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33.大事な話
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「カティ、大事な話がある」
ローランが倒れたと聞いて、お母様と看病していたら青褪めた顔色のリュカが来たわ。
「姉さん、もう僕は大丈夫だからリュカとゆっくり話しておいでよ。ってか、リュカを労ってあげて。だいぶ父上に絞られたみたいだし」
「……いえ、これくらい問題ありません……」
問題ありまくりな顔色のリュカは、今にも倒れそうだ。
「隣室に部屋を用意したわ。カトリーヌ、風の結界を張りなさい。婚約者でも未成年なのだから、ふたりきりには出来ないけれど会話は漏れないからゆっくり話しなさいな」
「ありがとうございます。お母様」
「感謝します。王妃様」
「あら? お母様と呼んでくれても良くってよ? どうせリュカは、カトリーヌを離す気がないでしょう?」
「はい。ありません。お母様のご好意に感謝します。カティ、行こうか」
「え、ええ……!」
何?! 急にどうしたの?!
リュカが私の手を取って席までエスコートしてくれる。侍女が控えてくれているけど、使用人達はニマニマしているわ!
「結界を張るから、この中で話した事は内緒だよ」
そう言って、リュカが見事な結界を張ってくれました。リュカは火魔法が得意だったわよね? 風魔法もこんなに上手だったのね……。
「カティ、俺はカティを愛してる。絶対カティと結婚したい」
「え、ええ。わたくしもそうよ。リュカが好き」
そう言うと、リュカが嬉しそうに笑います。その優しい笑みに、胸が高鳴ります。
「さっき、クリストフ様と会った。あの人、カティが好きで好きでたまらないみたいだ。隙があればすぐにでも婚約の申し込みをしてくるだろうな」
「……え、嘘。やだ! わたくしの婚約者はリュカでしょう?! クリストフ様と結婚なんてしたくないわ!」
「俺は伯爵家の後取りにもなれないから、クリストフ様とカティの方がお似合いだ。けど、俺だってカティを離すつもりはない。だから……ちょっとだけ我慢してくれないか?」
「我慢?」
「ああ、カティは出来たらクリストフ様に会いたくないよな?」
「ええ、公の場ではお会いするけど、個人的に会う気はないわ」
クリストフ様を見ると、リュカに剣を向けていたあの時の笑みを思い出すから腹が立つのよね。今のクリストフ様は何もしていないと分かっていても、個人的に会う気にはなれない。
でも……。
「必要なら、お会いするわ。でも、クリストフ様と婚約するのだけは御免よ。それから、リュカが居てくれないと嫌。リュカで駄目なら、ルカとして付いていて」
時を戻って、リュカと婚約してからわたくしは我儘になったわ。特に、リュカの事は譲れないと思ってしまう。
「もちろん、そのつもりだよ」
リュカが、嬉しそうに微笑む。かっこいい……! 駄目だわ。近ごろリュカの顔を見ていると動悸がするの。お姉様に相談したら、それが恋だって言われたわ。
いや、良いのよ?! わたくし、リュカの婚約者なのだから!
「な、なら良いわ! だからその! そんなに見つめないでっ!」
「俺はカティの顔をずっと見ていたい」
リュカは、こんなに積極的だったかしら。そんなに見つめられるとおかしくなってしまいそうだわ。
「待って、急にそんな事言われても困るわ! ドキドキし過ぎておかしくなりそうなの!」
「嬉しい事を言うね。カティは俺と結婚する方が幸せだよね?」
「え、もちろんよ! リュカ以外と結婚なんてしたくないわ!」
そう言った瞬間、リュカの顔が真っ赤に染まりました。あら、お耳まで赤いわ。
「あ……ありがと。なら、俺の考えを聞いてくれる?」
リュカの話は、驚くべき内容でした。
クリストフ様は魅了魔法が使えるそうですわ。リュカの魔法無効化が使えるうちに、わざと魔法を使って頂く。確かに、とても安全だと思います。
過去では、クリストフ様はご自分が魅了魔法が使えるとご存知だったのでしょうか。
ローランが教える可能性はあるかしら? わたくしはローランが鑑定魔法を使える事を昨日知りましたし、ローランと会わなくなっていたので詳しく分かりません。今のローランなら、絶対教えないでしょうけどね。
ああもう! 今はもう、以前とは違う時を刻んでいます。過去ではどうだったのか。つい考えてしまいますが、わたくしが気にしていれば、大事な家族を悩ませてしまいます。
それに、過去と同じなんて認めません。リュカから離れたくありませんもの。
「クリストフ様がわたくしに魅了魔法をかけてくるかもしれないのね?」
「……本当は嫌だけどな。出来るだけ俺を狙って貰えるようにするつもりだ。万が一かかっても俺が居るから安心してくれ」
「大丈夫。今度は家族がみんな味方だから、2人とも魅了されてもなんとかなるわ。ルイーズみたいに周りに影響するような魅了魔法ではないのでしょう?」
「ああ、ただターゲットを魅了するだけだ」
「なら大丈夫ね。でも、クリストフ様は本当にわたくしを好いているの?」
以前も婚約は申し込まれたが、婚約者として決められた挨拶や茶会をしただけだ。お優しかったが、リュカと一緒の時のような甘い雰囲気にはならなかった。
「過去はどうだったか分からねぇけど、今のクリストフ様は間違いなくカティが好きだよ。悔しいけど俺よりお似合いだ」
なんで、そんな事言うの?
わたくしは、リュカが好きなのに。リュカだって、わたくしが好きだって言ってくれたじゃない。
まさか、わたくしの為に身を引こうとしてる?
