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一月(弟)
#4
しおりを挟む壊れたスマホを拾って、自分の部屋に戻ろおうとした。が、後ろから襟を掴まれて逆方向に連れていかれる。
「ちょっと、何だよ! 離せ!」
壁を掴んで抵抗したけど、強い力で引っ張られてはどうにもならない。そんなに体格差があるわけじゃないのに、麻緋の力は強かった。
「痛っ!」
乱暴にベッドに押し倒される。連れられた先は、久しぶりに見る麻緋の部屋だった。
「なっ……何?怒ってんの? 逆ギレもいいとこだろ、男なんかとセックスしてたお前がおかしーんだから」
またまた頑張って煽ると、麻緋は内側からドアの鍵をかけた。
あれ。もしかして、結構やばい状況なんだろうか。
「千紘。お前、男どころか女ともシたことないんだろ?だからこういう事に喜んで首突っ込みたがる」
麻緋は薄ら笑いを浮かべてる。憤りとは違う表情。だけど本当の感情も読み取れなくて、鳥肌が立った。
「まだ……って何だよ。自分はもう経験豊富だからみたいな上から目線か」
「まさか、偉いわけないだろ。回数なんて言うもんじゃない。隠すべきだよ」
麻緋の言葉は、正直よく分からなかった。意味は分かるけど、その真意の奥にあるものまでは。
「お前はまだこんなこと知らなくていい。だから俺のことも、父さんには絶対に言うな」
「ハッ。やだね!」
回りくどく言ってるけど、単純に父さんに知られたくないだけだろうが。完璧な自分の印象が崩れるのが嫌だから。麻緋も結局他人の評価を気にする人間なんだと安堵し、心の中で嘲笑ったけど。
「そう。じゃあしょうがないな。お前は、俺が汚して。……守ってあげるよ」
汚して、守る。
どういう意味だろう。麻緋の台詞を頭の中で反芻してる最中、また強引に押し倒された。今度は完全に寝転がる形でシーツに沈む。
こんな非常時になんだけど、麻緋の香りがした。何年ぶりか分からない、すごく懐かしい香り。昔はこのベッドで二人で寝たことがあったっけ。
今も……でも、今はちょっと、寝るの意味が違う。
「千紘、少し大人しくしてろよ」
麻緋は自分が締めていたネクタイを外すと、千紘の両腕に巻き付けきつく縛った。
「何して……!」
さすがに恐怖心が募る。暴力……じゃない、これは……。
麻緋の手際は恐ろしいほど良かった。ベルトを外され、簡単に下着ごとズボンを下ろされる。数年ぶりに、兄に成長した裸体を見られてしまった。
それだけで気が狂いそうなほど恥ずかしくて、さっきまでの自分の言動、行動全てを後悔した。
「……何する気だよ」
「わかってるくせに。まぁお前が嫌がることはしたくないけど、ちょっと我慢しろよ」
麻緋は棚からローションを取り出す。
「父さんに言おうなんて、絶対思えないようにしてやる」
下半身だけマグマの中にいるみたいだ。喉も焼けるように熱く、泣き声すら上手く出せない。どれぐらいの時間が経ったのかも……。目隠しをされて今は暗闇の中に閉じ込められていた。
千紘はベッドの上で、麻緋にアニスを犯されている。
「あっ……は……ぁっ」
小さな穴にローションを塗りたくられ、中を指で掻き回される。
細いが長い、しなやかな指。普段からなんとなしに眺めていた、男とは思えない綺麗な指が、自分の一番汚いところに潜っている。非現実的過ぎて信じられなかった。
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