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2人のフィアナ騎士
運命の交響曲2
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ベルヘイムに帰ったゼークは、フィアナ騎士団の輝きに取り憑かれたようにその歴史を調べ始めた。
アルスター王国は、コナハト、ムスペルヘイム、ベルヘイムの3国と国境を接する戦乱の要衝である。
ヨトゥン軍に蹂躙されたコナハトとムスペルヘイムとの国境では、血と炎が絶えることはなかった。
だがアルスター王国がその猛攻を耐え続けていられるのは、フィアナ騎士団の不屈の剣があったからに他ならない。
フィアナ騎士団は、伝説になっている7国の騎士に次ぐ名誉を誇り、民衆の希望の星である。
彼らの鎧は戦場で輝き、その剣は正義の光を放つと謳われた。
特にフェルグス・マクロイヒは、気品と剣技において騎士団の頂点に君臨している。
更に、アルスターの王子としての高貴な血を引いていた。
彼の微笑みは戦場の闇を払い、その剣は敵を打ち砕く希望の刃である。
ゼークはフィアナ騎士団の過去の物語を読み進めるうち、幼い自分にも騎士の礼を尽くしてくれたフェルグスの姿を思い出した。
彼の温かな眼差し、穏やかな声。
それはゼークの心に小さな炎を灯し、いつしか淡い恋心へと変わっていった。
それ以来……父がアルスター王を訪れるたびに、ゼークは目を輝かせて同行した。
フェルグスから剣を学ぶ時間は、彼女にとって世界の全てだった。
彼の剣技は流れる水のように優雅で、教えは星の光のように心を照らした。
アルスター王国への旅は、ゼークにとっては夢の舞台への巡礼となっていた。
それと同時に、ゼークの心を強く揺さぶったのはフェルグスとアルパスターの絆だった。
実戦形式の訓練を終えるたび、2人は拳を合わせ誓い合っていた。
何があっても、俺たちは戦場で敵として剣を交えない。
お互いを縛る鎖があるならば、それを断ち斬る刃を振おう……と。
その言葉には戦火の中で育まれた揺るぎない信頼と、互いを命より大切に思う覚悟が込められていると感じた。
ゼークは、その絆に深い羨望を抱いた。
私も、心から尊敬し合える友が欲しい。
いづれ、そんな仲間や友に出会えるのかな……
ゼークの小さな胸に、その願いは心の中で星のように輝き始めていた……
--------
だがアルスター王国の輝きは、内部から崩れようとしていた。
当時の国王、コンフォバル・マクロイヒは、贅沢と享楽に溺れていた。
フィアナ騎士団の剣が国境を守る一方で、王都では豪華な宴が毎夜のように続き、金銀の装飾品が山のように積まれた。
国境の民はヨトゥン軍の襲撃で家を焼き、畑を失いながらも、騎士団を支える重税に喘いでいた。
だが、コンフォバル王はその苦しみを顧みることはなかったのだ。
ベルヘイム王は何度も自らアルスターを訪れ、コンフォバル王に民の窮状を訴える。
しかし……その言葉はコンフォバル王の耳に届かず、虚しく風に散っていく。
国境の民の不満は抑えきれぬ炎となって燃え上がり、王都へと迫っていた。
この時、ムスペルヘイム側からアルスター王国を攻めていたのは、ヨトゥン軍の将ロキだった。
ロキは冷酷なクロウ・クルワッハとは違い、占領した民を手厚く保護した。
そして土地をも豊かに耕し、民に安定と繁栄をもたらしていく。
耳当たりの良い噂は、広がるのが早いモノだ……アルスター国境の民の間では、ひそかな囁きが広がり始めていた。
ロキにこの地を委ねれば、我々は救われるのではないか?
