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1章
10.貴様の泣き顔は、人を狂わせる毒花のようだな *
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メタルウルフから逃れられたところで、再び森の奥へと進む。リオンとクライドの背中を追いかけながら歩いているんだけど……どうにも身体がおかしい。
最初は舌が痺れるような感覚だけだったが、次第に身体が火照ってきた。心臓もドクドクと激しく暴れまわっている。少し歩いただけでも息があがってしまった。
「兄さん、どうしたの? 早くおいで」
僕の進みが遅いことを気にして、リオンが怪訝そうな顔で振り返る。そこで慌てて笑顔を取り繕った。
「すぐ、いく」
早足で二人に近付いて、平静を装った。
本来であれば、身体の異変を報告した方が良いのだろうけど、今の状況を説明するのは躊躇いがあった。その理由はズボンの中にある。
――なんでこんなに反応しているんだよっ!
動悸、息切れ、発熱だけならまだいい。その諸症状に加えて、下半身がいまだかつてないほどに疼いていた。
痛いほどに昂っていて、歩くことすら辛い。下着の布地に擦れるだけで、甘い声が漏れそうだった。
こんな状態になっているなんて、リオンには知られたくない。しばらく我慢すれば落ち着くだろうと信じながら、歩みを進めた。
ほどなくして、木々の隙間からエメラルドグリーンの水面が見えてきた。癒しの泉に辿り着いたようだ。
「ルゥの魔力を感じる」
クライドは幼竜の気配に気付いたようで、泉に向かって走り出す。その背中をリオンも追いかけた。
僕も追いかけようとしたが、足が重くて走れない。その場で立ち尽くしていると、泉の方向から幼竜の鳴き声が聞こえた。
「きゅう~!」
どうやら無事に救出できたようだ。良かった。幼竜の救出イベントは成功だ。
ゲームのシナリオ通りなら、幼竜は片足に怪我を負っているはず。それをリオンの光魔法で治癒させることで、クライドの信頼を勝ち取るのだ。
クライドの好感度をあげるという目的も無事に達成できそうだ。ほっと安堵して気が緩んだ直後、ぐにゃりと視界が歪んだ。
「……あれ?」
目の前がぐらぐらする。立っていることすらできそうもない。よろけて地面に倒れそうになったその時、ふわりと誰かに身体を支えられた。
「まったく……。どうしてこうも厄介ごとに首を突っ込むのか……」
固い胸板に額を埋める。ゆっくりと顔を上げると、赤い瞳がじっとこちらを見下ろしていた。
ダミアンだ。どうしてここに? 口を開いたが、上手く言葉が出てこない。
「貴様の行動はお見通しだ。その首輪をつけている限り、悪さはできないと言っただろう?」
ああ、そうか。僕の行動は、ダミアンに監視されているんだった。
四六時中、僕の行動を監視しているなんて、この人は暇なのか?
「暇なわけあるか。雑務を片付けている最中に、気まぐれで貴様の様子を見ただけだ。そうしたら、沈黙の森でメタルウルフに襲われていたから、急いで魔力を解放したんだ」
なるほど。偶然僕の様子を見たら、絶体絶命の危機に瀕していたというわけか。
というか、声を出さなくても会話ができているな……。ああ、そうか。ダミアンは心の中も読めるのか。
「そういうことだ。ちなみにここへは転移魔法で来た。その様子だと、森の外まで歩けそうにないだろうから、このまま綺石の館に転移させるぞ」
ああ、それはどうも、ご親切に。よろしくお願いします。
心の中で礼を言うと、ダミアンは眉間に深くシワを刻みながら舌打ちをした。
* * *
綺石の館に転移すると、革張りのソファの上に寝かされる。
身体は依然として熱い。先ほどより下半身の疼きも強くなった。
「貴様が口にしたのは、催淫効果のあるイチルの実だ。そのせいで身体が発情状態に陥っているのだろう」
もしかして、逃げている最中に口に入った、赤くて苦い実のことか? そのせいで僕の身体はおかしくなっていたのか。
