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72.追放テイマーの密かな願い
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「うーん、良い天気!」
心地良い朝の陽ざしをあびて、思い切り背を伸ばす。
今日も透き通るような青空。
昨日あれから、変な夢をみたせいで、あまり寝れなかったんだけど。
まぶしい朝日で眠気が吹き飛びそう。
「お姉さま、助けてくださいー!」
「どうしたの?」
横を見ると黒い仔馬のチョコくんが顔を近づけてきて、ダリアちゃんの手をぺろぺろと舐めている。
……あはは。
今ので完全に眠気が吹き飛んだよ。
「こら、チョコくん! ご飯ならお皿にあるでしょ!」
もう。
甘えん坊なんだから。
この子が……伝説の魔獣ナイトメア……ねぇ。
私は家の階段に座ると、頬杖をついてダリアちゃんとチョコくんを眺めた。
その隣では、ミルフィナちゃんが白い狼のアイスちゃんと赤い鳥のイチゴちゃんにご飯をあげている。
……赤いまんまるドラゴンは。
……来るわけないかぁ。
――はぁ。
私は立ち上がると、すぐ裏に建ってる賢者様の塔を見上げた。
窓は開いてる。
王子、もう起きてるのかな。
昨日の鮮やかな青い空を思い出す。
……会いたいな。
「……ショコラちゃん。私たちも朝食にしましょうか?」
後ろからミルフィナちゃんに抱きしめられた。
「ミルフィナちゃん、お手伝いありがとう」
「どういたしましてー」
「ダリアちゃんもありがと。さて、朝食に戻ろっか?」
「わかりましたー」
家の扉を開けると、美味しそうな匂いが漂ってくる。
「旦那様、準備は完了してますよ。私の愛をいっぱい込めましたので」
今日の朝食当番はシェラさんだったんだけど……。
銀色の長い髪にエプロン姿が美しすぎる!
やっぱりシェラさんって美人だよね。
「うふふ、今日のオムレツは自信作です」
「わー……いいなぁ~」
「ズルい、私も今度やりますわ!」
あーこれ。
前世のメイド喫茶とかあったやつだ。
オムレツの上にはケチャップで可愛らしくハートのマークが描かれていた。
マークの中には『だんなさま』の文字。
……えーと。
……シェラさんてこんな性格だったっけ?
「横でふーふーしましょうか?」
「そんなことしなくても食べれるから!」
「わ、わたくしが代わりにふーふーいたしますわ!」
「はーい! 私はお姉さまにふーふーしてもらいたいです!」
同じ家でカワイイ女の子に囲まれて……賑やかな毎日。
手元にはキラキラ輝く美しい聖剣。
なんだろうこれ。
ラノベやアニメでみたことある。
あるんだけど。
この状況はさぁ。
まるで……。
まるで……。
私が転生チートハーレム主人公みたいなんですけど!!
**********
「エリエル様」
「んーどぉしたのほぉ?」
温めなおした朝食をほおばっている金髪の女の子。
「はぁ……今何時だとおもってるんですか?」
「女神は時間になんてしばられないのよ。今のうちに覚えておきなさい。モグモグ」
我が家の最後の住人は、満面の笑みを見せている。
なんでそんなどや顔なのよ!?
「優しい先輩からのアドバイスよ。ありがたく思いなさい」
「もう、なんの先輩なんですか?」
「だってそれは……モグモグ。そのうちわかるふぁよぉ」
「なにそれ」
シェラさん、ミルフィナちゃん、ダリアちゃんは先に運送ギルドに向かってくれてる。
私は寝坊女神のお世話で居残り中。
ウチのパーティーはあと二人いるけど。
ベリル王子と賢者アレス様は、王国を取り戻すために、ずっと隣の塔にこもって計画を立てている。
自分の国だもんね。
いきなり勇者様に乗っ取られたようなものだし。
……自分の国……か。
「はぁぁぁ」
身分制のある世界で王子が私を選ぶなんて、きっとありえないと思うけど。
でも。
昨日の王子のセリフを思い出してみる。
『ずっとこの世界に……僕の隣にいて欲しいんだ……ショコラ』
とりあえず、嫌われてはいないんだよね。
うん。
少しくらい……。
少しだけなら……。
――期待していいのかな?
