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2章
31.魔法競技会④
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狩猟は高位貴族の嗜みとされている。公爵家の生まれであるダミアンも、幼少期から馬や猟犬を使った狩猟を楽しんでいたそうだ。
慣れ親しんでいるとあって、腕には自信があるようだ。ハンティングジャケットを身に纏い、銃を携える姿は驚くほど様になっていた。
「なにを見ている?」
すっかり見惚れていると、先を歩くダミアンに指摘される。そこで我に返った。
「い、いえ、なんでも!」
見惚れている場合ではない。狩猟には、シリルも参加するんだ。油断は禁物だ。
気を引き締めながら、ダミアンの乗る黒馬を連れて、森の入り口へ向かった。
狩猟は、沈黙の森の一部エリアを開放して行われる。普段は立ち入り禁止だが、競技会では各寮から選出された一名の生徒のみ立ち入りを許可されていた。
狩猟で仕留めるのは魔獣だ。鳥系、鹿系、狼系などの種類に応じて得られるスコアが変化する。制限時間内に、いかにハイスコアの魔獣を討伐できるかが勝負の分かれ目となっていた。
ちなみに各選手の動向は、ダミアンの開発した魔道具を馬に装着して撮影している。見物人は、講堂に設置した巨大パネルで、リアルタイムで視聴できるようになっていた。
これには、不正を防止する意味も込められている。討伐数を誤魔化すことはできないし、他の選手を妨害すれば即座にペナルティを与えられる仕組みになっていた。
行動を監視していれば、シリルがどさくさに紛れてダミアンに危害を与えることもないだろう。公の場でそんな真似をすれば、大問題になる。
頭では大丈夫だと分かっているけど、楽観視することはできなかった。
森の入り口まで辿り着くと、ダミアンに黒馬を引き渡す。
「お気をつけて……」
顔を上げて送り出そうとすると、ダミアンは眉根を下げながらため息をつく。
「そんなに不安そうな顔をするな」
指摘されたところで、慌てて頬を押さえる。不安が表情に出ていたようだ。情けない。
「すみません……」
おずおずと謝ると、ダミアンはにやりと笑みを浮かべた。
「背後から狙撃されても死なないように、防御魔法をかけている。だから心配するな」
そこまで対策をしているのなら大丈夫か……。若干不安が和らいだところで、笑顔を浮かべてみせた。
「頑張ってくださいね」
「ああ」
声援をおくると、ダミアンは頬を緩めて僕の髪をくしゃくしゃと撫でた。
ほどなくして、白馬を連れたシリルが現れる。シリルは涼し気な笑みを浮かべながら、ダミアンの正面に立った。
「ご一緒できて光栄です。良い試合になることを願っています」
それは本心だろうか? 疑いの眼差しを向けている僕の隣で、ダミアンは毅然とした態度で応じた。
「ああ。正々堂々、実力で勝負をしよう」
互いに握手を交わすと、二人はスタート地点についた。
開始時刻になると、パンッと乾いた銃声が響く。すると、選手たちは一斉に森の中へ入った。
馬に跨るダミアンを見送った後、僕は大急ぎで講堂へ向かう。森の入り口からでは、戦況が把握できない。講堂のパネルで勝負の行方を見届けることにした。
講堂に飛び込むと、後方の席に座るルーカスたちと合流する。
「戦況は?」
息を切らしながら尋ねると、クライドがパネルに表示されたスコアを指さす。
「サファイア寮30点、エメラルド寮15点、トパーズ寮5点だ」
「ガーネット寮は?」
ダミアンのスコアを聞き出そうとしたが、クライドは視線を落としながら小さく首を振るばかり。どういうことかと、自分の目でスコアを確認すると、信じがたい光景が飛び込んできた。
「ガーネット寮は0点……?」
ダミアンは、まだ魔獣を仕留められていないということか? まあ、試合はまだ始まったばかりだから、運悪く魔獣と遭遇できていないだけかもしれない。
そう楽観視していたものの、ルーカスは渋い表情を浮かべながら腕組みをする。
「あれだけ瘴気が濃い森に入って、一体も魔獣に遭遇しないのはおかしい。他寮の選手は、遭遇できているっていうのに」
ルーカスが不審がっているうちにも、銃声が聞こえてくる。シリルが鳥系の魔獣を撃ち落としたようだ。サファイア寮に、5点加算される。
ルーカスの言うように、他の選手のもとには魔獣が現れて、ダミアンのもとには現れないというのは妙だ。まさかダミアンの威圧的なオーラで、魔獣が恐れを成して逃げているとでもいうのか?
