攻略本片手に異世界へ 〜モブは、 神様の義祖母 〜

出汁の素

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少女編

第1話 恋に堕ちた少年

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「私のフィアンセになって下さい。」

「へ?」

 彼女は、嬉しすぎて固まってしまった様だ。神殿の大司教に頼んで事前に婚約証明書も用意した。可憐で、博学な彼女も顔を赤らめている。僕が婚約証明書を出したのを見て、心底感動しているんだろう。肩が震えている。

「父親も説得して来た。婚約証明書も用意した。帝国王家の一員になれるんだ。」

「はぁ?」

 いくら知的な彼女でも、理解が出来なかっただろう。こんな彼女との出会いは、一年前だ。

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「新年度になった所で転校生だ。入りなさい。」
「はい。」

 彼女が入ってきた瞬間、クラスがどよめいた。7年前の教育改革。テキスト、教育課程の総取っ替えと言われる程の変更の余波を大きく受けた、改革前年度から教育を受け始めた世代。新テキストで改めて教わり直し、1年分以上先に進んだカリキュラムをこなすエリート達を集めて、僕らの世代から開校した、帝国中央学院予科。帝国中央学院に併設し、ほぼ全ての生徒が中央学院に進学出来ることとなっている。そんなガリ勉揃いのしかも最エリートクラスに入ってきた女の子。凛としてた雰囲気の中に、あどけなさを残している。その上、単純に可愛い。可愛いは正義と言ったものである。まさに正義だ。

「では、自己紹介を。」

「私は昨年まで、神聖王国におりました。皆さん2年間共に過ごされてきて、仲がおよろしいことも思いますが、私もその仲間に加えて頂ければと思います。よろしくお願い申し上げます。」

 神聖王国は、昨年までバタバタしており、最近になって落ち着いたと聞く。

「みなさん、ジェシカさんに何が質問ありますか?」

 僕は咄嗟に手を挙げて聞いてしまった。

「僕は、親衛騎士団長リッチモンド皇子の息子バルバロッサと言います。ジェシカさんよろしく。」
「バルバロッサさん挨拶は後で、」
「はい。ジェシカさんは彼氏、いや婚約者はいらっしゃいますか?」

 僕が緊張して言うと、

「ご想像にお任せしますと言いたいところですが、婚約者はおろか、彼氏もおりませんわ。この学校に知り合いは何人かおりますが、お友達はおりませんの。皆さん仲良しして下さい。」(ニコッ×7)

 僕は、この笑顔に心射抜かれた。今日の午前の授業は頭に入って来なかった。昼休みになると、隣のクラスからやな奴がやって来た。公務が忙しいと言い訳を言って、僕より頭が悪い、アーサーだ。

「ジェシカちゃん。」
「あっ、アーサー皇子。」

 何、2人は知り合いなのか。うぬぬ。しかも、親しげ、アーサーと付き合いがあるってことは、貴族か王族レベル。しかも知り合いで、友達でないはず。

「ジェシカちゃん、食堂案内するよ。」
「えっ、今日お弁当作って来ちゃった。」
「じゃあ、食堂寄ってパンでも買って、庭で食べない?」
「良いですね。」

 と、アーサーは、ジェシカさんと楽しそうにでて行った。ジェシカさんにちゃん付けとは、うぬぬ。

 午後は選択授業。ジェシカさんは、まだ選択してないので、一緒の授業を受けられず、何故か学院長のドルーマン准将に呼ばれているらしい。アーサーと同じ授業なので、ジェシカさんについて聞いてやる。

「アーサー。」
 授業が始まる前に、教室でアーサーを見つけると、駆け寄り、声をかけた。僕が睨みつけると、アーサーはたじろいで、

「どうした、バルバロッサ、お前が睨むなんて」
 僕は、睨みを強めた。

「アーサー、ジェシカさんとは、どういう関係だ?」
「は?」

 アーサーは、一瞬ボケっとした。僕は、アーサーの襟首を掴んだ。

「どういう。」
「わかったよ。バルバロッサ。話すよ。」

 僕が手を離すと、アーサーは話し出した。

「ジェシカちゃんは、幼い頃からの知り合いで、リーゼンハルト兄上から、帝都でのサポートを頼まれているんだよ。」
「リーゼンハルト王から、帝都でのサポートを頼まれるってどんな家柄なんだよ。」
「詳しくは知らないし、知ってても言えないよ。」
「そうか。」

