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神話の世界へ
冒険の始まり5
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「それは、先ほどのヨトゥン兵が真言の魔法を皆さんにかけたからですよ。異国の者と出会えば、真言を唱えるのが常識なのですが?」
栗色の髪を風に靡かせる女性が、首を傾げ、月光の下でその瞳を曇らせる。
「真言を用いれば、相手の言葉が我々の知識の中で最も適した言語に瞬時に翻訳されるのです。さて、あなた方はどこの国から来られたのです? 基本的な魔法の知識も、神剣を使う騎士の名も分からない……ヨトゥンでも知っている様な事を知らないのは、何故なのです?」
「それは驚くべき力だな! これまで語学を学んできた自分が虚しく思えてくるよ……んで、どこの国……か。難しいが、この海の彼方か?」
航太の声は、どこか遠くを見つめるような響きを持ち、まるで彼岸から語りかけるかのようだった。
つまり女性の質問に、本質の違う話を勢いだけで納得させようとした。
しかし当たり前だが、それで何とかなる訳がない。
「海って何ですか? この湖の向こうは、私たちの国ベルヘイムですよ?」
航太の言葉に、当然の如く女性の表情が疑問に満ちた。
「これ……湖なの? って……まぁそんなことはさておき、真言って魔法は本当に素晴らしいね! ねぇねぇ、魔法で他に何か出来る事はないの?」
絵美は咄嗟に、緊張を和らげるかのように話題を変える。
「うーん、そうですね……」
栗石の髪の女性は、深淵を覗くかのように考え込んだ。
そしてその視線が、絵美の手に抱かれたアヒルのヌイグルミに注がれる。
「少しの間、動かないで頂けますか?」
まずは、自分達を信じてもらおう……彼女は、そう考えたのだろう。
絵美に向けて、手を広げる。
「何?」
絵美が、驚愕で身を竦める。
「すぐに終わりますよ」
その笑顔は絵美が安心するには充分な優しさに満ち、彼女は奇妙な呪文を唱える。
すると絵美の体から、まるで星が生まれるかのように光が溢れ出し球体となって集まる。
それがアヒルのヌイグルミに吸い込まれていく。
すると驚くべきことに、ヌイグルミが動き始めた。
絵美の手から逃れ、砂浜を転がりながら声も出す。
「がががががががガーゴでしゅ~~」
謎の言葉を発しながらら走り回るアヒルのヌイグルミ……
航太たちは目を疑うかのように、その奇跡の光景を凝視した。
「いかがですか?」
栗色の髪の女性は、呆然とする3人を見て満足げな笑みを浮かべる。
「すごーい! ガーゴが喋ったぁ!」
絵美は、まるで夢を見ているように飛び跳ねて喜ぶ。
「でも、一体どうやって?」
智美は信じられない思いでヌイグルミを見つめ、問いかける。
「彼女の魂の一部を、このヌイグルミに移したんですよ。命の一部を分け与えた感じですかね? あっ、自己紹介がまだでしたね! 私はエリサ・プロッサム、治療系魔法専門のヒーラーす。こちらはネイア・ペンティス、軍で看護長を務めています」
栗色の髪の女性……エリサは、航太達に歩み寄ろうとしていた。
が……黒髪の女性ネイアは、不審感を払拭できず疑惑の目を航太達に向けている。
「ネイアと申します。先ほどは危険なところを救っていただき、ありがとうございました。私たちは、ベルヘイム軍に従軍しております。軍属である以上、失礼だとは思いますが正体不明な方々と馴れ合う訳にはいきません。人とヨトゥンが戦っているのは子供でも知っている常識……そもそも、ヨトゥンの存在すら理解していないようでしたね。あなた方、本当に一体何者ですか?」
その冷静で鋭いネイアの問いに、和やかだった空気が一瞬で凍りつく。
固まる3人を横目に、エリサが笑顔でガーゴを捕まえる。
「ネイアさん、今は仕事中でもないんですし、命の恩人達に詮索するのはやめましょうよ。
