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進む道と新たな仲間に

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「おはよう、ロッテ。よく眠れたか?」
「ごめんなさい、遅くなって。すぐに私も支度をするわ」

 昨日は風呂と食事を済ませすぐに休むようレーヴェに言われて床についたロッテだったが、目が覚めた時には彼は準備を済ませていて昨夜と同じように地図を睨んでいた。
 ロッテが慌てて旅服に着替えようとすると、レーヴェは何も言わずに部屋から出ていく。貴族の令嬢でもあるロッテに彼なりに気を使っているのだろう。

「女将から朝食をもらってきた、もう開けても大丈夫か?」
「ええ、ありがとう。もう支度は済んでるから私がドアを開けるわ」

 彼は下の階に朝食を取りに行っていたようで、ロッテが扉を開けると両手に温かなスープとパンの乗ったトレイを持っていた。
 昨日の夜もしっかり食べたとはいえ、やはり体力を使う移動をしたためか身体が食べ物を欲しいているようで。良い匂いにつられたのか「ぐうっ」とお腹が鳴ってしまって、ロッテはおもわず頬を染めて俯いた。

「実は俺も腹ペコなんだ、さっそく食事にしよう?」

 ハッキリと聞こえたはずのお腹の音。レーヴェは恥ずかしがるロッテを引っ張って椅子に座らせ、すぐにパンとスープを差し出して優しく微笑んだ。
 そんな彼の優しさにいつもなら暖かな気持ちになるのに、今日は何となく落ち着かなくて。それが良く分からないままロッテは戸惑っていたが、温かくて美味しい朝食に夢中になってすぐにいつも通りに戻っていた。



「本気であの山を越えるのかい? そんなことしなくてももう少し待てば検問も終わるかもしれないのに、あの子を連れてなんて危険じゃないか」
「残念ながらそうもゆっくりしてられないんだ、ロッテを連れてまた来るよ」

 華奢なロッテを心配する女将にそう挨拶すると、レーヴェは支払いを済ませて頼んでいた昼食用のバスケットを受け取った。この先きちんと食事がとれるのがいつになるかもわからない、そんな旅が始まるのだとロッテも少し緊張していた。

「本当に、どうしてこんな時期に検問なんて……王宮がすることはアタシ達にはよく分からないね」
「そうだな、王宮の人達にはもっと優先してやらなくてはならないことがあるはずなのに」

 それはこの国の状況を全て見てきたレーヴェだからこそ分かること、恵まれた王都にいただけでは気付けなかった厳しい現実。
 聖女の加護が届きにくい離れた場所ほど、潤っている王都とは大きな差があるのだと思い知らされた。それだけではない、徐々に美しかった水は濁り木々は腐り始めているという話も聞いた。
 アンネマリーが聖女の務めとされる神殿での祈りを捧げようとしないのも理由の一つなのかもしれない。ロッテの心は複雑だったが、このまま見過ごすことも出来ない。

「この国はどうなっていくんだろうね? 聖女様の加護もだんだん弱まっているみたいだとみんな言ってるよ」
「……ああ、そうなのかもしれない」

 レーヴェには分かっている。アンネマリーが偽の聖女を続ける以上、この国は腐敗していく未来しかない。だからこそ真の聖女であるロッテの力が必要なのだ。この国のためにも、そしてレーヴェ自身のためにも。



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