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【第二部 異世界転移奇譚 RENJI 2 】「気づいたらまた異世界にいた。異世界転移、通算一万人目と10001人目の冒険者。」
第135話 はじめてのダンジョン攻略 ⑤
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ステラは3階に捕らわれていた。
6階は半分ほど囚人が捕らえられており、5階から下はすべての牢屋に囚人が捕らわれていた。
レンジたちはひとりひとりにすぐに助けるからと約束をし、そしてステラとエテメンアンキの管理システムの場所を尋ねた。
ステラが3階にいると教えてくれたのは、5階に捕らわれていたニーズヘッグ・ファフニールだった。
ステラの居場所がわかると、イルルとショウゴは「ボクたちは魔法人工頭脳を探すよ」とレンジとピノアに告げて、下の階へと降りていった。
レンジがニーズヘッグに送った風の精霊の魔法の伝書鳩が戻ってきてしまったのは、彼がエテメンアンキに捕らわれていたからだった。
そして、この世界における彼の名前が、ニーズヘッグではなかったからだった。
「アーチュウ・ファフニールという名前が、この世界でのぼくの名前だよ。
アーチュウは、ランスではガブリエルやアレクサンドに続くよくある名前でね、同じ町に何人もいるんだ。
だから、「優しいアーチュウ」だとか「いじわるなアーチュウ」、「家の近所のアーチュウ」みたいに呼ばれるんだ。
この世界に竜騎士はいないけれど、ファフニール家が騎士の家系なのは変わってなかった。
ぼくは、この世界でも本の虫で、臆病者のアーチュウって呼ばれていた。あとは、乗り物酔いのアーチュウとかね」
彼は前の世界の記憶を取り戻してはいたが、竜騎士の力は取り戻してはいなかった。
「ぼくを今助けることに意味はないよ。
レンジ君とピノアちゃんは、ステラちゃんを早く助けてあげて」
そう言った彼に、
「記憶を取り戻してるかどうかわからないけど、この世界にもアルマはいるよ」
とレンジは告げた。
「知ってる。この世界ではペインは滅んでないからね。
アルマは、ペインの王女なんだ。
もうアストリアの王子との結婚も決まってる」
彼は寂しそうにそう言った。
前の世界の記憶を取り戻すことと、前の世界の力を取り戻すことがイコールではないということに、なぜ自分は今まで気づかなかったのだろうとレンジは思った。
イルルから、この世界に竜騎士や戦乙女はいないと聞いていた。
だが、この世界に産まれていないと思っていたニーズヘッグを目の前にした瞬間、彼は前の世界のような竜騎士の力を記憶と共に取り戻しているにちがいないと思ってしまった。
エブリスタ兄弟は、この世界ではただの人ではなく、両性具有のアルビノの魔人として、前の世界以上の力を持って産まれてきていたが、その逆もこの世界では起こりえるのだ。
彼を助けることに意味がないなんていうことは決してなかった。
だが、今ではなかった。
魔法人工頭脳かスパコンか、この建物の管理システムを破壊しなければ、彼は看守ロボットたちに殺されてしまうだけだからだ。
「ステラを助けて、管理システムを破壊したら、必ず君を助けに来るから」
レンジはそう言ったが、
「無理だよ」
と、ニーズヘッグは言った。
その言葉の意味がレンジにもピノアにもわからなかったが、3階にいるステラを目の前にしてようやくわかった。
先に到着していたイルルとショウゴは頭を悩ませていた。
3階はフロア全体に巨大なスパコンがところ狭しと並び、その中心にステラはいた。
彼女は身体中にケーブルが刺されていた。
そして、そのケーブルはスパコンに繋がれていた。
「ステラ……?」
「ステラ!!」
レンジとピノアの呼び掛けに、ステラは返事をしなかった。
彼女は意識がなかった。
