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おまけ3 第22・23話補足
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アスーナとハラドの婚約が決まってから二人の婚約の話はあっという間に社交界でもアスーナ達が通う学園でも噂になる寸前、誰よりも早くその話を嗅ぎつけた令嬢がいた。
「なんですって! 遂にアスーナがカリブラと婚約破棄して開放されたですって!? しかも、その後であのハラド・グラファイト公爵令息と婚約!? 本当なのそれ!?」
それはアスーナの親友・バニア・モタス伯爵令嬢だ。貴族令嬢として社交界に広く精通し、あらゆる話題にかなりの早さで聞きつけることを得意とする。特に親友であるアスーナとその家族であるブラアラン伯爵家に関しては尋常ではなかった。
「はい、どうやらカリブラ令息のがソルティア嬢と共謀してドッキリを図ったようで、アスーナ嬢はそれをきっかけに婚約破棄したようです」
「あんの馬鹿男! 私の親友になんてことしてくれてんのよ! でも、それでグラファイト公爵令息と婚約なんてアスーナはなんて運がいいの!」
「……」
カリブラに憤って怒り狂ったかと思えば、アスーナが良縁に恵まれたことに喜ぶバニア。そんな護衛対象に対してなんとも言えない気分の『陰』、ガット・ン・カインデンであった。
◇
「婚約したのだからいいじゃない! 可愛い婚約者の私が侯爵家に移り住むことくらい!」
「何言ってるの! 嫁入り前の伯爵家の娘を居候させるなんて!」
「そうだぞソルティア! いくらなんでも前例がないし、常識がないと言われるだけだぞ!」
ソルティアは父ノゲムスと侯爵夫人マキナと言い争っていた。カリブラと婚約したソルティアは、それを理由に侯爵家に移り住みたいと言うのだが、ノゲムスとマキナは大反対したのだ。
(きっとソルティアは問題を起こすに決まっている!)
(この娘は贅沢がしたいだけ! 顔にそう書いてあるわ!)
「お父様は私が可愛いから侯爵家に行くのが嫌なのね!」
「違う! 迷惑をかけるだけなのが目に見えるからだ!」
「何が迷惑なのよ! 娘が侯爵家との縁を繋ぐ努力をしているのに邪魔しないで!」
自分の思い通りにならないことが気に入らないソルティアは癇癪を起こして泣き喚く。そんな状況に苛立ちを爆発させたカリブラも激怒した。
「我が侯爵家なら伯爵家ごときよりも裕福な生活ができるのに何故ソルティアの言葉を聞けないんだ! 伯爵風情が駄々をこねるな!」
「なっ!?」
「カリブラ!?」
ノゲムスは絶句した。カリブラの言葉は、仮にも婚約者の父親相手に口にしていい言葉ではない。ましてや、アスーナが婚約者だった頃からの付き合いだと言うのに。マキナも同じことを思ったのか、カリブラに対して唖然とした。
「我が家に住みたいだなんてアスーナよりも可愛げがあるじゃないか! どうやら伯爵は姉妹の教育を随分分けていたようだな。これが姉妹格差ってやつか? アスーナばかりかわいがっていたんだろう!」
「「はぁっ!?」」
こいつは何を言ってるんだ? ノゲムスとマキナは同時にそう思った。どちらかと言えばソルティアのほうが甘やかされている方なのに、カリブラは全く逆に捉えたのだ。
(なんてやつだ……どういう神経してるんだ? 人を見る目がなさすぎる。こんな奴をアスーナを婚約させてしまっていたのか? そして今はソルティアと……なんということだ)
(カリブラは一体どういう神経をしているの? 絶対逆でしょ。そんなことも分からないなんて……この子に当主は無理だわ)
カリブラの馬鹿さ加減に呆れ果てたノゲムスとマキナは、もう諦めることにした。この二人、特にカリブラの方は身をもって経験しなければ分からないと判断したのだ。
(ソルティアのわがままぶりを考えればすぐにボロが出るはず……そうなればこいつも分かるだろう。侯爵夫人は厳しいだろうからソルティアも最終的に後悔するやもしれん)
(カリブラは痛い目に遭わないとわからないわね……私達も覚悟しないと……)
「わかった……好きにしろ」
「わかったわ……覚悟なさい」
