神様の配達員 思いを 願いを 届けます

紅玲葉

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神様からの贈り風3

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志那都風神社に来た2人は目を疑った。
写真では綺麗な鳥居があったが、2人に見えたのは根元には沢山の苔、蔦が柱を巻いて上へと上り、所々に落書きがされていた。

「これは…酷い」

「鳥居としての生命、いえ、神社としての生命が絶たれています。」

ボロボロになった鳥居を潜り、階段を昇る。昇りきった先に見えたのは夢で見た朽ち果てた神社だった。

「ほんと…だったんだな」

「見てて苦しいです。」

狛犬は勇人の手を掴み震えていた。
宮司がいなくなった後の成れの果て、狛犬はその直前までを知っている。狛犬は身体を震わせ、勇人の手を強く掴み涙を流すが、目線は本殿を見ていた。

「大丈夫か。リュックの中に入るか。」

「いいえ、私は逃げません。しっかりと向き合います。」

狛犬の頭を優しく撫でたその時だった。

「来てくれたんだね…配達員さん…」

どこからともなく聞こえてきた弱々しい声

声が聞こえた方に目を向けると
そこにいたのは、古びた賽銭箱の上に座った緑の着物を着た男性だった。
後ろの本殿が見えるくらいに透き通っており、いかにも消えそうな姿だった。

「貴方が、志那都比古神ですね。」

「そうだよ…こんな古びた神社に来させてしまって悪いね…」

脆弱した声を聞いた勇人は身体を強く震わせ、下を向く

「僕の願いを…最初で最後の願いを…叶えてほしい…」

志那都比古神は顔をあげて笑みを見せた

「貴方が探している人を今日中に連れてきます。それまで待っていただけますか。」

「この姿を保っていられるのも時間の問題だけど、頑張ってみるよ…ありがとうね…」

勇人はすぐに鳥居の所までかけおりた

「どうやって探すか…」

勇人は周りを見渡す
平日の昼時ということもあり歩いている人は少なかった
2人は階段の所に座って待つことにした

一方、紫晶桜夜は授業が終わり帰り道を歩いていた
のんびり1人で歩いて帰っていると彼女の目に狛犬の姿が見えた

「あの子、あの時の子だ!」

彼女はゆっくりと狛犬の方へと歩き始めた
勇人の姿に気づかずに彼女は声をかけた

「こんばんは」

「あ、あの」

「ごめんね、可愛い格好をしてたからつい声をかけたくなって」

「君、この子が見えるの?」

彼女は狛犬の隣にいる勇人に気付いた、驚いた彼女は深々と頭を下げた

「すみません!決して怪しい人じゃないんです。ただただ娘さんが可愛いな~と思っただけで!」

「落ち着け、娘じゃないから」

「え、ということは…誘拐!?」

勇人はため息をついた

「違うよ。この子は狛犬と言って、神様に使える者だ」

「狛犬ですか…ですが、こんな可愛いんですね。もっと怖いイメージがありましたけど」

狛犬の前でしゃがんで狛犬の頭を撫でる彼女

「というか君、この子が見えるのか?」

「何言ってるんです?見えるに決まって…あ、」

彼女は思い出した。以前、狛犬を見かけた時、誰1人とも狛犬の存在に気付かず通り過ぎていく所を

「本来、この子は見えない存在なんだ。この子が見えるということは「神様との関係をもっている」ということになる。」

「あはは…隠してたんですが、バレてしまいましたか…」

「君はもしかして、紫晶桜夜か」

「なんで、私の名前を知ってるんですか!?もしかしてストーカー」

「違うよ。ある神様からの願いを受けててな、そこで君の名前が上がったんだ」

「神様が私の事を」

「ここの神様が君を探してる」

勇人は朽ち果てた神社の方へ指を指す
彼女は指の指す方へと顔を向ける

「急ぎの話だ、着いてきてくれるかい?」

「はい…」

彼女は不思議そうな顔をしたまま勇人の後ろをついていき、本殿の前へと向かった

彼女は本殿の姿を見て、涙した

「どうして…なんでこんなボロボロなんですか…私が小さかった頃は綺麗だったのに」

勇人はここの神社の話をした

話を終えると、どこからか優しい風が流れ込み勇人達を包み込む

目を開けると賽銭箱の上に座った志那都比古神がいた

「配達員さん…僕の願いを…叶えてくれてありがとう…」

「あの方は…」

「あの方は志那都比古神、昔君を助けてくれた神様だよ。君の願いを叶えるまでこの地に残ってたんだって」

「また会えたね…桜夜ちゃん…大きく…なったね…」

「ありがとうございます。」

「君が最後の参拝者なんだ…最後くらい…願いを叶えてあげようと思ってね…」

彼は顔を上げ、笑みを浮かべながらも小さい滴を流していた。

「桜夜ちゃんのその願い…完璧には無理だが…君を勇気づける事ならできる…それでいいなら目を閉じて」

彼女は目を閉じた、彼は賽銭箱から降りて彼女にゆっくりと近づき両手を広げた
すると、静かだった木々が音をたてはじめ大きく揺れる
彼女は目を開けると、そこには紫と青の花びらが彼女の周りを包んだ

「この花びらはカツキバタと言ってね。花言葉は「幸せは必ず来る」自分の願いは自分で叶えるんだ…だから勇気を振り絞って伝えてみて…幸せは必ず来るから」

風もゆっくりと落ち着き彼は笑みを見せながら風と共に消えていった。

彼女は空を見上げ、紫色の空を眺めながら涙した。

「ありがとう…ございます…」

手のひらにゆっくりと落ちてくる1枚の花びら、彼女はゆっくりと握り胸にあて目を閉じた。

勇人と狛犬は彼女の後ろ姿を見て安堵した。

「一件落着かな。さてと、俺らは帰るか。」

「そうですね。そっとしてあげましょう。」

2人は神社を離れ、家へと帰った。

次の日

彼女は思いを伝えた。
その日の風は夕陽が照らされてる中でも暖かな風が吹いていた。
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