 多分、アーサーは隠してるんだろう。きっと高貴な生まれで、多分、神聖王国だから、巫女様の血縁だろう。

 翌日、朝一は神聖学の授業だった。これは神に関する授業で、新課程になって導入されたものだ。

「えっと、このマジョルカ神様について説明して貰おうかな。そう、神聖王国からの転校生のジェシカさん。神聖王国出身であれば、説明出来るでしょう。」
「テキストは、明日頂く予定ですが。」

 ジェシカさんが、先生に答えるも、

「まあ、神聖王国の常識として知る限り教えて。」
「はぁ。」

 そう言うと、ジェシカさんは説明を始めた。

「マジョルカ神は、大神カグラ様傘下の神様で、蛙人族の形をしています。船大工を司る神であり、泳ぎのスキル等も持っています。また、スキルとして、昆虫採取や、虫型モンスターに対し効果持つスキルでも有名です。帝都では、区画神殿では、1個所にも祀られておらず、大神殿にあるのみです。帝国内では、42箇所で祀られて・・・」

 と、マジョルカ神について、20分ほど語った所で、

「ジェシカさん、後どれくらい話せるの?」
「マジョルカ神様は、よく知らないので、後20分位です。」(ニコッ)
「よく知らなくて?」
「はい。1番よく知ってるカグラ神様とかでは、1日話続けられますよ。」(ニコッ)
「へ。ジェシカさんは、神官のお勉強されたの?」
「いえ、親戚に神官はおりましたが。」(ニコッ)
「神聖王国って凄いわね。」

 僕は、彼女の博識さに、度肝を抜かれた。神についてこの程度だったが、魔法ではどのテキストにも載ってない内容をそらんじ、算術では学院最高学年レベルの問題を筆を休めず解いていった。このエリートクラスの生徒がどの科目でも歯が立たない美少女。僕は見る見るうちに、彼女の魅力に惹かれていった。

「アーサー。彼女について教えてくれ。」
「バルバロッサ。彼女に惚れたか?」
「あぁ。そうだ。」
「俺も、皇子じゃなければ告白してたんだがな。」
「良いよな~。」
「で、教えてくれよ。彼女のこと。」
「彼女の何を知りたいんだ?」
「出自、家柄、地位?」
「お前駄目だな。」
「は?何が、父上は、出自も、家柄も、地位もお前に見合わない者とは結婚させない。と言ってるし。」
「アホだな。まあ良い。一つだけ教えてやる。彼女はある王の家族だ。彼女はそんな認識無いけどな。」
「あっそうなの、うはははははは。」
「バルバロッサ、暴走して、彼女を苦しめるなよ。」

 そう、彼女を喜ばせる為に、僕の出来ることをしてあげよう、そうだ、女の子は着飾る事を好むはず、いつも付けているダサい指輪じゃなくて、今流行りのバーバリア装飾商会を呼んで好きな物をあげよう。

 そう思って、僕は、バーバリア装飾商会の商会主を呼び出した。

「バルバロッサ殿下、お呼びでございますか?宝石商グレーグスが商会主代理ロミオでございます。父に代わり参りました。」
「あぁよく来てくれた。彼女に指輪をプレゼントしたい。見繕って欲しい。」
「分かりました。失礼ですが、どの婚約者候補の方へのプレゼントでしょうか。」

 そう、僕には、婚約者候補が何人かいる。皆んな能無しで、家柄だけの女どもだ、今年度中に相手を決めないと、父が勝手に決めてしまう。僕に焦りもあるだろう。

「いや、候補ではない。神聖王国から転校生して来た、ジェシカさんだ。」
「神聖王国から、ジェシカ様ですか?ご容姿は、」

 そう言われて、容姿を答えると、ロミオの顔が赤くなって涙を浮かべていった。。

「どうした?」
「多分ですが、そのジェシカ様とはお会いしたことがございます。彼女が幼いみぎり、私の商会に度々来て、億単位の商いをしておりました。その頃は、どこぞの貴族ではないかと思ってましたが、やはり高貴なお方で、無事お戻りになられたんですね。心配しておりました。我が商会と、ルーベック鍛治商会とを繋いでくれたのも彼女ですし、1度お会いしたいのですが。」

