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「ちなみにバハムートってのは強いのか?」
「ふむ、相性などもあるが、バハムート、ベヒモス、レッドドラゴンがほぼ同等の強さと言われているな。」
「なるほど、って事は倒せない敵では無い訳だな。古龍はどの位強いんだ?」
「我はまだ若い古龍だが、ブラックドラゴンと比べても一段上の強さを持っている。竜王様など、強さだけなら神を超えて居るとも聞くぞ。」
なるほど、ドラゴンはやはり特別なんだな。
「さて、良い情報を教えて貰った。礼にこれをやろう。」
そう言って。竜泉酒を小さめの樽で渡す。
「あ、時期的には何時頃来るんだ?」
「早くて数か月、長ければ2~3年って所かな。」
相変わらず、こいつらの時間感覚はぶっ壊れてるな。
「解った。気を付けて置くよ。」
そう言って古龍と別れた。
話は変わって王国サイド、北の王国じゃ無くてアーネスハイム王国の方ね。
ゾンビパウダー事件は未然に防いだが、王宮の筆頭魔術師が事件の黒幕だった訳で、王城は大変な騒ぎになって居る。あれから結構経つが、未だに王宮魔導士団は事件の尾を引いている。
団長が責任を取って辞めたり、サーバンスの息の掛かった者が捕まったりと、現在の魔導士団はガタガタだ。再編にどの位掛かるか目途が立っていない。
まあ、王城は大変だけど、僕らの生活は平和そのものだ。竜王の爺さんも帰って来て賑やかな毎日を送っている。
王国が平和で帝国も平和だと、僕は非常に楽だ。ここの所、どちらかが平和だとどちらかが非常事態と言う事が続いた気がする。両方平和って久しぶりだな。
まあ、帝国はまだ主の件が残ってはいるが、これは待つしかない。こちらからどうこう出来る問題じゃ無いし、バハムートさえ来なければ問題は無い。
悪霊の件は片付いたと思うが、もしまだ残っていても、それ程厄介な事にはならないと思う。
対して王国側はゾンビパウダー事件が終わったばかりなので、王城は大変だが、市民は平和に暮らしている。
竜王の爺さんが居る現状では魔物も大人しいだろう。
こんなに平和なのは何時ぶりだろうか?
僕は現在1週間14日生活を送っている。通常の人間の2倍の人生だ。まあ、こう言うと濃密で忙しそうだと感じるかもしれないが、実際は王国と帝国を交互に行き来しているだけで、体感的には特に変わった感じはしない。
王国と帝国でやる事は変わるが、実際にその場に立てば、その時の状況でちゃんと動ける。混乱するような事は無い。
あ、そう言えば醤油とみりんが手に入ったんだよな。これで早速何か作れないかな?
ラーメン作りたいんだけど、出汁がまだ作れないんだよね。味噌もあるし豚汁でも作るかな。
そんな事を考えていたら、セリーに声を掛けられた。
「あなた、時間があるのでしたら、少し付き合って貰えませんか?」
「ん?急用か?」
「急用ではありませんが、父から時間が出来たら来て欲しいと言われてまして。」
公爵が何の用事かな?仕事の話ならセリーが一緒って言うのはおかしい。
「解った。暇だから構わないぞ。」
と言う事でセリーと一緒に馬車で公爵家に向かう。近いので歩いても10分も掛からないので、馬車で行く必要は無いのだが、貴族はこう言う所にも見栄を張らないとイケないらしい。
ちなみにエルとアレクも一緒なので、悪い話では無いだろう。子供たちは家族そろってのお出かけに大はしゃぎだ。
公爵家に着くと、公爵直々に出迎えてくれた。エルが駆けて行き公爵に抱き着くと、公爵はデレデレだ。
流石にアレクはセリーに抱かれているので、公爵の方から近づいて来る。
なんだ?孫に会いたくて呼んだのか?
