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37.追放テイマーと魔界の主
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フォルト村の外れの丘のふもと。
私の家まで伸びている一本道の近くで、私は自分の目を疑っていた。
空き地にダリアちゃんと一緒に立っているのは、一人のイケメンさん。
少し長い黒髪が風に揺れている。
切れ長な瞳が嬉しそうに私を見つめていた。
そのひきしまったお腹には、調教の証、光り輝く魔法陣。
「どうしたんだい? マイ、ヒロイン?」
「……えーと」
「あ、あ、あれ? やっぱり、ご主人様のほうがよかったのかな?」
マオウデさんは、顔を赤くして目を泳がせている。
……。
…………。
「どっちもお断りです! とりあえず、お腹をしまってください!!」
「そ、そうか。すまない!」
私の視線に気づいたみたいで、マオウデさんも慌ててシャツのボタンをとめはじめた。
「お姉さま、これってどういうこと?」
「分からないわ。人には絶対使えないんだけど」
私たちが魔物とか動物って、ひとまとめで呼んでいる生き物には、実はちゃんとした区別がある。
『動物』っていうのは、馬とか鳥とか魔力をあまり持っていない生き物。
チョコくんとアイスちゃんがこれだよね。
テイマーは大体、この動物を使役獣として仲間にしてるんだよね。
魔力をもっている動物は『魔獣』っていわれていて、普通の動物よりも、ううん、ベテラン冒険者よりも強い。
中には、ドラゴンとか、ナイトメア、雪狼なんていう伝説の生き物までいるのがこの種類。
調教なんてまず無理。近づくだけで危険だから。
まぁ、スキルを使えたとしても、ほぼ成功しないんじゃないかな?
あとは、『魔物』。
人間以外の亜人で言葉が通じない種族のこと。
独自の言葉と文化をもってるんだって。
人間くらいの大きさの小鬼ゴブリンとか、犬みたいな顔をしているコボルトとかがこれね。
ちなみに、その魔物を束ねているのが、魔族っていわれているエリート種族で、その王様が『魔王』。
魔物にも、一応テイムスキルが使えるみたいなんだけど、成功した人なんていないんじゃないかなぁ。
「……お姉さま?」
「あ、ごめんね。えーと、マオウデさんってもしかして、竜に変身できたりします?」
「竜? そんな面白いスキルもってたりしないよ?」
面白いスキルって……。
一応念の為聞いてみたんだけど、この国の王族じゃないみたい。
確かに、ベリル王子やミルフィナちゃんとは似てないもんね。
うーん……?
私が悩んでいると、突然目の前の空間がゆがみだした。
なにこれ。
今度は何が起きたのよ!?
「うふふ、魔王様。無事に目的の人物にはお会い出来ましたか?」
誰もいなかったはずの場所に、一人の女性が現れた。
長い黒髪、こぼれるような艶かしい笑顔。
同性の私もドキッとするような美しさに、思わず見とれてしまう。
「メルクル、待っておれといったはずだぞ!」
「魔王様がそんなにお気に入りになられた人物なんて、会ってみたいじゃないですか」
「うぉぉ。ば、ばか。お前こういうところで言うかな? 言うかな?」
「あら? えーと、ショコラちゃんよね?」
彼女は私に気づくと、ゆっくり近づいてきた。
白くてキレイな指が私の頬に触れる。
「うん、すっかり呪いは解けてるみたいね。よかったわ」
彼女は私の瞳をのぞき込むと、にっこりと笑った。
「メルクルさん、おひさしぶりです。あの時はありがとうございました」
周囲がバラのような香りに包まれている、
私はすぐ目の前の美しい笑顔にドキドキしながら、なんとかお礼を言った。
「うふふ、いいのよ。あんな卑怯なスキル許せないものね」
その卑怯なスキル……魅了をつかったのは……勇者様なんだよね。
なんでそんなことを……。
「ふーん? それで、魔王様がお会いしたかった人物って、ショコラちゃん? それともこの小さなレディーかしら?」
メルクルさんは、嬉しそうに私と隣にいたダリアちゃんを見比べる。
「そうなんだ、メルクルよ。これを見よ!」
マオウデさんは、シャツのボタンを思い切り飛ばして、せっかくしまったお腹を再び見せつけた。
「ま、魔王様? これはまさか……」
「これは、オレと彼女の愛の証だ!」
「本当にごめんなさい。なんでテイムになったかわからないんですけど!」
私は慌てて、頭を下げた。
……人につかうなんて、勇者様の魅了より問題だよね。
……どうしよう。
「……ねぇ、魔王様。魔王様をテイムしたってことは、彼女が魔界のトップってことかしら?」
「んー、そうなるのかなぁ? なにせオレのご主人様だし」
「うふふ、魔王様、喋り方が素に戻ってますわ」
「うむ。そういうことになるな!!」
さっきから、二人とも魔王様とか魔界とか。
これってなりきりコスプレなんだよね?
賢者アレス様だってそういってたんだから、間違いないんだよね?
「そうでしたか。失礼しました、ショコラ様。あらためまして、魔王軍四天王、水の魔性メルクルです」
彼女は、目の前でひざまずくと、私の手をとってキスをしてきた。
「我が君に、心からの忠誠を捧げます」
すぐ横には、腹筋と魔法陣を見せつけるように腰に手を当てて立っているマオウデさんと、呆然としているダリアちゃん。
なにこれ?
