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18.騎士団
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「カトリーヌ様、ようこそ」
「姫! ご婚約おめでとうございます!」
騎士団に行くと、たくさんの方々からお祝いの言葉を頂きました。昨日の誕生日パーティーのお礼に来たのですが、逆にお祝いを頂いてしまいました。
「あの、こんなにたくさんお祝いをありがとうございます! 昨日は、ご協力頂いて感謝しております。お仕事中にも関わらず、余計な事を頼んでしまい申し訳ありませんでした。皆様のご協力のおかげで、リュカとの婚約に反対意見が出ませんでした。本当にありがとうございます」
大きな拍手が巻き起こりました。また泣いている方もおられますわ。
騎士団長様が、わたくしが持って来たお礼を代表して受け取って頂きました。昨日の働きは、後日給与に上乗せされますから、今回のお礼はささやかなお菓子をご用意しました。
本当はお礼なのでわたくしが作れれば良いのですが、わたくしは料理をした事がありません。
侍女やメイド達は、意中の男性に手作りのお菓子を差し上げるそうですから、今度練習してみましょう。
今回は、間に合わないので料理長に頼みました。そのかわり、ラッピングはわたくしもお手伝い致しました。本当はメッセージカードを付けたかったのですが、人数が多く諦めました。
だけど、時間をかければ可能なので今度やってみようと思います。騎士団の皆様には、お世話になりましたし、その、リュカと結婚するのなら親しくなるに越したことはありませんし……。
わたくし、リュカと結婚するのですわよね。想像すると顔が赤くなってしまいます。まだ実感が湧きません。リュカの事を考えると、物凄くドキドキしてしまいます。
「リュカは現在、訓練中です。ご案内しますよ。カトリーヌ王女は、リュカの訓練姿を見た事がないでしょう?」
「は、はい! 是非! ありがとうございます!」
訓練中のリュカは、どんな様子なのでしょう。
ドキドキしながら見に行くと、真剣に訓練をしているリュカが目に入りました。
黙々と1人で剣を振っています。
「もうすぐ、模擬戦をします。ご覧になりますか?」
「お邪魔でなければ、是非」
「カトリーヌ王女を邪魔と思う騎士などおりませんよ。貴女は何度も我々も救って下さいました。怪我を治して頂いた騎士も、そうでない騎士もみんな貴女を尊敬しています。安全な所で守られるべき王族の方が、前線で土煙を浴びながら我々を癒してくれた。おかげで、あれだけの魔物が出たにも関わらず死者はゼロでした」
「お役に立てて良かったですわ。本当は、最後までお供したかったのですが途中で抜けてしまい残念に思っておりましたの。もっと訓練して、魔力を高めますわね」
大規模な魔物の襲撃があり、騎士団が派遣されたのは先月の事です。わたくしは、回復を手助けする為に参加したのですが、魔力切れでフラフラになり先にリタイヤしてしまったのです。
リュカは、わたくしがリタイアした後に魔物と対峙して腕を失いました。わたくしは、その時には前線を去って城に戻っておりましたから、リュカが運ばれてきた時は物凄く後悔しました。もっとわたくしに魔力があれば、すぐにリュカを癒せたのに。
運ばれて来た真っ青な顔のリュカを、わたくしは必死で癒しました。遠い昔の事のように感じますが、実際はほんの数日前の出来事なのですよね。
あれだけの怪我をしていたのにもう模擬戦をするなんて、大丈夫なのでしょうか?
「あの、怪我が治ってすぐなのにもう模擬戦をするのですか?」
「普通はもう少し休むのですが、リュカは元気だからと訓練に参加しておりますね。怪我は治っておりますから問題はありませんよ。ご心配ですか?」
「そうですわね。あまり口出しするのはよろしくないのでしょうけれど、どうしても心配してしまいます」
「婚約者なのですから堂々と心配すればよろしいのですよ。リュカの恋が実って、本当に良かったです」
そう言って、騎士団長様は涙を拭います。
「えっと……リュカはそんなにわたくしの話を皆様にしていたのですか?」
「そうですね。カトリーヌ王女の話をしない日はありませんでしたね」
騎士団長様とお話しをしていると、リュカの模擬戦が始まりました。
お相手をしているのは……お、お兄様?!
