア王国の王宮。
薄暗い私室の中で、ジュリアンは狂気じみた笑みを浮かべながら、手元にある怪しげな薬品を見つめていた。
「ふふ、ふはは……! 待っていろよ、リリアーナ。君は僕を愛しているんだ。あの帝国の皇帝や公爵どもに脅されているだけなんだろう。僕が、あの会議の場で、君をこの手で救い出してやるからな……!」
彼の背後では、憔悴しきったマリアが、怯えるような目でジュリアンを見つめていた。
もはや二人の間に、かつて囁き合った甘い愛の言葉は存在しない。残っているのは、破滅を前にした者の醜い狂気だけだった。
破滅への招待状は、すでにすべての関係者のもとへ届いている。
真実の愛が、ただの砂上の楼閣であったことを証明するための最後の舞台まで、あと一ヶ月。
リリアーナは、その瞬間に向けて、静かに、そして完璧に牙を研ぎ澄ませていた。
季節は穏やかな春から、生命の息吹が最も強まる初夏へと移り変わっていた。ベルンハルト公爵邸の広大な庭園には、大輪の薔薇が咲き誇り、甘い香りで満たされている。
「お嬢様、本日も本当にお美しいですわ!」
専属侍女のニーナが、リリアーナの髪を丁寧に梳きながら感嘆の声を上げた。
鏡の中に映るリリアーナは、アストリアにいた頃の青白く憔悴した面影を完全に払拭していた。実家の贅を尽くした食事と、家族からの惜しみない愛情、そして何より一切のストレスから解放されたことで、その肌は白磁のように滑らかに輝き、瞳は吸い込まれそうなほど深い色彩を湛えている。
今日リリアーナが身にまとっているのは、艶やかな濃紺のシルクドレスだ。胸元には、兄たちから贈られた大粒のサファイアが輝いている。
「ありがとう、ニーナ。……そういえば、お父様とお兄様方は今どちらに?」
「旦那様と若旦那様方は、カイル陛下より緊急の召集を受けられ、朝早くから宮殿へ向かわれました。どうやら、アストリア王国から極めて重要な親書が届いたとかで……」
「親書、ですか」
リリアーナは手元の扇をゆっくりと開閉させた。
ついに来たか、と胸の中で静かに呟く。
アストリア国内の窮状は、フレデリック兄様が毎日持ってきてくれる報告書によって逐一把握していた。
結界が消滅した北部地域では魔物の被害が深刻化し、農地は荒廃。万能薬を失った軍の士気は地に落ち、各地の貴族たちは王家への納税を拒否し始めているという。
さらに、ジュリアンとマリアの関係は破綻の一途を辿っていた。かつては「真実の愛」と称え合った仲も、今や責任を押し付け合うだけの泥沼の様相を呈しているそうだ。
(追い詰められたアストリア王家が、これ以上座して死を待つはずがないもの。……どのような悪あがきをしてくるのかしら)
リリアーナが思考を巡らせていると、部屋の扉がノックされ、次兄のフレデリックが顔を出した。その手には、豪奢な装飾が施された一通の書状が握られている。
「リリアーナ、戻ったよ。カイル陛下から、お前にこれを直接渡してほしいと頼まれてね」
「まあ、フレデリック兄様。宮殿での会議は終わったのですか?」
「ああ。結論から言えば、すべてこちらの筋書き通りさ」
フレデリックはリリアーナの向かいに腰掛け、その書状を机の上に滑らせた。金箔で縁取られた封筒には、アストリア王家の紋章――翼を広げた鷲の印が押されている。
「これは、アストリア国王からの正式な『謝罪使節団の派遣要請』、そしてそれに伴う、両国の最高位貴族を集めた『緊急講和会議』への招待状だ。来月、国境付近の街であるルミエールにて開催される」
「講和会議、ですか。王太子殿下の個人的な非礼を、国を挙げた外交問題として処理するつもりですね」
「そうだ。向こうの国王も、このままでは国が滅びるとようやく理解したらしい。公式な場で、王太子ジュリアンと、あの男爵令嬢を同席させ、お前に直接謝罪させることで、帝国の怒りを鎮めようという魂胆だ」
リリアーナは書状を手に取り、中身に目を通した。