納得していると、ダミアンは不機嫌そうに戸棚を漁る。
「解毒薬を作る材料がないな……。たしかうちの寮に魔法薬に詳しい奴がいたな。そいつを呼ぶか」
フレッドのことか? たしかに薬師のフレッドなら、解毒薬を調合する材料を持っていそうだ。
とはいえ、解毒薬の調合なんてすぐに出来るのだろうか? いくら天才薬師だからって、一瞬で魔法薬が作れるわけでもあるまい。完成まで数時間は要するだろう。
それならいっそ、自分の手で処理してしまいたい。
「あの……。ほんの少しだけ、ひとりにしていただけませんか?」
震える声を絞り出して、どうにか懇願する。ダミアンはギロリとこちらを睨みつけた。
「駄目だ。ここには機密文書がある。貴様のような部外者を、ひとりにさせるわけにはいかない」
それは分かるけど、こっちにだって事情があるんだ。ダミアンがいたら、処理できるものもできない。分かるだろ? 同じ男なら。
「自己処理をしたいなら、寮に転移させてやる。解毒薬を使わないのなら、一晩は苦しむ羽目になるだろうがな」
寮の部屋に転移してもらったら、処理はできる。さっそくお願いをしようと思ったものの、すぐに問題に気付いてしまった。
部屋にはリオンもいる。今は森を抜けている頃だろうけど、じきに部屋に戻ってくるだろう。
こんな姿、リオンにだけは見られたくない。僕にだって、兄としてのプライドがあるんだ。
「弟には見られたくないか。その気持ちは分からんでもないが……」
ダミアンは、こんな時まで僕の心を読んでくる。小馬鹿にするように笑っているのが憎たらしい。
こんなやりとりをしているうちにも、どんどん身体が熱を帯びていく。
ああ、もう、なんでもいいから、早く解放したい。もういっそ、ダミアンが楽にしてくれたらいいのに。
一瞬でもそんな考えが過ったことに、激しく後悔した。僕の気の迷いはダミアンにも伝わってしまった。小馬鹿にするように笑っていた顔が、すんっと真顔になる。
「……貴様、そんなふしだらなことを考えているのか?」
「あ、えっと……。いまのは間違いで……」
慌てて撤回する。たしかにそうしてくれたら身体は楽になるだろうけど、他人様にそんなことをお願いするわけにはいかない。
しかも相手は、鬼畜寮長だぞ? 冗談じゃない!
「……鬼畜寮長? 貴様は俺のことを、そのように呼んでいるのか?」
マズい。余計なことまでバレてしまった……。
鬼畜寮長っていうのは、僕が名付けたわけではなく、巷でそう呼ばれているだけで……。
「なるほど。生徒の間では、俺はそう呼ばれているのか」
いえ、その、巷っていうのは、そういう意味じゃなくて。もっと別の次元の話というか……。
ああ、ダメだ。考えれば考えるほど、ボロが出ていく。もう、無心になるしかないのか?
「快楽に支配されれば、余計なことを考えなくても済むんじゃないか?」
「えっ?」
いきなり何を言い出すんだ? 目を丸くしていると、ダミアンは青筋を立てながらこちらに迫ってくる。
「気が変わった」
ギラリと光る赤い瞳は、獲物を食らうおうとする獣のようだ。正直、さっきのメタルウルフより怖い。
もしかして、さっきの鬼畜寮長発言で、怒らせてしまった?
ダミアンは、ガーネットの指輪を外すと、そっとテーブルに置く。僕と視線を合わせると、やけに色気のある笑みを浮かべた。
「無断で沈黙の森に立ち入った罰だ。俺に弄ばれて、辱めを受けろ」
「そ、それって……」
「いま楽にしてやる」
呆気に取られているうちに、ダミアンが覆い被さってくる。かと思えば、僕のベルトに手をかけた。
「ほ……本気ですか?」
それってつまり、ダミアンに抜か……。いやいや、駄目だって! なんでそういう展開になるんだよ! 冗談じゃない!
頭では全力で拒絶しているのに、心のどこかでは期待している自分もいた。
ふと、ダミアンの指先に視線を向ける。あの長くて綺麗な指で弄ばれたら、さぞかし気持ち良さそうだ。欲望に呼応するように、下着の中ではじわりと蜜がこぼれた。
何考えてるんだ、僕は! こんなのは駄目なのに!
