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第四章:華燭の姫君
第45話 銀の王(1)
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イルーシャが月読の塔に五百年以前も入ってたなんて初耳だ。
少し痛みを覚えるこめかみを押さえながら、わたしはアークリッド王に答えた。
「……わたしはイルーシャです」
「なぜこんな所にいる。見たところ封印をされていたようだが」
「なぜここにいるのかは分からないです」
「……記憶を失っているのか?」
「ええ、まあ、そんなところです。所々記憶が残っていたりもするんですけど」
これでこの王に納得してもらえただろうか。まさか、精神だけ未来から来たとは言えないし。
「……不審な女だな」
当然納得できないというように、アークリッド王がわたしを胡散臭そうに見る。
……まあ、その態度は当たり前だと思うよ。わたしが彼でもおかしいと思うもん。
私が小さな溜息を漏らしていると、アークリッド王は、私の胸元付近に指を伸ばした。
「え、え……?」
「なにもしない。睡蓮の呪いの残留があったから、それを祓っていただけだ」
「……わたし、呪いにかかっていたの?」
「ああ、だが既に消えている。心配することはない」
と、言うことは、この塔に入る前に睡蓮の呪いにかかっていたってことだよね。……だからこの塔に封印されたんだろうか。
わたしが口元を押さえて考え込んでいると、アークリッド王は移動魔法を使ってきた。
移動した先は、たぶん王の執務室。
「ルドルフ、白きの塔の結界が消えた。この女は塔に眠っていた女だ」
アークリッド王がルドルフと呼んだ人は四十代後半、なんとなく威厳があるところを見ると、この国の宰相だろうか。
「なんと……、どの魔術師もかなわなかったあの結界が消えるとは。……それにしても相当に美しい方ですね。絶世の美女とはこういう方のことを言うのでしょう」
興味深そうにルドルフさんがわたしをまじまじと見つめてくる。
「あの……、わたしこれからどうなるんでしょう」
「どうやら、姫君らしいですし、王宮で保護されるのもよいのでは。塔の姫君が目覚めたことで、我が国に良い経済効果をもたらすかもしれませんし」
経済効果って……。キースもそうだけど、なんでこの国の人はこういう発想ばかりするんだ。
「あ、あの……できれば、わたしは外に出ていきたくないんですけれど」
「なぜだ」
アークリッド王が、不思議そうに聞いてくる。
「……ある人に言われたことですが、わたしは傾国の姫君になりうるそうなんです。ですから、あまり人前、それも諸外国の方の前には出たくありません」
諸外国から妃にと望まれて、それで戦争なんて起こったら困る。だから、わたしはやたらと姿を見せない方がいいだろう。
「……それと、出来ましたら、わたしを幽閉していただけると助かるんですが」
「……なにを言っている」
アークリッドがわたしの言葉に瞳を見開いた。
「わたしは誰にも会わない方がいいんです。実際に私を巡って大きな争いに発展したこともありますし」
「……それは、おまえの記憶の中での話だろう。ガルディアは魔法大国だ。そうやすやすと諸外国に攻め込まれるとは思えない」
……そうは言っても、五百年後の世界で、国境の砦に攻め込まれちゃったんだよ。
「……まあ、いい。イルーシャと言ったか、おまえを幽閉などしないし、しばらくはこの王宮でゆっくりしているといい」
わたしはアークリッド王の言葉に瞠目した。
「こんな得体の知れない女を王宮に置くんですか? それは少し無謀ではないでしょうか」
「おまえになにかができるとは思えないが。間者ならもっとうまく立ち回るだろうしな」
うう、その通りなんだけど、この王様、結構口が悪いよ。
「……でも、わたしは不完全ですが、過去視が使えますよ。自分ではコントロール出来ませんが」
わたしがそう言うと、アークリッド王はまじまじとわたしを見つめた。