……いや、それはないか。闇属性の僕じゃあるまいし。
やはりただの偶然か? 運悪く魔獣のいないエリアを探索しているのかもしれない。もしそうなら、探索場所を変えれば、魔獣と遭遇できるはずだ。
ダミアンも同じ事を考えたのか、馬を走らせて狩場を移動する。しばらくすると、果実がなっている木々が連なるエリアに辿り着いた。
餌がある場所なら、魔獣の一体くらいは潜んでいそうなものだが、ダミアンの前には依然として魔獣は現れない。
ダミアンは、眉間に深く皺を刻みながら馬から降りる。馬や鞍の状態を確認してから、馬の脚を浮かせて馬蹄を確認した。そこでダミアンは、驚いたように目を見開く。
なんだ? 今の反応は……?
僕もまじまじと馬蹄を観察する。すると、土や石が入り込んだ溝の中に、キラリと黒紫色に光る粒が見えた。その粒の正体に、フレッドがいち早く気付く。
「闇の魔石だ。高位貴族が遠征をする時に、魔獣避けとして持っていくものだよ」
「魔獣避け!?」
思わず叫んでしまう。要するに、ダミアンの馬に魔獣避けの魔石が仕込まれていたから、魔獣が現れなかったということか。
一体どうしてそんなものが……。理由を探していると、シリルの存在を思い出す。
まさかシリルが、ダミアンに勝つために馬蹄に魔石を仕組んだのか? 確証はないが、彼ならやりかねない。憤りを感じていると、フレッドが声を荒げながら尋ねた。
「寮長の馬を手配したのは誰だ?」
その問いに、ひゅんっと心臓が縮こまる。
ダミアンの乗っている馬は、学園で所有している馬の中から、僕が見繕って引き渡した。厩は生徒であれば誰もが立ち入れる場所にある。馬蹄に細工をすることくらい容易い。
僕は馬に細工をされる可能性を考えずに、ダミアンに馬を引き渡してしまったんだ。こうなってしまった責任は、僕にある。
「僕が、手配した……」
正直に明かすと、フレッドは呆れたように額を押さえる。
「引き渡す前に入念に確認しないと駄目だろ。万が一、馬が暴走するような細工がされていたら、大事故につながっていたかもしれないんだぞ」
フレッドの言葉で背筋が凍る。
そうだ。一歩間違えば、寮長の命が危険にさらされていたんだ。危機管理を怠っていた自分を呪いたくなった。
とはいえ、落ち込んでばかりはいられない。これは明確な妨害行為だ。周囲にも不正を知らせて、勝負のやり直しを申し出よう。
そう決意した直後、パネルに映っていたトパーズ寮の選手が悲鳴をあげる。何事かと様子を窺うと、彼の目の前に、巨大な熊の魔獣が出現していた。大きさは人間よりも遥かに大きい。見るからに危険な魔獣だ。
「あれは、ジャイアントベアだ。あんなのに襲われたら一溜りもないぞ!」
見物人のひとりが、魔獣を特定する。するとあちこちから悲鳴が聞こえてきた。
ジャイアントベアは聞いたことがある。森に住む魔獣の中でも、とくに凶暴な種族だ。
いくら狩猟に慣れている生徒といえど、ジャイアントベアを相手にするのは容易ではない。トパーズ寮の生徒も、錯乱した様子で落馬して、腰を抜かしていた。
隙を見せたのが、良くなかった。ジャイアントベアは、低いうめき声をあげながら生徒に迫る。見物していた令嬢たちは、悲鳴をあげながら両手で目を覆っていた。
誰もが最悪の想像をした時、一発の銃声が響く。その数秒後、ジャイアントベアが地面に伏した。
横たわるジャイアントベアの先には、涼し気な顔で銃を構えるダミアンがいた。
