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雨天の山コリカ
大量発生の理由
しおりを挟む「しんっっどっっ!」
「もう依頼未達成でいいから帰りたいんだけど…」
クラもジュンも、突き付けられた現実に、不満の声を漏らした。
幻の花コトコリカが見付からなくても、過程さえあれば大丈夫とは言え、魔物が多ければ退治に時間がかかるし、しんどい。
ただでさえ、山での探索だから、高い場所での作業で足場は悪いのに、更に風が強くて雨も降って、濡れて体が冷えて寒いしびしょびしょで気持ち悪くなるのに!
ーーてか、そんな魔物が大量発生してる所に、普通第7王子を紅の魔法使いに任せて送り込まないよね?!アレンさんはきっと、魔物の数も減って安全だと思ったから、渋々だけど、私達に任せる事を承諾したんだと思う。
これで王子様に何かあったら、私達の責任になっちゃったりするのかな?!
「流石にこんなに魔物が多かったら、花の探索どころじゃねーよ!」
「拠点場所から全く進んで無いもんね」
魔物の強さ的には、1匹1匹は対した事無いが、数が多すぎる。
「どーする?先に魔物の数減らすか?」
「しんど…。てか、魔物が大量発生してるって事は、数が増えていってるって事でしょ?イタチごっこにならない?」
例え私達が倒しても、また魔物が発生する。
ジュンとクラがこれからについて話している中、キリアは気になった事を、カトレアに聞いた。
「そもそも、魔物が大量発生した原因って、何か分かってるの?」
この世界の魔物のメカニズムは、ケイ先生に教えて貰ったけど、普通にいた動物達が変異して凶暴になったのを、魔物と呼ぶらしい。
前世でも、今年、鳥とか虫が大量発生しました!みたいなニュースがあって、気候やら天災やら、何かしら大量発生した理由があったから、魔物にも関係あるのかな?と思った。
「良い質問ですね。これはただの僕の憶測ですが、雨が原因では無いかと思います」
「雨?」
「はい。ここコリカは、雨天の山と呼ばれていますが、確かに、通常、雨が降りやすい地域では有りますが、それでも、最近の雨の量は異常だそうです」
普段よりも雨が多く、長く降り続けた。その結果ーー
「湿度を好む虫の魔物や、雨や泥を好む魔物が活性化し、数が増えたのでは無いかと考えています」
確かに……言われてみれば、そうゆう魔物の種類が多かった気がする。
「雨が原因なら、僕達にはどうする事も出来ないね」
話を聞いていたクラは、お手上げだと、手を上げた。
相手は自然現象。雨を意図的に止める事は出来ない。
「そうですね。基本的には、魔物の数をこれ以上増やさない為に、討伐を続ける事が大切になると思います」
「わー随分、古典的な手しか無いんだねー」
「今の所は」
魔物の強さ自体は、対したものでは無い。一般的な冒険者でも充分太刀打ち出来る。
「雨が降り続ける限り、魔物は増え続ける一方なので、雨が落ち着くのを待ちつつ、魔物退治を根気よく続けるしか有りません。実際、何十年前の資料に、今回と全く同じ事例が載っていました」
城の書庫にあった本には、雨が降り続け、魔物が大量発生した事、雨が落ち着いた後、魔物の数も落ち着いた事が記されていた。
「今雨が止んでるのはーー」
「はい。僕は、雨が落ち着く予兆では無いかと、考えています」
「…ふーん」
カトレアは、ただの自分の憶測だと言ったが、過去の事例など、根拠もきちんと示しているし、私は納得出来た。クラ兄さんも、何か思う所はあるみたいだけど、カトレアの憶測を納得したように見える。
クラ兄さんは私よりもよっぽど勘が鋭いし、頭も良い。
「なら、このまま雨が落ち着いていけば、魔物はこれ以上増えないから、徐々に魔物の数は減るって事ね」
「その通りです」
雨が止んだからと言って、直ぐに魔物が減る訳では無い。増えてしまった物は減らさないといけないし、今、雨が上がっているからと、雨が振り出さない保証は無い。
こうして話している間にも、雲が太陽を隠し、今にも雨が降りそうな天気に変化している。こればかりは自然現象なので、断言出来ない。
「結局どーすんだよ?花、探すのか?魔物退治すんのか?依頼諦めて帰んのか?」
論理的な話が苦手で、興味も無いジュンは、結論だけを求めた。
「……王子様の依頼を途中で断念したなんて知られたら、紅の魔法使いの威信に関わるから、帰らない」
本心は、依頼未達成でも良いから帰りたい。だが、クラはきちんと、仕事を優先した。実際、カトレアの依頼を途中で放り投げて帰ったりしたら、ケイ先生にも説教をくらいかねない。
「ご安心下さい。例え皆さんが依頼を放棄しても、僕は口外なんてしませんよ」
「……君がそうでも、他は違うでしょ?」
第7王子が紅の魔法使いと共に行動しているのは、少なくとも、城の関係者で、カトレアと関わる者なら、知っているだろう。
紅の魔法使いに直接引き渡したアレンは元より、城で彼に関わり合う機会があるメイドや執事達も、1ヶ月近くも留守にする主の事は聞いているだろう。
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