文章の端々には、これまでの非礼を詫びる文言が並んでいる。だが、行間から透けて見えるのは、「これで許してもらい、以前のように結界石の提供と経済援助を再開してほしい」という身勝手な懇願だった。
「お兄様。これには、ジュリアン殿下の署名もございますわね。彼が自ら、私に謝罪することに同意したということでしょうか」
「いや、どうやら無理やり署名させられたらしい。国王に『お前のせいで国が滅ぶのだ、這いつくばってでもリリアーナ様を連れ戻せ。さもなくば廃嫡だ』と脅されたようだ。あの愚かな王太子は、今もなお、お前に頭を下げることをひどく屈辱に感じているそうだよ」
フレデリックの言葉に、リリアーナはくすりと笑った。
かつて自分を見下し、踏みにじっていた男が、今や自分の首と国の存亡を天秤にかけられ、震えながら謝罪の席に引きずり出されようとしている。
「面白いですわ。お兄様、この招待、喜んで受けましょう」
「お前がそう言うと思っていたよ。父上もギルベルト兄上も、すでにそのつもりで軍の移動準備を始めている」
フレデリックは不敵な笑みを浮かべ、眼鏡の奥の瞳を光らせた。
「だが、リリアーナ。一つだけ注意してほしいことがある。アストリアの王太子が、ただ素直に謝罪するとは思えない。情報によると、彼は『リリアーナが自分に冷たくするのは、帝国に無理やり言わされているからだ』という妄想を未だに捨てきれていないらしい」
「……まだ、そんなことを?」
リリアーナは呆れを通り越して、恐怖すら感じた。
ジュリアンという男の傲慢さは、もはや病の域に達している。
「ああ。だからこそ、あの男は何らかの手段を使って、講和会議の場でお前を無理やり連れ去るか、あるいは『帝国がリリアーナを脅迫している』という証拠を捏造しようと動く可能性がある。……もちろん、我が家の私設軍と、カイル陛下が直々に率いる近衛騎士団が周囲を完全に包囲するから、物理的な危険は一切ないがね」
「なるほど。哀れな悪あがきですこと。でしたら、こちらも相応の準備をして向かいましょう。彼らが仕掛けようとするすべての罠を、その頭上から叩き潰して差し上げますわ」
リリアーナの瞳に、冷徹な復讐の炎が灯る。
その日の午後、リリアーナは一人で公爵邸の図書室へと向かった。
彼女の目的は、かつて自身が研究していた錬金術の術式を記した魔導書だ。
(ジュリアン殿下。あなたがどれほど私を連れ戻そうと画策しようとも、私にはもう、あなたを救う義理も慈悲もありません)
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彼女が用意するのは、あの講和会議の場で、ジュリアンとマリアが築き上げてきた嘘と虚飾を、文字通り「完全に剥ぎ取る」ための術式だった。
彼女の手によって作られる特別な錬金薬――それは、真実の愛を語る者たちの前に置かれたとき、その者の本性を強制的に曝け出させる効果を持つ。
「講和会議の日が、今から待ち遠しいですわ」
リリアーナの美しい呟きが、静かな図書室に響いた。
一方その頃、アストリア王国の王宮。
薄暗い私室の中で、ジュリアンは狂気じみた笑みを浮かべながら、手元にある怪しげな薬品を見つめていた。
「ふふ、ふはは……! 待っていろよ、リリアーナ。君は僕を愛しているんだ。あの帝国の皇帝や公爵どもに脅されているだけなんだろう。僕が、あの会議の場で、君をこの手で救い出してやるからな……!」
彼の背後では、憔悴しきったマリアが、怯えるような目でジュリアンを見つめていた。
もはや二人の間に、かつて囁き合った甘い愛の言葉は存在しない。残っているのは、破滅を前にした者の醜い狂気だけだった。
破滅への招待状は、すでにすべての関係者のもとへ届いている。
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