まさか、ダミアンが仕留めたのか? 言葉を失っていると、「うおおお!」と歓声が湧きあがる。その直後、ガーネット寮に200点加算された。
加算されたということは、本当にダミアンが仕留めたんだ。一発で確実に急所を狙って。
ダミアンの勇敢さを目の当たりにすると、血が湧きたつような興奮に包まれる。気付けば僕も、見物人と共に声の限り叫んでいた。
大盛り上がりの中、三発の銃声が響く。試合終了の合図だ。
ダミアンは、馬から降りると、腰を抜かしているトパーズ寮の生徒のもとへ向かい、そっと手を差し伸べる。トパーズ寮の生徒が涙ながらにダミアンの手を取った瞬間、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
試合終了間際でダミアンがジャイアントベアを仕留めたことで、見事ガーネット寮が勝利を収めた。
大歓声に包まれる中、僕はひとり講堂を飛び出す。その足で、沈黙の森まで向かった。
森を抜けたダミアンに、一番に「おめでとう」と伝えたい。その一心で、全速力で走った。
森の入り口までやって来たタイミングで、ちょうどダミアンも森を抜けてきた。馬を連れているダミアンに、僕は思いっきり抱き着く。
「寮長! おめでとうございます! すごく格好良かったです! もう心臓がどうにかなってしまいそうです!」
興奮を抑えきれずに叫ぶと、ダミアンは冷静に僕を窘める。
「落ち着け。興奮しすぎだ」
「だって~」
すりすりとダミアンの胸に顔を擦りつけていると、肩を掴まれて引き剥がされる。顔を上げると、ちょんっと額を突かれた。
「見られているぞ」
その一言で、僕がダミアンに抱き着く様子が、魔道具を通して講堂で中継されていることに気付いた。
カアアッと羞恥心が込み上げる。僕は飛びのくようにダミアンから離れた。
「そ、それを早く言ってください!」
赤くなった顔を隠すように俯いていると、ダミアンにおかしそうに笑われた。
慣れ親しんでいるとあって、腕には自信があるようだ。ハンティングジャケットを身に纏い、銃を携える姿は驚くほど様になっていた。
「なにを見ている?」
すっかり見惚れていると、先を歩くダミアンに指摘される。そこで我に返った。
「い、いえ、なんでも!」
見惚れている場合ではない。狩猟には、シリルも参加するんだ。油断は禁物だ。
気を引き締めながら、ダミアンの乗る黒馬を連れて、森の入り口へ向かった。
狩猟は、沈黙の森の一部エリアを開放して行われる。普段は立ち入り禁止だが、競技会では各寮から選出された一名の生徒のみ立ち入りを許可されていた。
狩猟で仕留めるのは魔獣だ。鳥系、鹿系、狼系などの種類に応じて得られるスコアが変化する。制限時間内に、いかにハイスコアの魔獣を討伐できるかが勝負の分かれ目となっていた。
ちなみに各選手の動向は、ダミアンの開発した魔道具を馬に装着して撮影している。見物人は、講堂に設置した巨大パネルで、リアルタイムで視聴できるようになっていた。
これには、不正を防止する意味も込められている。討伐数を誤魔化すことはできないし、他の選手を妨害すれば即座にペナルティを与えられる仕組みになっていた。
行動を監視していれば、シリルがどさくさに紛れてダミアンに危害を与えることもないだろう。公の場でそんな真似をすれば、大問題になる。
頭では大丈夫だと分かっているけど、楽観視することはできなかった。