「……過去視か。それは変わった能力だな。今までにどんなものを見た」
「え、と、それは戦況やその被害状況ですとか、周囲の様子とかですね。自分で見ようと思って、発動できないのが悔しいですが」
わたしが顔をしかめてそう言うと、アークリッド王は少し考える仕草をした。
「……そうか。もしかしたら、おまえの能力は我々の役に立つかもしれない」
「はい? ……もしかして今ここでは戦争が起こっているんですか?」
「戦争というか、トゥルティエールとの国境付近の小競り合いだがな」
「あれ、ハーメイはないんですか?」
確かトゥルティエールとガルディアの間にはあの国が挟まれていたはずだ。
「……ハーメイ? そんな国はないぞ」
アークリッド王がなにを言ってるんだという顔で見てきたので、わたしは自分がとんでもない間違いをおかしたことに気がついた。
そうか、まだこの時代にはハーメイはないんだ。まずいまずい、うっかり自分のいた時代のこと話しちゃったよ。
「あ、あれ、記憶違いかな……? ごめんなさい、わたしの勘違いだったみたい」
すっかりうろたえながら、わたしはアークリッド王に頭を下げる。
「……今まで気が付かなかったが、おまえ、口調が姫君らしくないな」
まじまじとアークリッド王に見つめられて、わたしは自分の口調が元に戻っていることに気が付いて慌てて口を押さえた。
「ご、ごめんなさい! あ、いえ、申し訳ありません、アークリッド王!」
うああ、一国の王に町娘そのものの口調で話しかけちゃったよ! これがカディスとかロアディールあたりなら気にしないんだけど。
わたしが自分の迂闊さに頭を抱えていると、やがて小さく噴き出す音が聞こえた。
見ると、アークリッド王が声を殺して笑っている。……とりあえず、それほど厳しい人でなくて良かったってことなんだろうか。
「……いや、そのままの口調でかまわない。姫君の作法も出来ているようなのに、おまえはおもしろいな」
そう言って笑いかけられると彼の藍色の瞳が意外なほどに優しくなる。
わたしはそれになんとなくどきりとしながらも、しどろもどろになって言った。
「で、でも、一国の王に普段通りの口調なんて無理です」
「王であるわたしが許可すると言っている。……それと、わたしのことはアークリッド、もしくはアークでいい」
「え……」
びっくりしてわたしが彼の顔を見ると、彼がふっと優しく笑った。
その様子に、わたしの心臓がまた飛び跳ねる。
ど、どうしちゃったの、わたし……?
「で、でも、あなたのことを呼び捨てになんてできません」
「……おまえは結構強情だな。わたしが許可すると言っているだろう。もちろん、これは周りの者にも徹底させておく。それで問題はないだろう。……わたしもおまえのことをイルーシャと呼ぶがそれでいいか」
「は、はい。それはもちろん」
王である彼にここまで言われたら断れない。わたしはおずおずと頷いた。
「それでは早速わたしの名を呼んでみろ」
「ア、アーク?」
「ああ」
わたしが名を呼ぶとまた彼が微笑んだ。すると、再びわたしの動悸が激しくなる。
こ、これは、絶対に変だ。
これじゃ、まるでわたしがアークに気があるみたいじゃない。
今まで彼以上の美貌を持つ人ならヒューがいたし、同じ系統の顔ならキースがいた。
……それなのに、そんな馬鹿なことあるわけないじゃない。
わたしは無理矢理自分を納得させると、アークに気になっていたことを質問してみる。
「それで、わたしの処遇はどうなるのかな?」
「ああ、おまえはわたしの客人扱いということにする。それから、おまえをあの塔に眠っていた姫君として扱うかはこれから検討する」
もしかしなくても、これって特別待遇だよね。こんな身元も分からない不審な女をこんなに丁重に扱ってくれるなんて信じられない。
「そんな、悪いよ。そんな特別待遇にしてくれなくてもいいから!」
「いや、これは警護上の問題もある。おまえのその美貌だと、貴族どもの格好の餌食になる。そうなりたくなければ、素直に承諾しろ」