私たちを助けるために、ヨトゥン兵と戦ってくれた……それだけで十分じゃないですか?」
エリサはまるで天使のように優しくガーゴの頭を撫で、場の緊張を解きほぐす。
しかしアヒルのヌイグルミだけは、その空気を読まずエリサの腕の中で暴れて続ける。
「何するでしゅか~。離すでしゅ~」
騒ぎ続けるガーゴに視線が注がれ、智美がついに笑みをこぼす。
「ごめんなさい……私たちも色々あって、緊張していたからパニックになってしまって……戦争中で急に世間知らずの人が現れたら、警戒するのは当然ですね。でも、どうしたら信じてもらえるかな?」
智美は航太に目配せし、助けを求める。
その視線に気づいた航太は深い溜息をついてから、自己紹介と共にこれまでの経緯を話し始めた。
異世界から来たことは伏せつつ、先祖や義弟の希望を叶える為に辺境の小さな村から出て来た事。
神剣を守る為に外の世界から隔離された村だったので、常識に疎い事を付け加えた。
「こちらこそ、ごめんなさいね。エリサの言う通り……助けてもらっておいて、失礼な物言いでした。確かに、神剣を守る為に外の世界と断絶した村があってもおかしくないでしょう。4つもの神剣が揃っている事も、理解が出来ます」
「いや、実はもう1つある。さっきから話に出ている義理の弟が持ってるんだ。合流したら紹介するよ」
ネイアの疑惑が晴れた事を確認し、航太は安心した。
「ところで……魂の一部を使ったって、絵美の体は大丈夫なんですか?」
智美は海辺でガーゴと戯れる絵美を見ながら、エリサに尋ねる。
「大丈夫ですよ。魂と命の情報を移動しただけですから、体には害はありません。絵美さんの記憶も移動してますので、あなた方のことも理解してると思いますよ」
エリサは笑顔で、絵美とガーゴのやり取りを眺める。
「しかし絵美が2人か……これから騒がしくなりそうだな……」
航太が、この日何度目かの溜息をついた。
「あー! 航ちゃん、今私のこと馬鹿にしたなぁ~」
「馬鹿にしたでしゅ~。航太のくせに馬鹿にしたでしゅ~。ムカつくでしゅ~」
絵美とガーゴのダブル攻撃に、航太もついに沈黙した……
栗色の髪を風に靡かせる女性が、首を傾げ、月光の下でその瞳を曇らせる。
「真言を用いれば、相手の言葉が我々の知識の中で最も適した言語に瞬時に翻訳されるのです。さて、あなた方はどこの国から来られたのです? 基本的な魔法の知識も、神剣を使う騎士の名も分からない……ヨトゥンでも知っている様な事を知らないのは、何故なのです?」
「それは驚くべき力だな! これまで語学を学んできた自分が虚しく思えてくるよ……んで、どこの国……か。難しいが、この海の彼方か?」
航太の声は、どこか遠くを見つめるような響きを持ち、まるで彼岸から語りかけるかのようだった。
つまり女性の質問に、本質の違う話を勢いだけで納得させようとした。
しかし当たり前だが、それで何とかなる訳がない。
「海って何ですか? この湖の向こうは、私たちの国ベルヘイムですよ?」
航太の言葉に、当然の如く女性の表情が疑問に満ちた。
「これ……湖なの? って……まぁそんなことはさておき、真言って魔法は本当に素晴らしいね! ねぇねぇ、魔法で他に何か出来る事はないの?」
絵美は咄嗟に、緊張を和らげるかのように話題を変える。
「うーん、そうですね……」
栗石の髪の女性は、深淵を覗くかのように考え込んだ。
そしてその視線が、絵美の手に抱かれたアヒルのヌイグルミに注がれる。
「少しの間、動かないで頂けますか?」
まずは、自分達を信じてもらおう……彼女は、そう考えたのだろう。
絵美に向けて、手を広げる。
「何?」
絵美が、驚愕で身を竦める。
「すぐに終わりますよ」
その笑顔は絵美が安心するには充分な優しさに満ち、彼女は奇妙な呪文を唱える。
すると絵美の体から、まるで星が生まれるかのように光が溢れ出し球体となって集まる。
それがアヒルのヌイグルミに吸い込まれていく。
