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第二部
53話〈サキ視点〉サキも悩む
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最近加藤くんが悩んでいるらしい。
あおいくんのことが気になる自分はゲイなのではないか? とか色々。
鈴木くんに聞いた。
聞いたと言うより、聞かされたのだが。
アイツ『罪悪感のお裾分け』しに来やがった。
余計な情報伝えやがって。
私を巻きこむな! と思った。
鈴木くんは私に加藤くんの悩みを打ち明け、少しスッキリしていた。
聞かされたこっちはどんよりだよ!
と言うのも、私は鈴木くんよりあおいくんと加藤くんに関する情報を持っているのだ。
鈴木くんは『あおいくんが加藤くんの手を握って加藤くんが怒りケンカになった』と言うところまでしか知らないけど。
あおいくんは『その後』を私に話してくれた。
『その後』――あおいくんが加藤くんの手を握った後――。
あおいくんは加藤くんがまたいたずらに彼女に接触してこないよう釘を刺すため、『恋愛感情でりんが好き』と告白したのだ。
『恋愛感情でりんが好きだから、りんに触られると恋愛感情で嬉しくなる。
そんなのはりんも望んでいないでしょ?』
と言う感じの告白をしたのだそう。
そのことを私はあおいくんから聞いている。
そして、鈴木くんからは『加藤くんがあおいちゃんのことが気になっている』と言う情報を得た。
そのときの鈴木くんの様子を見ている限り、加藤くんはあおいくんに告白されたことは鈴木くんには打ち明けていないようだ。
さすが真面目で慎重そうな加藤くん、自分にそれを言う権限はないと思うところ――『あおいくんは加藤くんが好き』――を押さえている。
ま、加藤くんも鈴木くんがあおいくんのことを好きだと知っているみたいだから、単に言えなかっただけかもしれないけど。
……と言うことで。
今のところ、私が4人の中でいちばん情報を持っていると言えるのでは無いか?
鈴木くんが知らないこと――あおいくんが加藤くんに告白したこと――を私は知っている。
あおいくんが知らないこと――加藤くんもあおいくんが気になっていること――を私は知っている。
そして加藤くんが知らないこと――あおいくんが本当は女子だと言うこと――も私は知っている。
つまり私が4人の中でいちばん情報があるのだ……。
そんな私は、今、何をすべきなんだろう?
「りんに、あおいちゃんは女の子って言っちゃダメだよね?」
と鈴木くんは私に聞いてきた。
こいつ『言っちゃダメだ』と私が言うと思いつつ質問している。
もう答えが自分で出ている質問をしているのだ。
……と思いつつも、私は仕方なく答えた。
「やっぱり言えないよね?」
言えない。
あおいくんが『実は女』だと聞いたとき、加藤くんがどう言う言動を取るか全然想像がつかないから。
彼は良い子だと思うけど、それでも『男子が、ずっと男友達と思って接してきた男が「実は女」――それも普通に男子が恋愛対象の女――だと知ったとき』、どんなことを思い行動するか想像できない。
私があおいくんを女子と知ったときともまた違うだろう。
女子が、男子だと思っていた子が『実は女』だと知ったときとは当然違う。
きっと、色々。
私は加藤くんに同情している。
多分、鈴木くんがしているよりも多くの同情を。
そしてきっと罪悪感も鈴木くんより感じている。
私も加藤くんと同じ立場にいたのだから。
彼の気持ちが少しはわかるはずだから。
あおいくんと言う男子を好きになり。
私も悩んだ。
『あれ?