そう言われて、わたしはちょっとぞっとしてしまって、自分の体を抱きしめた。ほんの少しだけど、ロアディールに襲われたときのことも思い出しちゃったよ。
「……陛下、女性を脅されるのはどうかと思われます。イルーシャ様、震えていらっしゃるではないですか」
ルドルフさんに諫められて、アークがわたしの顔を見る。彼は眉を顰めるとわたしに近寄ってきた。
「……すまない。そんなに脅すつもりはなかったんだが」
そう言うと、アークはわたしの瞳に浮かぶ涙を指で拭った。
それだけでまたわたしの心臓が飛び跳ねる。それを隠すようにわたしは慌ててアークから離れて言った。
「わ、分かった。警護上の問題なら仕方ないよね」
アークは避けるように離れたわたしを驚いたように見ると、苦笑した。……ああ、あまりにもあからさますぎたかなあ。せっかく心配してくれてるのに、ちょっと罪悪感。
「ああ、おまえには警護の騎士と侍女も付けて万全の体制を取る。だから、ここで安心して過ごせばいい」
「うん、ありがとう」
わたしは出来るだけのことをしてくれているアークに感謝して頭を下げる。
わたしが長い間結界に阻まれていた塔に眠っていた姫だったからか、はたまた、わたしの能力が特殊だったのがその理由なのかは分からないけれど、特別待遇で王宮に滞在することになってしまった。
もしかしたらみんなに心配かけてるかもしれないし、本当は早く五百年後の元の体に戻らないといけないんだけど。
けれど、なんとなくもうちょっとこの世界にいてもいいかななんて思ってる自分もいて、その思考のおかしさに愕然とする。
わたし、この世界に来てからなにかおかしい気がする。そう思うわたしの視線の先にはアークがいた。すると、彼と目があって、わたしは慌ててアークから目を逸らす。
……わたし、本当におかしい。いったい、わたしどうしちゃったの?
少し痛みを覚えるこめかみを押さえながら、わたしはアークリッド王に答えた。
「……わたしはイルーシャです」
「なぜこんな所にいる。見たところ封印をされていたようだが」
「なぜここにいるのかは分からないです」
「……記憶を失っているのか?」
「ええ、まあ、そんなところです。所々記憶が残っていたりもするんですけど」
これでこの王に納得してもらえただろうか。まさか、精神だけ未来から来たとは言えないし。
「……不審な女だな」
当然納得できないというように、アークリッド王がわたしを胡散臭そうに見る。
……まあ、その態度は当たり前だと思うよ。わたしが彼でもおかしいと思うもん。
私が小さな溜息を漏らしていると、アークリッド王は、私の胸元付近に指を伸ばした。
「え、え……?」
「なにもしない。睡蓮の呪いの残留があったから、それを祓っていただけだ」
「……わたし、呪いにかかっていたの?」
「ああ、だが既に消えている。心配することはない」
と、言うことは、この塔に入る前に睡蓮の呪いにかかっていたってことだよね。……だからこの塔に封印されたんだろうか。
わたしが口元を押さえて考え込んでいると、アークリッド王は移動魔法を使ってきた。
移動した先は、たぶん王の執務室。
「ルドルフ、白きの塔の結界が消えた。この女は塔に眠っていた女だ」
アークリッド王がルドルフと呼んだ人は四十代後半、なんとなく威厳があるところを見ると、この国の宰相だろうか。
「なんと……、どの魔術師もかなわなかったあの結界が消えるとは。……それにしても相当に美しい方ですね。絶世の美女とはこういう方のことを言うのでしょう」
興味深そうにルドルフさんがわたしをまじまじと見つめてくる。
「あの……、わたしこれからどうなるんでしょう」
「どうやら、姫君らしいですし、王宮で保護されるのもよいのでは。塔の姫君が目覚めたことで、我が国に良い経済効果をもたらすかもしれませんし」
経済効果って……。キースもそうだけど、なんでこの国の人はこういう発想ばかりするんだ。
「あ、あの……できれば、わたしは外に出ていきたくないんですけれど」