「どうして……お兄様が……」
「王太子殿下は、よく騎士団に顔を出されますよ。幼い頃から鍛錬を欠かさないお方ですから、騎士も一目置いています。今日は、可愛い妹を連れて行ってしまう男を見極めたいみたいですね」
「姫! ご婚約おめでとうございます!」
騎士団に行くと、たくさんの方々からお祝いの言葉を頂きました。昨日の誕生日パーティーのお礼に来たのですが、逆にお祝いを頂いてしまいました。
「あの、こんなにたくさんお祝いをありがとうございます! 昨日は、ご協力頂いて感謝しております。お仕事中にも関わらず、余計な事を頼んでしまい申し訳ありませんでした。皆様のご協力のおかげで、リュカとの婚約に反対意見が出ませんでした。本当にありがとうございます」
大きな拍手が巻き起こりました。また泣いている方もおられますわ。
騎士団長様が、わたくしが持って来たお礼を代表して受け取って頂きました。昨日の働きは、後日給与に上乗せされますから、今回のお礼はささやかなお菓子をご用意しました。
本当はお礼なのでわたくしが作れれば良いのですが、わたくしは料理をした事がありません。
侍女やメイド達は、意中の男性に手作りのお菓子を差し上げるそうですから、今度練習してみましょう。
今回は、間に合わないので料理長に頼みました。そのかわり、ラッピングはわたくしもお手伝い致しました。本当はメッセージカードを付けたかったのですが、人数が多く諦めました。
だけど、時間をかければ可能なので今度やってみようと思います。騎士団の皆様には、お世話になりましたし、その、リュカと結婚するのなら親しくなるに越したことはありませんし……。
わたくし、リュカと結婚するのですわよね。想像すると顔が赤くなってしまいます。まだ実感が湧きません。リュカの事を考えると、物凄くドキドキしてしまいます。
「リュカは現在、訓練中です。ご案内しますよ。カトリーヌ王女は、リュカの訓練姿を見た事がないでしょう?」
「は、はい! 是非! ありがとうございます!」
訓練中のリュカは、どんな様子なのでしょう。
ドキドキしながら見に行くと、真剣に訓練をしているリュカが目に入りました。
黙々と1人で剣を振っています。
「もうすぐ、模擬戦をします。ご覧になりますか?」
「お邪魔でなければ、是非」
「カトリーヌ王女を邪魔と思う騎士などおりませんよ。貴女は何度も我々も救って下さいました。怪我を治して頂いた騎士も、そうでない騎士もみんな貴女を尊敬しています。安全な所で守られるべき王族の方が、前線で土煙を浴びながら我々を癒してくれた。おかげで、あれだけの魔物が出たにも関わらず死者はゼロでした」
「お役に立てて良かったですわ。本当は、最後までお供したかったのですが途中で抜けてしまい残念に思っておりましたの。もっと訓練して、魔力を高めますわね」
大規模な魔物の襲撃があり、騎士団が派遣されたのは先月の事です。わたくしは、回復を手助けする為に参加したのですが、魔力切れでフラフラになり先にリタイヤしてしまったのです。
リュカは、わたくしがリタイアした後に魔物と対峙して腕を失いました。わたくしは、その時には前線を去って城に戻っておりましたから、リュカが運ばれてきた時は物凄く後悔しました。もっとわたくしに魔力があれば、すぐにリュカを癒せたのに。
運ばれて来た真っ青な顔のリュカを、わたくしは必死で癒しました。遠い昔の事のように感じますが、実際はほんの数日前の出来事なのですよね。
あれだけの怪我をしていたのにもう模擬戦をするなんて、大丈夫なのでしょうか?
「あの、怪我が治ってすぐなのにもう模擬戦をするのですか?」
「普通はもう少し休むのですが、リュカは元気だからと訓練に参加しておりますね。怪我は治っておりますから問題はありませんよ。ご心配ですか?」
「そうですわね。あまり口出しするのはよろしくないのでしょうけれど、どうしても心配してしまいます」
「婚約者なのですから堂々と心配すればよろしいのですよ。リュカの恋が実って、本当に良かったです」
そう言って、騎士団長様は涙を拭います。
「えっと……リュカはそんなにわたくしの話を皆様にしていたのですか?」
「そうですね。カトリーヌ王女の話をしない日はありませんでしたね」
騎士団長様とお話しをしていると、リュカの模擬戦が始まりました。
お相手をしているのは……お、お兄様?!
「どうして……お兄様が……」
「王太子殿下は、よく騎士団に顔を出されますよ。幼い頃から鍛錬を欠かさないお方ですから、騎士も一目置いています。今日は、可愛い妹を連れて行ってしまう男を見極めたいみたいですね」
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