おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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42.雅楽代薫の狙い

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物に力を込める儀式は意外とシンプルだ。

五芒星の上に品物を乗せて、呪文を書いた御札を貼り、呪文を唱える。

これには苦痛が伴うとは聞いていた。

けれど、へ、で蹲るほど痛かった。

明さんは都度止めてくれたけど、私は首を横に振った。

「次、に、やります。」

呪文の途中から言葉を発せない程の激痛が伴った。根性だけでやり切ったけど、私は終わった瞬間に意識を失った。

私は自宅のベッドの中で目が覚めた。

部屋には明さんと雅楽代さんだけが居た。

「楓様、お土産の件は白紙に戻りました。」

「えっ!?」

なんで、と、起き上がろうとしたけど、体が痺れて起き上がれなかった。

「痺れて動けない・・・!!」

「一品作る度に楓さんが失神して二時間経った今も体に痺れがあって動けへんねんから、政府も駄々は捏ねへんかった。」

「でもそれじゃあ・・・!」

「楓様、これで我々が案を出すまでの時間が作れたんですよ。一年はなんとか引き伸ばせるかもしれません。」

「解決になってません。」

「なりますよ。水無瀬さんは死んでも諦めませんから。」

「楓さん、痺れを取る注射を打つからじっとしてて。」

明さんは私の腕を捲って手際良く準備をした。

「紫々井先生は、こうなることをわかっていたから強く止めなかったんです。一度重い反動が出れば、がめつい政府だって動けない。」

「楓さん、黙っててごめん。」

苦しそうな顔。苦肉の策だったんだろう。

「大丈夫。ねえ、巫女の務めってこんな激痛が伴うの?」

「いや、楓さんが長いこと魔法のあらへん異世界に居たせいや。魔法の無い世界に魔力を生み出せる存在が居ると、魔力が無限に体外に放出される現象が起こる。この世界の人間の体は魔力が尽きると死んでまうから、楓さんの体は体内に魔力の殻を作って、魔力が体外に放出することを防いでた。その殻が邪魔してるんや。」

「紫々井先生の仰る殻とは、巫女様だけが使える特殊な術と考えてください。これは放出を抑えるだけでなく、ヤカンに手が触れたら熱くて手が離れる様に、放出に痛みを伴わせることで自身での放出を防ぐ術でもあります。魔力を使うと痛みを感じるのは言わば危険回避のための条件反射なんです。」

「でも私、病室で力を出した時は痛くありませんでしたよ。」

「それは恐らく、ちょっと力んで息を吹き掛けた程度だったからです。熱だって、我慢できる熱さがあるでしょう?」

「俺もその程度やったんやと思う。病室には巫女様の魔力の影響を受けやすい医療器具や術が多かったから。」

「殻を破る方法は?」

「楓様のそれは、本能的に作られたものなので術文がありません。正攻法での解術はおそらく不可能です。」

「正攻法じゃないのはあるの・・・?」

「外から魔力で圧力を掛けて砕くことはできます。」

「でもそれは絶対にやらせへん。」

「明さん・・・?」

明さんは私ではなく雅楽代さんを見て言った。

「にで気絶する程の激痛に全身麻痺や。その方法はどうカバーしようと激痛で楓さんが死んでしまう。楓さんの命より重い物は無いんや。楓さんが何を言おうとそれは絶対にさせへん。」

「紫々井先生にそれだけ言われたら諦める他ありませんね。楓様。」

「そうですね・・・じゃあどうしたら・・・?」
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