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神話の世界へ
冒険の始まり6
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ふと気づいたその時、風が海から吹きつけてきた。
航太がその冷たい風を感じていると、遠くから誰かが自分を呼ぶ声が聞こえた。
「航兄! 動くなって言ったでしょ! 探すの大変だったんだから!」
その声の主、駆け寄ってきたのは一真だった。
かなり辺りを探し回ったのか息を切らし、その顔には疲労感が伺える。
一真と合流できた事に絵美は驚き、目を見開いてネイアに視線を向ける。
「凄い! カズちゃん、本当に来た! ネイアさん、まるで魔法使いだね!」
(いや……多分、本当に魔法使いだろ……てか、まずは一真の心配しろよ……)
航太は心の中でつっこみつつ、まだ呼吸が整っていない一真に声をかける。
「悪い……一真を探そうと思った時に、女性の悲鳴が聞こえたんだよ。で、助けてたんだ。一真にナンチャラって魔法で場所を伝えたから、ここで待てばいいって言われて、色々と聞きながら待ってた訳だが……」
航太はこれまでの経緯を説明しつつ、一真をとネイアの目が合っている事が気になった。
「どうした、一真?」
「ん……いや、何でもない。人助けをしている人の手だなぁと思って。手の消毒をしなきゃいけないから、乾燥してボロボロになっちゃうんだ。それだけ、沢山の人を救っている証だなぁと思ってね」
一真の言葉で航太はネイアの手の平に視線を移すが、手荒れをしているかと言われると、そこまででは無い気がする。
「カズちゃん! 女性の手がボロボロとか、失礼だぞー」
「いえ、事実ですから……それに多くの人を救っていると言って頂けるのは、医療部隊の隊長としては誇らしい事です」
ネイアは一真に笑顔を向けると、軽くお辞儀した。
「ネイアさんは看護長なんだろ? 一真、軍の医療ってヤツも勉強してみたらどうだ? まぁ、軍の部隊に簡単に入れる訳ねぇーと思うが……」
冗談半分で言った航太だったが、予想に反してネイアは満更でもない顔をしている。
「ネイアさんや軍の人達が許可してくれるなら、勉強してみたいけど……航兄の言う通り、そんな簡単にはいかないよ」
そう言う一真は、何故か左腕を押さえていたた。
見れば一真の左腕から血が流れ、走って来た方角の砂浜に赤い点々が続いている。
「カズちゃん、どうしたの! その傷!」
智美が鋭く気付き、声を上擦らせた。
「大変でしゅ~。血が出てるでしゅよ~。プシュー」
ガーゴが騒ぎ出す。
「何? このアヒル……の、ヌイグルミ?」
傷の痛みを忘れた一真は、動くヌイグルミのガーゴを見て目を丸くした。
「最初は、皆んなそういう反応になるよな……エリサさん、一真の腕治せます?」
航太が尋ねると、エリサはコクリと頷いて一真の腕を取った。
「直ぐに終わります……動かさないで下さいね」
エリサはそう言って、一真の傷に手をあてた。
すると手から淡い光が溢れ出し、一真の傷は一瞬で塞がった。
「ありがとうございます。血が流れてたから、助かりました」
血が止まった事を確認した一真は、治った左腕を振って見せる。
「魔法って……凄いですね!」
智美は、目を輝かせながら言う。
「そんな……結構深い傷に見えたのに、一瞬で治るなんて……」
智美の声も聞こえないぐらい驚いたエリサは、呟きながらネイアを見る。
ネイアは小さく首を横に振ると、それ以上詮索するなとエリサに目で訴えている。
「エリサさん?」
「いえ、その……そうだ、魔法も万能じゃないんですよ! 無から有を作り出すことはできないんですよ。例えば火の魔法を使うなら、火種や火を起こす何かが必要なんです。高位の魔法使いや、特殊なアイテムを持っていれば別ですが……」
エリサは驚きを表に出さない様にしながら、ネイアに助けを求める。
「その点、Myth Knightの皆さんは神器の力を引き出して、無から有を作り出すことができます。本当に、神に選ばれた英雄ですわ」
ネイアの口調から、彼女がMyth Knightを心から尊敬していることが伝わった。
「一真さんも、神器を使えるんですか?」
エリサが一真の顔を覗き込みながら、訪ねた。
一瞬で傷が治った秘密のヒントを、一真の表情から少しでも得ようとしたのかもしれない。