「ようこそ、エテメンアンキへ。
私は、神に仇なす者たちを管理する者。
名は、リヴァイアサン」
しかし、フロア全体に響き渡るその声は、ステラのものだった。
6階は半分ほど囚人が捕らえられており、5階から下はすべての牢屋に囚人が捕らわれていた。
レンジたちはひとりひとりにすぐに助けるからと約束をし、そしてステラとエテメンアンキの管理システムの場所を尋ねた。
ステラが3階にいると教えてくれたのは、5階に捕らわれていたニーズヘッグ・ファフニールだった。
ステラの居場所がわかると、イルルとショウゴは「ボクたちは魔法人工頭脳を探すよ」とレンジとピノアに告げて、下の階へと降りていった。
レンジがニーズヘッグに送った風の精霊の魔法の伝書鳩が戻ってきてしまったのは、彼がエテメンアンキに捕らわれていたからだった。
そして、この世界における彼の名前が、ニーズヘッグではなかったからだった。
「アーチュウ・ファフニールという名前が、この世界でのぼくの名前だよ。
アーチュウは、ランスではガブリエルやアレクサンドに続くよくある名前でね、同じ町に何人もいるんだ。
だから、「優しいアーチュウ」だとか「いじわるなアーチュウ」、「家の近所のアーチュウ」みたいに呼ばれるんだ。
この世界に竜騎士はいないけれど、ファフニール家が騎士の家系なのは変わってなかった。
ぼくは、この世界でも本の虫で、臆病者のアーチュウって呼ばれていた。あとは、乗り物酔いのアーチュウとかね」
彼は前の世界の記憶を取り戻してはいたが、竜騎士の力は取り戻してはいなかった。
「ぼくを今助けることに意味はないよ。
レンジ君とピノアちゃんは、ステラちゃんを早く助けてあげて」
そう言った彼に、
「記憶を取り戻してるかどうかわからないけど、この世界にもアルマはいるよ」
とレンジは告げた。
「知ってる。この世界ではペインは滅んでないからね。
アルマは、ペインの王女なんだ。
もうアストリアの王子との結婚も決まってる」
彼は寂しそうにそう言った。
前の世界の記憶を取り戻すことと、前の世界の力を取り戻すことがイコールではないということに、なぜ自分は今まで気づかなかったのだろうとレンジは思った。
イルルから、この世界に竜騎士や戦乙女はいないと聞いていた。
だが、この世界に産まれていないと思っていたニーズヘッグを目の前にした瞬間、彼は前の世界のような竜騎士の力を記憶と共に取り戻しているにちがいないと思ってしまった。
エブリスタ兄弟は、この世界ではただの人ではなく、両性具有のアルビノの魔人として、前の世界以上の力を持って産まれてきていたが、その逆もこの世界では起こりえるのだ。
彼を助けることに意味がないなんていうことは決してなかった。
だが、今ではなかった。
魔法人工頭脳かスパコンか、この建物の管理システムを破壊しなければ、彼は看守ロボットたちに殺されてしまうだけだからだ。
「ステラを助けて、管理システムを破壊したら、必ず君を助けに来るから」
レンジはそう言ったが、
「無理だよ」
と、ニーズヘッグは言った。
その言葉の意味がレンジにもピノアにもわからなかったが、3階にいるステラを目の前にしてようやくわかった。
先に到着していたイルルとショウゴは頭を悩ませていた。
3階はフロア全体に巨大なスパコンがところ狭しと並び、その中心にステラはいた。
彼女は身体中にケーブルが刺されていた。
そして、そのケーブルはスパコンに繋がれていた。
「ステラ……?」
「ステラ!!」
レンジとピノアの呼び掛けに、ステラは返事をしなかった。
彼女は意識がなかった。
「ようこそ、エテメンアンキへ。
私は、神に仇なす者たちを管理する者。
名は、リヴァイアサン」
しかし、フロア全体に響き渡るその声は、ステラのものだった。
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