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レンヴァル村の戦い
反撃の翼2
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「ぐっ……はああぁぁ!」
スリヴァルディの巨躯が、エアの剣によって無慈悲に切り裂かれていく。
鋭い刃がスリヴァルディの、胸を……
腕を……
胴を……
容赦なく引き裂くたび、鮮血が霧のように宙を舞い地面を赤黒く染める。
しかし斬り裂かれた傷は、まるで神の悪戯のように瞬時に癒えていく。
裂けた肉が縫い合わさり、骨が再び繋がる異様な光景は戦場に漂う恐怖を一層濃くしていた。
不死と、瞬時に回復する肉体……それこそが、スリヴァルディを怪物たらしめる最大の能力である。
スリヴァルディの恐ろしさは、剣技の冴えや圧倒的な力ではない。
防御を顧みず、ただひたすら攻撃に全てを捧げられるその性質にある。
どんなフェイントも策略も通用せず、倒したと思えばその刹那に反撃が飛んでくるのだ。
スリヴァルディとの戦いは、一瞬の油断も許されない息を詰まらせる死闘を強いられる。
だが……目の前に立つフードの男は、その不死性ですら問題にしていない様に見えた。
フードの男が持つエアの剣は風を切り裂く鋭い音を立て、スリヴァルディの肉体を休む間もなく切り刻む。
刃の軌跡はあまりに速く、まるで空気そのものが刃と化したかのようだった。
腕が癒えた瞬間には再び刃が閃き、骨ごと断ち切られる。
頭部が再生すれば、即座に首筋を切り裂く。胴体が修復されれば、まるでその動きを予見したかのように剣が斜めに滑り込み内臓を抉る。
剣圧だけで地面に亀裂が走り、血と砂塵が混じり合い赤い靄が戦場を覆う。
(このままではぁ、まずいなぁ! 身動きすらぁ、とらせてもらえねぇぁ!)
スリヴァルディの意識は、頭部が再生する一瞬の間だけ断片的に周囲の情報を捉えた。
風の唸り……
兵たちの絶叫……
地面を焦がす雷鳴……
その中で、スリヴァルディ軍のヨトゥン兵たちが壊滅していくのが分かる。
戦場の反対側では、フェルグスがカラドボルグを振り回し雷嵐を呼び起こしていた。
フェルグスはヨトゥン兵の前に立ちはだかり、その手に握られたカラドボルグは雷光を纏って唸りを上げる。
カラドボルグが一閃するたび稲妻が迸り、ヨトゥン兵の群れを焼き尽くしていく。
雷鳴が戦場を震わせ、地面に焦げた亀裂を刻み込む。
フェルグスの放つ一撃は、ただの剣戟ではない。
それは自然の怒りを具現化したような、破壊の舞だった。
一振りで、10体以上のヨトゥン兵が吹き飛ぶ。
鎧は雷に溶け、肉は焦げた臭いを放ちながら崩れ落ちた。
フェルグスの周囲には、生き物の気配すら残らない死の円環が広がる。
「フェルグス様相手に、オレ達で勝負になる訳ねぇ! 逃げろ! 逃げろぉ!」
ヨトゥン兵の叫び声が響くが、フェルグスのカラドボルグは逃亡すら許さない。
カラドボルグが弧を描くと、雷光が蛇のようにうねりヨトゥン兵たちの背を貫く。
地面に倒れた者たちは雷に焼かれ、身体をピクピクさせた後に動かなくなる。
「すまんが、今回ばかりは慈悲をかけてやる訳にはいかん。彼の存在を知った者は、ここで散ってもらうしかない」
フェルグスの目は燃えるような闘志に満ち、まるで戦場そのものを支配する王のようだった。
無慈悲に振るわれるカラドボルグの力は、ヨトゥン兵の恐怖を煽っていく。
(くそがぁ! フェルグスの野郎、こちらが足止めされている間に好き勝手やりやがらぁ! どうにか、しねぇとなぁ!)