「俺は……違うよ。そんな力があれば、怪我なんかしないさ。ただの看護師……医療現場で働く事を目指しているヒヨッコだよ」
一真は笑いながも、可愛い女性の顔を近くに感じて、顔を赤くしながら首を振って否定した。
「おっ、カズちゃんはエリサさんがお気に入りですかぁ~。なになに、お姉さんが相談に乗るぞー」
絵美の言葉で一真の顔が近くにある事に気付き、今度はエリサが顔を赤くして離れる。
「何やってんだか……ところで、お2人さんはこんな海辺で何してたんだ? よく分かんねぇが、こんな暗い場所で女性2人だけってのは危なかねぇか? 現に、ヨトゥンってのに襲われた訳だし……」
航太は、エリサとネイアに尋ねた。
「いえ……確かに、その通りなんですけど……ここは、もうヨトゥンの領土みたいなモノだし……」
「まぁまぁ、航兄。皆んな助かったんだし、いいじゃないか。軍の命令で来てるなら言えない事もあるかもしれないし、詮索しなくても……」
言い淀むネイアを気遣い、一真が助け舟を出した。
「いや、理由ぐらい尋ねてもいいだろ? オレらも散々聞かれたし、怪しまれたりもしたんだからな!」
航太が声を荒げた瞬間、ガーゴが何故かトイレのスリッパを持って航太の頭を思いっきり引っ叩いた。
「痛ぇ!」
「痛ぇ! でしゅって~。デリカシーのない男は嫌われましゅよ~。あ、もう嫌われてたでしゅか? そうでしゅか、そうでしゅか~」
後頭部を押さえて震える航太に、ガーゴが追い打ちをかける。
「アヒル野郎……いい度胸だな! 覚醒したMyth Knightの力、見せてやんよ!」
「最近覚えた言葉をソッコー使うと、頭悪そうにみえましゅよ~。あ、もう悪かったでしゅね! ごめんでしゅ~」
話そっちのけで、怒りに染まった航太とガーゴの追いかけっこが始まる。
「ナイス! ガーゴ!」
絵美がガッツポーズでガーゴの応援を開始し、智美はネイアに向けてウィンクする。
「2人とも、ごめんなさい。航兄は、あれで結構頼りにもなるし、頭も悪くはないんだ。ただ、状況に流されやすいと言うか……」
一真はそう言うと、近くに落ちてたバケツを拾いエリサに差し出す。
「えっ? ああ……ありがとうございます! 一真さん」
一真の考えを理解して、エリサは感謝しながらバケツを受け取った。
「くっそー、あのアヒル野郎……逃げ足だけはクソ早ぇ! そうだ、こんな真夜中に海辺で何をしてたんだ? って話をしてたんだった」
空気の読まない頭の良さを発揮した航太は、直前までの話題を思い出していた。
「患者さんの傷を洗ったり、水を運ぶために来たんです。最近の戦闘で怪我をした人が沢山いて……気が動転して、忘れてしまっていました」
自分の仕事を思い出したフリをしたエリサは、バケツに水を汲もうとした。
「海水でやるのか? 傷を洗うなら、綺麗な水でやるだろ? それに、力仕事は男の仕事だろ? なんで女性が、重い水を運ぶんだ?」
航太は疑問を口にするが、その言葉にネイアは怪訝な顔をする。
「水を運んだり、傷の手当てをするのは女性の仕事です。それに、海水というのは何ですか? 湖から汲む水も、川から汲む水も変わらないですけど」
「戦争中は男性が命を賭けて戦うから、私たちも出来る事を頑張らなきゃいけないんです。航太さんは、優しいんですね。重い物を運ぶのは男性って、なかなか言ってくれないですよ。それに、治療で使う水は魔法で綺麗にするんです。なので、どこの水でも関係ないんですよ」
ネイアの少し棘のある言葉を聞いて、エリサは慌てて柔らかい言葉で話を引き継いだ。
「そうなんですね! 私たちの住んでいた地域では大きな湖を海って呼んでいて、その水には塩が混じっているの。そのまま使うには適してなくて、濾過したりする事が一般的だったから……」
航太が喋るとややこしくなる……そう感じた智美が、急いで取り繕う。
「じゃあ、俺が手伝うよ。航兄達みたいに戦う力もないし、こんな事くらいしか手伝えないからね!」
一真はエリサのバケツを奪うように受け取ると、その中に水を満タンまで入れる。
「ありがとう……ございます」
呆気にとられるエリサを横目に、ネイアは踵を返す。
「では皆さん、我々の夜営地に案内しますね! 今夜、泊まる場所も無いのでしょう?」
そう言うと、ネイアが先頭に立って歩き出した。
「みーちゃん! 行くよ! 今晩の寝床を用意してくれるって!」
智美が、まだじゃれ合っている絵美とガーゴに声をかける。
「わーい! 野宿回避! ラッキーだったね!」
