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二人の警察官 前編

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朝六時
 
「暇だー眠いー、拳銃撃っちゃだめかな~」
 
「いやいや、ダメだってクビになるよ圭助」
 
「ははっ、そうかそうだな~何か事件でも起きないかな~」
 
「事件か~、俺らがパトロールをサボれるほど暇だからね~」
 
そう、公園でベンチに座ってくつろいでる二人は、
パトロールをサボってる警察官、奈佐 圭助と、東 冬至だ。
圭助は銃の腕と行動力、冬至は爆弾解除と推理力を認められ警視庁にいる
だがまだ若いため、パトロールや交番の派遣など簡単な仕事が多い。
 
「サボってるとまた総監にドヤされるよ~」
 
「あぁ、まぁ平和なのはいいことだ」
 
圭助は、暇そうにホルスターから拳銃をクルクルと指で回す
すると圭助の無線機で、班長から連絡があった
 
〔二人とも至急警視庁に戻って来てくれ、事件だ〕
 
〔うっす、わかりました納さん!〕
 
無線が切れた後、子供のように目を輝せながら、圭助は冬至に言った

「いくぞっ冬至!やっとの事件だっ!」
 
「へいへい、子供じゃあるまいし喜ぶなよ圭助」
 
「あぁ、でも行くぞっ!」
 
そんな圭助を見て呆れる冬至だが、冬至も内心は喜んでた

 
 時刻は朝七時
二人は警視庁に戻り即、班長の矢形 納[おさむ]の所へ向かった
納は、当直のためずっと警視庁にいた
納は二人の班長であり警部部長でもある。
普段は物静かで優しいが、仕事となると厳しい一面を持つ。
短気で無鉄砲な圭助と、ドジで天然な冬至を昔から知っているため、自分の班につかせた。
 
「只今、奈佐戻りましたっ」
 
「同じく、東戻りましたっ」
 
二人は矢形に敬礼した

「二人ともご苦労。さっそく事件の事だが、羊牧場で盗難があった」
 
「盗難ですとっ!犯人は誰ですかっ!?」
 
「落ち着け圭助、まだ犯人はわからない」
 
「わからないって、証拠は何か残したのですか!?」
 
「証拠だが見あたらないそうだ」
 
「何っ、んなわけあるんすっか、きっとあるっすよ!!」
 
"ダンッ"
テーブルを叩く圭助、ヤレヤレと呆れる二人
 
「まぁまぁ、圭助それは現場を見なきゃわからないって。で何を盗まれたんですか納さん」
 
圭助と真逆で冷静な冬至
納は言った
 
「現金、三千万だ」
 
二人は動揺した 
 
「何っ!!何時に盗まれたんですかっ!」
 
「昨日の夜だそうだ、牧場主さんは直ちに来て欲しいと言ってる」
 
「それでだ冬至、君の推理力でなんとかならないか?その方がこっちも助かる」
 
そう、冬至の推理力で何度か事件を解決に導いたこともある
そこで納は、冬至をこの事件の解決策として、向かわせることを決めたのだ
 
「はっ、了解っす!」

冬至も面白そうだと思いながら敬礼した 
 
「まぁ、犯人は圭助頼む。ただ、現場を荒らしたりして冬至君や牧場に、迷惑をかけるなよ」
 
行動力と銃の腕だけ信用した納は、心配そうに言う
その力、頼むから逮捕だけに使ってくれ、羊は絶対に撃つなと言わんばかりに…
 
「はっ、えっ何でそうなるんすか納さん」
 
二人同時に
 
「「お前なら、絶対に荒らしそうだからだ!」」
 
「へーい、気をつけまーす」
 
圭助はうなだれた声で言った
あぁ俺信用されてねぇな
と思う圭助だった
 
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