私、レズじゃなかったのかな?』
と。
自分の性的指向について悩んだ。
『もしかして自分のことをレズだと思ったのは。
厨二病か何かだったのかなあ?』
なんて思ったりもした。
いや。やはりレズだった。結局。
あおいくんは女の子だったのだから。
『加藤くんに、あおいくんは「実は女」だと言うわけにはいかない』
そのことは鈴木くんも私も同意見だった。
同じ結論にたどり着いたことで鈴木くんはホッとしていたが。
こっちはまだ考えることがあるんだよ。
おまえが余計な情報をくれたせいでな。
『あおいくんに「加藤くんはあおいくんのことが気になっている」と伝えるべきか』
伝えるべきなのではないか? と最初は思ったけど。
言ってどうなる? とも思った。
言ったところで、あおいくんが舞い上がってよく考えずに『自分は女だ』と加藤くんに告げて。
もし加藤くんがあおいくんのことを『変態』だと言い出したらどうなる?
『男の敵だ!』と皆に向けて発信したらどうなる?
あおいくんは社会的死を迎えてしまうのではないだろうか?
あおいくんもそこまでバカではなく、加藤くんが自分を好きだと知っても、加藤くんに『自分は女だ』と告げず、このままの状態を維持するのかもしれない。
でもそうなるとあおいくんは今よりもっと罪悪感を持つことになるんじゃないか?
加藤くんのためにした彼女の『愛の告白』が、彼を苦しめていると知るのだから。
そして両思いと知りつつ彼の気持ちに答えられないことにも彼女は苦しむだろう。
もちろん『加藤くんとあおいくんは両思い』を教えることで、ハッピーエンドを迎える可能性もある。
あおいくんは加藤くんに、女であることを告げ、加藤くんはそれを受け入れ、彼らはこっそりと甘い高校生活を始めるのだ……。
『2人だけの秘密』と言うスパイスが効いた、青春時代をともに過ごすのだ……。
いや、しかし。
私にはわからない。
そんなハッピーエンドをちゃんと迎えてくれるか、100%予測できないのなら。
私はあおいくんに
『加藤くんがあおいくんを気になっている』
と伝えるべきではないんじゃないか?
とにかく……。
『しばらくは様子見だ!』
と言う結論に至った。
自分からは何も働きかけない。
『傍観者』だよ!
しかたない!
鈴木の奴、私に余計な情報をもたらしやがって。
アイツと『「みどり」萌え秘密倶楽部』なんか結成するんじゃなかった……。
でも今日のみどりちゃんの写真も可愛かったなあ……。
〈サキ視点、終〉
あおいくんのことが気になる自分はゲイなのではないか? とか色々。
鈴木くんに聞いた。
聞いたと言うより、聞かされたのだが。
アイツ『罪悪感のお裾分け』しに来やがった。
余計な情報伝えやがって。
私を巻きこむな! と思った。
鈴木くんは私に加藤くんの悩みを打ち明け、少しスッキリしていた。
聞かされたこっちはどんよりだよ!
と言うのも、私は鈴木くんよりあおいくんと加藤くんに関する情報を持っているのだ。
鈴木くんは『あおいくんが加藤くんの手を握って加藤くんが怒りケンカになった』と言うところまでしか知らないけど。
あおいくんは『その後』を私に話してくれた。
『その後』――あおいくんが加藤くんの手を握った後――。
あおいくんは加藤くんがまたいたずらに彼女に接触してこないよう釘を刺すため、『恋愛感情でりんが好き』と告白したのだ。
『恋愛感情でりんが好きだから、りんに触られると恋愛感情で嬉しくなる。
そんなのはりんも望んでいないでしょ?』
と言う感じの告白をしたのだそう。
そのことを私はあおいくんから聞いている。
そして、鈴木くんからは『加藤くんがあおいちゃんのことが気になっている』と言う情報を得た。
そのときの鈴木くんの様子を見ている限り、加藤くんはあおいくんに告白されたことは鈴木くんには打ち明けていないようだ。
さすが真面目で慎重そうな加藤くん、自分にそれを言う権限はないと思うところ――『あおいくんは加藤くんが好き』――を押さえている。
ま、加藤くんも鈴木くんがあおいくんのことを好きだと知っているみたいだから、単に言えなかっただけかもしれないけど。
……と言うことで。
今のところ、私が4人の中でいちばん情報を持っていると言えるのでは無いか?