「なぜだ」
アークリッド王が、不思議そうに聞いてくる。
「……ある人に言われたことですが、わたしは傾国の姫君になりうるそうなんです。ですから、あまり人前、それも諸外国の方の前には出たくありません」
諸外国から妃にと望まれて、それで戦争なんて起こったら困る。だから、わたしはやたらと姿を見せない方がいいだろう。
「……それと、出来ましたら、わたしを幽閉していただけると助かるんですが」
「……なにを言っている」
アークリッドがわたしの言葉に瞳を見開いた。
「わたしは誰にも会わない方がいいんです。実際に私を巡って大きな争いに発展したこともありますし」
「……それは、おまえの記憶の中での話だろう。ガルディアは魔法大国だ。そうやすやすと諸外国に攻め込まれるとは思えない」
……そうは言っても、五百年後の世界で、国境の砦に攻め込まれちゃったんだよ。
「……まあ、いい。イルーシャと言ったか、おまえを幽閉などしないし、しばらくはこの王宮でゆっくりしているといい」
わたしはアークリッド王の言葉に瞠目した。
「こんな得体の知れない女を王宮に置くんですか? それは少し無謀ではないでしょうか」
「おまえになにかができるとは思えないが。間者ならもっとうまく立ち回るだろうしな」
うう、その通りなんだけど、この王様、結構口が悪いよ。
「……でも、わたしは不完全ですが、過去視が使えますよ。自分ではコントロール出来ませんが」
わたしがそう言うと、アークリッド王はまじまじとわたしを見つめた。
「……過去視か。それは変わった能力だな。今までにどんなものを見た」
「え、と、それは戦況やその被害状況ですとか、周囲の様子とかですね。自分で見ようと思って、発動できないのが悔しいですが」
わたしが顔をしかめてそう言うと、アークリッド王は少し考える仕草をした。
「……そうか。もしかしたら、おまえの能力は我々の役に立つかもしれない」
「はい? ……もしかして今ここでは戦争が起こっているんですか?」
「戦争というか、トゥルティエールとの国境付近の小競り合いだがな」
「あれ、ハーメイはないんですか?」
確かトゥルティエールとガルディアの間にはあの国が挟まれていたはずだ。
「……ハーメイ? そんな国はないぞ」
アークリッド王がなにを言ってるんだという顔で見てきたので、わたしは自分がとんでもない間違いをおかしたことに気がついた。
そうか、まだこの時代にはハーメイはないんだ。まずいまずい、うっかり自分のいた時代のこと話しちゃったよ。
「あ、あれ、記憶違いかな……? ごめんなさい、わたしの勘違いだったみたい」
すっかりうろたえながら、わたしはアークリッド王に頭を下げる。
「……今まで気が付かなかったが、おまえ、口調が姫君らしくないな」
まじまじとアークリッド王に見つめられて、わたしは自分の口調が元に戻っていることに気が付いて慌てて口を押さえた。
「ご、ごめんなさい! あ、いえ、申し訳ありません、アークリッド王!」
うああ、一国の王に町娘そのものの口調で話しかけちゃったよ! これがカディスとかロアディールあたりなら気にしないんだけど。
わたしが自分の迂闊さに頭を抱えていると、やがて小さく噴き出す音が聞こえた。
見ると、アークリッド王が声を殺して笑っている。……とりあえず、それほど厳しい人でなくて良かったってことなんだろうか。
「……いや、そのままの口調でかまわない。姫君の作法も出来ているようなのに、おまえはおもしろいな」
そう言って笑いかけられると彼の藍色の瞳が意外なほどに優しくなる。
わたしはそれになんとなくどきりとしながらも、しどろもどろになって言った。
「で、でも、一国の王に普段通りの口調なんて無理です」
「王であるわたしが許可すると言っている。……それと、わたしのことはアークリッド、もしくはアークでいい」
「え……」
びっくりしてわたしが彼の顔を見ると、彼がふっと優しく笑った。
その様子に、わたしの心臓がまた飛び跳ねる。
ど、どうしちゃったの、わたし……?