「お風呂に入るでしゅ~。砂で汚れたから、お風呂で洗い流すでしゅよ~」
「てめーは付いてくんな! うっとうしぃ!」
やれやれ、騒がしい旅になりそうだ……
航太がその冷たい風を感じていると、遠くから誰かが自分を呼ぶ声が聞こえた。
「航兄! 動くなって言ったでしょ! 探すの大変だったんだから!」
その声の主、駆け寄ってきたのは一真だった。
かなり辺りを探し回ったのか息を切らし、その顔には疲労感が伺える。
一真と合流できた事に絵美は驚き、目を見開いてネイアに視線を向ける。
「凄い! カズちゃん、本当に来た! ネイアさん、まるで魔法使いだね!」
(いや……多分、本当に魔法使いだろ……てか、まずは一真の心配しろよ……)
航太は心の中でつっこみつつ、まだ呼吸が整っていない一真に声をかける。
「悪い……一真を探そうと思った時に、女性の悲鳴が聞こえたんだよ。で、助けてたんだ。一真にナンチャラって魔法で場所を伝えたから、ここで待てばいいって言われて、色々と聞きながら待ってた訳だが……」
航太はこれまでの経緯を説明しつつ、一真をとネイアの目が合っている事が気になった。
「どうした、一真?」
「ん……いや、何でもない。人助けをしている人の手だなぁと思って。手の消毒をしなきゃいけないから、乾燥してボロボロになっちゃうんだ。それだけ、沢山の人を救っている証だなぁと思ってね」
一真の言葉で航太はネイアの手の平に視線を移すが、手荒れをしているかと言われると、そこまででは無い気がする。
「カズちゃん! 女性の手がボロボロとか、失礼だぞー」
「いえ、事実ですから……それに多くの人を救っていると言って頂けるのは、医療部隊の隊長としては誇らしい事です」
ネイアは一真に笑顔を向けると、軽くお辞儀した。
「ネイアさんは看護長なんだろ? 一真、軍の医療ってヤツも勉強してみたらどうだ? まぁ、軍の部隊に簡単に入れる訳ねぇーと思うが……」
冗談半分で言った航太だったが、予想に反してネイアは満更でもない顔をしている。
「ネイアさんや軍の人達が許可してくれるなら、勉強してみたいけど……航兄の言う通り、そんな簡単にはいかないよ」
そう言う一真は、何故か左腕を押さえていたた。
見れば一真の左腕から血が流れ、走って来た方角の砂浜に赤い点々が続いている。
「カズちゃん、どうしたの! その傷!」
智美が鋭く気付き、声を上擦らせた。
「大変でしゅ~。血が出てるでしゅよ~。プシュー」
ガーゴが騒ぎ出す。
「何? このアヒル……の、ヌイグルミ?」
傷の痛みを忘れた一真は、動くヌイグルミのガーゴを見て目を丸くした。
「最初は、皆んなそういう反応になるよな……エリサさん、一真の腕治せます?」
航太が尋ねると、エリサはコクリと頷いて一真の腕を取った。
「直ぐに終わります……動かさないで下さいね」
エリサはそう言って、一真の傷に手をあてた。
すると手から淡い光が溢れ出し、一真の傷は一瞬で塞がった。
「ありがとうございます。血が流れてたから、助かりました」
血が止まった事を確認した一真は、治った左腕を振って見せる。
「魔法って……凄いですね!」
智美は、目を輝かせながら言う。
「そんな……結構深い傷に見えたのに、一瞬で治るなんて……」
智美の声も聞こえないぐらい驚いたエリサは、呟きながらネイアを見る。
ネイアは小さく首を横に振ると、それ以上詮索するなとエリサに目で訴えている。
「エリサさん?」
「いえ、その……そうだ、魔法も万能じゃないんですよ! 無から有を作り出すことはできないんですよ。例えば火の魔法を使うなら、火種や火を起こす何かが必要なんです。高位の魔法使いや、特殊なアイテムを持っていれば別ですが……」
エリサは驚きを表に出さない様にしながら、ネイアに助けを求める。
「その点、Myth Knightの皆さんは神器の力を引き出して、無から有を作り出すことができます。本当に、神に選ばれた英雄ですわ」
ネイアの口調から、彼女がMyth Knightを心から尊敬していることが伝わった。
「一真さんも、神器を使えるんですか?」
エリサが一真の顔を覗き込みながら、訪ねた。
一瞬で傷が治った秘密のヒントを、一真の表情から少しでも得ようとしたのかもしれない。
「俺は……違うよ。そんな力があれば、怪我なんかしないさ。ただの看護師……医療現場で働く事を目指しているヒヨッコだよ」
