余計なお世話係

お出迎え

#２２

────俺が和巳さんをどれだけ想っていたか。

そんなの口で言ってもきっと伝わらないし、正直な話あまり知られたくない。

恥ずかしいから。

彼が異国の地で一生懸命働いてる間、自分は彼をおかずに夜を乗り切ってた、とか……話したらとんでもない事になる。あまりに卑猥で、最低で、そして情けない。
成長したのは見栄と虚勢だけ。誇れる部分なんて何一つ作れなかった。
でも会えなくて辛かったと正直に言うと、嬉しそうに微笑んでくれた。
「本当？ たまには俺のこと思い出したりしてくれた？」
「た、たまにどころか……ことある毎に和巳さんのこと思い出してました。高校の卒業式も、大学の入学式も……貴方に見てほしかった、って……ほんとに、思って」
そこまで言って、火が出そうなほど熱い顔を手で覆った。
彼はただの従兄弟。……ではない。下手したら親よりも繋がりの深い存在なんだ。
怖い時も寂しい時も、一番に駆け寄って来てくれたのは他でもない彼だ。想いは次第に肥大化して、友人や家族に抱く愛情とは別の形へ変わった。

「俺、和巳さんが好きです」

言った……言ってしまった。
頭が尋常じゃなく痛い。殴られてるみたいだ。胸も何かが突き刺さってるかのよう。
「すいません、こんな突然……気持ち悪いこと言って」
「そんなことない。すごい嬉しいよ」
和巳さんは、俺の額に軽くキスした。

「従兄弟じゃなくて……俺をひとりの男として、好きって言ってくれてんだよね？」

彼は念を押して意思確認してきた。黙って頷くと、ホッとした顔で笑った。
「良かった……。俺も、鈴が大好きだよ。恋愛感情で、大好き」
「えっ」
ということは、和巳さんも同性愛者……？
驚きを隠せないけど、体勢が辛かったのか彼は隣に移動して座った。
「拒否られたらどうしようかと思った。ずっと会いたくて色々考えてたんだ。もうお前には可愛い彼女がいるんじゃないか……とか、俺のことは忘れてんじゃないか、とか」
「それは、俺も同じです！ だって和巳さんは完璧で、色んな人に好かれてるから。嬉しい反面、やっぱりちょっと……寂しかった」
身体を起こし、膝立ちして彼に向き直った。
……すごい。心臓の音が聴こえそうなほど、今はドキドキしてる。

「和巳さん。俺、子どもの時はできなかったことを貴方としたい」