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22話 side 二人の番
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side 竜族
なぜだ。
あれほど鮮明だった番の匂いが、跡形もなく消えた。
番の匂いが途切れるなんて聞いたことがない。
危険に巻き込まれたのかとも一瞬考えたが、不思議とそれも違う気がした。胸の奥が否定している。
「君たちは何か知っているかい?」
「「「………………。」」」
返事がないのは分かっている。
それでも、幼い頃から一緒に過ごしてきた精霊たちがこうして周りを飛び回っていると、つい声をかけたくなる。
「ふふ、話せたら何かわかったかもしれないのにね。ごめん、いつもの独り言だ。」
そう呟きながら歩を進めると、街が近づくにつれて精霊の数が目に見えて増えていた。
「すごいな……。こんなに集まっているのは初めて見るよ。」
久しぶりのノウゼンカズラ――
だが、昔の記憶にある街は、精霊が溢れる場所ではなかった。
違和感は精霊だけじゃない。胸の奥が、街そのものに引き寄せられるように疼いている。
「やっぱり……いるんだね。私の番が。」
どんな子なんだろう。
長年待ちわびた運命に奇跡と感じながら、早く会いたいという気持ちが走る。
「待っていて、私の、”運命の番”──」
竜族の男は、静かに熱を帯びた視線でノウゼンカズラを見据え、そのまま足を速めた。
───────────────────
side S級冒険者
久しぶりの街だ。
しばらく戻れなかったが、見たところ大きくは変わっていない。
そんなことを考えながらギルドの扉を押し開け、受付へ向かうと声が飛んできた。
「こんにちは。お久しぶりですね、アイザックさん。お元気でしたか?」
「あぁ。不思議なくらいピンピンしてるよ。依頼の報告をしたいんだが、今いいか?」
「はい、すぐ準備しますね。」
報告を終えたところで、豪快な声が背中から飛んでくる。
「よぉアイザック! やっと帰ったか!」
「おぅギルマス。今回の依頼はちょっと堪えたわ。しばらくは休むわ」
「おうおう! たんまり休んでけ! がははっ!」
腹の底から笑うのはギルドマスター、ローガン。
彼だけでなく、仲間たちも次々と声をかけてくれる。
「元気そうだな!」
「筋肉、またデカくなったっす?!」
「うわ、久しぶりのアイザックさんだ……やっぱかっけぇ!」
「お前らも、元気そうでなによりだ」
和気あいあいと食堂へ移り談笑していたとき、仲間の身につけているものがふと目に入った。
「ん? その耳飾り、ここじゃ見ないな。どこで買った?」
「これっすか? ベンさんの義息子さんが作ったやつですよ。綺麗でしょ? 一目惚れして買いました!」
「あ、俺もだよ。俺は指輪だけどな。」
見せてもらうと、たしかに繊細で見事な細工だ。
それにしても、あのベンさんとリサさんが養子を迎えていたとは意外だ。
二人の仲の良さから、ずっと二人きりで暮らしていくもんだと思っていた。
その流れで、仲間がぽつりと言う。
「どう言うか迷ったけど……その義息子さん、アイザックのタイプど真ん中だと思う。めちゃくちゃ綺麗な人でさ」
「……まじか、そりゃ気になる」
俺は淡々と流すように言う。
確かに、この銀細工といい、ベンさんたちの義息子と聞けば、それなりに興味はある。
だが、今は仕事が恋人みたいなもんだ。あまりそういった恋愛事に乗り気じゃない。
だが、あまりにも仲間たちが話題に出すもんだから気になっちまう。
「一体どんなやつなんだ」
そんなことを呟きながら、俺は仲間たちとの楽しい時間に戻った。
なぜだ。
あれほど鮮明だった番の匂いが、跡形もなく消えた。
番の匂いが途切れるなんて聞いたことがない。
危険に巻き込まれたのかとも一瞬考えたが、不思議とそれも違う気がした。胸の奥が否定している。
「君たちは何か知っているかい?」
「「「………………。」」」
返事がないのは分かっている。
それでも、幼い頃から一緒に過ごしてきた精霊たちがこうして周りを飛び回っていると、つい声をかけたくなる。
「ふふ、話せたら何かわかったかもしれないのにね。ごめん、いつもの独り言だ。」
そう呟きながら歩を進めると、街が近づくにつれて精霊の数が目に見えて増えていた。
「すごいな……。こんなに集まっているのは初めて見るよ。」
久しぶりのノウゼンカズラ――
だが、昔の記憶にある街は、精霊が溢れる場所ではなかった。
違和感は精霊だけじゃない。胸の奥が、街そのものに引き寄せられるように疼いている。
「やっぱり……いるんだね。私の番が。」
どんな子なんだろう。
長年待ちわびた運命に奇跡と感じながら、早く会いたいという気持ちが走る。
「待っていて、私の、”運命の番”──」
竜族の男は、静かに熱を帯びた視線でノウゼンカズラを見据え、そのまま足を速めた。
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side S級冒険者
久しぶりの街だ。
しばらく戻れなかったが、見たところ大きくは変わっていない。
そんなことを考えながらギルドの扉を押し開け、受付へ向かうと声が飛んできた。
「こんにちは。お久しぶりですね、アイザックさん。お元気でしたか?」
「あぁ。不思議なくらいピンピンしてるよ。依頼の報告をしたいんだが、今いいか?」
「はい、すぐ準備しますね。」
報告を終えたところで、豪快な声が背中から飛んでくる。
「よぉアイザック! やっと帰ったか!」
「おぅギルマス。今回の依頼はちょっと堪えたわ。しばらくは休むわ」
「おうおう! たんまり休んでけ! がははっ!」
腹の底から笑うのはギルドマスター、ローガン。
彼だけでなく、仲間たちも次々と声をかけてくれる。
「元気そうだな!」
「筋肉、またデカくなったっす?!」
「うわ、久しぶりのアイザックさんだ……やっぱかっけぇ!」
「お前らも、元気そうでなによりだ」
和気あいあいと食堂へ移り談笑していたとき、仲間の身につけているものがふと目に入った。
「ん? その耳飾り、ここじゃ見ないな。どこで買った?」
「これっすか? ベンさんの義息子さんが作ったやつですよ。綺麗でしょ? 一目惚れして買いました!」
「あ、俺もだよ。俺は指輪だけどな。」
見せてもらうと、たしかに繊細で見事な細工だ。
それにしても、あのベンさんとリサさんが養子を迎えていたとは意外だ。
二人の仲の良さから、ずっと二人きりで暮らしていくもんだと思っていた。
その流れで、仲間がぽつりと言う。
「どう言うか迷ったけど……その義息子さん、アイザックのタイプど真ん中だと思う。めちゃくちゃ綺麗な人でさ」
「……まじか、そりゃ気になる」
俺は淡々と流すように言う。
確かに、この銀細工といい、ベンさんたちの義息子と聞けば、それなりに興味はある。
だが、今は仕事が恋人みたいなもんだ。あまりそういった恋愛事に乗り気じゃない。
だが、あまりにも仲間たちが話題に出すもんだから気になっちまう。
「一体どんなやつなんだ」
そんなことを呟きながら、俺は仲間たちとの楽しい時間に戻った。
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