弱輩者の第三王子~僕なんかに執政できるんですかね。~

拙糸

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第五章 決戦、第二次〈ムーン〉制圧作戦編

第5話 傲慢な心

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マージの話を聞きながら、あることがふと脳裏をよぎった。

『魔法は自分の心を映す……つまり、自分自身を表す鏡のようなものだと考える。』

この台詞は、僕が帝国騎士学校の入学試験を受けた際に、僕が返した考えと全く同じだということだ。この返答を聞いて、試験官を務めていたジョンネル大臣は僕のことを推薦してくれたのだが…。



『いいですかな、タイト様。この大陸には、古くからこのような言い伝えがあるのです…。』

それは、僕がまだ六歳のころ。かすかではあるが、覚えている。仕事で忙しかった父さんの代わりに、僕を看てくれたホスロが教えてくれた、昔話。

まだそれは、この世界が四つに分かれていないころ。

この世界は、人、神々、精霊、魔族が、共に暮らしていた。
人は神々に言葉を教え、神々は精霊に加護を与え、精霊は魔族に癒しを教え、魔族は人々に魔法を与え……互いに支え合い、生きてきた。
人の王に、魔族の長は言った。
魔法は、我々の分身と同じ。つまり、鏡なのだ、と。
それにどんな意味が込められているかを、人の王は知ろうともしなかった。
人は、魔法を手に入れたことで、生活が豊かになっていった。いつしか人は、心が無くなり、傲慢になっていった。そして、人は、魔族に手を掛けた。
彼らは、戦争を始めた。三百年に渡る、長い戦争である。人は神々を味方につけ、魔族は精霊を味方につけた。互いに血で血を塗り、争った。世界は、悲鳴と怒号で満ちた。
代が変わった人の王は、長い戦争に嫌気が差した。魔族の長も、戦いに疲れた。人の王は、かつての人が、魔族に言われた、魔法は自分の分身、鏡なのだという言葉の意味を、やっと理解した。この長い長い戦争で、思い知った。人の王は、魔族の長、精霊の族長、創造の神と話し合い、世界を壁で四つに分けた。それが、世界の果てにある、“懺悔の大壁”である。



「……マージ、“神聖なる人々”は、僕達が魔法を手に入れて、傲慢にならないように活動しているのかもね。魔法は自身を表す鏡。…………ひょっとすると、ジョンネル大臣って……。」

どう考えても、彼は………絶対にそうだ。

「マージ、帝国騎士学校に向かって!」



ふぅ……とため息をつき、帝国大臣ジョンネル・クレオスはたたずんでいた。彼は、自分の首にさげている小さな“鍵”を持ち、

「タガル……いや、タイト………貴様なら…………一体どうする?」

つぶやき、握りしめ、壁を見つめた。
壁には、三日月のタペストリー。〈ムーン〉の、象徴が描かれていた。
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