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巣ごもりオメガと運命の騎妃
36.焦燥は矢のように
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「それで……どうするんだ、ハイダル」
背後から響いたイズディハールの声にはっとして、ミシュアルは顔をあげた。
いつの間に移動したのか、イズディハールはミシュアルの座った椅子の後ろに立ち、背もたれに体重をかけて立っている。
ディーマが去り、ぐるぐると考え込んでいるうちにどれほど時間が経ったかわからない。うたたねをしていたわけではないが、時間の感覚があやふやだった。
ハイダルも同じようで、テーブルの前で立ちすくんだままだった彼は、苦々しく顔をゆがめると、乱暴に椅子に座った。
「正直なところ、どうすればいいかわからない。陛下は……お祖父様は、長年この国に寄与してきた。葬儀を取り仕切り、その功績を讃えて最期を見送ることは、孫として、次期皇帝としてすべきことだ。それに、俺が出なければ、周囲もおかしく思うだろう。……お祖母様の言うことはもっともだ」
まるで自分に言い聞かせるように、ぶつぶつとハイダルは呟いた。
すっかり意気消沈し、肩を落とす姿は悲愴ですらある。けれど、その姿を見ているうちにミシュアルは言いようのない感情が胸にわだかまっていくのを感じていた。
(それなら、サリム殿はどうするんだ? 妃殿下の言うとおり、将軍に丸投げするのか?)
ミシュアルもナハルベルカでは知らないものがいないほどの名家の生まれだ。ナハルベルカ王家ともつながりが深い家に生まれ、大国を統べる一族に対して求められることの多さと重さも、市井の民よりはわかっているつもりだ。
それでも、ぐらぐらと沸き立つような感情が頭を占めていく。それが、普段あまり覚えることのない怒りだと自覚するより先に、ミシュアルの口は動き始めてしまった。
「サリム殿は、残ると言いました」
「ミシュアル?」
突然の発言に、すぐさまイズディハールが反応する。彼にはわかったのだろう。いつも穏やかで、自分の気持ちを押し殺す癖のあるつがいの声が、珍しく険を帯びていたことに。
けれどミシュアルは止まらなかった――止まれなかった。
「サリム殿は言っていました。騎士として、妃としてハイダル様の隣にいることを許された自分が、民を置いて逃げることはできないと。俺を先に逃したのも、万が一戻れなかったとき、ドマルサーニとナハルベルカが争いにならないため――ハイダル様の治世に友好国との諍いがあったという汚点を歴史に残さないためです」
(あまりに不敬だ、イズディハール様のご迷惑にもなる)
ハイダルは大国ドマルサーニの皇太子で、玉座を約束されている人間だ。友好国の王のつがいではあるが、まだ婚約者という身分でしかない自分が、盾をついていいような相手ではない。そのうえ彼は、イズディハールの長年の親友でもある。
自分の物言いがイズディハールにも影響することはわかっていたが、それでもいつになく興奮したミシュアルは息継ぎをするタイミングすらばらばらになりながら、明らかな糾弾を叫んだ。
「それなのに、ハイダル様は――……っ」
「ミシュアル」
背後から回った大きな手のひらが、歯止めの利かなくなった口を覆う。同時に何かに包み込まれるような感覚に陥って、ミシュアルはイズディハールが威圧を使ったのだとわかった。決して攻撃的ではない、興奮したつがいを落ち着かせるための、守りに徹するような威圧だ。
口を覆っていた手がするりと落ちて、イズディハールが前に回ってくる。王である彼は椅子に座るミシュアルの前に膝をつき、今にも泣きそうな婚約者を見上げた。
「ハイダルもわかっているはずだ。だが立場上、選べない選択肢もある。仕方ないと、諦めなければいけないこともある。それを責めないでやってほしい」
「……はい……」
どうにか頷いたが、そのまま顔をあげられずにいると、首を抱かれる。たまらなくなって、ミシュアルはイズディハールの肩に顔をうずめた。