でも、セリーが時々連れて来ているはずだ、なら僕は呼ばれる必要は無い。それに仕事の話なら、僕がたまに来ているのだから、その時にすれば良い事だ。
「今日は何で呼ばれたのでしょう?孫に会いたいって理由じゃ無いですよね?」
「ふむ、今日呼んだのはパーティーの件だ。来月の10日に我が家でパーティーを開く。そこにお主とその家族全員で参加して貰いたい。」
「家族全員ですか?何のパーティーです?」
「我が派閥の親睦パーティーなのだが、国王派の重鎮であるお主が出るとなると国王派との繋がりが深い事をアピールできると言う算段だ。」
「なるほど、パーティーに出るだけで役に立つなら構いませんよ。」
「それとな、お主の変わった料理を少し教えて貰いたいと言う下心もある。」
なるほど、セリーがお土産に色々と持って行っているからなぁ。
「良いですよ。料理人も貸し出しましょう。」
「助かる。」
この位で親孝行出来るなら安い物だ。少し殺伐とした空気に慣れ過ぎたせいか、平和な空気に慣れるのに時間が掛かりそうな気がする。
この時期に貴族がパーティーで騒げると言う事は王城もだいぶ落ち着きを取り戻して来たと言う事になる。悪い事では無い。
貴族が平和なら庶民も平和で居られる。
「今日はゆっくりして行ってくれ、うちの奴も孫に会いたいだろうしな。」
そう言う事ならと、竜泉酒を出して、大人は呑みながら孫の話題で盛り上がる。
3時間程騒いでいるとアレクが疲れて寝てしまった。それを機に、公爵家をお暇した。
侯爵家に帰り、風呂に浸かってゆっくりし、夕食を待つ。そう言えば竜王の爺さんに聞きたい事があったんだ。食後に話をしてみるか。
夕食後に応接室で爺さんと2人で話をする。
「実は、帝国で悪霊と戦ったのですが、ちょっと気になる事がありまして。」
そう切り出し、帝国での悪霊の様子などを細かく話す。
「で、一応は悪霊を退治したのですが、本当に悪霊が死んだのかどうか、イマイチ自信が無いんですよね。」
「なるほど、悪霊か。まず、死んでないと思った方が良いな。あ奴らは塵一つでも残って居ればまた力をつけ蘇る。確実に焼き尽くすならその王国ごと燃やし尽くす必要があるぞ。」
「やはり、そうですか。そうなると、また悪霊と対峙する必要がありますね。」
「いや、一度力を失った悪霊が復活するまでは数十年掛かると言われておる。」
「え?数十年?それってもしかして。」
「お主の考えている通りじゃ。この世界に悪霊は1匹しかおらん。」
なるほど、そう言う事か。つまり、数十年に一回現れるんじゃなくて、倒されると力をつけるまで数十年掛かるって事か。と言う事は博士が見た悪霊と今回戦った悪霊は同じ悪霊だったと言う事になる。
「悪霊って不死身なんですか?」
「ある意味ではそうじゃな。だが、不死身だからと言って無敵と言う訳では無い。むしろ悪霊は弱い。」
「納得が行きました。もう一つ気になる事があるのですが。」
そう言って今度は主の件を話す。
「ふむ、ベヒモスを倒したか。まあ、気にする事は無い。大陸の規模から考えれば主はそれ程の脅威にはならない。バハムートは確かに厄介じゃが、あの規模の大陸から人間を駆逐する程の力は無いぞ。」
あれ?古龍の話と若干食い違いがあるぞ?
「実際ベヒモスと戦ってみて、どうじゃった?」
「初めて見る魔物でしたが、それ程強いとは思いませんでした。」
「じゃろう?おそらく、その古龍はまだ若いのじゃろう。バハムートはドラゴンにとっては相性が悪い。ちと過大評価になっておるの。」
バハムートはドラゴンの天敵なのかな?