一真は笑いながも、可愛い女性の顔を近くに感じて、顔を赤くしながら首を振って否定した。
「おっ、カズちゃんはエリサさんがお気に入りですかぁ~。なになに、お姉さんが相談に乗るぞー」
絵美の言葉で一真の顔が近くにある事に気付き、今度はエリサが顔を赤くして離れる。
「何やってんだか……ところで、お2人さんはこんな海辺で何してたんだ? よく分かんねぇが、こんな暗い場所で女性2人だけってのは危なかねぇか? 現に、ヨトゥンってのに襲われた訳だし……」
航太は、エリサとネイアに尋ねた。
「いえ……確かに、その通りなんですけど……ここは、もうヨトゥンの領土みたいなモノだし……」
「まぁまぁ、航兄。皆んな助かったんだし、いいじゃないか。軍の命令で来てるなら言えない事もあるかもしれないし、詮索しなくても……」
言い淀むネイアを気遣い、一真が助け舟を出した。
「いや、理由ぐらい尋ねてもいいだろ? オレらも散々聞かれたし、怪しまれたりもしたんだからな!」
航太が声を荒げた瞬間、ガーゴが何故かトイレのスリッパを持って航太の頭を思いっきり引っ叩いた。
「痛ぇ!」
「痛ぇ! でしゅって~。デリカシーのない男は嫌われましゅよ~。あ、もう嫌われてたでしゅか? そうでしゅか、そうでしゅか~」
後頭部を押さえて震える航太に、ガーゴが追い打ちをかける。
「アヒル野郎……いい度胸だな! 覚醒したMyth Knightの力、見せてやんよ!」
「最近覚えた言葉をソッコー使うと、頭悪そうにみえましゅよ~。あ、もう悪かったでしゅね! ごめんでしゅ~」
話そっちのけで、怒りに染まった航太とガーゴの追いかけっこが始まる。
「ナイス! ガーゴ!」
絵美がガッツポーズでガーゴの応援を開始し、智美はネイアに向けてウィンクする。
「2人とも、ごめんなさい。航兄は、あれで結構頼りにもなるし、頭も悪くはないんだ。ただ、状況に流されやすいと言うか……」
一真はそう言うと、近くに落ちてたバケツを拾いエリサに差し出す。
「えっ? ああ……ありがとうございます! 一真さん」
一真の考えを理解して、エリサは感謝しながらバケツを受け取った。
「くっそー、あのアヒル野郎……逃げ足だけはクソ早ぇ! そうだ、こんな真夜中に海辺で何をしてたんだ? って話をしてたんだった」
空気の読まない頭の良さを発揮した航太は、直前までの話題を思い出していた。
「患者さんの傷を洗ったり、水を運ぶために来たんです。最近の戦闘で怪我をした人が沢山いて……気が動転して、忘れてしまっていました」
自分の仕事を思い出したフリをしたエリサは、バケツに水を汲もうとした。
「海水でやるのか? 傷を洗うなら、綺麗な水でやるだろ? それに、力仕事は男の仕事だろ? なんで女性が、重い水を運ぶんだ?」
航太は疑問を口にするが、その言葉にネイアは怪訝な顔をする。
「水を運んだり、傷の手当てをするのは女性の仕事です。それに、海水というのは何ですか? 湖から汲む水も、川から汲む水も変わらないですけど」
「戦争中は男性が命を賭けて戦うから、私たちも出来る事を頑張らなきゃいけないんです。航太さんは、優しいんですね。重い物を運ぶのは男性って、なかなか言ってくれないですよ。それに、治療で使う水は魔法で綺麗にするんです。なので、どこの水でも関係ないんですよ」
ネイアの少し棘のある言葉を聞いて、エリサは慌てて柔らかい言葉で話を引き継いだ。
「そうなんですね! 私たちの住んでいた地域では大きな湖を海って呼んでいて、その水には塩が混じっているの。そのまま使うには適してなくて、濾過したりする事が一般的だったから……」
航太が喋るとややこしくなる……そう感じた智美が、急いで取り繕う。
「じゃあ、俺が手伝うよ。航兄達みたいに戦う力もないし、こんな事くらいしか手伝えないからね!」
一真はエリサのバケツを奪うように受け取ると、その中に水を満タンまで入れる。
「ありがとう……ございます」
呆気にとられるエリサを横目に、ネイアは踵を返す。
「では皆さん、我々の夜営地に案内しますね! 今夜、泊まる場所も無いのでしょう?」
そう言うと、ネイアが先頭に立って歩き出した。
「みーちゃん! 行くよ! 今晩の寝床を用意してくれるって!」
智美が、まだじゃれ合っている絵美とガーゴに声をかける。
「わーい! 野宿回避! ラッキーだったね!」
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