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第一章 かずま
第3話 登校初日
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入学式の夜、僕のスマホに学校からのメールが来た。
入学おめでとう。桜川主馬君は、めでたくクラスMと評定されました。
あなたは、明日から晴れて浅丘萌絵様の付き人となります。三年間無事務めを果たし、クラス(階級)アップされることを期待します。
お勤めの内容については、明日のお迎えの際、萌絵様より指示があります。
尚、健康上の理由以外で明日欠席した者は、クラスPとなり、施設送りになります。
ーーー南小川中学校長 宮田 栞ーーー
付き人? お迎え? 何のこと? 僕はその事を咲恵ママに尋ねた。
「あら、萌絵ちゃんの付き人? 良かったじゃない。明るくていい子よ。ああ……付き人の説明だったわね。男の子は一生を女性に捧げるの。ママからのアドバイスは……そうねえ……どんな命令にも必ず従い、ご主人様のことを考えて行動すること。そうすれば、クラスも上がって、楽しい生活がおくれるようになるから。それ以上のことは萌絵ちゃんに聞きなさい。頑張ってね、かずくん」
答えになってないと思ったが、それ以上聞くのはやめた。
次の朝、ママ達に見送られながら家を出た。昨日のことを考えると、休みたい気持ちでいっぱいだったけど、施設送りなんてゾッとするので、仕方なく登校することにした。
登校途中、僕は萌絵ちゃんの家に寄らなければならなかった。ママから「あなたは付き人として萌絵ちゃんを迎えに行かなくてなりませんよ」と言われたからだ。萌絵ちゃんの家なんて知らない僕は、スマホのナビに導かれながら歩いて行った。
歩きながら、萌絵ちゃんのことを考えた。萌絵ちゃんは小学校三年の時、同じ学級になったことはあったけど、あまりよく知らない子だった。どうして僕が担当になったのだろう。それよりも昨日の僕の姿を見ていたのかな? 勃起して子供みたいに泣いている姿を見て、どう思ったのだろう。その上お尻まで叩かれて……ああ、どんな顔して会えばいいんだろう。
そんなことを考えていると、いつのまにか萌絵ちゃん家に着いた。そのタイミングで玄関ドアが開き、萌絵ちゃんが出てきた。後で聞いたのだが、GPSで僕の居場所は分かるらしかった。
萌絵ちゃんを見た僕の足は動かなくなった。昨日のことを思い出すと、女子の前に立つのが恐ろしかった。
「はい」
萌絵ちゃんは、そんな僕にいきなり鞄を渡してきた。
「鞄はお前が持つのよ」
僕は萌絵ちゃんの顔を見ることができなかった。
「え? なんで持つの?」と言い返したかったが、なぜか言い返せず、黙って受け取った。
「そこは、かしこまりました。でしょう? 言ってごらんなさい」
「かしこ……まりました」
僕はなんとか声を振り絞った。
「どうして下ばかり見てるの? ちゃんと私を見なさい。昨日、あんな恥ずかしいところ見られて、もう隠すとこなんてないんだから」
萌絵ちゃんは、僕が今一番気にしていることをさらっと言った。
僕はゆっくり顔を上げて、萌絵ちゃんを見た。
「行くよ。ついてきて。優香の家に寄るから」
「えっ? 優香?」
優香は、小学校では席も近く、修学旅行でも同じグループだった。優香は昨日の僕をどんな目で見ていたのだろう。気の毒に思ってくれているだろうか。友達だった子にあんなところを見られて、本当に恥ずかしい。今から会うなんて、どんなことを話せばいいんだろう。
そんなことを考えている僕を萌絵ちゃんは睨んできた。
「今、呼び捨てしたでしょう。きちんと優香様と言いなさい。私のことも萌絵様と言うのよ。言ってごらんなさい」
僕はなぜか逆らうことができなかった。昨日の体験がそうさせているのか。小学校の時の僕なら、「そんなことできるかい」と笑い飛ばしたのだけど……。
