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3.閑話 -2
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「へーこんなとこに住んでんのか。」
大和の家に南が来た。
大和はインターホン越しに拒否したが、「南 真一郎が来る家だって、噂が流れても良いのか? 開けるまでいるけど」と脅されて仕方がなかった。
「何しに来たんだ。」
「世間では仲良し認定されてるんだし、交流でも深めようかと?」
南が右手に提げていたレジ袋を持ち上げる。パンパンに詰め込まれて丸くなっているそれには酒や菓子等が入っていた。
「いらない。」
「そう言わずにさあ。せっかく買ってきたのに。」
「仕事がある。」
「いやいや……」
元から南は歓迎されるとは微塵も思っていなかったが、玄関に入って以降ずっと背中を向けられてどうしようかと考え倦ねた。
たまたま時間が空いた。屋外でCM撮影の予定だったが、雨が降り中止になった。数日前までは晴れ予報だったので代替スケジュールも入っておらず、コンサートツアーも終えたところで溜まっている仕事もなく急遽予定が空いた。その時南が思い付いたのが、大和の家に行くことだった。住所はもちろん知らないが、事務所づてで聞き出した。サプライズだと伝えたので、住所が流出したことも伝わっていないだろう。この大和の反応を見るに、既に粗方事情は察していそうだが。
「……あ――、誰か会いたい芸能人いる? 呼んでやろうか。」
「いらない。お前のヤリ部屋より狭いこんな部屋、窮屈だろ。」
「……ああ? お望みなら喜んでヤッてやろうか。」
「っ!! いらな」
そこでやっと大和が振り向いた。それと同時に、奥の居室に置かれた大和のスマートフォンが震え出した。
「……それが目的か。」
「違うんだよなあ……。」
着信だろう振動は続いているが、それのお陰で大和は調子を戻したようだ。
「友達多いんだろ。それ持って誰か捕まえろよ。」
10コール程度で着信は切れた。そして間髪空けずにインターホンが鳴った。
「…………出たら?」
「出れるわけないだろ……。」
「隠れといてやるよ。」
「やめろ、」
急にやってきた親しくもない人間を自分の家の目が届かないところに押しやるなど、誰でも嫌だろう。
インターホンは数秒置いて三度鳴らされて、鍵が挿し込まれた。
扉が開くと同時にそこから声が発される。
「おにいちゃん、いるのはわかって」
外から部屋の灯りがついているのはわかっていた。電話にも出ずインターホンも応答がない。大方シャワーでも浴びているのだろうと大きく呼び掛けた妹の声は扉を開けて、その先の光景が予想外すぎて続かなかった。
「――――え……?」
廊下の先では彼女の兄が壁に抑え付けられ、男が覆い被さっていた。――キスをしていた。
「っざけんなよ!!」
妹が初めて聞く大声で怒鳴り、兄――大和が相手を殴り付けた。そして殴られた男は奥の部屋へ吹き飛ばされた。
「えっ…………、え……?」
兄が襲われたと駆け寄ろうとしたが、顔を上げた殴られた男は知っている顔で妹の混乱が頂点に達する。
「マジ殴りかよ。いてえ~……」
「あ、南さん……!?」
「あー、ごめんね、ふざけすぎちゃって。」
拳一発では大和の怒りは収まらないらしく、妹に向けてへらりと笑う南の胸倉を掴み腕を振り上げた。
「おにいちゃん! やめて!」
ヒールを脱ぎ捨てて妹がその腕を抱き着くように抱え込む。
「……あ、」
「南さん、今日は帰りましょう。おにいちゃん、私も帰るから。」
そうして動きは止まった大和をそのままに妹は南を引き起こし、二人で玄関を出ていった。
大和の家に南が来た。
大和はインターホン越しに拒否したが、「南 真一郎が来る家だって、噂が流れても良いのか? 開けるまでいるけど」と脅されて仕方がなかった。
「何しに来たんだ。」
「世間では仲良し認定されてるんだし、交流でも深めようかと?」
南が右手に提げていたレジ袋を持ち上げる。パンパンに詰め込まれて丸くなっているそれには酒や菓子等が入っていた。
「いらない。」
「そう言わずにさあ。せっかく買ってきたのに。」
「仕事がある。」
「いやいや……」
元から南は歓迎されるとは微塵も思っていなかったが、玄関に入って以降ずっと背中を向けられてどうしようかと考え倦ねた。
たまたま時間が空いた。屋外でCM撮影の予定だったが、雨が降り中止になった。数日前までは晴れ予報だったので代替スケジュールも入っておらず、コンサートツアーも終えたところで溜まっている仕事もなく急遽予定が空いた。その時南が思い付いたのが、大和の家に行くことだった。住所はもちろん知らないが、事務所づてで聞き出した。サプライズだと伝えたので、住所が流出したことも伝わっていないだろう。この大和の反応を見るに、既に粗方事情は察していそうだが。
「……あ――、誰か会いたい芸能人いる? 呼んでやろうか。」
「いらない。お前のヤリ部屋より狭いこんな部屋、窮屈だろ。」
「……ああ? お望みなら喜んでヤッてやろうか。」
「っ!! いらな」
そこでやっと大和が振り向いた。それと同時に、奥の居室に置かれた大和のスマートフォンが震え出した。
「……それが目的か。」
「違うんだよなあ……。」
着信だろう振動は続いているが、それのお陰で大和は調子を戻したようだ。
「友達多いんだろ。それ持って誰か捕まえろよ。」
10コール程度で着信は切れた。そして間髪空けずにインターホンが鳴った。
「…………出たら?」
「出れるわけないだろ……。」
「隠れといてやるよ。」
「やめろ、」
急にやってきた親しくもない人間を自分の家の目が届かないところに押しやるなど、誰でも嫌だろう。
インターホンは数秒置いて三度鳴らされて、鍵が挿し込まれた。
扉が開くと同時にそこから声が発される。
「おにいちゃん、いるのはわかって」
外から部屋の灯りがついているのはわかっていた。電話にも出ずインターホンも応答がない。大方シャワーでも浴びているのだろうと大きく呼び掛けた妹の声は扉を開けて、その先の光景が予想外すぎて続かなかった。
「――――え……?」
廊下の先では彼女の兄が壁に抑え付けられ、男が覆い被さっていた。――キスをしていた。
「っざけんなよ!!」
妹が初めて聞く大声で怒鳴り、兄――大和が相手を殴り付けた。そして殴られた男は奥の部屋へ吹き飛ばされた。
「えっ…………、え……?」
兄が襲われたと駆け寄ろうとしたが、顔を上げた殴られた男は知っている顔で妹の混乱が頂点に達する。
「マジ殴りかよ。いてえ~……」
「あ、南さん……!?」
「あー、ごめんね、ふざけすぎちゃって。」
拳一発では大和の怒りは収まらないらしく、妹に向けてへらりと笑う南の胸倉を掴み腕を振り上げた。
「おにいちゃん! やめて!」
ヒールを脱ぎ捨てて妹がその腕を抱き着くように抱え込む。
「……あ、」
「南さん、今日は帰りましょう。おにいちゃん、私も帰るから。」
そうして動きは止まった大和をそのままに妹は南を引き起こし、二人で玄関を出ていった。
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