鈴木くんが知らないこと――あおいくんが加藤くんに告白したこと――を私は知っている。
あおいくんが知らないこと――加藤くんもあおいくんが気になっていること――を私は知っている。
そして加藤くんが知らないこと――あおいくんが本当は女子だと言うこと――も私は知っている。
つまり私が4人の中でいちばん情報があるのだ……。
そんな私は、今、何をすべきなんだろう?
「りんに、あおいちゃんは女の子って言っちゃダメだよね?」
と鈴木くんは私に聞いてきた。
こいつ『言っちゃダメだ』と私が言うと思いつつ質問している。
もう答えが自分で出ている質問をしているのだ。
……と思いつつも、私は仕方なく答えた。
「やっぱり言えないよね?」
言えない。
あおいくんが『実は女』だと聞いたとき、加藤くんがどう言う言動を取るか全然想像がつかないから。
彼は良い子だと思うけど、それでも『男子が、ずっと男友達と思って接してきた男が「実は女」――それも普通に男子が恋愛対象の女――だと知ったとき』、どんなことを思い行動するか想像できない。
私があおいくんを女子と知ったときともまた違うだろう。
女子が、男子だと思っていた子が『実は女』だと知ったときとは当然違う。
きっと、色々。
私は加藤くんに同情している。
多分、鈴木くんがしているよりも多くの同情を。
そしてきっと罪悪感も鈴木くんより感じている。
私も加藤くんと同じ立場にいたのだから。
彼の気持ちが少しはわかるはずだから。
あおいくんと言う男子を好きになり。
私も悩んだ。
『あれ?
私、レズじゃなかったのかな?』
と。
自分の性的指向について悩んだ。
『もしかして自分のことをレズだと思ったのは。
厨二病か何かだったのかなあ?』
なんて思ったりもした。
いや。やはりレズだった。結局。
あおいくんは女の子だったのだから。
『加藤くんに、あおいくんは「実は女」だと言うわけにはいかない』
そのことは鈴木くんも私も同意見だった。
同じ結論にたどり着いたことで鈴木くんはホッとしていたが。
こっちはまだ考えることがあるんだよ。
おまえが余計な情報をくれたせいでな。
『あおいくんに「加藤くんはあおいくんのことが気になっている」と伝えるべきか』
伝えるべきなのではないか? と最初は思ったけど。
言ってどうなる? とも思った。
言ったところで、あおいくんが舞い上がってよく考えずに『自分は女だ』と加藤くんに告げて。
もし加藤くんがあおいくんのことを『変態』だと言い出したらどうなる?
『男の敵だ!』と皆に向けて発信したらどうなる?
あおいくんは社会的死を迎えてしまうのではないだろうか?
あおいくんもそこまでバカではなく、加藤くんが自分を好きだと知っても、加藤くんに『自分は女だ』と告げず、このままの状態を維持するのかもしれない。
でもそうなるとあおいくんは今よりもっと罪悪感を持つことになるんじゃないか?
加藤くんのためにした彼女の『愛の告白』が、彼を苦しめていると知るのだから。
そして両思いと知りつつ彼の気持ちに答えられないことにも彼女は苦しむだろう。
もちろん『加藤くんとあおいくんは両思い』を教えることで、ハッピーエンドを迎える可能性もある。
あおいくんは加藤くんに、女であることを告げ、加藤くんはそれを受け入れ、彼らはこっそりと甘い高校生活を始めるのだ……。
『2人だけの秘密』と言うスパイスが効いた、青春時代をともに過ごすのだ……。
いや、しかし。
私にはわからない。
そんなハッピーエンドをちゃんと迎えてくれるか、100%予測できないのなら。
私はあおいくんに
『加藤くんがあおいくんを気になっている』
と伝えるべきではないんじゃないか?
とにかく……。
『しばらくは様子見だ!』
と言う結論に至った。
自分からは何も働きかけない。
『傍観者』だよ!
しかたない!
鈴木の奴、私に余計な情報をもたらしやがって。
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〈サキ視点、終〉
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