「やめて、ください……」
身を捩じらせて抵抗する。ダミアンの肩を押したものの、びくともしなかった。催淫作用のせいで、上手く力が入らない。
そうこうしているうちに、ズボンと下着を一気に脱がされて、張り詰めたものが露わになる。
「あぁ……見ないで……」
こんな状態のものを人前に晒すなんて……。涙目になりながら両手を覆い隠すと、ダミアンに手を掴まれた。
「隠していたら、触れないだろう」
「やだっ、やだっ」
これ以上視姦されないように抵抗していると、ダミアンに手首を掴まれてソファに押し付けられた。
「大人しくしていろ」
命令すると、ダミアンは自身のネクタイを片手で外して、僕の手首に器用に括りつける。両手の自由を奪われて、いよいよ隠すことができなくなってしまった。
最悪だ。新入生相手にこんな手荒な真似をするなんて。やっぱりダミアンは、鬼畜寮長だ。
「ああ、そうだな。貴様の言うように、俺には残忍な一面があるようだ。涙を浮かべながら抵抗している貴様を見ていると、ひどく気分がいい」
また、心を読まれた。もう嫌だ……。
涙を浮かべながら、キイッとダミアンを睨みつける。そんな抵抗も、彼を煽るだけだった。
「触るぞ」
断りを入れると、ダミアンの冷たい手が張りつめたものに触れた。
「……っ」
指先で軽く触れられただけで、のけぞってしまった。なんだこれ。気持ち良すぎる。
内腿がプルプルと小刻みに震える。今にも達してしまいそうな感覚に耐えていると、ダミアンは根元まで指先を滑らせた。
「ああっ……」
自分でもびっくりするほど、甘い声が漏れる。よがっていることがバレてしまって、羞恥心が高まった。
「楽になりたいんだろう? 与えられる感覚に身を委ねろ」
ダミアンが赤い瞳を光らせながら不敵に笑う。
この男、僕の反応を見て楽しんでいるな……。なんて性格の悪い! この男の思い通りにさせて堪るか!
内腿に力を入れて快楽を遠ざけようとしていると、長い指先で根元から先端まで一気に扱かれてしまった。
限界に近付いている状態で、その刺激は耐えられない。成すすべなく、暴発した。
「くうっ……う、う、うぅ……」
快楽の証がとめどなく溢れ出す。放たれた白濁は、革張りのソファに飛び散った。
寮長が集う厳粛な場所を、自らの欲で穢してしまった。その罪悪感すら、いまは快楽に変換されてしまう。思考回路がぐしゃぐしゃになって、涙がこぼれ落ちた。
「早いな」
滲んだ視界の先で、ダミアンが勝ち誇ったように笑う。憎たらしいはずなのに、その表情に興奮を煽られている自分がいた。
もう嫌だ。消えてしまいたい。
しゃくりあげながら泣いていると、ダミアンが僕の頬に手を添える。
「貴様の泣き顔は、人を狂わせる毒花のようだな」
この男は、どれだけ歪んでいるんだ……。涙目で睨みつけると、ダミアンは再び僕の下半身に手を伸ばした。
「一度では到底収まらないだろう? 特別に朝まで付き合ってやる」
その言葉を合図に、終わりの見えない快楽の渦に突き落とされた。
最初は舌が痺れるような感覚だけだったが、次第に身体が火照ってきた。心臓もドクドクと激しく暴れまわっている。少し歩いただけでも息があがってしまった。
「兄さん、どうしたの? 早くおいで」
僕の進みが遅いことを気にして、リオンが怪訝そうな顔で振り返る。そこで慌てて笑顔を取り繕った。
「すぐ、いく」
早足で二人に近付いて、平静を装った。
本来であれば、身体の異変を報告した方が良いのだろうけど、今の状況を説明するのは躊躇いがあった。その理由はズボンの中にある。
――なんでこんなに反応しているんだよっ!
動悸、息切れ、発熱だけならまだいい。その諸症状に加えて、下半身がいまだかつてないほどに疼いていた。
痛いほどに昂っていて、歩くことすら辛い。下着の布地に擦れるだけで、甘い声が漏れそうだった。
こんな状態になっているなんて、リオンには知られたくない。しばらく我慢すれば落ち着くだろうと信じながら、歩みを進めた。
ほどなくして、木々の隙間からエメラルドグリーンの水面が見えてきた。癒しの泉に辿り着いたようだ。
「ルゥの魔力を感じる」
クライドは幼竜の気配に気付いたようで、泉に向かって走り出す。その背中をリオンも追いかけた。
僕も追いかけようとしたが、足が重くて走れない。その場で立ち尽くしていると、泉の方向から幼竜の鳴き声が聞こえた。
「きゅう~!」
どうやら無事に救出できたようだ。良かった。幼竜の救出イベントは成功だ。
ゲームのシナリオ通りなら、幼竜は片足に怪我を負っているはず。それをリオンの光魔法で治癒させることで、クライドの信頼を勝ち取るのだ。
クライドの好感度をあげるという目的も無事に達成できそうだ。ほっと安堵して気が緩んだ直後、ぐにゃりと視界が歪んだ。
「……あれ?」
目の前がぐらぐらする。立っていることすらできそうもない。よろけて地面に倒れそうになったその時、ふわりと誰かに身体を支えられた。
「まったく……。どうしてこうも厄介ごとに首を突っ込むのか……」
固い胸板に額を埋める。ゆっくりと顔を上げると、赤い瞳がじっとこちらを見下ろしていた。
ダミアンだ。どうしてここに? 口を開いたが、上手く言葉が出てこない。
「貴様の行動はお見通しだ。その首輪をつけている限り、悪さはできないと言っただろう?」
ああ、そうか。僕の行動は、ダミアンに監視されているんだった。
四六時中、僕の行動を監視しているなんて、この人は暇なのか?