森の入り口まで辿り着くと、ダミアンに黒馬を引き渡す。
「お気をつけて……」
顔を上げて送り出そうとすると、ダミアンは眉根を下げながらため息をつく。
「そんなに不安そうな顔をするな」
指摘されたところで、慌てて頬を押さえる。不安が表情に出ていたようだ。情けない。
「すみません……」
おずおずと謝ると、ダミアンはにやりと笑みを浮かべた。
「背後から狙撃されても死なないように、防御魔法をかけている。だから心配するな」
そこまで対策をしているのなら大丈夫か……。若干不安が和らいだところで、笑顔を浮かべてみせた。
「頑張ってくださいね」
「ああ」
声援をおくると、ダミアンは頬を緩めて僕の髪をくしゃくしゃと撫でた。
ほどなくして、白馬を連れたシリルが現れる。シリルは涼し気な笑みを浮かべながら、ダミアンの正面に立った。
「ご一緒できて光栄です。良い試合になることを願っています」
それは本心だろうか? 疑いの眼差しを向けている僕の隣で、ダミアンは毅然とした態度で応じた。
「ああ。正々堂々、実力で勝負をしよう」
互いに握手を交わすと、二人はスタート地点についた。
開始時刻になると、パンッと乾いた銃声が響く。すると、選手たちは一斉に森の中へ入った。
馬に跨るダミアンを見送った後、僕は大急ぎで講堂へ向かう。森の入り口からでは、戦況が把握できない。講堂のパネルで勝負の行方を見届けることにした。
講堂に飛び込むと、後方の席に座るルーカスたちと合流する。
「戦況は?」
息を切らしながら尋ねると、クライドがパネルに表示されたスコアを指さす。
「サファイア寮30点、エメラルド寮15点、トパーズ寮5点だ」
「ガーネット寮は?」
ダミアンのスコアを聞き出そうとしたが、クライドは視線を落としながら小さく首を振るばかり。どういうことかと、自分の目でスコアを確認すると、信じがたい光景が飛び込んできた。
「ガーネット寮は0点……?」
ダミアンは、まだ魔獣を仕留められていないということか? まあ、試合はまだ始まったばかりだから、運悪く魔獣と遭遇できていないだけかもしれない。
そう楽観視していたものの、ルーカスは渋い表情を浮かべながら腕組みをする。
「あれだけ瘴気が濃い森に入って、一体も魔獣に遭遇しないのはおかしい。他寮の選手は、遭遇できているっていうのに」
ルーカスが不審がっているうちにも、銃声が聞こえてくる。シリルが鳥系の魔獣を撃ち落としたようだ。サファイア寮に、5点加算される。
ルーカスの言うように、他の選手のもとには魔獣が現れて、ダミアンのもとには現れないというのは妙だ。まさかダミアンの威圧的なオーラで、魔獣が恐れを成して逃げているとでもいうのか?
……いや、それはないか。闇属性の僕じゃあるまいし。
やはりただの偶然か? 運悪く魔獣のいないエリアを探索しているのかもしれない。もしそうなら、探索場所を変えれば、魔獣と遭遇できるはずだ。
ダミアンも同じ事を考えたのか、馬を走らせて狩場を移動する。しばらくすると、果実がなっている木々が連なるエリアに辿り着いた。
餌がある場所なら、魔獣の一体くらいは潜んでいそうなものだが、ダミアンの前には依然として魔獣は現れない。
ダミアンは、眉間に深く皺を刻みながら馬から降りる。馬や鞍の状態を確認してから、馬の脚を浮かせて馬蹄を確認した。そこでダミアンは、驚いたように目を見開く。
なんだ? 今の反応は……?
