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シンプル
#3
しおりを挟むそれでも最後の砦というか、イクところだけは見せてはいけない気がした。
本当なら絶交されてもおかしくないことなのに────彼はどうしてこんなにも、心配そうに寄り添ってくれるんだろう。
「秋……っ」
「いいよ。大丈夫だから……早くイけ」
彼は片手で俺の口を塞ぎ、もう片手で自慰を手伝ってくれた。それが数十秒続き。
……壁に強く手をついた時、一息に全て吐き出ししてしまっていた。
「は、ぁっ……はぁ、……っ!」
生理的な反応で涙が流れる。後ろをちょっと弄っただけなのに腰が抜けて、便座の上にずり落ちた。
「おい、大丈夫か?」
「ごめん……見苦しい姿をお見せして。深く、深くお詫び申し上げま……」
「分かったから早く拭けって」
秋は頭が痛そうにため息をつくと、指につけていたゴムを外した。
「今日はこれで終わり。もう一回言っとくけど、最初から飛ばしたらダメだぞ。洗浄はちゃんとポンプ使うか、ウォシュレットがあんならそれでも良いと思う」
ボーっとしながら、何とか彼の話に頷く。でも完全に賢者タイムに陥ってしまった。
アナル開発に協力してもらうだけでも大変やばいお願いだったのに、オナニーまで手伝ってもらうとは……。
「後は頑張れよ? さすがにこれ以上は付き合えないからな。……お互いのために」
「うん。本当にありがとう、秋。今日教わったことを胸に刻んで、明日に繋げていくよ」
頭がおかしくなってるせいだと思うけど、さっきから変な台詞しか出てこない。
それでも何とか身支度を済ます。秋はそれを確認すると、ドアをゆっくり開けた。
「手洗ったらさっさと出ようぜ。……今日は仕方ないけど、トイレ好きじゃないんだ」
「? う、うん」
ドアを開けた秋に続き、外の冷気を吸う。
「はぁー……ほんとにちょっとしかやってないのに、お腹が変な感じ」
キャリーケースをガラガラ運びながら、秋と駅の方へ向かって歩いた。
「指でこんななのに、男のアレなんて入れたらどうなっちゃうんだろう。ねぇ、秋はどうだった? やっぱり相当準備してからセックスした?」
「うっ……俺の話はいいだろ。人それぞれだから」
何故か彼は青ざめて、視線を外す。でも、それから下がり眉で呟いた。
「……ま、抱かれる方は大変だよ」
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