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イジメ
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夜明けにはまだ間がある。
寝静まる街路の空気は澄んでいて、だけど特に清々しくはない。
こんな時間に行くあてもクソもないけれど、かといってまっすぐ寮に帰る気にはなれやしない。
だって帰ったとたん、どうせ同じ寮に住む娼婦や男娼からイジメられるだけなんだから。
同業者どうしの、妬み、嫉み、僻み。
お得意客の王侯貴族を獲りあって繰り広げられる、陰湿な嫌がらせの応酬。
顔と体が商売道具とあって、あからさまな暴力は誰も振るわない。そんなことがバレたら、親方に干されちゃう。
だから僕のような標的を見つけると、奴らはまずナイフか拳銃をちらつかせてこちらの動きを奪い、便所か路地裏に連れ込んで人目に立たないようにする。
それからみんなで力をあわせ、目立った傷跡や締め跡が残らない程度に僕を羽交い締めにして、便器を舐めさせるか、魔獣の糞を食わせるかする。
『もっとあえいでみなさいよ』
とか、
『感じるだろ?』
とか、そういうくだらないことを言って、みんなで大笑いする。
――ウンザリだ。
僕は寮の方角へ伸びる街路を反れ、道を踏み外し、橋へと向かう。
♢♦
寝静まる街路の空気は澄んでいて、だけど特に清々しくはない。
こんな時間に行くあてもクソもないけれど、かといってまっすぐ寮に帰る気にはなれやしない。
だって帰ったとたん、どうせ同じ寮に住む娼婦や男娼からイジメられるだけなんだから。
同業者どうしの、妬み、嫉み、僻み。
お得意客の王侯貴族を獲りあって繰り広げられる、陰湿な嫌がらせの応酬。
顔と体が商売道具とあって、あからさまな暴力は誰も振るわない。そんなことがバレたら、親方に干されちゃう。
だから僕のような標的を見つけると、奴らはまずナイフか拳銃をちらつかせてこちらの動きを奪い、便所か路地裏に連れ込んで人目に立たないようにする。
それからみんなで力をあわせ、目立った傷跡や締め跡が残らない程度に僕を羽交い締めにして、便器を舐めさせるか、魔獣の糞を食わせるかする。
『もっとあえいでみなさいよ』
とか、
『感じるだろ?』
とか、そういうくだらないことを言って、みんなで大笑いする。
――ウンザリだ。
僕は寮の方角へ伸びる街路を反れ、道を踏み外し、橋へと向かう。
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