武器は棍棒。撲殺系いっぱん羊飼いの俺、スキルXitterで超越者たちと相互フォローになってしまい「力が欲しいか?」とウザ絡みされる

うーぱー

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第6章:鹿ぶちのめし編

6-4. 鹿を仕留める

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 俺は自分の感情を恥じながら、せめて彼女の助けになれるよう、短槍で地面を削り、残った熊の糞に土をかけて臭いを減らした。ここに獲物を追い立てるのなら、ここに肉食獣の臭いがあるのはまずい。

 手頃な木に登り、気配を消す。

 ソフィアさんが消えた方とは逆の遠くから、かすかに人の声が聞こえてくる。従者達が騎士の方に獲物を追い立てているのだろう。

 30分か1時間か、時が経過した。
 なるほど。部隊が昼の早い内から野営の準備を始めた理由がよく分かる。狩りをするための時間が必要なんだ。日が暮れかけてからだと手遅れになる。

 俺や父さんは、食糧確保のための狩りはめったにせず、遊牧の傍らで偶然獲物を見かけたときに狩りをしていた。
 羊が草を食べていると、リスやウサギが驚いて巣穴から飛び出してくることがよくあったから、獲物をわざわざ探すことはない。

 羊が乳を出すから、極端な話、それだけでも生きていける。遊牧ルートの途中には、羊飼いたちが共同で利用する山小屋があってそこでチーズやバター作ることもあった。
 行く先々で村や街に立ち寄って乳や乳製品を売り、肉やパンを買うこともあった。
 それに、あらゆる食料が尽きても補給の見こみがなくても、羊飼いは困らない。動く食料、羊がいるから。

 だから今みたいに、旅の途中で食糧確保のために長い時間を使うなんて考えは、まったくなかった。

 さすがに毎日狩りをするとも思えないから、司教一行は往路の際に、あらかじめ帰路のどこで狩りをするのか計画していただろう。なら、ここは獲物が多い場所。

 ……来る。
 少し離れた位置の茂みがガサガサと揺れた。矢半分の距離。

 木々の隙間から一瞬、シカの姿が見えた。

 俺の方に向かって、鹿がやってくる。

 草や落ち葉を踏む足音、体が細い枝を折る音、弾んだ息……。その動きに驚いて飛び立つ鳥の羽音……。

 羊飼いとして獣の襲撃に備えて鍛えた五感は、森の中でも有効だった。

 遅れてソフィアさんらしき人間の気配も感じる。獲物を追い立てるために必要最小限の物音のみを立てて、巧みに俺の方へ誘導している。優秀な狩人だ。

(……来た!)

 近くの茂みがひときわ大きく揺れた次の瞬間、中から雌の鹿が飛びだしてきた。左の尻に矢が刺さっており、出血している。
 俺は短槍を投擲し、鹿の鼻先をかすめるようにして、地面に突き刺す。

(さあ、どっちだ……!)

 鹿は右側へ素早く体の向きを変えて、大きくはねた。
 俺はその背中めがけて飛び降り、棍棒を後頭部に振り下ろす。
 その瞬間、顎傷のジャックの顔を思い浮かべる。

「ぶちのめすっ!」

 ドゴッ!
 ゴキッ!

 命中。頭蓋骨破壊。鹿は脚を真っ直ぐ伸ばした状態で硬直し、走った勢いのまま前のめりに倒れた。

 ……ドサッ!

「よし。苦しまずに殺せた。悪いな。俺たちが生きるためなんだ」

 ガサガサッ……。

 鹿が飛び出してきたばかりの茂みが再び揺れる。
 おそらくソフィアさんだろうが、俺は警戒を緩めず、短槍を拾い素早く構える。

 現れたのはやはりソフィアさんだった。
 乳房を隠しもしていないから、俺は背を向ける。

 俺は手首のスナップをきかせて両手の武器を回転させると、腰のベルトに引っかけた。

「お見事。俺の潜んだ位置から槍一本も離れない距離に鹿が出てきた」

「ありがとう。でも、偶然、上手くいっただけです。鹿は貴方が持って行って」

「ああ。力仕事は俺に任せてくれ。あ……」


────────────────────
■自分
さて。ここから先は特に面白いことはない。
ぶちのめしシーンまで飛ばそう。
街道で妹に話しかけていたガキがいただろ?
殺しはしないが、あいつをぶちのめすぞ
────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
待て。
……お前がそう言うってことは、この後、ぶちのめし前に見られたくない展開があるってことだな?
────────────────────
■自分
何を言っているんだ?
本当に何もないぞ。この後は鹿を解体して焼くだけだ。
お前だって、あのガキをぶちのめすって予想していただろ。
ほら、正解シーンを見ようぜ
────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
くくくっ。しらじらしいな。
貴様と我の仲だ。気づかぬと思ったか?
鹿を解体する前に、見られたくないシーンがあるな?
これは予想ではない。既に確信だ
────────────────────
■自分
ッ!
────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
飛ばすのは許さん!
────────────────────
■自分
駄目だ!
回想は飛ばす!
……ッ!
────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
くくくっ。
貴様は忘れているようだが、我は魔王だぞ。
逆らえるはずがないだろう
────────────────────
■自分
くっ。や、やめろ。
やめてくれ……!
────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
くくくっ!
魔王が人間の言うことを聞くと思うか?
回想続行だ!
────────────────────
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