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レンヴァル村の戦い
ランカスト・バニッシュ1
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額から滴る血が視界を赤く染めていき、左腕の傷口から迸る痛みが、まるで全身を焼き尽くす炎のように駆け巡る。
それでも、私の瞳は決して曇らなかった。
むしろ心の奥底で燃え盛る意志の炎が、ますます激しく灯り私を支えていく。
ユトムンダス……ヨトゥンである巨躯の男が、私を見下ろしながら嘲るように低く鼻を鳴らす。
「ふん……ベルヘイム騎士団も、所詮はそんなものか。おい、2人ぐらい宝探しを再開しろ。攻めてくる気のないベルヘイム騎士など、相手にする価値もない」
その言葉に2体のヨトゥン兵が素早く動き出し、村の奥へと走って行く。
私は歯を食いしばり、心の中で毒づいた。
(ベルヘイムの正規騎士は、何をやっているんだ! 村の外から、見てるだけかよ! もはや、私がこの将を倒す以外に村を救う道はない……頼るのは、止めだ!)
ボロボロの体を支えるのは、唯一の相棒であるバスタード・ソードだけ。
重い剣身が地面に突き刺さり、私の体重を辛うじて受け止めている。
私はユトムンダスを睨みつける視線を、ふと村の方へ移した。
そこでは戻ってきたヨトゥン兵たちが、逃げようとする村人たちが進むのを阻み、無慈悲に屠り始めていた。
だが……村人たちは、勇敢だった。
鍬や棒……武器にならなそうな武器を持ち、必死にヨトゥン兵に立ち向かっていく。
ベルヘイム正規騎士団より、遥かに騎士の心を持っていた。
しかし心の強さだけでは、絶望的な力の差は埋まらない。
ヨトゥン兵の一振りで、3人程の村人が弾け飛んでいく。
「そんな……みんな、逃げてくれ! 立ち向かうなんて、無理だ!」
私の叫びは、風に掻き消されるように虚しく響いた。
村人たちの悲鳴が上がり、血と鉄の臭いが空気に混じる。
友人や近所の人々……大切な人の命が、次々と刈り取られていく。
胸が……張り裂けた。
無力感が、私の魂を蝕む。
「ふん……腑抜けのベルヘイム騎士の中で、お前が一番まともだな。それだけは評価してやる。敬意を表して、もう少しだけ遊んでやるぞ。かかってこい」
ユトムンダスが呪わしいデュランダルを構え、ゆっくりと私に向かって歩み寄ってくる。
巨人の足音が、大地を震わせた。
私は深く息を吸い込み、喉の奥から吠えた。
「このまま……こんなところで、終われるか! 村の皆も、命を無駄にするな! 絶望の中でも、命を繋げろ! 諦めるな!」
体中の力を振り絞り、私はユトムンダスに向かって飛び込んだ。
ユトムンダスの左腕に捕らわれた少女……テューネに当たらないよう、慎重に剣を振るう。
それでも気迫のこめた一撃は、ただの斬撃などではない。
私のすべてを賭けた、村の未来を切り開く一閃だ。
「テューネ! 必ず助ける! もう少し……もう少しだけ、辛抱してくれ!」
テューネの瞳と、視線が交錯した。
まだ7歳ほどの小さな身体で、涙を溜めながらも泣きじゃくらずにユトムンダスの腕から逃れようともがき続けている。
そしてテューネは、力強く頷き返した。
その健気さに、胸が熱くなる。
その小さな頷きが、私の背中を押す。
テューネの純粋な信頼が、私の剣に新たな力を与える。
私の剣撃と気迫に押され、ユトムンダスが数歩後ずさった。
その隙に、民家の影から1つの人影が飛び出す。
その女性が持つ鋭いレイピアが閃き、ユトムンダスの持つデュランダルを弾き飛ばした。
「今だ!」
私は更に、一歩を踏み出す。
もう動かないと思わせておいた、激痛の走る左手にバスタード・ソードを持ち換える。
血が滴る……だが、そんなモノに構っている余裕はない。
「うおおおぉぉぉぉ!」
私は、叫んでいた。
ユトムンダスが、一瞬怯む。
私の振ったバスタード・ソードを躱わして、体勢を崩す。
その一瞬……ユトムンダスの左腕に、レイピアの切っ先が深々と突き刺さった。
「なんだと!」
ユトムンダスの顔が、驚愕に歪む。
私は息を切らしながら、レイピアを突き刺した人影を見る。
細身のシルエット、優雅な剣さばき……紛れもなく、ソフィーアだ。
ソフィーアの登場に、心臓が激しく鼓動を打つ。
周囲の空気が、変わるのを感じる。
私の胸に、新たな決意を刻み込む。
ソフィーアが、ここにいる……いてくれる。
ならば、勝機はある。
テューネを、村を救うために……私は、再び剣を構えた。
戦いは、まだ終わっていない。
私は、弾き飛ばされたデュランダルを拾い上げていた。
クレイモアのような形状の剣……デュランダルは、片手剣と言うにはあまりに大きく長い。
大柄な私でさえ、デュランダルを構えるだけでフラついてしまう。
(くっ! 重い……だが、思った通りだ。私でも、持てる! ユトムンダスは、デュランダルに認められていなかったんだ!)