「……ショコラちゃん? 表情がくるくる変わって怖いんですけど」
「え?」
気が付くと、食事を終えたエリエル様がきょとんした表情で見つめている。
「あ、ううん。なんでもないの。あ、そうだエリエル様」
「なになに、どうしたの?」
「転生勇者がみんな元の世界を選んだって、本当ですか?」
「誰から聞いたのかしらないけど、それは違うわよ」
女神様は少し考える仕草をした後、笑いながら答えた。
そっか、だよね。
「正確には元の世界に戻ったか、ショコラちゃんみたいに次の試練を受けたか、ね」
あれ?
今おかしなことを言わなかった?
「次の試練って……なに……?」
「ちょっとちょっと。覚えてないの? ショコラちゃんったら、昨日自分で選んだじゃない」
「選んだって……え? え?」
「人の夢の中に入るのって、結構魔力使うのよ。はぁ、おかげで今日は眠くて仕方ないわ」
よく見るとエリエル様の目が半分開いてない。
頭がゆらゆら揺れている。
「まぁ……試練っていっても……ぐー」
「ちょっと、寝ないで! どういうことなの? ちゃんと説明して!!」
私は慌てて、エリエル様の両肩を掴むと、思い切りゆすってみる。
「ショコラちゃんと二人きりで……えへへ……」
わーだめだこれ。
寝言まで言い出したよ。
もう完全に寝ちゃってるじゃん、おこちゃま女神様。
大きな羽の生えた美しい女性の声が頭によみがえってくる。
『選ぶのは勇者よ。さぁ、試練をうける? 受けない?』
――あれって夢じゃなかったの?!
心地良い朝の陽ざしをあびて、思い切り背を伸ばす。
今日も透き通るような青空。
昨日あれから、変な夢をみたせいで、あまり寝れなかったんだけど。
まぶしい朝日で眠気が吹き飛びそう。
「お姉さま、助けてくださいー!」
「どうしたの?」
横を見ると黒い仔馬のチョコくんが顔を近づけてきて、ダリアちゃんの手をぺろぺろと舐めている。
……あはは。
今ので完全に眠気が吹き飛んだよ。
「こら、チョコくん! ご飯ならお皿にあるでしょ!」
もう。
甘えん坊なんだから。
この子が……伝説の魔獣ナイトメア……ねぇ。
私は家の階段に座ると、頬杖をついてダリアちゃんとチョコくんを眺めた。
その隣では、ミルフィナちゃんが白い狼のアイスちゃんと赤い鳥のイチゴちゃんにご飯をあげている。
……赤いまんまるドラゴンは。
……来るわけないかぁ。
――はぁ。
私は立ち上がると、すぐ裏に建ってる賢者様の塔を見上げた。
窓は開いてる。
王子、もう起きてるのかな。
昨日の鮮やかな青い空を思い出す。
……会いたいな。
「……ショコラちゃん。私たちも朝食にしましょうか?」
後ろからミルフィナちゃんに抱きしめられた。
「ミルフィナちゃん、お手伝いありがとう」
「どういたしましてー」
「ダリアちゃんもありがと。さて、朝食に戻ろっか?」
「わかりましたー」
家の扉を開けると、美味しそうな匂いが漂ってくる。
「旦那様、準備は完了してますよ。私の愛をいっぱい込めましたので」
今日の朝食当番はシェラさんだったんだけど……。
銀色の長い髪にエプロン姿が美しすぎる!
やっぱりシェラさんって美人だよね。
「うふふ、今日のオムレツは自信作です」
「わー……いいなぁ~」
「ズルい、私も今度やりますわ!」
あーこれ。
前世のメイド喫茶とかあったやつだ。
オムレツの上にはケチャップで可愛らしくハートのマークが描かれていた。
マークの中には『だんなさま』の文字。
……えーと。
……シェラさんてこんな性格だったっけ?
「横でふーふーしましょうか?」
「そんなことしなくても食べれるから!」
「わ、わたくしが代わりにふーふーいたしますわ!」
「はーい! 私はお姉さまにふーふーしてもらいたいです!」
同じ家でカワイイ女の子に囲まれて……賑やかな毎日。
手元にはキラキラ輝く美しい聖剣。
なんだろうこれ。
ラノベやアニメでみたことある。
あるんだけど。
この状況はさぁ。
まるで……。
まるで……。
私が転生チートハーレム主人公みたいなんですけど!!
**********
「エリエル様」
「んーどぉしたのほぉ?」
温めなおした朝食をほおばっている金髪の女の子。
「はぁ……今何時だとおもってるんですか?」
「女神は時間になんてしばられないのよ。今のうちに覚えておきなさい。モグモグ」
我が家の最後の住人は、満面の笑みを見せている。
なんでそんなどや顔なのよ!?
「優しい先輩からのアドバイスよ。ありがたく思いなさい」
「もう、なんの先輩なんですか?」
「だってそれは……モグモグ。そのうちわかるふぁよぉ」
「なにそれ」
シェラさん、ミルフィナちゃん、ダリアちゃんは先に運送ギルドに向かってくれてる。
私は寝坊女神のお世話で居残り中。
ウチのパーティーはあと二人いるけど。
ベリル王子と賢者アレス様は、王国を取り戻すために、ずっと隣の塔にこもって計画を立てている。
自分の国だもんね。
いきなり勇者様に乗っ取られたようなものだし。
……自分の国……か。
「はぁぁぁ」
身分制のある世界で王子が私を選ぶなんて、きっとありえないと思うけど。
でも。
昨日の王子のセリフを思い出してみる。
『ずっとこの世界に……僕の隣にいて欲しいんだ……ショコラ』
とりあえず、嫌われてはいないんだよね。
うん。
少しくらい……。
少しだけなら……。
――期待していいのかな?
「……ショコラちゃん? 表情がくるくる変わって怖いんですけど」
「え?」
気が付くと、食事を終えたエリエル様がきょとんした表情で見つめている。
「あ、ううん。なんでもないの。あ、そうだエリエル様」
「なになに、どうしたの?」
「転生勇者がみんな元の世界を選んだって、本当ですか?」
「誰から聞いたのかしらないけど、それは違うわよ」
女神様は少し考える仕草をした後、笑いながら答えた。
そっか、だよね。
「正確には元の世界に戻ったか、ショコラちゃんみたいに次の試練を受けたか、ね」
あれ?
今おかしなことを言わなかった?
「次の試練って……なに……?」
「ちょっとちょっと。覚えてないの? ショコラちゃんったら、昨日自分で選んだじゃない」
「選んだって……え? え?」
「人の夢の中に入るのって、結構魔力使うのよ。はぁ、おかげで今日は眠くて仕方ないわ」
よく見るとエリエル様の目が半分開いてない。
頭がゆらゆら揺れている。
「まぁ……試練っていっても……ぐー」
「ちょっと、寝ないで! どういうことなの? ちゃんと説明して!!」
私は慌てて、エリエル様の両肩を掴むと、思い切りゆすってみる。
「ショコラちゃんと二人きりで……えへへ……」
わーだめだこれ。
寝言まで言い出したよ。
もう完全に寝ちゃってるじゃん、おこちゃま女神様。
大きな羽の生えた美しい女性の声が頭によみがえってくる。
『選ぶのは勇者よ。さぁ、試練をうける? 受けない?』
――あれって夢じゃなかったの?!
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