すると驚くべきことに、ヌイグルミが動き始めた。
絵美の手から逃れ、砂浜を転がりながら声も出す。
「がががががががガーゴでしゅ~~」
謎の言葉を発しながらら走り回るアヒルのヌイグルミ……
航太たちは目を疑うかのように、その奇跡の光景を凝視した。
「いかがですか?」
栗色の髪の女性は、呆然とする3人を見て満足げな笑みを浮かべる。
「すごーい! ガーゴが喋ったぁ!」
絵美は、まるで夢を見ているように飛び跳ねて喜ぶ。
「でも、一体どうやって?」
智美は信じられない思いでヌイグルミを見つめ、問いかける。
「彼女の魂の一部を、このヌイグルミに移したんですよ。命の一部を分け与えた感じですかね? あっ、自己紹介がまだでしたね! 私はエリサ・プロッサム、治療系魔法専門のヒーラーす。こちらはネイア・ペンティス、軍で看護長を務めています」
栗色の髪の女性……エリサは、航太達に歩み寄ろうとしていた。
が……黒髪の女性ネイアは、不審感を払拭できず疑惑の目を航太達に向けている。
「ネイアと申します。先ほどは危険なところを救っていただき、ありがとうございました。私たちは、ベルヘイム軍に従軍しております。軍属である以上、失礼だとは思いますが正体不明な方々と馴れ合う訳にはいきません。人とヨトゥンが戦っているのは子供でも知っている常識……そもそも、ヨトゥンの存在すら理解していないようでしたね。あなた方、本当に一体何者ですか?」
その冷静で鋭いネイアの問いに、和やかだった空気が一瞬で凍りつく。
固まる3人を横目に、エリサが笑顔でガーゴを捕まえる。
「ネイアさん、今は仕事中でもないんですし、命の恩人達に詮索するのはやめましょうよ。
私たちを助けるために、ヨトゥン兵と戦ってくれた……それだけで十分じゃないですか?」
エリサはまるで天使のように優しくガーゴの頭を撫で、場の緊張を解きほぐす。
しかしアヒルのヌイグルミだけは、その空気を読まずエリサの腕の中で暴れて続ける。
「何するでしゅか~。離すでしゅ~」
騒ぎ続けるガーゴに視線が注がれ、智美がついに笑みをこぼす。
「ごめんなさい……私たちも色々あって、緊張していたからパニックになってしまって……戦争中で急に世間知らずの人が現れたら、警戒するのは当然ですね。でも、どうしたら信じてもらえるかな?」
智美は航太に目配せし、助けを求める。
その視線に気づいた航太は深い溜息をついてから、自己紹介と共にこれまでの経緯を話し始めた。
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「こちらこそ、ごめんなさいね。エリサの言う通り……助けてもらっておいて、失礼な物言いでした。確かに、神剣を守る為に外の世界と断絶した村があってもおかしくないでしょう。4つもの神剣が揃っている事も、理解が出来ます」
「いや、実はもう1つある。さっきから話に出ている義理の弟が持ってるんだ。合流したら紹介するよ」
ネイアの疑惑が晴れた事を確認し、航太は安心した。
「ところで……魂の一部を使ったって、絵美の体は大丈夫なんですか?」
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「大丈夫ですよ。魂と命の情報を移動しただけですから、体には害はありません。絵美さんの記憶も移動してますので、あなた方のことも理解してると思いますよ」
エリサは笑顔で、絵美とガーゴのやり取りを眺める。
「しかし絵美が2人か……これから騒がしくなりそうだな……」
航太が、この日何度目かの溜息をついた。
「あー! 航ちゃん、今私のこと馬鹿にしたなぁ~」
「馬鹿にしたでしゅ~。航太のくせに馬鹿にしたでしゅ~。ムカつくでしゅ~」
絵美とガーゴのダブル攻撃に、航太もついに沈黙した……
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