 と、半分泣きながら、答えた。彼女は、幼い頃帝都にいて、アーサーと知り合ったとしたら、話は合う。ロミオと億単位の取引し、現在帝都最大の商会グループ15日会の筆頭ルーベック鍛治商会にも影響力を持つ程の家柄。実に素晴らしい。

「よかろう。その機会を作ろう。」


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 翌日、僕は意を決して、ジェシカさんに話しかけた。

「ジェ、ジェシカさん。」
「なんですの?」(ニコッ)

 その笑顔だけでドキュンとする。

「あっ、あの、知り合いの宝石商グレーグスの商会主代理ロミオさんと話をした時に、」
「ロミオさん、商会主代理になられたのね。」
「で、1度、グレーグスに、」
「一度お会いしたいわね。ご相談したいこともありますし。」
「では、僕が予定を、いつが空いてますか?」
「放課後ならいつでも空いてるわよ。」
「そうですか、では今日の放課後にお迎えに行きます。」

 やった。デートゲットだ。


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 放課後、待ち合わせた校門前に、一人でジェシカさんは来ていた。

「あの、護衛の方は?」
 
 ジェシカさんは首を傾げて
「えっ、必要かしら?」

 そう言って、手を取ると、ジェシカさんは、馬車に乗ってくれた。多分僕を全面的に信頼してくれているのだろう。とても嬉しくなった。馬車はゆっくりと、グレーグスの本店に向かった。ジェシカさんは、ゆっくりと、外をながめており、僕は緊張して話しかけられなかった。

「ジェシカさん。着きました。」
「ありがとう。」

 そう言うと、僕が手を引いて、馬車を降りた。

「いらっしゃいませ。お久しぶりです。プリンセス。」
「嫌ですわ、ロミオ様。」

 えっ、ロミオがプリンセスって言った。本当は、知っていて、プリンセスだったのか。やっぱりどこかの王族なのか?

「ジェシカ様、どちらをご覧になりますか?」
「リーゼンハルト殿下とマーリー様に指輪をお送りする約束をしているのですが、ついでに、ペンダントを送ろうと思いまして、ダイアンに聞いたところ、宝飾品ならまずグレーグスに相談したらと言われたので、一応ダイアンからの手紙もこちらに。」
「は、」

 ロミオは、そう言って手紙を読むと、

「分かりました。デザインと、作業は、ルーベックがやるので、誰が良いかデザイナーを客観的に推薦して欲しいと言うことですか。」
「はい。」
・・・

 と、二人で話を進めて蚊帳の外になってしまった。

「あの、」
「あっ、バルバロッサ様、」
「ごめんなさい。あの、マーリー様って?」
「バルバロッサ様、マーリー様は、ベルーフ王国第一王女で、リーゼンハルト殿下の奥様です。因みにダイアン様は、ルーベック商会最高顧問、帝都中央総合研究所代表、ルーベック鍛治研究所顧問、フロンティア投資商会投資委員長、昨年解散した帝国街道整備機構の理事長でもあった人です。肩書きがいくつあるか正確には知りませんが、グレーグスと、ルーベック鍛治商会を繋げる窓口になってくれた方です。」

 えっ、ジェシカさんって、マーリー様にプレゼントを約束される仲で、何か凄い肩書きの人を顎で使う。やはりそれなりの国の王族クラスしか考えられない。

「て、ことで、よろしくお願いします。」
「分かりました。」

 あっと、忘れかけてた。

「ジェシカさん。その指輪。」
「この指輪ですか?」
「あ、すみません。拝見させて頂けますか。」
「ロミオ、」
「バルバロッサ様、少し。」

 僕は、ロミオに連れられて、店の奥に入った。

「バルバロッサ様、あの指輪は触れちゃいけません。」
「何故だ。」

 ロミオが変な事を言い出した。

「多分、国宝級の品です。」
「は?国宝級?」

 あんな、粗末な指輪が国宝級なんてバカな事を、でもロミオは至って真剣だった。

「そうです。」
「作りが粗雑で、宝石も。」
「よく拝見しないといけませんが、多分ベースはオリハルコン。宝石は見たことが無いものです。多分相当高位の魔物の魔石だと思います。また、作りはシンプルですが、無駄のないもの。ゴタゴタした物は本来若者には似合いませんから。」
「それで、」