唇を噛み締め、怒りに震えるスリヴァルディ。
しかしその瞬間、フードの男が持つエアの剣が再びスリヴァルディの肩を抉る。
血が噴き出し、痛みが全身を貫く。
「だがなぁ……少し、浅いようだなぁ!」
スリヴァルディは、フードの男の一瞬の隙を見逃さなかった。
斬り落とされなかった腕でバスタード・ソードを振り、エアの剣の軌道に滑り込ませる。
金属がぶつかり合う甲高い音が響き、火花が散った。
エアの剣の剣先をわずかに逸らしただけで、スリヴァルディの右腕は地面に落ちる。
だがその瞬間、スリヴァルディは右足に力を込め大きく後方へと跳ぶ。
エアの剣の剣圧で、地面が砕け砂塵が舞い上がる。
「あぶねぇなぁ! ヒヤリとさせられたが、もう貴様の間合いには入らねぇなぁ! 距離さえあれば、回復が間に合うからなぁ!」
瞬時に身体の修復を終えたスリヴァルディは、血に濡れた顔に余裕の笑みを浮かべた。
「それより、凰の目かぁ! バロールに、カラドボルグより上等な手土産ができたなぁ! そうなれば、こんな村に用はねぇなぁ!」
逃げ出そうとするスリヴァルディの耳に、静かな声が入ってくる。
その声には、どこか深い悲哀が宿っている様に聞こえた。
「そうですか……残念ですが、逃す訳にはいきません。フェルグスさんも、理解して戦ってくれている。申し訳ないですが、心を鬼にするしかない……」
フードの男の瞳が赤から更に深い、血の海のような深紅へと変わっていく。
その背中には、炎の翼が広がる。
熱を帯びた風が渦を巻き、火の粉が戦場に舞い散っていく。
次の瞬間、フードの男の姿は消える。
いや……消えたように見えた。
スリヴァルディが目を見開く間もなく、フードの男は既に懐に踏み込んでいる。
まるで空間を裂いて現れたかのような、常識外の速さだった。
「なぁ……瞬間移動なのかぁ! 反則だぁ!」
フードの男のエアの剣が再び唸りを上げ、スリヴァルディの肉体を切り裂いていく。
一閃ごとに空気が震え、剣圧だけで地面に亀裂が走る。
斬撃はまるで嵐のように連続し、スリヴァルディの不死の肉体を容赦なく追い詰めた。
腕が落ち、胴が裂け、頭部が宙を舞う。
先程と同じ光景が、繰り返される。
いや……先ほどと僅かに異なるのは、傷の癒える速度がわずかに鈍っていることだった。
再生が追いつかず、肉体に残るダメージが蓄積していく。
スリヴァルディの心に、初めて恐怖が芽生えた。
(まさかぁ……これが、鳳凰覚醒の力だとでも言うのかぁ! さすがに、まずいなぁ……)
脱出を試みるが……エアの剣は風の力を纏い、まるで生き物のようにスリヴァルディを追い詰めていく。
更にエアの剣が大気を斬り裂くたびに鋭い鎌鼬が生まれ、ヨトゥン兵だけを的確に切り裂いた。
鎌鼬は、まるで意志を持つかのよう……
ヨトゥン兵の喉を裂き、鎧を貫き、血飛沫を巻き上げる。
だが鎌鼬は、村人たちを傷付けることなく素通りしていく。
風の刃に、神の審判の力が宿っているかのようである。
フェルグスが立つ戦場では、決着がつこうとしていた。
フェルグスがカラドボルグを振り上げるたび、雷光が天を裂きヨトゥン兵の退路すら粉砕していく。
範囲を狭めた渾身の一撃で地面に巨大なクレーターが生まれ、雷鳴が轟くたびに空気が震える。
屈強のヨトゥン兵ですら、フェルグスの前では何も出来ない。
ただ薪のように燃え上がり、散っていく。
フェルグスの動きは獣のようにしなやかで、その一撃一撃は山を砕くほどの力に満ちている。
カラドボルグの力は戦場を支配し、ヨトゥン兵に逃げ場を与えなかった。
フードの男の鎌鼬とフェルグスの雷撃は、戦場に2つの嵐を作り出す。
鎌鼬は、村人を人質にするヨトゥン兵を確実に捉え……雷霆の力は、逃げ出すヨトゥン兵の集団を壊滅させていく。
フェルグスは一瞬だけカラドボルグを握る手を止め、フードの男の戦いを見つめる。
その瞳に宿るのは……驚愕と、どこか尊敬の光だった。
(こんなぁ、馬鹿なことがぁ! だが、ロキの野郎がぁ! 貴様の思惑は、外れやがったなぁ! 切り札は、人間側が握ってるってこったぁ! ざまぁねぇやぁなぁ!)