ミシュアルだってわかっている。それでも自分だけ無事な場所に戻れたからには、言わずにはいられなかった。あの健気で悲痛な思いを伝えられるのは、あの時一緒にさらわれた自分しかいないのだから。
サリムを置いてきた悔しさと、ハイダルがサリムの捜索に自ら赴けないことへのどうしようもなさと怒り、そしてディーマの態度への悲しさが、ミシュアルの頭のなかでぐちゃぐちゃに混ざりあって、ひどい色を成している。
これ以上口を開いたら、それこそ情けなく嗚咽をこぼしてしまいそうだ。ぐっと堪えたミシュアルがイズディハールの背に手を回すと、背中をぽんぽんと叩かれた。
(そうだ。俺とハイダル様では立場が違う。……本人が助けに行くことだけが、正しい結果を生むわけではない)
苛立ちはまだあるし、どうにかならないのかという焦りは胸を疼かせている。それでもイズディハールになだめられてどうにか持ち直したミシュアルは、意識してひとつ大きく深呼吸をした。
落ち着かなければならない。争っていても、サリムは戻ってこないのだから。
切羽詰まった雰囲気から、落着きを取り戻した空気を察したのだろう。顔をあげると、イズディハールは軽く頬にキスをしてから、体を離した。
「すまない、ハイダル。我がつがいにとっても、サリム殿は唯一無二の友人。同じオメガとして、思うところもあるはずだ」
体を起こしたイズディハールは間を取り持つように声をあげ、ハイダルもいや、と首を振った。
「サリムを大切に思ってくれているからこその言葉だ。ありがとう。だが、弁明させてくれ。サリムを二の次にしたいわけではないんだ。……お祖母様の言う通り、将軍を向かわせることは、最適だと思う。けれど、それは……ひいては、サリムを守るためでもある」
「サリム殿を、守るため……?」
意外な言葉に、隣に立ったイズディハールを思わず見上げる。イズディハールはミシュアルの頭を撫で、そうかと呟いた。
「ディーマ様のオメガ嫌いは根深いからな。お前がサリム殿の救出に向かい、葬儀に参加しなければ、オメガに負けたと思うだろう」
「その通りだ」
「オメガに負け……どういうことですか?」
二人はわかりあっているようだが、ミシュアルには話が見えない。唯一わかるのは、ディーマが相当なオメガ嫌いであることだけだ。
「そんなにオメガを嫌っていらっしゃるんですか」
ミシュアルの問いに、ハイダルは重々しくうなずいた。
「もうだいぶ前に亡くなられたが、シラージュ帝……お祖父様には、運命のつがいがいたんだ。スハヤ様と言って、俺も会ったことがある。その方との折り合いが悪かったんだ」
深いため息とともに語られたのは、ミシュアルたちが生まれるよりずっと前にあった、二人のアルファと一人のオメガの諍いだった。
背後から響いたイズディハールの声にはっとして、ミシュアルは顔をあげた。
いつの間に移動したのか、イズディハールはミシュアルの座った椅子の後ろに立ち、背もたれに体重をかけて立っている。
ディーマが去り、ぐるぐると考え込んでいるうちにどれほど時間が経ったかわからない。うたたねをしていたわけではないが、時間の感覚があやふやだった。
ハイダルも同じようで、テーブルの前で立ちすくんだままだった彼は、苦々しく顔をゆがめると、乱暴に椅子に座った。
「正直なところ、どうすればいいかわからない。陛下は……お祖父様は、長年この国に寄与してきた。葬儀を取り仕切り、その功績を讃えて最期を見送ることは、孫として、次期皇帝としてすべきことだ。それに、俺が出なければ、周囲もおかしく思うだろう。……お祖母様の言うことはもっともだ」
まるで自分に言い聞かせるように、ぶつぶつとハイダルは呟いた。
すっかり意気消沈し、肩を落とす姿は悲愴ですらある。けれど、その姿を見ているうちにミシュアルは言いようのない感情が胸にわだかまっていくのを感じていた。
(それなら、サリム殿はどうするんだ? 妃殿下の言うとおり、将軍に丸投げするのか?)