神剣は自らの主を見つけるまでは、その質量を保ったまま誰でも使える。
しかし一度主と認める者が現れると、その人以外の者が使おうとしても持つ事すら許されない。
つまりユトムンダスはデュランダルには認められる事なく、ただ使っていただけだった。
(これで私がデュランダルに認めてもらえれば、言う事ないが………そう上手く、事は運ばないか。だが、ユトムンダスから神剣を奪えた。それだけでも、勝てる可能性が増した筈だ!)
私はデュランダルを構えながら、ユトムンダスを睨む。
だがユトムンダスの左腕には、テューネが捕われたままである。
「ゴメンね、ランカスト……テューネ、取り戻せなかった……」
突然のレイピアの攻撃に、ユトムンダスは一瞬驚きはした。
しかし騎士でもない女性の攻撃如きでは、強いダメージを与える事は難しい。
「一騎打ちだと思わせておいて、奇襲攻撃を用意しておくとは……人間にしちゃあ、上出来だ。だが、駒が悪すぎたなぁ……もっと、屈強な騎士でも準備しておけや。デュランダルは、ハンデとして貸しといてやるよ。良い思い出になるだろ?」
ユトムンダスは笑いながら、余裕な表情を浮かべている。
私は大きく息を吸うと、覚悟を決めてデュランダルを握り締めた。
ほんの少しだけ軽くなった感じのするデュランダルは、その刀身を輝かせる。
「いくぞ……ユトムンダス!」
揺れる記憶の中で、私が叫んだ。
それでも、私の瞳は決して曇らなかった。
むしろ心の奥底で燃え盛る意志の炎が、ますます激しく灯り私を支えていく。
ユトムンダス……ヨトゥンである巨躯の男が、私を見下ろしながら嘲るように低く鼻を鳴らす。
「ふん……ベルヘイム騎士団も、所詮はそんなものか。おい、2人ぐらい宝探しを再開しろ。攻めてくる気のないベルヘイム騎士など、相手にする価値もない」
その言葉に2体のヨトゥン兵が素早く動き出し、村の奥へと走って行く。
私は歯を食いしばり、心の中で毒づいた。
(ベルヘイムの正規騎士は、何をやっているんだ! 村の外から、見てるだけかよ! もはや、私がこの将を倒す以外に村を救う道はない……頼るのは、止めだ!)