どうなってるの?!
私の頭がおいついてないんですけど!!
私の家まで伸びている一本道の近くで、私は自分の目を疑っていた。
空き地にダリアちゃんと一緒に立っているのは、一人のイケメンさん。
少し長い黒髪が風に揺れている。
切れ長な瞳が嬉しそうに私を見つめていた。
そのひきしまったお腹には、調教の証、光り輝く魔法陣。
「どうしたんだい? マイ、ヒロイン?」
「……えーと」
「あ、あ、あれ? やっぱり、ご主人様のほうがよかったのかな?」
マオウデさんは、顔を赤くして目を泳がせている。
……。
…………。
「どっちもお断りです! とりあえず、お腹をしまってください!!」
「そ、そうか。すまない!」
私の視線に気づいたみたいで、マオウデさんも慌ててシャツのボタンをとめはじめた。
「お姉さま、これってどういうこと?」
「分からないわ。人には絶対使えないんだけど」
私たちが魔物とか動物って、ひとまとめで呼んでいる生き物には、実はちゃんとした区別がある。
『動物』っていうのは、馬とか鳥とか魔力をあまり持っていない生き物。
チョコくんとアイスちゃんがこれだよね。
テイマーは大体、この動物を使役獣として仲間にしてるんだよね。
魔力をもっている動物は『魔獣』っていわれていて、普通の動物よりも、ううん、ベテラン冒険者よりも強い。
中には、ドラゴンとか、ナイトメア、雪狼なんていう伝説の生き物までいるのがこの種類。
調教なんてまず無理。近づくだけで危険だから。
まぁ、スキルを使えたとしても、ほぼ成功しないんじゃないかな?
あとは、『魔物』。
人間以外の亜人で言葉が通じない種族のこと。
独自の言葉と文化をもってるんだって。
人間くらいの大きさの小鬼ゴブリンとか、犬みたいな顔をしているコボルトとかがこれね。
ちなみに、その魔物を束ねているのが、魔族っていわれているエリート種族で、その王様が『魔王』。
魔物にも、一応テイムスキルが使えるみたいなんだけど、成功した人なんていないんじゃないかなぁ。
「……お姉さま?」
「あ、ごめんね。えーと、マオウデさんってもしかして、竜に変身できたりします?」
「竜? そんな面白いスキルもってたりしないよ?」
面白いスキルって……。
一応念の為聞いてみたんだけど、この国の王族じゃないみたい。
確かに、ベリル王子やミルフィナちゃんとは似てないもんね。
うーん……?
私が悩んでいると、突然目の前の空間がゆがみだした。
なにこれ。
今度は何が起きたのよ!?
「うふふ、魔王様。無事に目的の人物にはお会い出来ましたか?」
誰もいなかったはずの場所に、一人の女性が現れた。
長い黒髪、こぼれるような艶かしい笑顔。
同性の私もドキッとするような美しさに、思わず見とれてしまう。
「メルクル、待っておれといったはずだぞ!」
「魔王様がそんなにお気に入りになられた人物なんて、会ってみたいじゃないですか」
「うぉぉ。ば、ばか。お前こういうところで言うかな? 言うかな?」
「あら? えーと、ショコラちゃんよね?」
彼女は私に気づくと、ゆっくり近づいてきた。
白くてキレイな指が私の頬に触れる。
「うん、すっかり呪いは解けてるみたいね。よかったわ」
彼女は私の瞳をのぞき込むと、にっこりと笑った。
「メルクルさん、おひさしぶりです。あの時はありがとうございました」
周囲がバラのような香りに包まれている、
私はすぐ目の前の美しい笑顔にドキドキしながら、なんとかお礼を言った。
「うふふ、いいのよ。あんな卑怯なスキル許せないものね」
その卑怯なスキル……魅了をつかったのは……勇者様なんだよね。
なんでそんなことを……。
「ふーん? それで、魔王様がお会いしたかった人物って、ショコラちゃん? それともこの小さなレディーかしら?」
メルクルさんは、嬉しそうに私と隣にいたダリアちゃんを見比べる。
「そうなんだ、メルクルよ。これを見よ!」
マオウデさんは、シャツのボタンを思い切り飛ばして、せっかくしまったお腹を再び見せつけた。
「ま、魔王様? これはまさか……」
「これは、オレと彼女の愛の証だ!」
「本当にごめんなさい。なんでテイムになったかわからないんですけど!」
私は慌てて、頭を下げた。
……人につかうなんて、勇者様の魅了より問題だよね。
……どうしよう。
「……ねぇ、魔王様。魔王様をテイムしたってことは、彼女が魔界のトップってことかしら?」
「んー、そうなるのかなぁ? なにせオレのご主人様だし」
「うふふ、魔王様、喋り方が素に戻ってますわ」
「うむ。そういうことになるな!!」
さっきから、二人とも魔王様とか魔界とか。
これってなりきりコスプレなんだよね?
賢者アレス様だってそういってたんだから、間違いないんだよね?
「そうでしたか。失礼しました、ショコラ様。あらためまして、魔王軍四天王、水の魔性メルクルです」
彼女は、目の前でひざまずくと、私の手をとってキスをしてきた。
「我が君に、心からの忠誠を捧げます」
すぐ横には、腹筋と魔法陣を見せつけるように腰に手を当てて立っているマオウデさんと、呆然としているダリアちゃん。
なにこれ?
どうなってるの?!
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