僕もまじまじと馬蹄を観察する。すると、土や石が入り込んだ溝の中に、キラリと黒紫色に光る粒が見えた。その粒の正体に、フレッドがいち早く気付く。
「闇の魔石だ。高位貴族が遠征をする時に、魔獣避けとして持っていくものだよ」
「魔獣避け!?」
思わず叫んでしまう。要するに、ダミアンの馬に魔獣避けの魔石が仕込まれていたから、魔獣が現れなかったということか。
一体どうしてそんなものが……。理由を探していると、シリルの存在を思い出す。
まさかシリルが、ダミアンに勝つために馬蹄に魔石を仕組んだのか? 確証はないが、彼ならやりかねない。憤りを感じていると、フレッドが声を荒げながら尋ねた。
「寮長の馬を手配したのは誰だ?」
その問いに、ひゅんっと心臓が縮こまる。
ダミアンの乗っている馬は、学園で所有している馬の中から、僕が見繕って引き渡した。厩は生徒であれば誰もが立ち入れる場所にある。馬蹄に細工をすることくらい容易い。
僕は馬に細工をされる可能性を考えずに、ダミアンに馬を引き渡してしまったんだ。こうなってしまった責任は、僕にある。
「僕が、手配した……」
正直に明かすと、フレッドは呆れたように額を押さえる。
「引き渡す前に入念に確認しないと駄目だろ。万が一、馬が暴走するような細工がされていたら、大事故につながっていたかもしれないんだぞ」
フレッドの言葉で背筋が凍る。
そうだ。一歩間違えば、寮長の命が危険にさらされていたんだ。危機管理を怠っていた自分を呪いたくなった。
とはいえ、落ち込んでばかりはいられない。これは明確な妨害行為だ。周囲にも不正を知らせて、勝負のやり直しを申し出よう。
そう決意した直後、パネルに映っていたトパーズ寮の選手が悲鳴をあげる。何事かと様子を窺うと、彼の目の前に、巨大な熊の魔獣が出現していた。大きさは人間よりも遥かに大きい。見るからに危険な魔獣だ。
「あれは、ジャイアントベアだ。あんなのに襲われたら一溜りもないぞ!」
見物人のひとりが、魔獣を特定する。するとあちこちから悲鳴が聞こえてきた。
ジャイアントベアは聞いたことがある。森に住む魔獣の中でも、とくに凶暴な種族だ。
いくら狩猟に慣れている生徒といえど、ジャイアントベアを相手にするのは容易ではない。トパーズ寮の生徒も、錯乱した様子で落馬して、腰を抜かしていた。
隙を見せたのが、良くなかった。ジャイアントベアは、低いうめき声をあげながら生徒に迫る。見物していた令嬢たちは、悲鳴をあげながら両手で目を覆っていた。
誰もが最悪の想像をした時、一発の銃声が響く。その数秒後、ジャイアントベアが地面に伏した。
横たわるジャイアントベアの先には、涼し気な顔で銃を構えるダミアンがいた。
まさか、ダミアンが仕留めたのか? 言葉を失っていると、「うおおお!」と歓声が湧きあがる。その直後、ガーネット寮に200点加算された。
加算されたということは、本当にダミアンが仕留めたんだ。一発で確実に急所を狙って。
ダミアンの勇敢さを目の当たりにすると、血が湧きたつような興奮に包まれる。気付けば僕も、見物人と共に声の限り叫んでいた。
大盛り上がりの中、三発の銃声が響く。試合終了の合図だ。
ダミアンは、馬から降りると、腰を抜かしているトパーズ寮の生徒のもとへ向かい、そっと手を差し伸べる。トパーズ寮の生徒が涙ながらにダミアンの手を取った瞬間、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
試合終了間際でダミアンがジャイアントベアを仕留めたことで、見事ガーネット寮が勝利を収めた。
大歓声に包まれる中、僕はひとり講堂を飛び出す。その足で、沈黙の森まで向かった。
森を抜けたダミアンに、一番に「おめでとう」と伝えたい。その一心で、全速力で走った。
森の入り口までやって来たタイミングで、ちょうどダミアンも森を抜けてきた。馬を連れているダミアンに、僕は思いっきり抱き着く。
「寮長! おめでとうございます! すごく格好良かったです! もう心臓がどうにかなってしまいそうです!」
興奮を抑えきれずに叫ぶと、ダミアンは冷静に僕を窘める。
「落ち着け。興奮しすぎだ」
「だって~」
すりすりとダミアンの胸に顔を擦りつけていると、肩を掴まれて引き剥がされる。顔を上げると、ちょんっと額を突かれた。
「見られているぞ」
その一言で、僕がダミアンに抱き着く様子が、魔道具を通して講堂で中継されていることに気付いた。
カアアッと羞恥心が込み上げる。僕は飛びのくようにダミアンから離れた。
「そ、それを早く言ってください!」
赤くなった顔を隠すように俯いていると、ダミアンにおかしそうに笑われた。
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