「で、でも、あなたのことを呼び捨てになんてできません」
「……おまえは結構強情だな。わたしが許可すると言っているだろう。もちろん、これは周りの者にも徹底させておく。それで問題はないだろう。……わたしもおまえのことをイルーシャと呼ぶがそれでいいか」
「は、はい。それはもちろん」
王である彼にここまで言われたら断れない。わたしはおずおずと頷いた。
「それでは早速わたしの名を呼んでみろ」
「ア、アーク?」
「ああ」
わたしが名を呼ぶとまた彼が微笑んだ。すると、再びわたしの動悸が激しくなる。
こ、これは、絶対に変だ。
これじゃ、まるでわたしがアークに気があるみたいじゃない。
今まで彼以上の美貌を持つ人ならヒューがいたし、同じ系統の顔ならキースがいた。
……それなのに、そんな馬鹿なことあるわけないじゃない。
わたしは無理矢理自分を納得させると、アークに気になっていたことを質問してみる。
「それで、わたしの処遇はどうなるのかな?」
「ああ、おまえはわたしの客人扱いということにする。それから、おまえをあの塔に眠っていた姫君として扱うかはこれから検討する」
もしかしなくても、これって特別待遇だよね。こんな身元も分からない不審な女をこんなに丁重に扱ってくれるなんて信じられない。
「そんな、悪いよ。そんな特別待遇にしてくれなくてもいいから!」
「いや、これは警護上の問題もある。おまえのその美貌だと、貴族どもの格好の餌食になる。そうなりたくなければ、素直に承諾しろ」
そう言われて、わたしはちょっとぞっとしてしまって、自分の体を抱きしめた。ほんの少しだけど、ロアディールに襲われたときのことも思い出しちゃったよ。
「……陛下、女性を脅されるのはどうかと思われます。イルーシャ様、震えていらっしゃるではないですか」
ルドルフさんに諫められて、アークがわたしの顔を見る。彼は眉を顰めるとわたしに近寄ってきた。
「……すまない。そんなに脅すつもりはなかったんだが」
そう言うと、アークはわたしの瞳に浮かぶ涙を指で拭った。
それだけでまたわたしの心臓が飛び跳ねる。それを隠すようにわたしは慌ててアークから離れて言った。
「わ、分かった。警護上の問題なら仕方ないよね」
アークは避けるように離れたわたしを驚いたように見ると、苦笑した。……ああ、あまりにもあからさますぎたかなあ。せっかく心配してくれてるのに、ちょっと罪悪感。
「ああ、おまえには警護の騎士と侍女も付けて万全の体制を取る。だから、ここで安心して過ごせばいい」
「うん、ありがとう」
わたしは出来るだけのことをしてくれているアークに感謝して頭を下げる。
わたしが長い間結界に阻まれていた塔に眠っていた姫だったからか、はたまた、わたしの能力が特殊だったのがその理由なのかは分からないけれど、特別待遇で王宮に滞在することになってしまった。
もしかしたらみんなに心配かけてるかもしれないし、本当は早く五百年後の元の体に戻らないといけないんだけど。
けれど、なんとなくもうちょっとこの世界にいてもいいかななんて思ってる自分もいて、その思考のおかしさに愕然とする。
わたし、この世界に来てからなにかおかしい気がする。そう思うわたしの視線の先にはアークがいた。すると、彼と目があって、わたしは慌ててアークから目を逸らす。
……わたし、本当におかしい。いったい、わたしどうしちゃったの?
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