無能な王の元で、その王の為に死んでいくのは耐えられない。
そんな声は、やがてフィアナ騎士であり王子であるフェルグスへと向けられていく。
その日……防衛の為に駐屯していたフィアナ騎士の屯所に、民衆は押しかけた。
民衆はフェルグスを取り囲み、叫ぶ。
「フェルグス様! このままでは、我々は滅びを待つだけだ! 家は焼かれ、畑は荒らされ……それでも騎士団を支える為の税を、必死に納めてきた。戦争だから……我々を守ってくれている騎士の為だからと我慢してきたが、その金が王の遊興に消えているんだ!」
「ヨトゥンの……ロキの占領した土地は、豊かで飢えも無いと聞きます! 王の元で生きるより、ロキの元で生きた方がマシです! 私達にとっては、生活さえ保証してくれるなら支配者が人でもヨトゥンでも関係ありません!」
フェルグスは民衆の絶望を聞き、胸を引き裂かれる思いだった。
フェルグスは直ぐに王都に戻り、父であるコンフォバル王に直訴した。
「民が離れれば、国は国にあらず! 父上、民衆の声を聞いてください! 我々が守らなければいけないアルスターの国民の心が、今にも崩壊しそうになっているんですよ!」
必死に訴えるフェルグスに、コンフォバル王は冷たく言い放つ。
「騎士団が、命をかけて守ってやっているんだぞ? その恩も忘れて、逃げたいと言うなら行かせてやれば良い。ヨトゥン共に使役されて、その時に後悔すればいいのだ。無能な人間の相手をしている程、我々は暇ではない。お前も、いずれ上に立つ人間だ。腐ったモノを早々に切る覚悟を、今から身に付けておけ!」
無能な人間など、この世に存在しない。
1つの分野で劣っていても、他の分野では天才かもしれない。
自分達の都合に合わせられない人間を無能だと切って、それで良いのか?
フェルグスの心は、強く揺れていく。
騎士としての忠義と、民衆への愛。
父への敬意と、国への責任。
その間で、フェルグスはフィアナ騎士として……人としての決断を、重く感じていた。
フェルグスが決断できないまま、ついに民の不満は爆発した。
アルスター王国の地に、革命の嵐が吹き荒れる……
ゼークが知らぬ間に、憧れの星たちは運命の岐路に立たされていた……
アルスター王国は、コナハト、ムスペルヘイム、ベルヘイムの3国と国境を接する戦乱の要衝である。
ヨトゥン軍に蹂躙されたコナハトとムスペルヘイムとの国境では、血と炎が絶えることはなかった。
だがアルスター王国がその猛攻を耐え続けていられるのは、フィアナ騎士団の不屈の剣があったからに他ならない。
フィアナ騎士団は、伝説になっている7国の騎士に次ぐ名誉を誇り、民衆の希望の星である。
彼らの鎧は戦場で輝き、その剣は正義の光を放つと謳われた。
特にフェルグス・マクロイヒは、気品と剣技において騎士団の頂点に君臨している。
更に、アルスターの王子としての高貴な血を引いていた。
彼の微笑みは戦場の闇を払い、その剣は敵を打ち砕く希望の刃である。
ゼークはフィアナ騎士団の過去の物語を読み進めるうち、幼い自分にも騎士の礼を尽くしてくれたフェルグスの姿を思い出した。
彼の温かな眼差し、穏やかな声。
それはゼークの心に小さな炎を灯し、いつしか淡い恋心へと変わっていった。
それ以来……父がアルスター王を訪れるたびに、ゼークは目を輝かせて同行した。
フェルグスから剣を学ぶ時間は、彼女にとって世界の全てだった。
彼の剣技は流れる水のように優雅で、教えは星の光のように心を照らした。
アルスター王国への旅は、ゼークにとっては夢の舞台への巡礼となっていた。
それと同時に、ゼークの心を強く揺さぶったのはフェルグスとアルパスターの絆だった。
実戦形式の訓練を終えるたび、2人は拳を合わせ誓い合っていた。
何があっても、俺たちは戦場で敵として剣を交えない。
