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戦と言うもの
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「ぱっかぱっか。」
馬の走る心地よい振動で、津久見は目を覚ました。
(ん?また気絶していたのか…。)
ふと隣を見ると、先ほど馬を引いてきてくれた男が、馬に乗り並走していた。
手には津久見の馬の手綱も握っている。
「殿。お目覚めでございますか。」
「う、うん。あれ?義弘殿は?」
と、手綱を受け取り言う。
「はっ。薩摩守様は『なんとも治部殿は心変わりでもしたかの』と、笑いながら私めに殿を連れていくように言われました。」
「そっか。ありがとうございます。」
「いえいえ。何を仰いますか。」
と、男は畏まりながら言う。
「そういえばお名前聞いてなかったですね。お名前は何と?」
「私でございますか?」
「うん。」
「私は石田家馬回り役の平岡権平雪之丞康弘と申しまする。」
「なんか難しいな…。じゃあ平岡ちゃんで。」
と、笑顔を見せる。
「ちゃん?」
「さてと、島津のおっちゃんの出方は分からないけどあとは…。」
「おっちゃん?」
「大谷さんのところに行こう。」
「大谷さん?刑部様でございますか?」
「うん。」
「殿、お言葉でございますが…。刑部様の部隊は今、藤堂隊・脇坂隊・朽木隊と戦闘中にございます故、少々危ないかと…。」
自分の仕える主君に名前を覚えられ、心なしか三成に頼られている様な気がした平岡は、少し誇らしくもあった。
「いや。本当にあそこが重要なのよ。」
「…。」
平岡は顔を曇らせる。
「平岡ちゃん。行こう。案内して。」
と、シップの尻に鞭を入れ、先に走っていった。
平岡も慌てて馬に鞭を入れ追いかける。
「殿~。お待ちくだされ~。」
(殿はわしが守る!!)
平岡の目つきが変わった。
ほどなくすると、土埃が立ちこめる平原に出た。
「殿。ここからはちと危険にございますゆえ、私に付いてきてくだされ。」
と、平岡は津久見の前を走る。
すると前方から爆発音や、刀剣の重なり合う音、そして断末魔の様な叫び声が聞こえて来た。
平岡は敵の居ないところを上手く誘導する。
そこら中に死体が転がっている。
まだ息をし、
「おっかあ…。」
と、最後の言葉を振り絞るどこの軍か分からない足軽の姿もある。
津久見はそれを涙目で見ながら実感した。
(これが。戦…。これが…。)
何度か吐き気を催しながらも、必死に耐えながら、馬を進める。
耳をふさぎたくなるような阿鼻叫喚であった。
津久見の中で、戦というものへの憎悪が生まれてきた。
(この戦。どうにか止めなけれ…)
と、深く決意をしようとすると津久見はまたシップの背中にもたれかかっていた。
第8話 完
馬の走る心地よい振動で、津久見は目を覚ました。
(ん?また気絶していたのか…。)
ふと隣を見ると、先ほど馬を引いてきてくれた男が、馬に乗り並走していた。
手には津久見の馬の手綱も握っている。
「殿。お目覚めでございますか。」
「う、うん。あれ?義弘殿は?」
と、手綱を受け取り言う。
「はっ。薩摩守様は『なんとも治部殿は心変わりでもしたかの』と、笑いながら私めに殿を連れていくように言われました。」
「そっか。ありがとうございます。」
「いえいえ。何を仰いますか。」
と、男は畏まりながら言う。
「そういえばお名前聞いてなかったですね。お名前は何と?」
「私でございますか?」
「うん。」
「私は石田家馬回り役の平岡権平雪之丞康弘と申しまする。」
「なんか難しいな…。じゃあ平岡ちゃんで。」
と、笑顔を見せる。
「ちゃん?」
「さてと、島津のおっちゃんの出方は分からないけどあとは…。」
「おっちゃん?」
「大谷さんのところに行こう。」
「大谷さん?刑部様でございますか?」
「うん。」
「殿、お言葉でございますが…。刑部様の部隊は今、藤堂隊・脇坂隊・朽木隊と戦闘中にございます故、少々危ないかと…。」
自分の仕える主君に名前を覚えられ、心なしか三成に頼られている様な気がした平岡は、少し誇らしくもあった。
「いや。本当にあそこが重要なのよ。」
「…。」
平岡は顔を曇らせる。
「平岡ちゃん。行こう。案内して。」
と、シップの尻に鞭を入れ、先に走っていった。
平岡も慌てて馬に鞭を入れ追いかける。
「殿~。お待ちくだされ~。」
(殿はわしが守る!!)
平岡の目つきが変わった。
ほどなくすると、土埃が立ちこめる平原に出た。
「殿。ここからはちと危険にございますゆえ、私に付いてきてくだされ。」
と、平岡は津久見の前を走る。
すると前方から爆発音や、刀剣の重なり合う音、そして断末魔の様な叫び声が聞こえて来た。
平岡は敵の居ないところを上手く誘導する。
そこら中に死体が転がっている。
まだ息をし、
「おっかあ…。」
と、最後の言葉を振り絞るどこの軍か分からない足軽の姿もある。
津久見はそれを涙目で見ながら実感した。
(これが。戦…。これが…。)
何度か吐き気を催しながらも、必死に耐えながら、馬を進める。
耳をふさぎたくなるような阿鼻叫喚であった。
津久見の中で、戦というものへの憎悪が生まれてきた。
(この戦。どうにか止めなけれ…)
と、深く決意をしようとすると津久見はまたシップの背中にもたれかかっていた。
第8話 完
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