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二話
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「殺したこと……ないの?」
カヤはこっくりとうなずいた。口を開くと声が出てしまいそうになる。
ナナコはあまりにも平然とカヤの胸をなぞり続ける。
カヤのほうはうつむいたまま、顔を上げるられなかった。でも、頬に触れた指先には、あいも変わらず、冷たい感触がつたわる。
顔を反らしてコンクリートの壁に目をやった。
この更衣室ができたのは、まだ去年のこと。
それまでは男子も女子も教室で着替えていた。でも、詳しいことは知られていないけれど、その現場を外から写真に撮っていたとかいう変質者が捕まったとかで、去年の夏から急いで建てられた更衣室が使われるようになっていた。
急いだせいなのかどうなのか分からないが、この更衣室には欠陥があった。
発見したのはカヤ。
プールは体育館の裏にあって、校庭からも校舎からも見えない場所だった。
そんなプール脇の芝生は、カヤにとってかけがえのない場所だった。
小学校に入っても友達ができず、昼休みに居場所をなくし、ふらふらと漂っているうちに流れついたのが、そこだったのである。
それなのに、更衣室が建てられて、芝生はなくなってしまった。
かといって、ほかに居場所があるわけでもなかったので、カヤはやっぱり更衣室の壁に寄りかかって、かろうじて生き残ったシロツメ草たちと昼休みを過ごしていた……のだが。
ある日、前の日の夜にテレビでやっていた探偵もののアニメのマネをして、ヘアピンで更衣室の鍵穴をガチャガチャやっていると簡単に開いてしまうことに気付いたのだ。
☆
「もっと大きいのは?」
いつの間にか、ナナコの指先はカヤのブラウスのボタンを下からはずし、あらわになった縦長のおへその縁を綱渡りするようになぞっている。
「……ぁ」
つい、息が漏れた。
「猫より大きいの」
首筋にナナコの唇を感じた。
半分ボタンのはずれたブラウスの下で、ナナコの指先が、手のひらが。おへそから乳首へと、肋骨から鎖骨をつたい首筋まで撫でさすり……。ときにはやさしく、ときには軽くつねる。
「ゃだ……ナナコ……ゃ……」
ブラウスは完全にはだけ、少女の幼いながら精一杯に、ツンと立った乳首を空気にさらす。
それに気付いたカヤはようやくナナコの頬から指を引き、身をすくめて自身を抱いた。
隠す膨らみがないとはいえ、羞恥心だけは過剰に発達し始める年頃なのである。
どうせ、すぐにさらけだすはめになるのだが。
「殺してみたいと思わない?」
声とともに、吐く息の流れまで聞こえた。
「ねぇ?」
耳たぶがナナコの体温を感じとる。唇が触れるほど近くで囁いているのに、触れてはくれない。
もどかしくて、息ができなくて、カヤの唇は自然と開いてゆく。
「ぁ……あぁ……」
息を吐くばかりで、なかなか吸うことができない。
吐く息はすべて、せつなげな泣き声に変わってしまう……いやらしい声を出してしまう。そのことがカヤの躰を余計に熱くさせる。
ナナコは何を言おうとしているのか、猫より大きなものってなんなのか、殺してみたいってどういうことなのか。
「痛ッ!」
ナナコが耳たぶを噛んだ。
でも、そのおかげでようやく息を吸うことができた。
いつの間にか自分を抱いていた腕がほどけてしまっている。
その片手をナナコに取られ、下へ下へと誘導されていった。そして、されるがままにミニスカートの裾をたくし上げ、紺色の短パンのうえからアソコに触れた。
カヤはこっくりとうなずいた。口を開くと声が出てしまいそうになる。
ナナコはあまりにも平然とカヤの胸をなぞり続ける。
カヤのほうはうつむいたまま、顔を上げるられなかった。でも、頬に触れた指先には、あいも変わらず、冷たい感触がつたわる。
顔を反らしてコンクリートの壁に目をやった。
この更衣室ができたのは、まだ去年のこと。
それまでは男子も女子も教室で着替えていた。でも、詳しいことは知られていないけれど、その現場を外から写真に撮っていたとかいう変質者が捕まったとかで、去年の夏から急いで建てられた更衣室が使われるようになっていた。
急いだせいなのかどうなのか分からないが、この更衣室には欠陥があった。
発見したのはカヤ。
プールは体育館の裏にあって、校庭からも校舎からも見えない場所だった。
そんなプール脇の芝生は、カヤにとってかけがえのない場所だった。
小学校に入っても友達ができず、昼休みに居場所をなくし、ふらふらと漂っているうちに流れついたのが、そこだったのである。
それなのに、更衣室が建てられて、芝生はなくなってしまった。
かといって、ほかに居場所があるわけでもなかったので、カヤはやっぱり更衣室の壁に寄りかかって、かろうじて生き残ったシロツメ草たちと昼休みを過ごしていた……のだが。
ある日、前の日の夜にテレビでやっていた探偵もののアニメのマネをして、ヘアピンで更衣室の鍵穴をガチャガチャやっていると簡単に開いてしまうことに気付いたのだ。
☆
「もっと大きいのは?」
いつの間にか、ナナコの指先はカヤのブラウスのボタンを下からはずし、あらわになった縦長のおへその縁を綱渡りするようになぞっている。
「……ぁ」
つい、息が漏れた。
「猫より大きいの」
首筋にナナコの唇を感じた。
半分ボタンのはずれたブラウスの下で、ナナコの指先が、手のひらが。おへそから乳首へと、肋骨から鎖骨をつたい首筋まで撫でさすり……。ときにはやさしく、ときには軽くつねる。
「ゃだ……ナナコ……ゃ……」
ブラウスは完全にはだけ、少女の幼いながら精一杯に、ツンと立った乳首を空気にさらす。
それに気付いたカヤはようやくナナコの頬から指を引き、身をすくめて自身を抱いた。
隠す膨らみがないとはいえ、羞恥心だけは過剰に発達し始める年頃なのである。
どうせ、すぐにさらけだすはめになるのだが。
「殺してみたいと思わない?」
声とともに、吐く息の流れまで聞こえた。
「ねぇ?」
耳たぶがナナコの体温を感じとる。唇が触れるほど近くで囁いているのに、触れてはくれない。
もどかしくて、息ができなくて、カヤの唇は自然と開いてゆく。
「ぁ……あぁ……」
息を吐くばかりで、なかなか吸うことができない。
吐く息はすべて、せつなげな泣き声に変わってしまう……いやらしい声を出してしまう。そのことがカヤの躰を余計に熱くさせる。
ナナコは何を言おうとしているのか、猫より大きなものってなんなのか、殺してみたいってどういうことなのか。
「痛ッ!」
ナナコが耳たぶを噛んだ。
でも、そのおかげでようやく息を吸うことができた。
いつの間にか自分を抱いていた腕がほどけてしまっている。
その片手をナナコに取られ、下へ下へと誘導されていった。そして、されるがままにミニスカートの裾をたくし上げ、紺色の短パンのうえからアソコに触れた。
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