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番外編② 恋の調べ
*プレゼントは何、贈る?③
しおりを挟む「アヤ様、お帰りなさいませ!あら?エリオ様もご一緒でございましたの?」
部屋に戻ると、アリッサとローレンが、整頓・掃除をしていた。
「ちょうど良かった。侍女二人、手伝ってよ」
「エリオ?」
ニッと笑い、二人を手招きする。
アリッサたちに手伝ってもらうって……一体、何を?
「エリオ、いい案があるって言ってなかった?時間がないんだけど」
「大丈夫だよ。贈り物はこれから準備するんだから」
「だからだろ?!時間が…」
「準備するだけだって」
「?………………エリオ?あの、さ、意味が」
エリオの言ってる事が分かんない。
「みんなさぁ、なぁ~んで気づかないわけ?殿下が一番お喜びになるモノ、目の前にあるじゃない」
は??
目の前?目の前って、どこに??
訝しむ俺に、エリオが呆れたように、人差し指を俺に突きつけてくる。
「ん!」
「へっ??」
「へっ?じゃないよ。だ・か・ら!目の前」
エリオの人差し指が指し示すのは………………
「へっ?え、っと…お、れ?」
「それ以外、何があるわけ?」
「へっ?は、はぁ~~~~~~~~~?????」
俺が贈り物って、何だそりゃ?!
「首にリボンか何か巻いたら、それで十分でしょ。あとは、可愛らしく「はい、どうぞ♡」で、完璧じゃない」
いや!待て待て待て待て待て!!
完璧って!?首にリボンで、「はい、どうぞ♡」?
何だその、どっかで聞いた事のある、シチュエーション!
そんな、「プレゼントは、お・れ!ウフ♡」みたいな、寒い事、俺にやれってか?!
「む、む、無理ッッ!そんなの、やんねぇって!できない!つうか、やりたくねぇッッ!!」
「ハァッ?!何、言ってんだよ!時間、ないって言ったのアヤでしょ?!できないじゃなくて、やるの!」
「無理~~~~~~~!!」
「無理じゃな……」
「駄目ですわーーーーーーーーーーーーーーッッ!」
俺とエリオの言い争いを遮るように、アリッサが声を張る。
力一杯叫び、アリッサがむんっ!と気合いを入れて両手でファイティングポーズ。
「そうですわ!そんなの駄目ですわ!!」
ローレンもまた、両手で祈るように手を組む。
「アリッサ、ローレン……」
侍女ズが俺を気遣って……
「駄目ですわ…そんなの」
「そうですわ…そんなの」
二人とも顔を伏せ、ブツブツ呟き、バッと顔を上げ、
「「お首にリボンだけだなんて!そんなの勿体無いですわ!可愛くありませんわ~~~~~~~~~!」」
侍女ズの力一杯の力説に、俺はズッコケる。
ひどい……アリッサたちもひどいが、古典的なコケを入れた俺自身もひどすぎる!
「髪も横を結って、おリボン結んで♡」
「いざこういう時用にと、お作りしておいたリボンたっぷりのお洋服もきていただいてぇ♡」
「ちょっ、二人とも?!」
うっとり語り出す侍女ズに声をかけるが、聞いちゃいねぇ。
「殿下自らが、贈り物のリボンを解くかのように…」
「そう、ゆったりと……」
「ちょっ、…だからッッ!」
「「萌えますわぁ~~~~~~~~~~~~♡♡」」
「………………………」
頼むから、話、聞いてください……
「いいね、それ!じゃ、飾り付けは任せるよ?僕は、貯蔵番から葡萄酒貰ってくるから」
飾り付け………
俺はデコレーションケーキか?!
うぅっ…何か、侍女ズ二人、目もハートに嬉々として準備しだしたし。
こうなると、抵抗しても無駄。
葡萄酒を貰ってくるべく部屋を出て行くエリオ。
リボンやら、洋服やらを出してきて、キャッキャしだした侍女ズ。
それらを遠い目をしたまま見つめ、俺は盛大に溜め息をついていた。
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