……そうよ。過去でもリュカはそうだった。結婚するわたくしに、騎士としての未来を捨ててまでついて来てくれて……結局わたくしを守って死んでしまった……。
ローランが倒れたと聞いて、お母様と看病していたら青褪めた顔色のリュカが来たわ。
「姉さん、もう僕は大丈夫だからリュカとゆっくり話しておいでよ。ってか、リュカを労ってあげて。だいぶ父上に絞られたみたいだし」
「……いえ、これくらい問題ありません……」
問題ありまくりな顔色のリュカは、今にも倒れそうだ。
「隣室に部屋を用意したわ。カトリーヌ、風の結界を張りなさい。婚約者でも未成年なのだから、ふたりきりには出来ないけれど会話は漏れないからゆっくり話しなさいな」
「ありがとうございます。お母様」
「感謝します。王妃様」
「あら? お母様と呼んでくれても良くってよ? どうせリュカは、カトリーヌを離す気がないでしょう?」
「はい。ありません。お母様のご好意に感謝します。カティ、行こうか」
「え、ええ……!」
何?! 急にどうしたの?!
リュカが私の手を取って席までエスコートしてくれる。侍女が控えてくれているけど、使用人達はニマニマしているわ!
「結界を張るから、この中で話した事は内緒だよ」
そう言って、リュカが見事な結界を張ってくれました。リュカは火魔法が得意だったわよね? 風魔法もこんなに上手だったのね……。
「カティ、俺はカティを愛してる。絶対カティと結婚したい」
「え、ええ。わたくしもそうよ。リュカが好き」
そう言うと、リュカが嬉しそうに笑います。その優しい笑みに、胸が高鳴ります。
「さっき、クリストフ様と会った。あの人、カティが好きで好きでたまらないみたいだ。隙があればすぐにでも婚約の申し込みをしてくるだろうな」
「……え、嘘。やだ! わたくしの婚約者はリュカでしょう?! クリストフ様と結婚なんてしたくないわ!」
「俺は伯爵家の後取りにもなれないから、クリストフ様とカティの方がお似合いだ。けど、俺だってカティを離すつもりはない。だから……ちょっとだけ我慢してくれないか?」
「我慢?」
「ああ、カティは出来たらクリストフ様に会いたくないよな?」
「ええ、公の場ではお会いするけど、個人的に会う気はないわ」
クリストフ様を見ると、リュカに剣を向けていたあの時の笑みを思い出すから腹が立つのよね。今のクリストフ様は何もしていないと分かっていても、個人的に会う気にはなれない。
でも……。
「必要なら、お会いするわ。でも、クリストフ様と婚約するのだけは御免よ。それから、リュカが居てくれないと嫌。リュカで駄目なら、ルカとして付いていて」
時を戻って、リュカと婚約してからわたくしは我儘になったわ。特に、リュカの事は譲れないと思ってしまう。
「もちろん、そのつもりだよ」
リュカが、嬉しそうに微笑む。かっこいい……! 駄目だわ。近ごろリュカの顔を見ていると動悸がするの。お姉様に相談したら、それが恋だって言われたわ。
いや、良いのよ?! わたくし、リュカの婚約者なのだから!
「な、なら良いわ! だからその! そんなに見つめないでっ!」
「俺はカティの顔をずっと見ていたい」
リュカは、こんなに積極的だったかしら。そんなに見つめられるとおかしくなってしまいそうだわ。
「待って、急にそんな事言われても困るわ! ドキドキし過ぎておかしくなりそうなの!」
「嬉しい事を言うね。カティは俺と結婚する方が幸せだよね?」
「え、もちろんよ! リュカ以外と結婚なんてしたくないわ!」
そう言った瞬間、リュカの顔が真っ赤に染まりました。あら、お耳まで赤いわ。
「あ……ありがと。なら、俺の考えを聞いてくれる?」
リュカの話は、驚くべき内容でした。
クリストフ様は魅了魔法が使えるそうですわ。リュカの魔法無効化が使えるうちに、わざと魔法を使って頂く。確かに、とても安全だと思います。
過去では、クリストフ様はご自分が魅了魔法が使えるとご存知だったのでしょうか。
ローランが教える可能性はあるかしら? わたくしはローランが鑑定魔法を使える事を昨日知りましたし、ローランと会わなくなっていたので詳しく分かりません。今のローランなら、絶対教えないでしょうけどね。
ああもう! 今はもう、以前とは違う時を刻んでいます。過去ではどうだったのか。つい考えてしまいますが、わたくしが気にしていれば、大事な家族を悩ませてしまいます。
それに、過去と同じなんて認めません。リュカから離れたくありませんもの。
「クリストフ様がわたくしに魅了魔法をかけてくるかもしれないのね?」
「……本当は嫌だけどな。出来るだけ俺を狙って貰えるようにするつもりだ。万が一かかっても俺が居るから安心してくれ」
「大丈夫。今度は家族がみんな味方だから、2人とも魅了されてもなんとかなるわ。ルイーズみたいに周りに影響するような魅了魔法ではないのでしょう?」
「ああ、ただターゲットを魅了するだけだ」
「なら大丈夫ね。でも、クリストフ様は本当にわたくしを好いているの?」
以前も婚約は申し込まれたが、婚約者として決められた挨拶や茶会をしただけだ。お優しかったが、リュカと一緒の時のような甘い雰囲気にはならなかった。
「過去はどうだったか分からねぇけど、今のクリストフ様は間違いなくカティが好きだよ。悔しいけど俺よりお似合いだ」
なんで、そんな事言うの?
わたくしは、リュカが好きなのに。リュカだって、わたくしが好きだって言ってくれたじゃない。
まさか、わたくしの為に身を引こうとしてる?
……そうよ。過去でもリュカはそうだった。結婚するわたくしに、騎士としての未来を捨ててまでついて来てくれて……結局わたくしを守って死んでしまった……。
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