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78.ある兵士の眠れない一日
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<<魔王軍兵士視点>>
……ダメだ。
……興奮して眠ることが出来ない。
オレは枕元を探ると、あらめてチケットを握りしめた。
金色の縁取りがされた豪華な装飾に、ハートのデザイン。
そして。
『アリーナ A-1』と刻印された大きな文字。
夢のコンサート最前列だ!!
「いやっほぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
思い切りベッドの上で飛び上がると、大きな声が漏れ出した。
「うるせぇ! 今何時だと思ってるんだ!」
「明日は私の勝負日なんです! 静かにしてください!」
両隣の部屋から壁を叩く音と怒鳴り声が聞こえる。
しまった。
両手で口をふさいで布団にもぐりこんだ。
金色のプラチナチケットは暗闇の中でもキラキラと輝きを放っている。
――夢じゃない。
――本当に手に入れたんだ。
この日の為に……。
国境警備では魔獣を討伐したし。
グランデル王国軍のとの戦いでは兵士を捉えまくったんだ。
ああ……目の前にあの美しくも神々しい姿が浮かんでくる。
美しい桃色の髪。
大きな青い瞳。
透き通るような白い肌。
はにかんだ笑顔。
ああ……カワイイは……正義だ!!
彼女の為なら……オレは死ねる。
ん?
ふと、チケットの裏側に書かれた文字が目に入った。
『プレミアムチケットの皆様は、コンサート終了後に握手会へ参加できます』
……。
………。
「うぉぉぉぉおぉぉぉお!!!」
両手を大きくあげて、勝利の決めポーズをとる。
こんなすがすがしい気分でポージングをしたのは、いつ以来だろうか。
ふんっ!
大きく胸を逸らすと興奮度がさらにましてくる。
主様に。
主様に間近で会うことが出来る!
オレは……正気を保っていられるのだろうか。
「だからウルセぇんだよ!! テメェ魔王城の外に放り出すぞ!」
「明日起きれなかったら貴方のせいですからね!」
再び両隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてくる。
やばい。
いくら魔界一の戦士を自称するオレでも……二人がかりはきつそうだ。
ここはひとつ、丁寧に謝っておこう
「すいません。寝ぼけてしまって」
「早く寝ろや、ボケが!」
「これでコンサートに間に合わなかったら……許しませんよ!」
こいつらには、明日グッズを買ってきてやろう。
ああああ。
早く日が昇らないだろうか。
チケットを握りしめつつ、魔道具の時間を確認する。
明日になれば……オレの女神に……会うことが出来るんだ!!
**********
「すげぇな。これ」
「さすが……主様……スケールが違うぜ!」
「ですねぇ……」
フォルト村の郊外に作られた特設ステージ。
会場内には巨大なスクリーンとスピーカーが大量に立てられている。
メインステージには、さらに巨大なスクリーンと可愛らしいハートの装飾。
あれだな。
主様のイメージにぴったりだ。
「いやぁ、しかし。お前らもアリーナ最前だとはな」
「あたりめぇだろ。俺を誰だと思ってやがる!」
「まぁ、先の戦いでは活躍しましたからね。私」
両隣の部屋の住人が、周囲を見渡して興奮してる。
手には、光る棒状の魔道具。
頭には、ハートに羽根のマークのついたハチマキ。
上半身には同じ模様の入ったTシャツを装備済み。
もう。上から下まで完全武装ってやつだ。
まぁ……オレもなんだけど。
というか。
「どいつも同じような恰好をしてやがるな」
「ふふふ、そんなことがあろうかと、私はこれを準備済みです」
彼は大きなウチワを取り出した。
キラキラ光る表面には『主様LOVE』の巨大なメッセージ。
裏面には『カワイイは正義』の文字と、主様の写真が張り付けられている。
「どうです。この日の為に準備しておいたのですよ……アナタ方とは気合の入れ方が違うんです」
うぉ、マジか。
そんな手があったのか!!
「へっ、そんなものくらい、オレも準備してるっつーの!」
な、な、な、な。
なんだって!!!!
「これくらいファンなら常識だぜ。お前も当然準備してるだろ?」
「あ、ああ……当り前じゃないか」
席は指定されている……。
時間は……まだある……。
「ト、トイレにいってくる。先に席に行っててくれ!」
「おう、早く戻って来いよ」
「それでは私たちはグッズの列に並んでますので」
ちくしょう!
オレだって、オレだって……。
本当はその列に並びたいんだ、うぉぉぉぉ!!!
しかし、しかし。
アイツらだけが主様の視界に映るなんて……メッセージが伝わるなんて……許せるわけがない。
待ってください、主様。
この短時間でも、愛で溢れたスペシャルなウチワを準備してみせますので!!!
――勝負の時はまさに今。
――この命に代えても主様の為に!!
オレは涙をこらえながら、熱い決意を胸に会場を後にした。
……ダメだ。
……興奮して眠ることが出来ない。
オレは枕元を探ると、あらめてチケットを握りしめた。
金色の縁取りがされた豪華な装飾に、ハートのデザイン。
そして。
『アリーナ A-1』と刻印された大きな文字。
夢のコンサート最前列だ!!
「いやっほぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
思い切りベッドの上で飛び上がると、大きな声が漏れ出した。
「うるせぇ! 今何時だと思ってるんだ!」
「明日は私の勝負日なんです! 静かにしてください!」
両隣の部屋から壁を叩く音と怒鳴り声が聞こえる。
しまった。
両手で口をふさいで布団にもぐりこんだ。
金色のプラチナチケットは暗闇の中でもキラキラと輝きを放っている。
――夢じゃない。
――本当に手に入れたんだ。
この日の為に……。
国境警備では魔獣を討伐したし。
グランデル王国軍のとの戦いでは兵士を捉えまくったんだ。
ああ……目の前にあの美しくも神々しい姿が浮かんでくる。
美しい桃色の髪。
大きな青い瞳。
透き通るような白い肌。
はにかんだ笑顔。
ああ……カワイイは……正義だ!!
彼女の為なら……オレは死ねる。
ん?
ふと、チケットの裏側に書かれた文字が目に入った。
『プレミアムチケットの皆様は、コンサート終了後に握手会へ参加できます』
……。
………。
「うぉぉぉぉおぉぉぉお!!!」
両手を大きくあげて、勝利の決めポーズをとる。
こんなすがすがしい気分でポージングをしたのは、いつ以来だろうか。
ふんっ!
大きく胸を逸らすと興奮度がさらにましてくる。
主様に。
主様に間近で会うことが出来る!
オレは……正気を保っていられるのだろうか。
「だからウルセぇんだよ!! テメェ魔王城の外に放り出すぞ!」
「明日起きれなかったら貴方のせいですからね!」
再び両隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてくる。
やばい。
いくら魔界一の戦士を自称するオレでも……二人がかりはきつそうだ。
ここはひとつ、丁寧に謝っておこう
「すいません。寝ぼけてしまって」
「早く寝ろや、ボケが!」
「これでコンサートに間に合わなかったら……許しませんよ!」
こいつらには、明日グッズを買ってきてやろう。
ああああ。
早く日が昇らないだろうか。
チケットを握りしめつつ、魔道具の時間を確認する。
明日になれば……オレの女神に……会うことが出来るんだ!!
**********
「すげぇな。これ」
「さすが……主様……スケールが違うぜ!」
「ですねぇ……」
フォルト村の郊外に作られた特設ステージ。
会場内には巨大なスクリーンとスピーカーが大量に立てられている。
メインステージには、さらに巨大なスクリーンと可愛らしいハートの装飾。
あれだな。
主様のイメージにぴったりだ。
「いやぁ、しかし。お前らもアリーナ最前だとはな」
「あたりめぇだろ。俺を誰だと思ってやがる!」
「まぁ、先の戦いでは活躍しましたからね。私」
両隣の部屋の住人が、周囲を見渡して興奮してる。
手には、光る棒状の魔道具。
頭には、ハートに羽根のマークのついたハチマキ。
上半身には同じ模様の入ったTシャツを装備済み。
もう。上から下まで完全武装ってやつだ。
まぁ……オレもなんだけど。
というか。
「どいつも同じような恰好をしてやがるな」
「ふふふ、そんなことがあろうかと、私はこれを準備済みです」
彼は大きなウチワを取り出した。
キラキラ光る表面には『主様LOVE』の巨大なメッセージ。
裏面には『カワイイは正義』の文字と、主様の写真が張り付けられている。
「どうです。この日の為に準備しておいたのですよ……アナタ方とは気合の入れ方が違うんです」
うぉ、マジか。
そんな手があったのか!!
「へっ、そんなものくらい、オレも準備してるっつーの!」
な、な、な、な。
なんだって!!!!
「これくらいファンなら常識だぜ。お前も当然準備してるだろ?」
「あ、ああ……当り前じゃないか」
席は指定されている……。
時間は……まだある……。
「ト、トイレにいってくる。先に席に行っててくれ!」
「おう、早く戻って来いよ」
「それでは私たちはグッズの列に並んでますので」
ちくしょう!
オレだって、オレだって……。
本当はその列に並びたいんだ、うぉぉぉぉ!!!
しかし、しかし。
アイツらだけが主様の視界に映るなんて……メッセージが伝わるなんて……許せるわけがない。
待ってください、主様。
この短時間でも、愛で溢れたスペシャルなウチワを準備してみせますので!!!
――勝負の時はまさに今。
――この命に代えても主様の為に!!
オレは涙をこらえながら、熱い決意を胸に会場を後にした。
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