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一章

どうしようもない二人 ※R18

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ぐっと中指がなかを押し込んで、甘い快楽に小さな悲鳴がこぼれた。

「あっ……ぁ、いやっ、あ……!ロディア、っ」

なかなか言わない私に焦れたのか、彼の親指が膨らんだ蕾にかかる。そのまま親指の腹で押し上げられて、びくりと否応なく腰が揺れた。

「ひゃ、ぁ──……!」

「そうやって私を焦らしているおつもりですか?酷いお方だ。私はもう、こんなにもあなたに焦がれているというのに」

「だ、だめっ……や、ロディアス陛、ロディア……あっ!」

なかを貫く指がまた一本、増える。
そのままなかをぐるりと円を描くように擦られ、押し上げられる。
快楽の灯火が腰を駆け抜ける。

「奴隷に敬称をつけてはならないとお伝えしましたのに……。いけないお方ですね、エレメンデール王女殿下?」

「ひゃ、ぁっ……ご、ごめんなさい、っ……だから、も、もう……ッ」

柔らかな快楽が駆け上がってきて、それなのに上り詰めることが出来ない。苦しくて、ロディアス陛下の胸のシャツを掴む。涙が滲む。声に嗚咽が混じる。
縋るように、哀れっぽく懇願する私に、彼が苦笑したように、掠れた声で言った。

「では、仰ってください。ほら」

言われて、そういえば彼になにか言うよう急かされていたことを思い出す。
その言葉の意味は未だに分からないが、とにかくそれを言えば今のもどかしさから解放されるのかもしれない。そう思って、私は上手く働かない頭で、彼の求めるままにその言葉を口にした。

「イっ……イかせて、ください!……っ?」

これであっているだろうかと顔を上げると、ロディアス陛下は眉を寄せ、少し不満そうな顔をしていたが、私と目が合うとにこりと笑った。

「ちょっと違うけど、まあ、合格にしてあげようかな。エレメンデールにしては、頑張った方かと思うしね」

「え……?あっ、ぁ、ッ、ひ、ぁあああ!」

快楽を求めて張り詰めている蕾を親指の腹で押し上げられ、中の指が意図的に動く。
ぐっと、快楽を呼び起こす泉を擦られて、私はなにか考えることなく上り詰めていた。脳裏に白い星が瞬く。長く焦らされていたからか、嬌声を抑えることは出来なかった。

「ふ、可愛い顔。とろけちゃって。エレメンデール、聞こえてる?」

「は、い……」

彼の言葉に呼び戻され、ぽやぽやとした意識のまま、視線をそちらに向ける。
そうすると、彼は体を起こしていた。

「疲れているところ悪いんだけど、もう少し付き合って欲しいかな。……ほら、今日の僕はきみの性奴隷なわけだし」

彼の手が、私の太ももに触れる。
そのままぐっと足を広げられて、羞恥がぶり返す。極めた余韻でぼんやりしていたが、意識が明確に戻ってきた。

「なっ……ロディアスへ……ロディアス様!」

「んー?」

制止の意味を込めて呼びかけるが、彼は意に返さない。そのまま足を広げると、顔を伏せた。
その、部分に。
不浄の場所に。
頭が真っ白になったような衝撃に陥り、混乱に固まった。

「──っ……ぁ、やっ、あァ!!だめ、やっ、ロディアスへっ…あ、ぁあああ!」

ぴちゃ、とみだらな水音がしたかと思いきや、そのまま舌がその場所を確かめるように舐め上げた。ちゅ、と敏感な箇所に口付けを落とされ、甘く吸われる。がくがくと腰が揺れ、逃れようとするのに、しっかりと腰を押さえられていて逃げられない。
甘く食まれて、容易く快楽に導かれた。

「やっ、ぁ、あぁあああ!あっ、や、ひ、~~~っ……!だ、め、ぇっ……!あっ」

極めても、彼はそのまま私を追い詰めた。
彼を引き離そうと手を伸ばせば、ちらりと彼がこちらを見て手を握られる。
そうじゃない。違う。違うのに。
握られた手はやんわりと解かれて、五指を絡める繋ぎ方に変わる。
こうされればもう、私は抵抗することも、快楽を逃がすことも出来ない。
ぢゅっ、と強く吸われて、悲鳴のような嬌声が零れた。

「ぁっ、ァ、ああああ!」

ぴしゅ、となにか弾けような、零れたような、そんな感覚があった。
それにハッとする。
愕然とした思いで思わず視線を下らせると、繋いでいた手を解き、顔を拭うロディアス陛下がいた。

「い、いま……」

恐れのあまり、か細い声で言うと、口周りを手で拭ってから、彼が「ああ」となんてことないように答えた。

「感じすぎちゃったんだね。よく出来ました」

「──!!……??………!?」

もう、何も言葉は出てこなかった。

感じすぎた。
つまり今のは?
おもらしではないの?
恥ずかしいことなのでは?

いや、それよりもなぜ、ロディアス陛下はそんなに落ち着いているの?
これは普通のことなの?
分からなすぎて、涙がまた滲む。
それを見て、彼がふっと笑った。
柔らかい雰囲気のある微笑みだった。

「きみに強請られてつい、やりすぎちゃった。許してくれる?」

「ね、ねだ……?」

「イかせて、って言ったでしょ?あんなふうに言われたら、やっぱりこうなるよね」

「…………」

分からない。やっぱり、ロディアス陛下はよく分からない。

元から彼を理解するのは難しいと思っていた。
ルムアール公爵ですら、彼の考えを察することは出来ないと言っていたし。

だけど、それでも。
今ほど、彼が分からないと感じたことはない。
よほど私は困った顔をしていたのだろう。
彼は笑みを浮かべたまま、私の髪を撫でた。
きっと、派手に喘ぎすぎてかなり乱れているのだろう。

「ごめんね。嫌いになった?」

……ずるい。
そんなふうに聞かれて、嫌いだ、と答えられるはずがない。
そんなふうに優しく尋ねられて、嫌いになれるはずが……ないのに。
こんな、よく分からない辱め……にも似たことをされているのに。
私はシーツを手繰り寄せて口に当てると、小さく答えた。

「……いえ」

布を通したせいでくぐもった声になってしまったが、彼には伝わったのだろう。

「良かった。少しやりすぎたかな?と思ったんだよね」

少し。
いや、あれは少しではない……と思う。
未だに快楽の余韻が重すぎて、体は少し怠い。

ロディアス陛下はサイドチェストに置いた手巾を手に取った。そのまま、そばに用意された水の入った盥につけると、絞る。
本当は私がやらなければならないことだ。
起き上がろうとする私を、ロディアス陛下が制する。

「きみは栄えあるランフルアの王女なのだから、何もしなくていいんだよ」

……どうやらまだ、妙な演技は続いているらしい。
それを言うなら、ロディアス陛下はレーベルトの国王なのだが、彼はすっかり自身を性……奴隷と思い込んでいる。

こんなところを、もし誰かに見られたらどう言い繕えばいいのか。
困惑したが、すぐに思い直す。
いや、国王夫妻の寝室を覗くようなことをする不敬者はいないはずだ、と。

彼が濡れた手巾で手を拭う。
そして顔を拭くと、盥にかけた。

「……?」

濡れた秘部を拭われなかったので不思議に思っていると、彼はサイドチェストの引き出しに手を伸ばした。
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