ミシュアルもナハルベルカでは知らないものがいないほどの名家の生まれだ。ナハルベルカ王家ともつながりが深い家に生まれ、大国を統べる一族に対して求められることの多さと重さも、市井の民よりはわかっているつもりだ。
それでも、ぐらぐらと沸き立つような感情が頭を占めていく。それが、普段あまり覚えることのない怒りだと自覚するより先に、ミシュアルの口は動き始めてしまった。
「サリム殿は、残ると言いました」
「ミシュアル?」
突然の発言に、すぐさまイズディハールが反応する。彼にはわかったのだろう。いつも穏やかで、自分の気持ちを押し殺す癖のあるつがいの声が、珍しく険を帯びていたことに。
けれどミシュアルは止まらなかった――止まれなかった。
「サリム殿は言っていました。騎士として、妃としてハイダル様の隣にいることを許された自分が、民を置いて逃げることはできないと。俺を先に逃したのも、万が一戻れなかったとき、ドマルサーニとナハルベルカが争いにならないため――ハイダル様の治世に友好国との諍いがあったという汚点を歴史に残さないためです」
(あまりに不敬だ、イズディハール様のご迷惑にもなる)
ハイダルは大国ドマルサーニの皇太子で、玉座を約束されている人間だ。友好国の王のつがいではあるが、まだ婚約者という身分でしかない自分が、盾をついていいような相手ではない。そのうえ彼は、イズディハールの長年の親友でもある。
自分の物言いがイズディハールにも影響することはわかっていたが、それでもいつになく興奮したミシュアルは息継ぎをするタイミングすらばらばらになりながら、明らかな糾弾を叫んだ。
「それなのに、ハイダル様は――……っ」
「ミシュアル」
背後から回った大きな手のひらが、歯止めの利かなくなった口を覆う。同時に何かに包み込まれるような感覚に陥って、ミシュアルはイズディハールが威圧を使ったのだとわかった。決して攻撃的ではない、興奮したつがいを落ち着かせるための、守りに徹するような威圧だ。
口を覆っていた手がするりと落ちて、イズディハールが前に回ってくる。王である彼は椅子に座るミシュアルの前に膝をつき、今にも泣きそうな婚約者を見上げた。
「ハイダルもわかっているはずだ。だが立場上、選べない選択肢もある。仕方ないと、諦めなければいけないこともある。それを責めないでやってほしい」
「……はい……」
どうにか頷いたが、そのまま顔をあげられずにいると、首を抱かれる。たまらなくなって、ミシュアルはイズディハールの肩に顔をうずめた。
ミシュアルだってわかっている。それでも自分だけ無事な場所に戻れたからには、言わずにはいられなかった。あの健気で悲痛な思いを伝えられるのは、あの時一緒にさらわれた自分しかいないのだから。
サリムを置いてきた悔しさと、ハイダルがサリムの捜索に自ら赴けないことへのどうしようもなさと怒り、そしてディーマの態度への悲しさが、ミシュアルの頭のなかでぐちゃぐちゃに混ざりあって、ひどい色を成している。
これ以上口を開いたら、それこそ情けなく嗚咽をこぼしてしまいそうだ。ぐっと堪えたミシュアルがイズディハールの背に手を回すと、背中をぽんぽんと叩かれた。
(そうだ。俺とハイダル様では立場が違う。……本人が助けに行くことだけが、正しい結果を生むわけではない)
苛立ちはまだあるし、どうにかならないのかという焦りは胸を疼かせている。それでもイズディハールになだめられてどうにか持ち直したミシュアルは、意識してひとつ大きく深呼吸をした。
落ち着かなければならない。争っていても、サリムは戻ってこないのだから。
切羽詰まった雰囲気から、落着きを取り戻した空気を察したのだろう。顔をあげると、イズディハールは軽く頬にキスをしてから、体を離した。
「すまない、ハイダル。我がつがいにとっても、サリム殿は唯一無二の友人。同じオメガとして、思うところもあるはずだ」
体を起こしたイズディハールは間を取り持つように声をあげ、ハイダルもいや、と首を振った。
「サリムを大切に思ってくれているからこその言葉だ。ありがとう。だが、弁明させてくれ。サリムを二の次にしたいわけではないんだ。……お祖母様の言う通り、将軍を向かわせることは、最適だと思う。けれど、それは……ひいては、サリムを守るためでもある」
「サリム殿を、守るため……?」
意外な言葉に、隣に立ったイズディハールを思わず見上げる。イズディハールはミシュアルの頭を撫で、そうかと呟いた。
「ディーマ様のオメガ嫌いは根深いからな。お前がサリム殿の救出に向かい、葬儀に参加しなければ、オメガに負けたと思うだろう」
「その通りだ」
「オメガに負け……どういうことですか?」
二人はわかりあっているようだが、ミシュアルには話が見えない。唯一わかるのは、ディーマが相当なオメガ嫌いであることだけだ。
「そんなにオメガを嫌っていらっしゃるんですか」
ミシュアルの問いに、ハイダルは重々しくうなずいた。
「もうだいぶ前に亡くなられたが、シラージュ帝……お祖父様には、運命のつがいがいたんだ。スハヤ様と言って、俺も会ったことがある。その方との折り合いが悪かったんだ」
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