7 / 102
戦況を変えるための一手の考案
しおりを挟む
「殿!!御免!!」
と、声がした瞬間、津久見は目を覚まし、今にも叩いて来るであろう手を抑えた。
「と、と、殿。お気づきに?」
「ああ。また叩かれる所だったよ。」
(俺はいつから気絶癖がついたんだ…。)
と起き上がりながら思う。
(仕方ないよな…。こんな色々な事が連続で起きるんだもん…。)
「殿一大事でございます。朽木…。」
「脇坂軍が裏切ったんでしょ。」
と、左近を制するように言う。
「何と!ご存じでございましたか!」
「いや、ご存じとかじゃなくて…。それより左近ちゃん。」
「ちゃん?」
「もう良いよ左近ちゃんで。」
「はあ。」
左近は困惑した顔をする。そんな左近をよそに津久見は続ける。
「左近ちゃんさ。どうにか大谷軍助けられない?」
「刑部殿をでございますか?」
「うん。大谷軍が崩れると、戦況が危うくなるからさ。」
「そうでございますな。幸い先程の殿の、首は討ち捨ての下知のお蔭でわが隊は、有利に戦況を進めておりますので、幾分かは兵を割けれるかと。」
「頼んでもいいかい?」
「無論。」
左近は、振り返り陣幕の外に出ようとする。そんな左近に津久見は
「あ~あのさ。」
「は?」
「あんまり敵を懲らしめない程度でね?」
「ん?」
「左近ちゃんのその何か威厳みたいな感じでどうにか、相手を逃げさせて?」
「はあ。」
首をかしげながら左近は外に出て行った。
「ふう。これで、大谷軍が持ちこたえれば…。」
と、一人空を見上げながら呟いた。
「次は…。」
視線を左側の森林の方へ向け、思慮を深めた。
(島津か……。)
「誰か!!!誰かいませんか!!!」
と、津久見は陣幕から顔をひょこっと出し言った。
「はっ。」
とすぐさま一人の男が駆け付けてきた。
「あの~ちょっと島津さんの所まで案内してくれませんか?」
「はあ。」
男はちょっと様子の変な三成に言われて、馬を用意した。
「これに。」
ひょっいと、馬にまたがった。
津久見は学生時代、彼女に誘われ、大阪・和泉の乗馬クラブに通っていたことがあり、
馬の扱いには慣れていた。
(なんか、小ぶりだなこの馬…。そういえば戦国時代の馬って現代の馬より小さかったって聞いたことあったけか)
「案内いたしまする。」
と、男は先に馬に乗って走って行く。
「はっ!」
と津久見も馬に鞭を入れると、馬は走り出した。
馬は鞭に従順でとても素直だった。
(良い子だな。名前つけてあげようかな)
そんなことを考えながら、林間を走る。
「シップ!シップが良い!」
津久見は、現実世界の競馬でゴールドシップのファンであったことから、その名前を付けたようである。
「シップ!走れ~。」
と、叫び2.3km走り、自陣の北にある森に陣を張る島津隊の陣幕にたどり着いた。
「シップをお願いします。」
と、馬を降り手綱を、案内してくれた男に渡す。
「しっぷ?」
と、ポカーンと口を開けている男を横目に、津久見は島津隊本陣の陣幕をめくる。
「すみませ~ん。石田です~。」
そこには、丸坊主で、立派な口ひげを携えた男が目を瞑って座っていた。
津久見の存在に気付いた、その男は目をパッとあけ
「きえ~~~~!!!」
と叫んだ。
津久見は白目をむいて、倒れた。
第6話 完
と、声がした瞬間、津久見は目を覚まし、今にも叩いて来るであろう手を抑えた。
「と、と、殿。お気づきに?」
「ああ。また叩かれる所だったよ。」
(俺はいつから気絶癖がついたんだ…。)
と起き上がりながら思う。
(仕方ないよな…。こんな色々な事が連続で起きるんだもん…。)
「殿一大事でございます。朽木…。」
「脇坂軍が裏切ったんでしょ。」
と、左近を制するように言う。
「何と!ご存じでございましたか!」
「いや、ご存じとかじゃなくて…。それより左近ちゃん。」
「ちゃん?」
「もう良いよ左近ちゃんで。」
「はあ。」
左近は困惑した顔をする。そんな左近をよそに津久見は続ける。
「左近ちゃんさ。どうにか大谷軍助けられない?」
「刑部殿をでございますか?」
「うん。大谷軍が崩れると、戦況が危うくなるからさ。」
「そうでございますな。幸い先程の殿の、首は討ち捨ての下知のお蔭でわが隊は、有利に戦況を進めておりますので、幾分かは兵を割けれるかと。」
「頼んでもいいかい?」
「無論。」
左近は、振り返り陣幕の外に出ようとする。そんな左近に津久見は
「あ~あのさ。」
「は?」
「あんまり敵を懲らしめない程度でね?」
「ん?」
「左近ちゃんのその何か威厳みたいな感じでどうにか、相手を逃げさせて?」
「はあ。」
首をかしげながら左近は外に出て行った。
「ふう。これで、大谷軍が持ちこたえれば…。」
と、一人空を見上げながら呟いた。
「次は…。」
視線を左側の森林の方へ向け、思慮を深めた。
(島津か……。)
「誰か!!!誰かいませんか!!!」
と、津久見は陣幕から顔をひょこっと出し言った。
「はっ。」
とすぐさま一人の男が駆け付けてきた。
「あの~ちょっと島津さんの所まで案内してくれませんか?」
「はあ。」
男はちょっと様子の変な三成に言われて、馬を用意した。
「これに。」
ひょっいと、馬にまたがった。
津久見は学生時代、彼女に誘われ、大阪・和泉の乗馬クラブに通っていたことがあり、
馬の扱いには慣れていた。
(なんか、小ぶりだなこの馬…。そういえば戦国時代の馬って現代の馬より小さかったって聞いたことあったけか)
「案内いたしまする。」
と、男は先に馬に乗って走って行く。
「はっ!」
と津久見も馬に鞭を入れると、馬は走り出した。
馬は鞭に従順でとても素直だった。
(良い子だな。名前つけてあげようかな)
そんなことを考えながら、林間を走る。
「シップ!シップが良い!」
津久見は、現実世界の競馬でゴールドシップのファンであったことから、その名前を付けたようである。
「シップ!走れ~。」
と、叫び2.3km走り、自陣の北にある森に陣を張る島津隊の陣幕にたどり着いた。
「シップをお願いします。」
と、馬を降り手綱を、案内してくれた男に渡す。
「しっぷ?」
と、ポカーンと口を開けている男を横目に、津久見は島津隊本陣の陣幕をめくる。
「すみませ~ん。石田です~。」
そこには、丸坊主で、立派な口ひげを携えた男が目を瞑って座っていた。
津久見の存在に気付いた、その男は目をパッとあけ
「きえ~~~~!!!」
と叫んだ。
津久見は白目をむいて、倒れた。
第6話 完
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
25
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる