【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)

文字の大きさ
90 / 141
第3章 王都防衛編

第90話 赤青橙ゾンビ戦3・コンビネーション

しおりを挟む
 大砲持ちのだいだいゾンビを倒し、赤と青のゾンビだけになった。

 橙の最後に放ったビームにより、赤ゾンビは右足が無くなって、その場にひざをついた。チャンスだ。回復タイプの黄色が来る前に倒さなければならない。

 俺が鎧兵部隊を差し向けると、赤をかばうように盾持ちの青が前へ出てきた。

「お手伝いしますわ!」

 オイチとトマティナの部隊が青ゾンビの左右から挟撃きょうげきを仕掛ける。

「グルァ!」

 青ゾンビは気合いを入れるような声を上げながら両手に盾を出現させて、鎧兵の進路を塞ぐように地面へ突き立てた。

衝立ついたてごときで防げると思うなよ!」

 俺が部隊を回り込ませようとしていると、急に盾から無数の棘が生えた。それにより兵達は串刺し、あるいは潰されてしまう。

 チッ、そんな小技もあったのか。マジシャンかよ。

 さらに赤ゾンビの方は動けないながらも、体から剣を生成して、こちらへ向けて投げてきた。無限に生えるから使い放題かよ。カロリー消費しないのかぁ?

 イライラしながらも部隊を分散させて回避。相手との距離を詰める。

 敵は大味な攻撃しか出来ていない。このまま押し込めば勝てる……!

 勝利の二文字が頭をかすめ始めた、が、突然。青ゾンビが剣で赤ゾンビの“頭”を切断した。

「は!? どういうことだ!?」

 仲間割れ、乱心、合体などの用語が俺の脳内をよぎる。

 答えは青が赤ゾンビの頭を掴み、投球モーションに入ったところで分かった。青の視線の先には“回復タイプの黄色ゾンビ”。

 回復する気か……! 頭だけでも動くゾンビだし、もしかしたら頭部さえあれば体は再生可能なのかも知れない。

「ヤバい! 間に合わねぇ——」

 俺が鎧兵を動かす間もなく頭を投擲とうてきされようとしていた。しかし。

「——ワンステップ遅いわね」

 トマティナの落ち着いた声とともに青ゾンビの右足首が爆発した。クロスボウでスライムボムSB改を打ち込んでいたのだ。

 ダンスをしているだけあって相手の動きを読むことにけているのかもしれない。

「ガ……アァ……!」

 青ゾンビは苦しむような息を吐いて体勢が崩れる。しかし、倒れながらも無理矢理サイドスローのような投球フォームで赤ゾンビの頭を投げようとしていた。

「残念ですが、させませんわ」

 今度はオイチが赤の頭部を爆破した。

 一応占い師だしコイツも先読みが上手いのかもな。認めたくないけど。

 青のゾンビは右手と右足首を破壊されたせいでバランスを崩して地面に倒れ込んだ。

 その隙を逃すまいと俺の部隊が青の眼前にまで迫っていた。

 青ゾンビは受け身をとるのに手一杯で盾による防御ができない。

「面白い試みだったが、結果的に悪手だったな」

 コンビネーションはこちらが上だった。

「グルァ……!」

 青のゾンビはこちらに殺意を込めた視線を送るも、時すでに遅し。鎧兵が口から飛び込んで頭を爆破した。

 決着。

 これで三体倒した。残りは四体だ。

「このまま敵陣へ向かう! 援護を頼む!」

「了解!」
「わかりましたわ!」

 トマティナとオイチの返事を聞いて、すぐに俺は攻勢へと転じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...