だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

十和とわ

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第五章・帝国の王女

463.プレゼントの多様性2

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「勿論分かってるよ。ほら、前にお茶会で約束しただろう? 君が大人になったら一緒に酒を飲もうねって。それはその時用の酒だ」

 お茶会での約束──……リードさんは、本当に私が大人になれるって信じてくれているんだ。
 あの場限りの口約束なんかでは終わらずに。

「他ならぬ君の為に、私の秘蔵のコレクションから、この世に二つとないとっておきのものを用意したんだ。因縁を断ち切れた時──特別な日の為に、ってずっと楽しみにしてたものでね」

 よく分からないが、リードさんはとんでもなく希少なお酒を私にくれたらしい。

「なんでそんなものを私に……? ご自身で飲んだ方が……」

 言いかけるも、

「言っただろう。特別な日の為にとっておいたんだ。私にとって、無事に大人になった君を祝う為の酒の席は、その酒を開ける特別な日に相応しいと思ったんだよ」

 優しい微笑みでありながら、有無を言わさぬ威圧的な雰囲気を醸し出されてしまう。それに思わず口を閉ざした時、リードさんは私の頭に手を置いてゆっくりと動かした。

「私が持ってたらついうっかり飲んでしまいそうだから、君に持っててほしいんだ。そして──ええと、帝国では十七歳で成人だったかな? 二年後になったら二人でその酒を飲もう。それまで、その酒をよろしくね」
「……はい。リードさんの秘蔵のお酒、確かに預かりました!」
「ありがとう。本当にその酒を飲むのを楽しみにしてたから、私に内緒で先に飲んだりしないでくれよ?」
「はーいっ」

 彼はニッと笑い、おどけて空気を明るくしてくれた。少しだけしんみりとした空気になっていたから、流石は気配り上手のリードさんだなと改めて感心した……のだが。

「──姫君。何故、その男とそんなにも親しげにしているのですか?」

 オーマイガー。宗教戦争また始まっちゃうよ。

「事実、私とアミレスさんは親しいので。貴殿と違って」
「僕と姫君の運命的な繋がりを貴方のような下賎な者に理解出来るとは到底思っていないが、どうやら僕の想像以上に目が節穴らしい」

 運命的な繋がりって何? 確かにミカリアは元々運命論者だったけど、なんでそれを私に感じてるの? ミシェルちゃんに感じなさいよ!! と、ミシェルちゃん強火担な私は心の中で叫ぶ。
 しかし、この現状に納得がいくのもまた事実。

 ミカリアにとって私は数少ない友達なのだ。幼少期によくある、友達を取られそうになってムキになってしまうアレ。きっと、今の彼にとって私はそんな感じの立ち位置にあるのだろう。
 ただでさえ友達が取られそうで嫌なのに、相手はミカリアにとって目障りでしかない異教徒ときた。そりゃあ、開口一番で殺意たっぷり代理戦争レスバトルが開戦する訳だ。
 私みたいな人間と友達をやっていられるんだから、もうミカリアには友達を作る力がある。国教会にバレない程度に、好きなだけ友達を作ればいいのにと思ってしまう。

「そのような戯言を平気で口にするなんて……国教会は随分と諧謔かいぎゃくに富んだ教義を掲げていらっしゃるらしい。なんと自由を尊重する集団なのか!」

 あの優しいリードさんでも、異教徒の指導者相手では棘がある言い方になってしまうらしい。
 もうこの人達顔合わせちゃ駄目でしょう。
 というか、本当になんでこの人達はまだ帝国うちにいるんだろう。教皇と聖人ってどう考えても忙しいよね、仕事しなくて大丈夫なのかな……。

「──あのっ! リードさん、このプレゼントの数々……私が持ってたら落としちゃうかもしれないので、これをルティに渡してきてくれませんか?」
「え? ああ、構わないけど……」
「ありがとうございます。よろしくお願いします!」

 とりあえずこの人達を引き離さねば。
 その為に、申し訳ないがリードさんを顎で使う。お酒やアクセサリーの入った箱を受け取ったリードさんは、シルフ達と話し込むアルベルトの元へとそれを渡しに行ってくれた。

「……ふぅ。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません、ミカリア様」

 仕切り直して何事も無かったようにミカリアに挨拶する。
 すると、何故か機嫌が良くなったらしい彼はニコリと微笑んだ。

「こちらこそ、聖剣について問い詰める前に姫君にご挨拶すべきでしたね。申し訳ございません、姫君。少し早いですがお誕生日おめでとうございます」

 ミカリアがそう言いつつ取り出したのは、一通の封筒。なんだこれはと思いまじまじと見ていると、

「開けても大丈夫ですよ。姫君の為に用意したので」

 困惑する私へ、彼は微笑んで開けるよう促してきた。
 とりあえずその言葉に従い、アルベルトから渡されたソードベルトで佩いていたアマテラスを鞘から抜きペーパーナイフ代わりに使う。
 正直すごく切りづらかった。
 封筒の中身は山折りのメッセージカードと、何枚も重なる分厚い便箋。まず先にメッセージカードを開いてみると、そこには『招待状』と書かれていて。
 一体なんの招待状? 思わず、首を傾げてしまった。

「実は国教会の方で信徒向けの教育機関──自由教育学園というものを運営しておりまして。近々、姫君が設立に携わる革新的な学校が開校すると耳にして、是非とも、一度相互視察……いえ。交流会のようなものを行えたらと思い、こうして招待状をお渡しさせていただいた次第です」

 ミカリアは、舞台役者かのようにペラペラと説明する。
 国教会が教育事業を行っているとは聞いていたが、想像以上に仰々しい名前をしているらしい。
 そして、ミカリアはどうやらその自由教育学園なるものと、ルーシェ付近に建設予定の市民学校で交流会をしたいようだ。
 全くもって格が釣り合ってない気がする。だって向こうは国教会が運営する伝統ある学園で、こっちはまだ開校すらしてない一般市民向けの義務教育学校だ。
 名門私立高校と普通科高校で金持ちと庶民が交換登校して交流するアレみたいになるじゃないの。

「……お言葉は嬉しいのですが、まだ設備が整ってすらいませんし、建設が完了したところで敬虔なる信徒の皆様をお招き出来る程のものになるかは保証出来ません」

 本人に向けて格が違うとか言っては流石に気が悪いと思われてしまう。なのでやんわりと、その旨を伝えようとしたのだが。

「問題ありませんよ。寧ろ誰が広めたのか、学園の方では既に姫君の掲げた教育にまつわる理念が話題になっておりまして。その理念が体現された学校がついに設立決定したと聞いた生徒達は、開校された暁には見学・体験をと常々騒いでいるものですから」
「そ、そうなんですか?」
「はい。なのでどのような設備であろうと関係ありません。我々が見聞したいのは、教育そのものですから」
「なるほど……」

 まだ建設途中の学校に来たいだなんて奇特な人達だなあ、と思いつつ話を進める。
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