 オリハルコンって言ったら、それだけで、莫大な価値がある。しかも加工が難しくて有名だ。しかも長年宝石を扱っている帝国一の宝石商ですから知らない宝石が付いている。にわかに信じられない。後、ゴタゴタした物が若者には似合わないって、今まで僕に宝石を売った奴らを皆殺しにしたくなった。

「値段が付かないレベルの品です。クラスは最低S、SSSでも可笑しくない品です。オークションでは、百億でも安い位ですね。」
「そ、そう。」

 百億円でも安いって、どんな財力だ。

「はっきり申し上げて、あれに勝る指輪は、当商会でご用意するのは不可能です。」

 僕は、ぽけーっとしながら、戻った。

「大丈夫ですか?」
「はい。」

 ジェシカさんが気遣ってくれたが、ぼーっとしてしまった。

「ロミオ様、こちらの指輪ですか?」

 ジェシカさんは、ロミオを信頼しきった様に、指輪を差し出した。

「ありがとうございます。こちらの鑑定は?」
「あぁ、これは私がしつらえた物ですので。」
「そうですか、一点物で?」
「いえ、誰がお持ちか申し上げられませんが、後3点あります。」
「ほう。もし市場に出たら大変な事になりますね。」
「そうですね。でも、皆さん手放す理由が無い方ですから、出回る事は無いと思いますわよ。」
「そうですよね。大変貴重な物を拝見させて頂きありがとうございました。」

 そう言うと、ロミオは、ジェシカさんに指輪を返した。

「では、帰りますか、」
「ロミオ様、では、今度、オークションに出して良いものを、幾つかご準備しましょうか?」
「それはありがたいです。では、その時をお待ちしてます。」

 そう言って、グレーグスを出て、彼女を学院の寮に送り届けた。彼女は寮暮らしで、メイドも付けて無いらしい。チグハグだかが、寮なら、セキュリティも万全だ。帝都のメイドは信頼出来ないんだろう。そう思って、今日は帰った。

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「父上。」
「何だバル。」

 家に帰った僕は勇気を振り絞り、父にお願いをした。

「僕は、好きな人が出来ました。」
「候補の誰だ。」
「候補じゃないです。」

 父の目は険しくなり、僕を睨みつけた。

「候補並の家柄か?」
「はい。多分。」
「多分だと。」

 父の目はより厳しくなった。

「アーサーに聞いたところ、アーサーが皇子でなければ即座に告白する位の外国の王族だそうです。」
「どこの国だ。」
「神聖王国からの留学生なので、神聖王国かと。」
「巫女様がトップで、その下の王族か。神聖王国か、それなら良かろう。」
「しかも、15日会を顎で使い、他国の王室とも親密な仲だと言います。私のクラスの誰よりも頭が良く、美少女です。」
「美少女か。クク。面白い。その娘を落としてみろ。」
「はい。父上。」

 父上の了解を頂き、僕は次々と外堀を埋めていった。帝都中央神殿の大司教様に婚約証明書を発行させ、内務省、宮内省の了解を取り付け、外務省に対外発表の準備をさせた。外務省の担当者によれば、ローデシア王家の者らしい。ローデシア女王の母親は、神聖王国の王家の出なので、父上に嘘にはならないだろう。父上には、上手く訂正しておいた。婚約者候補達は、順次上手く辞退させていき、完全にフリーな状況を作るに1年の月日を有した。その間は、お目付役のアーサーと3人ではあるが、交際を続け、僕の虜になった筈だ。今日は帝国中央学院予科の卒業パーティだ。今日のこの日から彼女は僕の物になる。

 ウハハハハハ
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