ボロボロの体を支えるのは、唯一の相棒であるバスタード・ソードだけ。
重い剣身が地面に突き刺さり、私の体重を辛うじて受け止めている。
私はユトムンダスを睨みつける視線を、ふと村の方へ移した。
そこでは戻ってきたヨトゥン兵たちが、逃げようとする村人たちが進むのを阻み、無慈悲に屠り始めていた。
だが……村人たちは、勇敢だった。
鍬や棒……武器にならなそうな武器を持ち、必死にヨトゥン兵に立ち向かっていく。
ベルヘイム正規騎士団より、遥かに騎士の心を持っていた。
しかし心の強さだけでは、絶望的な力の差は埋まらない。
ヨトゥン兵の一振りで、3人程の村人が弾け飛んでいく。
「そんな……みんな、逃げてくれ! 立ち向かうなんて、無理だ!」
私の叫びは、風に掻き消されるように虚しく響いた。
村人たちの悲鳴が上がり、血と鉄の臭いが空気に混じる。
友人や近所の人々……大切な人の命が、次々と刈り取られていく。
胸が……張り裂けた。
無力感が、私の魂を蝕む。
「ふん……腑抜けのベルヘイム騎士の中で、お前が一番まともだな。それだけは評価してやる。敬意を表して、もう少しだけ遊んでやるぞ。かかってこい」
ユトムンダスが呪わしいデュランダルを構え、ゆっくりと私に向かって歩み寄ってくる。
巨人の足音が、大地を震わせた。
私は深く息を吸い込み、喉の奥から吠えた。
「このまま……こんなところで、終われるか! 村の皆も、命を無駄にするな! 絶望の中でも、命を繋げろ! 諦めるな!」
体中の力を振り絞り、私はユトムンダスに向かって飛び込んだ。
ユトムンダスの左腕に捕らわれた少女……テューネに当たらないよう、慎重に剣を振るう。
それでも気迫のこめた一撃は、ただの斬撃などではない。
私のすべてを賭けた、村の未来を切り開く一閃だ。
「テューネ! 必ず助ける! もう少し……もう少しだけ、辛抱してくれ!」
テューネの瞳と、視線が交錯した。
まだ7歳ほどの小さな身体で、涙を溜めながらも泣きじゃくらずにユトムンダスの腕から逃れようともがき続けている。
そしてテューネは、力強く頷き返した。
その健気さに、胸が熱くなる。
その小さな頷きが、私の背中を押す。
テューネの純粋な信頼が、私の剣に新たな力を与える。
私の剣撃と気迫に押され、ユトムンダスが数歩後ずさった。
その隙に、民家の影から1つの人影が飛び出す。
その女性が持つ鋭いレイピアが閃き、ユトムンダスの持つデュランダルを弾き飛ばした。
「今だ!」
私は更に、一歩を踏み出す。
もう動かないと思わせておいた、激痛の走る左手にバスタード・ソードを持ち換える。
血が滴る……だが、そんなモノに構っている余裕はない。
「うおおおぉぉぉぉ!」
私は、叫んでいた。
ユトムンダスが、一瞬怯む。
私の振ったバスタード・ソードを躱わして、体勢を崩す。
その一瞬……ユトムンダスの左腕に、レイピアの切っ先が深々と突き刺さった。
「なんだと!」
ユトムンダスの顔が、驚愕に歪む。
私は息を切らしながら、レイピアを突き刺した人影を見る。
細身のシルエット、優雅な剣さばき……紛れもなく、ソフィーアだ。
ソフィーアの登場に、心臓が激しく鼓動を打つ。
周囲の空気が、変わるのを感じる。
私の胸に、新たな決意を刻み込む。
ソフィーアが、ここにいる……いてくれる。
ならば、勝機はある。
テューネを、村を救うために……私は、再び剣を構えた。
戦いは、まだ終わっていない。
私は、弾き飛ばされたデュランダルを拾い上げていた。
クレイモアのような形状の剣……デュランダルは、片手剣と言うにはあまりに大きく長い。
大柄な私でさえ、デュランダルを構えるだけでフラついてしまう。
(くっ! 重い……だが、思った通りだ。私でも、持てる! ユトムンダスは、デュランダルに認められていなかったんだ!)
神剣は自らの主を見つけるまでは、その質量を保ったまま誰でも使える。
しかし一度主と認める者が現れると、その人以外の者が使おうとしても持つ事すら許されない。
つまりユトムンダスはデュランダルには認められる事なく、ただ使っていただけだった。
(これで私がデュランダルに認めてもらえれば、言う事ないが………そう上手く、事は運ばないか。だが、ユトムンダスから神剣を奪えた。それだけでも、勝てる可能性が増した筈だ!)
私はデュランダルを構えながら、ユトムンダスを睨む。
だがユトムンダスの左腕には、テューネが捕われたままである。
「ゴメンね、ランカスト……テューネ、取り戻せなかった……」
突然のレイピアの攻撃に、ユトムンダスは一瞬驚きはした。
しかし騎士でもない女性の攻撃如きでは、強いダメージを与える事は難しい。
「一騎打ちだと思わせておいて、奇襲攻撃を用意しておくとは……人間にしちゃあ、上出来だ。だが、駒が悪すぎたなぁ……もっと、屈強な騎士でも準備しておけや。デュランダルは、ハンデとして貸しといてやるよ。良い思い出になるだろ?」
ユトムンダスは笑いながら、余裕な表情を浮かべている。
私は大きく息を吸うと、覚悟を決めてデュランダルを握り締めた。
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