お互いを縛る鎖があるならば、それを断ち斬る刃を振おう……と。
その言葉には戦火の中で育まれた揺るぎない信頼と、互いを命より大切に思う覚悟が込められていると感じた。
ゼークは、その絆に深い羨望を抱いた。
私も、心から尊敬し合える友が欲しい。
いづれ、そんな仲間や友に出会えるのかな……
ゼークの小さな胸に、その願いは心の中で星のように輝き始めていた……
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だがアルスター王国の輝きは、内部から崩れようとしていた。
当時の国王、コンフォバル・マクロイヒは、贅沢と享楽に溺れていた。
フィアナ騎士団の剣が国境を守る一方で、王都では豪華な宴が毎夜のように続き、金銀の装飾品が山のように積まれた。
国境の民はヨトゥン軍の襲撃で家を焼き、畑を失いながらも、騎士団を支える重税に喘いでいた。
だが、コンフォバル王はその苦しみを顧みることはなかったのだ。
ベルヘイム王は何度も自らアルスターを訪れ、コンフォバル王に民の窮状を訴える。
しかし……その言葉はコンフォバル王の耳に届かず、虚しく風に散っていく。
国境の民の不満は抑えきれぬ炎となって燃え上がり、王都へと迫っていた。
この時、ムスペルヘイム側からアルスター王国を攻めていたのは、ヨトゥン軍の将ロキだった。
ロキは冷酷なクロウ・クルワッハとは違い、占領した民を手厚く保護した。
そして土地をも豊かに耕し、民に安定と繁栄をもたらしていく。
耳当たりの良い噂は、広がるのが早いモノだ……アルスター国境の民の間では、ひそかな囁きが広がり始めていた。
ロキにこの地を委ねれば、我々は救われるのではないか?
無能な王の元で、その王の為に死んでいくのは耐えられない。
そんな声は、やがてフィアナ騎士であり王子であるフェルグスへと向けられていく。
その日……防衛の為に駐屯していたフィアナ騎士の屯所に、民衆は押しかけた。
民衆はフェルグスを取り囲み、叫ぶ。
「フェルグス様! このままでは、我々は滅びを待つだけだ! 家は焼かれ、畑は荒らされ……それでも騎士団を支える為の税を、必死に納めてきた。戦争だから……我々を守ってくれている騎士の為だからと我慢してきたが、その金が王の遊興に消えているんだ!」
「ヨトゥンの……ロキの占領した土地は、豊かで飢えも無いと聞きます! 王の元で生きるより、ロキの元で生きた方がマシです! 私達にとっては、生活さえ保証してくれるなら支配者が人でもヨトゥンでも関係ありません!」
フェルグスは民衆の絶望を聞き、胸を引き裂かれる思いだった。
フェルグスは直ぐに王都に戻り、父であるコンフォバル王に直訴した。
「民が離れれば、国は国にあらず! 父上、民衆の声を聞いてください! 我々が守らなければいけないアルスターの国民の心が、今にも崩壊しそうになっているんですよ!」
必死に訴えるフェルグスに、コンフォバル王は冷たく言い放つ。
「騎士団が、命をかけて守ってやっているんだぞ? その恩も忘れて、逃げたいと言うなら行かせてやれば良い。ヨトゥン共に使役されて、その時に後悔すればいいのだ。無能な人間の相手をしている程、我々は暇ではない。お前も、いずれ上に立つ人間だ。腐ったモノを早々に切る覚悟を、今から身に付けておけ!」
無能な人間など、この世に存在しない。
1つの分野で劣っていても、他の分野では天才かもしれない。
自分達の都合に合わせられない人間を無能だと切って、それで良いのか?
フェルグスの心は、強く揺れていく。
騎士としての忠義と、民衆への愛。
父への敬意と、国への責任。
その間で、フェルグスはフィアナ騎士として……人としての決断を、重く感じていた。
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