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第七話 夫婦の相性(一)
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「たあぁぁぁっ!」
「わあぁぁぁっ!」
黒龍の屋敷の中庭に、秋葉と白銀の声が轟く。白玉砂利の敷かれた雅な庭だったものは、二人によって無惨に荒らされていた。
「だりゃあぁぁっ!」
「とおおぉぉぉっ!」
その様子を狐宵と瑞雪が縁側から眺めていた。前者は顔面蒼白で、後者はひどくおかしそうに。
「朝っぱらから、なんの騒ぎだ?」
憂夜が大きな欠伸をしながら歩いてくる。夜や闇を司る黒龍は朝に弱く、着流しをだらしなく纏って、寝惚け眼でふらふらとしていた。
「朝の鍛錬だそーでっす」と、箒を片手にした瑞雪が答える。彼女は掃除を怠けて二人の見物に来ていたのだった。
「鍛錬だぁ~!?」
憂夜はパチリと目を開けて、まじまじと二人の様子を眺めた。なにやら、ぴょんぴょんと跳ね回っているだけに見えるのだが。
「秋葉様はまだ寅の刻のうちに鍛錬を始めまして、途中からシロも参加した次第です」
「ほぅ……」憂夜はまたもや大欠伸。「早朝からよくやるねぇ~」
「私はすっごく面白いと思います!」
瑞雪が楽しそうに爛々と瞳を輝かせる。
「龍神の花嫁が、品のない……」
対して狐宵は、苦々しそうな顔で眺めながら小さく呟いた。
「あーっ、もしかして、狐宵さんは奥様のことが嫌いなんですかぁ~?」
彼の言葉を聞き逃さなかった瑞雪は、物怖じせずにずけずけと尋ねた。
「わあぁぁぁっ!」
黒龍の屋敷の中庭に、秋葉と白銀の声が轟く。白玉砂利の敷かれた雅な庭だったものは、二人によって無惨に荒らされていた。
「だりゃあぁぁっ!」
「とおおぉぉぉっ!」
その様子を狐宵と瑞雪が縁側から眺めていた。前者は顔面蒼白で、後者はひどくおかしそうに。
「朝っぱらから、なんの騒ぎだ?」
憂夜が大きな欠伸をしながら歩いてくる。夜や闇を司る黒龍は朝に弱く、着流しをだらしなく纏って、寝惚け眼でふらふらとしていた。
「朝の鍛錬だそーでっす」と、箒を片手にした瑞雪が答える。彼女は掃除を怠けて二人の見物に来ていたのだった。
「鍛錬だぁ~!?」
憂夜はパチリと目を開けて、まじまじと二人の様子を眺めた。なにやら、ぴょんぴょんと跳ね回っているだけに見えるのだが。
「秋葉様はまだ寅の刻のうちに鍛錬を始めまして、途中からシロも参加した次第です」
「ほぅ……」憂夜はまたもや大欠伸。「早朝からよくやるねぇ~」
「私はすっごく面白いと思います!」
瑞雪が楽しそうに爛々と瞳を輝かせる。
「龍神の花嫁が、品のない……」
対して狐宵は、苦々しそうな顔で眺めながら小さく呟いた。
「あーっ、もしかして、狐宵さんは奥様のことが嫌いなんですかぁ~?」
彼の言葉を聞き逃さなかった瑞雪は、物怖じせずにずけずけと尋ねた。
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