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24.発見-3
しおりを挟む伯爵家の三男でしかないため顔など全く知られていないロベルトは、仕立て屋の見習いの代理という名目で難無く城へ入ることができた。これから王妃にも会える。
侍女はロベルトと仕立て屋を応接用らしき部屋へ通すと一旦下がっていった。仕立て屋と二人きりになって、持ってきた布地や道具箱の中身をテーブルへ広げつつ、早口に今後の予定を振り返る。
「王妃様がこの部屋へおいでになって、そして室内の侍女たちが全員北の国の出身であれば、その場で事情を説明して私が手紙を渡す」
「俺は顔ぶれを確認して、全員が北の国出身であればその旨教える。そうでなければ機を見て『青い箱を取ってくれ』と言う」
「頼むぞ。出身が違えば、王妃様が止めても衛兵を呼んでくるかもしれない」
仕立て屋は何度も王妃と面会しているおかげで、王妃付きの侍女たちの名前と顔が一致する。それと公爵の手に入れた名簿と出身地情報を組み合わせ、仕立て屋に手紙を出す時機を判断してもらうことになっていた。
「青い箱なら次の手段だな。絶対に見つからずに戻ってきてくれよ。お前にもしものことがあったら……」
「お前……」
自分にしか興味がないと思われた友人の思わぬ心配の言葉に、ロベルトは感激しかかった。しかし仕立て屋の意図するところはそこではなかった。
「俺まで捕まって、前科者になる。外国で店を出すにしても、この国の王妃のドレスを任されていたって箔は、できればそのまま使いたいからな」
身分詐称や不法侵入で捕まった場合、当然ロベルトを連れてきた仕立て屋も共謀したとみなされる。その危険も加味しての報酬を設定しているし、ロベルトはなるべく彼は自らに脅されただけなのだと庇う予定ではあるが、面と向かってお前の心配はしていないと切り捨てられると、何とも言えない気分になる。
「……。全力を尽くすよ……」
「当たり前だ」
緊張で手汗をかくロベルトに対し、仕立て屋は普段通り飄々としている。自分と同じく失敗すれば捕まる立場にあるのだが、ロベルトは友人の胆力を羨ましく思った。
◆
「きたぞ……」
部屋の扉が叩かれ、仕立て屋が小さな声で呟く。その声音は、どこか楽しげに浮足立っていた。彼はこの計画を、危険は大きいが成功すれば見返りも大きい、投資か賭け事の類いとしか思っていない様子だ。
扉が開くと、侍女や護衛騎士を従えた、高貴な装いの女性が現れた。豊かな金色の髪を背に流したこの女性が、王妃のオフェリアである。北の国の姫君であった、生まれながらの王族だ。まだ言葉を発していないが、その背筋を伸ばした佇まいだけでも圧倒される。
ロベルトと仕立て屋は膝を折って彼女を迎え、それぞれ挨拶を済ませた。
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