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あしき×わろし

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21 千年魔女

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「広袖の長衣トーガに緋色の巻き布を重ね着して、肩から腰に金色の鎖──あ、それはきっとあの子ね、モリーさんとこの二番目の男の子のデズくん。昔っからやんちゃでね、お母さんをよく困らせてたなー。でもね、ほんとはお母さん思いの優しい子でね、ほら、一番目のお兄ちゃんがお父さんと喧嘩して出ていっちゃったじゃない? だからあの子はこの街に残ったの──」

 よどみなく果てしなく、とりとめのない会話が続いていた──一方的に喋り倒されてるのを会話と言えば、の話だが。
 書き手としては遺憾ながら、時間が惜しい方は読み飛ばすことを推奨する。物語ストーリーの進行上は支障ないので、相手をするのがいかに大変か雰囲気だけ掴んでくれれば良しするしかない。

「ううん、デズくんは絶対そうだって言わないけど、あたし知ってるのよ。だって、もともとモリーさんの旦那さんってちっともお家に居つかない人でしょ? たまにお酒に酔って帰ってくるんだけど、お家にあるお金を全部くすねて、また出ていっちゃうんだって。それってモリーさんと一番目のお兄ちゃんがお仕事をしてもらったお金なのにね。前はすっごく真面目な人だったんだけど、ほら、いつか英雄さまが来たじゃない? あの時に仕事なくしちゃって。だいたい英雄さまも意地悪よね。なにもわざわざ──ええと、なんの話してたっけ?」
「モリーさんの旦那さんの話です」
「そうそう、モリーさんの旦那さん。すぐお金くすねて出ていっちゃうの。それである日、とうとうお兄ちゃんが怒って──まあ、この街ではよくある話ではあるんだけどね。ほら、天鈴亭で働いてるリジーさん知ってる? あの人のお父さんも──知らない? 天鈴亭のよ? 黄昏横丁にある──ふふ、でも黄昏横丁なんて気取った名前よね。なのに、みんながなんて呼んでるか知ってる? ちょっと下品なのよね、ねえ、知りたい?」
「は、はは、立ちション横丁でしたっけ──それで、ええと、今日僕らが会った人はデズさんっていうんですね。とてもよくわかりました。ところで買い物──」
「あら、もう大きくなったんだから『デズくん』っておかしくない? あの子にはちゃんとデズモンドっていう立派な名前があるんですからね」
「え、ええ──? だって、ジュリアさんが──」
「なーに? フィルくんたら、あたしのせいだって言うの? デズくんだってもう大人なんだから、ちゃんと一人前に扱ってあげようとしただけなのにい」

 ぷくー。
 と、赤みのさす頬を膨らませて見上げてくるのは、まだあどけない思春期の少女だった。

 今日はそんな容姿である──騙されてはいけない。
 その日によって少女だったり、豊満肢体ワガママボディ婦女子ギャルだったり、もっと年上の淑女レディだったりする。
 ムシの居所が悪いと、口髭も豊かな筋肉質男性マッチョマンになることすらあるのだ。時折、思春期のときに恋愛対象低めの連中がちょっかいを出して、デート当日にギャフンと言わされている。
 そう、リシケーシュの千年魔女(あるいは単に『千年魔女』)の異名をとるジュリア・ド・スタールにとって、容姿など気分によって着替える衣服みたいなものなのだ。

「もー。ジュリ姉、話ながい」

 と、ロレッタもふくれっ面だった。
 こっちもまだ子供々々しているが、本日の千年魔女サマよりは幾分年長に見える。
 それにしても『ジュリ姉』とは調子のいい奴。デズさんだかデズモンド氏だかには、ナンとか婆ァ言ってなかったか?
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