「暇なわけあるか。雑務を片付けている最中に、気まぐれで貴様の様子を見ただけだ。そうしたら、沈黙の森でメタルウルフに襲われていたから、急いで魔力を解放したんだ」
なるほど。偶然僕の様子を見たら、絶体絶命の危機に瀕していたというわけか。
というか、声を出さなくても会話ができているな……。ああ、そうか。ダミアンは心の中も読めるのか。
「そういうことだ。ちなみにここへは転移魔法で来た。その様子だと、森の外まで歩けそうにないだろうから、このまま綺石の館に転移させるぞ」
ああ、それはどうも、ご親切に。よろしくお願いします。
心の中で礼を言うと、ダミアンは眉間に深くシワを刻みながら舌打ちをした。
* * *
綺石の館に転移すると、革張りのソファの上に寝かされる。
身体は依然として熱い。先ほどより下半身の疼きも強くなった。
「貴様が口にしたのは、催淫効果のあるイチルの実だ。そのせいで身体が発情状態に陥っているのだろう」
もしかして、逃げている最中に口に入った、赤くて苦い実のことか? そのせいで僕の身体はおかしくなっていたのか。
納得していると、ダミアンは不機嫌そうに戸棚を漁る。
「解毒薬を作る材料がないな……。たしかうちの寮に魔法薬に詳しい奴がいたな。そいつを呼ぶか」
フレッドのことか? たしかに薬師のフレッドなら、解毒薬を調合する材料を持っていそうだ。
とはいえ、解毒薬の調合なんてすぐに出来るのだろうか? いくら天才薬師だからって、一瞬で魔法薬が作れるわけでもあるまい。完成まで数時間は要するだろう。
それならいっそ、自分の手で処理してしまいたい。
「あの……。ほんの少しだけ、ひとりにしていただけませんか?」
震える声を絞り出して、どうにか懇願する。ダミアンはギロリとこちらを睨みつけた。
「駄目だ。ここには機密文書がある。貴様のような部外者を、ひとりにさせるわけにはいかない」
それは分かるけど、こっちにだって事情があるんだ。ダミアンがいたら、処理できるものもできない。分かるだろ? 同じ男なら。
「自己処理をしたいなら、寮に転移させてやる。解毒薬を使わないのなら、一晩は苦しむ羽目になるだろうがな」
寮の部屋に転移してもらったら、処理はできる。さっそくお願いをしようと思ったものの、すぐに問題に気付いてしまった。
部屋にはリオンもいる。今は森を抜けている頃だろうけど、じきに部屋に戻ってくるだろう。
こんな姿、リオンにだけは見られたくない。僕にだって、兄としてのプライドがあるんだ。
「弟には見られたくないか。その気持ちは分からんでもないが……」
ダミアンは、こんな時まで僕の心を読んでくる。小馬鹿にするように笑っているのが憎たらしい。
こんなやりとりをしているうちにも、どんどん身体が熱を帯びていく。
ああ、もう、なんでもいいから、早く解放したい。もういっそ、ダミアンが楽にしてくれたらいいのに。
一瞬でもそんな考えが過ったことに、激しく後悔した。僕の気の迷いはダミアンにも伝わってしまった。小馬鹿にするように笑っていた顔が、すんっと真顔になる。
「……貴様、そんなふしだらなことを考えているのか?」
「あ、えっと……。いまのは間違いで……」
慌てて撤回する。たしかにそうしてくれたら身体は楽になるだろうけど、他人様にそんなことをお願いするわけにはいかない。
しかも相手は、鬼畜寮長だぞ? 冗談じゃない!
「……鬼畜寮長? 貴様は俺のことを、そのように呼んでいるのか?」
マズい。余計なことまでバレてしまった……。
鬼畜寮長っていうのは、僕が名付けたわけではなく、巷でそう呼ばれているだけで……。
「なるほど。生徒の間では、俺はそう呼ばれているのか」
いえ、その、巷っていうのは、そういう意味じゃなくて。もっと別の次元の話というか……。
ああ、ダメだ。考えれば考えるほど、ボロが出ていく。もう、無心になるしかないのか?
