赤い糸のさきに

アtorica

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「注目の的だったな、紡久つむぐ

 俺の名を呼んだ友人の友樹ともきが、小さな瞳をさらに細めて笑った。
 恥をかいた俺を見て面白がる姿に、内心イラつきながらも友樹の小指を見る。

「……ある」
「は?」

 友樹の指に絡まっているのは、俺と同じ赤い糸だった。
 もちろん俺の赤い糸とは繋がっていないけど、その糸は長く伸び、窓から外へと飛び出ている。
 糸の先を視線でたどってみるも果てが見えず、諦めて視線を友樹の冴えない顔に戻した。
 もしこれが運命の赤い糸というロマンチックな物だとしたら、現実とは時に残酷だ。

「友樹、高校生の間は彼女が出来ないみたいだぞ」
「はあ!? なんだおまえ。いきなり失礼なヤツだな!」

 友樹が机の上に置いていた教科書を掴み、思いきり角で殴られた。
 目の前で星が散り、視界が揺れながらも涙目で友樹を睨みつける。
 角はダメだろ、一番やっちゃダメだろ。
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