「3竦みって知っておるじゃろう?バハムートはドラゴンに強い。ドラゴンはベヒモスに強い、ベヒモスはバハムートに強いって奴じゃよ。」
「なるほど、そう言う事でしたか。」
「ふむ、お主なら3匹同時に相手にしても勝てるじゃろう。」
どうやら、向こうの大陸の件は落着したと考えて良い様だ。これで安心して平和を楽しめる。
ん?大変な事に巻き込まれるって話はどうなったかって?それは、これから起きるに決まってるじゃ無いですか。
「ふむ、相性などもあるが、バハムート、ベヒモス、レッドドラゴンがほぼ同等の強さと言われているな。」
「なるほど、って事は倒せない敵では無い訳だな。古龍はどの位強いんだ?」
「我はまだ若い古龍だが、ブラックドラゴンと比べても一段上の強さを持っている。竜王様など、強さだけなら神を超えて居るとも聞くぞ。」
なるほど、ドラゴンはやはり特別なんだな。
「さて、良い情報を教えて貰った。礼にこれをやろう。」
そう言って。竜泉酒を小さめの樽で渡す。
「あ、時期的には何時頃来るんだ?」
「早くて数か月、長ければ2~3年って所かな。」
相変わらず、こいつらの時間感覚はぶっ壊れてるな。
「解った。気を付けて置くよ。」
そう言って古龍と別れた。
話は変わって王国サイド、北の王国じゃ無くてアーネスハイム王国の方ね。
ゾンビパウダー事件は未然に防いだが、王宮の筆頭魔術師が事件の黒幕だった訳で、王城は大変な騒ぎになって居る。あれから結構経つが、未だに王宮魔導士団は事件の尾を引いている。
団長が責任を取って辞めたり、サーバンスの息の掛かった者が捕まったりと、現在の魔導士団はガタガタだ。再編にどの位掛かるか目途が立っていない。
まあ、王城は大変だけど、僕らの生活は平和そのものだ。竜王の爺さんも帰って来て賑やかな毎日を送っている。
王国が平和で帝国も平和だと、僕は非常に楽だ。ここの所、どちらかが平和だとどちらかが非常事態と言う事が続いた気がする。両方平和って久しぶりだな。
まあ、帝国はまだ主の件が残ってはいるが、これは待つしかない。こちらからどうこう出来る問題じゃ無いし、バハムートさえ来なければ問題は無い。
悪霊の件は片付いたと思うが、もしまだ残っていても、それ程厄介な事にはならないと思う。
対して王国側はゾンビパウダー事件が終わったばかりなので、王城は大変だが、市民は平和に暮らしている。
竜王の爺さんが居る現状では魔物も大人しいだろう。
こんなに平和なのは何時ぶりだろうか?
僕は現在1週間14日生活を送っている。通常の人間の2倍の人生だ。まあ、こう言うと濃密で忙しそうだと感じるかもしれないが、実際は王国と帝国を交互に行き来しているだけで、体感的には特に変わった感じはしない。
王国と帝国でやる事は変わるが、実際にその場に立てば、その時の状況でちゃんと動ける。混乱するような事は無い。
あ、そう言えば醤油とみりんが手に入ったんだよな。これで早速何か作れないかな?
ラーメン作りたいんだけど、出汁がまだ作れないんだよね。味噌もあるし豚汁でも作るかな。
そんな事を考えていたら、セリーに声を掛けられた。
「あなた、時間があるのでしたら、少し付き合って貰えませんか?」
「ん?急用か?」
「急用ではありませんが、父から時間が出来たら来て欲しいと言われてまして。」
公爵が何の用事かな?仕事の話ならセリーが一緒って言うのはおかしい。
「解った。暇だから構わないぞ。」
と言う事でセリーと一緒に馬車で公爵家に向かう。近いので歩いても10分も掛からないので、馬車で行く必要は無いのだが、貴族はこう言う所にも見栄を張らないとイケないらしい。
ちなみにエルとアレクも一緒なので、悪い話では無いだろう。子供たちは家族そろってのお出かけに大はしゃぎだ。
公爵家に着くと、公爵直々に出迎えてくれた。エルが駆けて行き公爵に抱き着くと、公爵はデレデレだ。
流石にアレクはセリーに抱かれているので、公爵の方から近づいて来る。
なんだ?孫に会いたくて呼んだのか?