「快楽に支配されれば、余計なことを考えなくても済むんじゃないか?」
「えっ?」
いきなり何を言い出すんだ? 目を丸くしていると、ダミアンは青筋を立てながらこちらに迫ってくる。
「気が変わった」
ギラリと光る赤い瞳は、獲物を食らうおうとする獣のようだ。正直、さっきのメタルウルフより怖い。
もしかして、さっきの鬼畜寮長発言で、怒らせてしまった?
ダミアンは、ガーネットの指輪を外すと、そっとテーブルに置く。僕と視線を合わせると、やけに色気のある笑みを浮かべた。
「無断で沈黙の森に立ち入った罰だ。俺に弄ばれて、辱めを受けろ」
「そ、それって……」
「いま楽にしてやる」
呆気に取られているうちに、ダミアンが覆い被さってくる。かと思えば、僕のベルトに手をかけた。
「ほ……本気ですか?」
それってつまり、ダミアンに抜か……。いやいや、駄目だって! なんでそういう展開になるんだよ! 冗談じゃない!
頭では全力で拒絶しているのに、心のどこかでは期待している自分もいた。
ふと、ダミアンの指先に視線を向ける。あの長くて綺麗な指で弄ばれたら、さぞかし気持ち良さそうだ。欲望に呼応するように、下着の中ではじわりと蜜がこぼれた。
何考えてるんだ、僕は! こんなのは駄目なのに!
「やめて、ください……」
身を捩じらせて抵抗する。ダミアンの肩を押したものの、びくともしなかった。催淫作用のせいで、上手く力が入らない。
そうこうしているうちに、ズボンと下着を一気に脱がされて、張り詰めたものが露わになる。
「あぁ……見ないで……」
こんな状態のものを人前に晒すなんて……。涙目になりながら両手を覆い隠すと、ダミアンに手を掴まれた。
「隠していたら、触れないだろう」
「やだっ、やだっ」
これ以上視姦されないように抵抗していると、ダミアンに手首を掴まれてソファに押し付けられた。
「大人しくしていろ」
命令すると、ダミアンは自身のネクタイを片手で外して、僕の手首に器用に括りつける。両手の自由を奪われて、いよいよ隠すことができなくなってしまった。
最悪だ。新入生相手にこんな手荒な真似をするなんて。やっぱりダミアンは、鬼畜寮長だ。
「ああ、そうだな。貴様の言うように、俺には残忍な一面があるようだ。涙を浮かべながら抵抗している貴様を見ていると、ひどく気分がいい」
また、心を読まれた。もう嫌だ……。
涙を浮かべながら、キイッとダミアンを睨みつける。そんな抵抗も、彼を煽るだけだった。
「触るぞ」
断りを入れると、ダミアンの冷たい手が張りつめたものに触れた。
「……っ」
指先で軽く触れられただけで、のけぞってしまった。なんだこれ。気持ち良すぎる。
内腿がプルプルと小刻みに震える。今にも達してしまいそうな感覚に耐えていると、ダミアンは根元まで指先を滑らせた。
「ああっ……」
自分でもびっくりするほど、甘い声が漏れる。よがっていることがバレてしまって、羞恥心が高まった。
「楽になりたいんだろう? 与えられる感覚に身を委ねろ」
ダミアンが赤い瞳を光らせながら不敵に笑う。
この男、僕の反応を見て楽しんでいるな……。なんて性格の悪い! この男の思い通りにさせて堪るか!
内腿に力を入れて快楽を遠ざけようとしていると、長い指先で根元から先端まで一気に扱かれてしまった。
限界に近付いている状態で、その刺激は耐えられない。成すすべなく、暴発した。
「くうっ……う、う、うぅ……」
快楽の証がとめどなく溢れ出す。放たれた白濁は、革張りのソファに飛び散った。
寮長が集う厳粛な場所を、自らの欲で穢してしまった。その罪悪感すら、いまは快楽に変換されてしまう。思考回路がぐしゃぐしゃになって、涙がこぼれ落ちた。
「早いな」
滲んだ視界の先で、ダミアンが勝ち誇ったように笑う。憎たらしいはずなのに、その表情に興奮を煽られている自分がいた。
もう嫌だ。消えてしまいたい。
しゃくりあげながら泣いていると、ダミアンが僕の頬に手を添える。
「貴様の泣き顔は、人を狂わせる毒花のようだな」
この男は、どれだけ歪んでいるんだ……。涙目で睨みつけると、ダミアンは再び僕の下半身に手を伸ばした。
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