「分かりました。萌絵……様」
僕がそう話すのを聞くと、萌絵様は優香の家を目指して歩き始めた。
入学おめでとう。桜川主馬君は、めでたくクラスMと評定されました。
あなたは、明日から晴れて浅丘萌絵様の付き人となります。三年間無事務めを果たし、クラス(階級)アップされることを期待します。
お勤めの内容については、明日のお迎えの際、萌絵様より指示があります。
尚、健康上の理由以外で明日欠席した者は、クラスPとなり、施設送りになります。
ーーー南小川中学校長 宮田 栞ーーー
付き人? お迎え? 何のこと? 僕はその事を咲恵ママに尋ねた。
「あら、萌絵ちゃんの付き人? 良かったじゃない。明るくていい子よ。ああ……付き人の説明だったわね。男の子は一生を女性に捧げるの。ママからのアドバイスは……そうねえ……どんな命令にも必ず従い、ご主人様のことを考えて行動すること。そうすれば、クラスも上がって、楽しい生活がおくれるようになるから。それ以上のことは萌絵ちゃんに聞きなさい。頑張ってね、かずくん」
答えになってないと思ったが、それ以上聞くのはやめた。
次の朝、ママ達に見送られながら家を出た。昨日のことを考えると、休みたい気持ちでいっぱいだったけど、施設送りなんてゾッとするので、仕方なく登校することにした。
登校途中、僕は萌絵ちゃんの家に寄らなければならなかった。ママから「あなたは付き人として萌絵ちゃんを迎えに行かなくてなりませんよ」と言われたからだ。萌絵ちゃんの家なんて知らない僕は、スマホのナビに導かれながら歩いて行った。
歩きながら、萌絵ちゃんのことを考えた。萌絵ちゃんは小学校三年の時、同じ学級になったことはあったけど、あまりよく知らない子だった。どうして僕が担当になったのだろう。それよりも昨日の僕の姿を見ていたのかな? 勃起して子供みたいに泣いている姿を見て、どう思ったのだろう。その上お尻まで叩かれて……ああ、どんな顔して会えばいいんだろう。
そんなことを考えていると、いつのまにか萌絵ちゃん家に着いた。そのタイミングで玄関ドアが開き、萌絵ちゃんが出てきた。後で聞いたのだが、GPSで僕の居場所は分かるらしかった。
萌絵ちゃんを見た僕の足は動かなくなった。昨日のことを思い出すと、女子の前に立つのが恐ろしかった。
「はい」
萌絵ちゃんは、そんな僕にいきなり鞄を渡してきた。
「鞄はお前が持つのよ」
僕は萌絵ちゃんの顔を見ることができなかった。
「え? なんで持つの?」と言い返したかったが、なぜか言い返せず、黙って受け取った。
「そこは、かしこまりました。でしょう? 言ってごらんなさい」
「かしこ……まりました」
僕はなんとか声を振り絞った。
「どうして下ばかり見てるの? ちゃんと私を見なさい。昨日、あんな恥ずかしいところ見られて、もう隠すとこなんてないんだから」
萌絵ちゃんは、僕が今一番気にしていることをさらっと言った。
僕はゆっくり顔を上げて、萌絵ちゃんを見た。
「行くよ。ついてきて。優香の家に寄るから」
「えっ? 優香?」
優香は、小学校では席も近く、修学旅行でも同じグループだった。優香は昨日の僕をどんな目で見ていたのだろう。気の毒に思ってくれているだろうか。友達だった子にあんなところを見られて、本当に恥ずかしい。今から会うなんて、どんなことを話せばいいんだろう。
そんなことを考えている僕を萌絵ちゃんは睨んできた。
「今、呼び捨てしたでしょう。きちんと優香様と言いなさい。私のことも萌絵様と言うのよ。言ってごらんなさい」
僕はなぜか逆らうことができなかった。昨日の体験がそうさせているのか。小学校の時の僕なら、「そんなことできるかい」と笑い飛ばしたのだけど……。
「分かりました。萌絵……様」
僕がそう話すのを聞くと、萌絵様は優香の家を目指して歩き始めた。
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