薄れゆく意識の中で、スリヴァルディはロキの悔しがる顔を想像……そして、ほくそ笑む。
スリヴァルディの不死の肉体すら、この圧倒的な剣戟の嵐には抗えない。
直感的に、スリヴァルディは感じていた。
生き残れる可能性は、皆無。
スリヴァルディは最後に全てを諦め、暴風のような斬撃に身を委ねる。
不死身と謳われたスリヴァルディは、ついに息絶えた。
戦場に残されたのは、火の粉と血の海。
そして、カラドボルグの力による雷鳴の残響。
フードの男の剣が止まり、フェルグスのカラドボルグが最後の雷光を放つ。
そして、戦場は時間が止まったかのような静けさに包まれる。
村人達が目を覚ますのは、もう少し後になりそうであった……
スリヴァルディの巨躯が、エアの剣によって無慈悲に切り裂かれていく。
鋭い刃がスリヴァルディの、胸を……
腕を……
胴を……
容赦なく引き裂くたび、鮮血が霧のように宙を舞い地面を赤黒く染める。
しかし斬り裂かれた傷は、まるで神の悪戯のように瞬時に癒えていく。
裂けた肉が縫い合わさり、骨が再び繋がる異様な光景は戦場に漂う恐怖を一層濃くしていた。
不死と、瞬時に回復する肉体……それこそが、スリヴァルディを怪物たらしめる最大の能力である。
スリヴァルディの恐ろしさは、剣技の冴えや圧倒的な力ではない。
防御を顧みず、ただひたすら攻撃に全てを捧げられるその性質にある。
どんなフェイントも策略も通用せず、倒したと思えばその刹那に反撃が飛んでくるのだ。
スリヴァルディとの戦いは、一瞬の油断も許されない息を詰まらせる死闘を強いられる。
だが……目の前に立つフードの男は、その不死性ですら問題にしていない様に見えた。
フードの男が持つエアの剣は風を切り裂く鋭い音を立て、スリヴァルディの肉体を休む間もなく切り刻む。
刃の軌跡はあまりに速く、まるで空気そのものが刃と化したかのようだった。
腕が癒えた瞬間には再び刃が閃き、骨ごと断ち切られる。
頭部が再生すれば、即座に首筋を切り裂く。胴体が修復されれば、まるでその動きを予見したかのように剣が斜めに滑り込み内臓を抉る。
剣圧だけで地面に亀裂が走り、血と砂塵が混じり合い赤い靄が戦場を覆う。
(このままではぁ、まずいなぁ! 身動きすらぁ、とらせてもらえねぇぁ!)
スリヴァルディの意識は、頭部が再生する一瞬の間だけ断片的に周囲の情報を捉えた。
風の唸り……
兵たちの絶叫……
地面を焦がす雷鳴……
その中で、スリヴァルディ軍のヨトゥン兵たちが壊滅していくのが分かる。
戦場の反対側では、フェルグスがカラドボルグを振り回し雷嵐を呼び起こしていた。
フェルグスはヨトゥン兵の前に立ちはだかり、その手に握られたカラドボルグは雷光を纏って唸りを上げる。
カラドボルグが一閃するたび稲妻が迸り、ヨトゥン兵の群れを焼き尽くしていく。
雷鳴が戦場を震わせ、地面に焦げた亀裂を刻み込む。
フェルグスの放つ一撃は、ただの剣戟ではない。
それは自然の怒りを具現化したような、破壊の舞だった。
一振りで、10体以上のヨトゥン兵が吹き飛ぶ。
鎧は雷に溶け、肉は焦げた臭いを放ちながら崩れ落ちた。
フェルグスの周囲には、生き物の気配すら残らない死の円環が広がる。
「フェルグス様相手に、オレ達で勝負になる訳ねぇ! 逃げろ! 逃げろぉ!」
ヨトゥン兵の叫び声が響くが、フェルグスのカラドボルグは逃亡すら許さない。
カラドボルグが弧を描くと、雷光が蛇のようにうねりヨトゥン兵たちの背を貫く。
地面に倒れた者たちは雷に焼かれ、身体をピクピクさせた後に動かなくなる。
「すまんが、今回ばかりは慈悲をかけてやる訳にはいかん。彼の存在を知った者は、ここで散ってもらうしかない」
フェルグスの目は燃えるような闘志に満ち、まるで戦場そのものを支配する王のようだった。
無慈悲に振るわれるカラドボルグの力は、ヨトゥン兵の恐怖を煽っていく。
(くそがぁ! フェルグスの野郎、こちらが足止めされている間に好き勝手やりやがらぁ! どうにか、しねぇとなぁ!)