でも、セリーが時々連れて来ているはずだ、なら僕は呼ばれる必要は無い。それに仕事の話なら、僕がたまに来ているのだから、その時にすれば良い事だ。
「今日は何で呼ばれたのでしょう?孫に会いたいって理由じゃ無いですよね?」
「ふむ、今日呼んだのはパーティーの件だ。来月の10日に我が家でパーティーを開く。そこにお主とその家族全員で参加して貰いたい。」
「家族全員ですか?何のパーティーです?」
「我が派閥の親睦パーティーなのだが、国王派の重鎮であるお主が出るとなると国王派との繋がりが深い事をアピールできると言う算段だ。」
「なるほど、パーティーに出るだけで役に立つなら構いませんよ。」
「それとな、お主の変わった料理を少し教えて貰いたいと言う下心もある。」
なるほど、セリーがお土産に色々と持って行っているからなぁ。
「良いですよ。料理人も貸し出しましょう。」
「助かる。」
この位で親孝行出来るなら安い物だ。少し殺伐とした空気に慣れ過ぎたせいか、平和な空気に慣れるのに時間が掛かりそうな気がする。
この時期に貴族がパーティーで騒げると言う事は王城もだいぶ落ち着きを取り戻して来たと言う事になる。悪い事では無い。
貴族が平和なら庶民も平和で居られる。
「今日はゆっくりして行ってくれ、うちの奴も孫に会いたいだろうしな。」
そう言う事ならと、竜泉酒を出して、大人は呑みながら孫の話題で盛り上がる。
3時間程騒いでいるとアレクが疲れて寝てしまった。それを機に、公爵家をお暇した。
侯爵家に帰り、風呂に浸かってゆっくりし、夕食を待つ。そう言えば竜王の爺さんに聞きたい事があったんだ。食後に話をしてみるか。
夕食後に応接室で爺さんと2人で話をする。
「実は、帝国で悪霊と戦ったのですが、ちょっと気になる事がありまして。」
そう切り出し、帝国での悪霊の様子などを細かく話す。
「で、一応は悪霊を退治したのですが、本当に悪霊が死んだのかどうか、イマイチ自信が無いんですよね。」
「なるほど、悪霊か。まず、死んでないと思った方が良いな。あ奴らは塵一つでも残って居ればまた力をつけ蘇る。確実に焼き尽くすならその王国ごと燃やし尽くす必要があるぞ。」
「やはり、そうですか。そうなると、また悪霊と対峙する必要がありますね。」
「いや、一度力を失った悪霊が復活するまでは数十年掛かると言われておる。」
「え?数十年?それってもしかして。」
「お主の考えている通りじゃ。この世界に悪霊は1匹しかおらん。」
なるほど、そう言う事か。つまり、数十年に一回現れるんじゃなくて、倒されると力をつけるまで数十年掛かるって事か。と言う事は博士が見た悪霊と今回戦った悪霊は同じ悪霊だったと言う事になる。
「悪霊って不死身なんですか?」
「ある意味ではそうじゃな。だが、不死身だからと言って無敵と言う訳では無い。むしろ悪霊は弱い。」
「納得が行きました。もう一つ気になる事があるのですが。」
そう言って今度は主の件を話す。
「ふむ、ベヒモスを倒したか。まあ、気にする事は無い。大陸の規模から考えれば主はそれ程の脅威にはならない。バハムートは確かに厄介じゃが、あの規模の大陸から人間を駆逐する程の力は無いぞ。」
あれ?古龍の話と若干食い違いがあるぞ?
「実際ベヒモスと戦ってみて、どうじゃった?」
「初めて見る魔物でしたが、それ程強いとは思いませんでした。」
「じゃろう?おそらく、その古龍はまだ若いのじゃろう。バハムートはドラゴンにとっては相性が悪い。ちと過大評価になっておるの。」
バハムートはドラゴンの天敵なのかな?
「3竦みって知っておるじゃろう?バハムートはドラゴンに強い。ドラゴンはベヒモスに強い、ベヒモスはバハムートに強いって奴じゃよ。」
「なるほど、そう言う事でしたか。」
「ふむ、お主なら3匹同時に相手にしても勝てるじゃろう。」
どうやら、向こうの大陸の件は落着したと考えて良い様だ。これで安心して平和を楽しめる。
ん?大変な事に巻き込まれるって話はどうなったかって?それは、これから起きるに決まってるじゃ無いですか。
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