こうしてソルティアが侯爵家に移り住むことが決まった。このときのソルティアとカリブラは大喜びするのだが、最終的には後悔することとなった。
「なんですって! 遂にアスーナがカリブラと婚約破棄して開放されたですって!? しかも、その後であのハラド・グラファイト公爵令息と婚約!? 本当なのそれ!?」
それはアスーナの親友・バニア・モタス伯爵令嬢だ。貴族令嬢として社交界に広く精通し、あらゆる話題にかなりの早さで聞きつけることを得意とする。特に親友であるアスーナとその家族であるブラアラン伯爵家に関しては尋常ではなかった。
「はい、どうやらカリブラ令息のがソルティア嬢と共謀してドッキリを図ったようで、アスーナ嬢はそれをきっかけに婚約破棄したようです」
「あんの馬鹿男! 私の親友になんてことしてくれてんのよ! でも、それでグラファイト公爵令息と婚約なんてアスーナはなんて運がいいの!」
「……」
カリブラに憤って怒り狂ったかと思えば、アスーナが良縁に恵まれたことに喜ぶバニア。そんな護衛対象に対してなんとも言えない気分の『陰』、ガット・ン・カインデンであった。
◇
「婚約したのだからいいじゃない! 可愛い婚約者の私が侯爵家に移り住むことくらい!」
「何言ってるの! 嫁入り前の伯爵家の娘を居候させるなんて!」
「そうだぞソルティア! いくらなんでも前例がないし、常識がないと言われるだけだぞ!」
ソルティアは父ノゲムスと侯爵夫人マキナと言い争っていた。カリブラと婚約したソルティアは、それを理由に侯爵家に移り住みたいと言うのだが、ノゲムスとマキナは大反対したのだ。
(きっとソルティアは問題を起こすに決まっている!)
(この娘は贅沢がしたいだけ! 顔にそう書いてあるわ!)
「お父様は私が可愛いから侯爵家に行くのが嫌なのね!」
「違う! 迷惑をかけるだけなのが目に見えるからだ!」
「何が迷惑なのよ! 娘が侯爵家との縁を繋ぐ努力をしているのに邪魔しないで!」
自分の思い通りにならないことが気に入らないソルティアは癇癪を起こして泣き喚く。そんな状況に苛立ちを爆発させたカリブラも激怒した。
「我が侯爵家なら伯爵家ごときよりも裕福な生活ができるのに何故ソルティアの言葉を聞けないんだ! 伯爵風情が駄々をこねるな!」
「なっ!?」
「カリブラ!?」
ノゲムスは絶句した。カリブラの言葉は、仮にも婚約者の父親相手に口にしていい言葉ではない。ましてや、アスーナが婚約者だった頃からの付き合いだと言うのに。マキナも同じことを思ったのか、カリブラに対して唖然とした。
「我が家に住みたいだなんてアスーナよりも可愛げがあるじゃないか! どうやら伯爵は姉妹の教育を随分分けていたようだな。これが姉妹格差ってやつか? アスーナばかりかわいがっていたんだろう!」
「「はぁっ!?」」
こいつは何を言ってるんだ? ノゲムスとマキナは同時にそう思った。どちらかと言えばソルティアのほうが甘やかされている方なのに、カリブラは全く逆に捉えたのだ。
(なんてやつだ……どういう神経してるんだ? 人を見る目がなさすぎる。こんな奴をアスーナを婚約させてしまっていたのか? そして今はソルティアと……なんということだ)
(カリブラは一体どういう神経をしているの? 絶対逆でしょ。そんなことも分からないなんて……この子に当主は無理だわ)
カリブラの馬鹿さ加減に呆れ果てたノゲムスとマキナは、もう諦めることにした。この二人、特にカリブラの方は身をもって経験しなければ分からないと判断したのだ。
(ソルティアのわがままぶりを考えればすぐにボロが出るはず……そうなればこいつも分かるだろう。侯爵夫人は厳しいだろうからソルティアも最終的に後悔するやもしれん)
(カリブラは痛い目に遭わないとわからないわね……私達も覚悟しないと……)
「わかった……好きにしろ」
「わかったわ……覚悟なさい」
こうしてソルティアが侯爵家に移り住むことが決まった。このときのソルティアとカリブラは大喜びするのだが、最終的には後悔することとなった。
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