唇を噛み締め、怒りに震えるスリヴァルディ。
しかしその瞬間、フードの男が持つエアの剣が再びスリヴァルディの肩を抉る。
血が噴き出し、痛みが全身を貫く。
「だがなぁ……少し、浅いようだなぁ!」
スリヴァルディは、フードの男の一瞬の隙を見逃さなかった。
斬り落とされなかった腕でバスタード・ソードを振り、エアの剣の軌道に滑り込ませる。
金属がぶつかり合う甲高い音が響き、火花が散った。
エアの剣の剣先をわずかに逸らしただけで、スリヴァルディの右腕は地面に落ちる。
だがその瞬間、スリヴァルディは右足に力を込め大きく後方へと跳ぶ。
エアの剣の剣圧で、地面が砕け砂塵が舞い上がる。
「あぶねぇなぁ! ヒヤリとさせられたが、もう貴様の間合いには入らねぇなぁ! 距離さえあれば、回復が間に合うからなぁ!」
瞬時に身体の修復を終えたスリヴァルディは、血に濡れた顔に余裕の笑みを浮かべた。
「それより、凰の目かぁ! バロールに、カラドボルグより上等な手土産ができたなぁ! そうなれば、こんな村に用はねぇなぁ!」
逃げ出そうとするスリヴァルディの耳に、静かな声が入ってくる。
その声には、どこか深い悲哀が宿っている様に聞こえた。
「そうですか……残念ですが、逃す訳にはいきません。フェルグスさんも、理解して戦ってくれている。申し訳ないですが、心を鬼にするしかない……」
フードの男の瞳が赤から更に深い、血の海のような深紅へと変わっていく。
その背中には、炎の翼が広がる。
熱を帯びた風が渦を巻き、火の粉が戦場に舞い散っていく。
次の瞬間、フードの男の姿は消える。
いや……消えたように見えた。
スリヴァルディが目を見開く間もなく、フードの男は既に懐に踏み込んでいる。
まるで空間を裂いて現れたかのような、常識外の速さだった。
「なぁ……瞬間移動なのかぁ! 反則だぁ!」
フードの男のエアの剣が再び唸りを上げ、スリヴァルディの肉体を切り裂いていく。
一閃ごとに空気が震え、剣圧だけで地面に亀裂が走る。
斬撃はまるで嵐のように連続し、スリヴァルディの不死の肉体を容赦なく追い詰めた。
腕が落ち、胴が裂け、頭部が宙を舞う。
先程と同じ光景が、繰り返される。
いや……先ほどと僅かに異なるのは、傷の癒える速度がわずかに鈍っていることだった。
再生が追いつかず、肉体に残るダメージが蓄積していく。
スリヴァルディの心に、初めて恐怖が芽生えた。
(まさかぁ……これが、鳳凰覚醒の力だとでも言うのかぁ! さすがに、まずいなぁ……)
脱出を試みるが……エアの剣は風の力を纏い、まるで生き物のようにスリヴァルディを追い詰めていく。
更にエアの剣が大気を斬り裂くたびに鋭い鎌鼬が生まれ、ヨトゥン兵だけを的確に切り裂いた。
鎌鼬は、まるで意志を持つかのよう……
ヨトゥン兵の喉を裂き、鎧を貫き、血飛沫を巻き上げる。
だが鎌鼬は、村人たちを傷付けることなく素通りしていく。
風の刃に、神の審判の力が宿っているかのようである。
フェルグスが立つ戦場では、決着がつこうとしていた。
フェルグスがカラドボルグを振り上げるたび、雷光が天を裂きヨトゥン兵の退路すら粉砕していく。
範囲を狭めた渾身の一撃で地面に巨大なクレーターが生まれ、雷鳴が轟くたびに空気が震える。
屈強のヨトゥン兵ですら、フェルグスの前では何も出来ない。
ただ薪のように燃え上がり、散っていく。
フェルグスの動きは獣のようにしなやかで、その一撃一撃は山を砕くほどの力に満ちている。
カラドボルグの力は戦場を支配し、ヨトゥン兵に逃げ場を与えなかった。
フードの男の鎌鼬とフェルグスの雷撃は、戦場に2つの嵐を作り出す。
鎌鼬は、村人を人質にするヨトゥン兵を確実に捉え……雷霆の力は、逃げ出すヨトゥン兵の集団を壊滅させていく。
フェルグスは一瞬だけカラドボルグを握る手を止め、フードの男の戦いを見つめる。
その瞳に宿るのは……驚愕と、どこか尊敬の光だった。
(こんなぁ、馬鹿なことがぁ! だが、ロキの野郎がぁ! 貴様の思惑は、外れやがったなぁ! 切り札は、人間側が握ってるってこったぁ! ざまぁねぇやぁなぁ!)
薄れゆく意識の中で、スリヴァルディはロキの悔しがる顔を想像……そして、ほくそ笑む。
スリヴァルディの不死の肉体すら、この圧倒的な剣戟の嵐には抗えない。
直感的に、スリヴァルディは感じていた。
生き残れる可能性は、皆無。
スリヴァルディは最後に全てを諦め、暴風のような斬撃に身を委ねる。
不死身と謳われたスリヴァルディは、ついに息絶えた。
戦場に残されたのは、火の粉と血の海。
そして、カラドボルグの力による雷鳴の残響。
フードの男の剣が止まり、フェルグスのカラドボルグが最後の雷光を放つ。
そして、戦場は時間が止まったかのような静けさに包まれる。
村人達が目を覚ますのは、もう少し後になりそうであった……
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