【館】 House of Sex Slaves

episode O. クレスの場合 / 性奴隷の結婚

Claes 003. トゥナイトトゥナイト

━━━━ 1 month ago

アランは、部屋のベッドで肉付きの良い体を抱いていた。クレスが怖い夢を見たと言って潜りこんできたのだ。
天井にはプロジェクションマッピングのプラネタリウムの夜空が映っている。
二人で星の数を数えて遊んだ。
手首には、揃いのブレスレット。
アランのブレスレットにはCのイニシャル。
クレスのブレスレットにはAのイニシャル。

クレスが、ぽちゃりとした小さな手で、アランの薬指を握りしめて泣いた。

「ねぇ、知ってる？性奴隷同士って結婚できるんだよ。僕、アランのお嫁さんになりたいなぁ」

アランは、握られていない方の手を、その手に重ね、
クレスの宇宙のような深い碧の目を覗き込んだ。

━━━ slave system 性奴隷の結婚

性奴隷同士の恋愛は自由
貞操帯の装着を義務付けられているため、セックスをすることは不可能だが、
性奴隷収容施設の憩いのスペースや、アルバイト、サークル、調教による肉体関係 等の交流によって惹かれ合い結ばれたカップルが、施設内をデートしたり、キスやハグ等のスキンシップをしても特に咎められることはない。

調教のメニューの組み立て、性奴隷の精神状態を把握するため、どの性奴隷とどの性奴隷がくっついた、別れた ということがモニタリングされており、プライバシーが守られている訳ではないが、別離を強制されるようなことも無い。

性奴隷同士の結婚は、昔、恋人と離ればなれになってしまった性奴隷の自殺未遂が相次いだために、対策として設けられた制度である。

婚姻届けを所長に提出し受理されると、晴れて二人は性奴隷制度の法的に認められたカップルとなる。

結婚が認められると、
館での公開プレイをペアで行える。
肉便器奉仕の際 同じ館で同じ期間で滞在できる。
月に2～4回、施設内のバストイレつきの清潔なベッドルーム(ビジネスホテルのような部屋)で、貞操帯を外した状態で、プライバシーを守られた泊まり込みのデートができる。
等の特典が与えられるが、

最も重要なことは、やはり、二人が離ればなれることが無いということだ。

性奴隷は、時々、移動を命じられることがある。
数が不足している地域、州、県の施設と館に性奴隷を補充するためである。
(性奴隷が少ないということは、重犯罪者が少ないと言うことなので、そういう地域は治安が良く住みやすいということでもあるのだが)
その際には、結婚しているカップルが別離してしまわぬよう考慮して人選作業が行われる。

定年退職後、保養島に送られる際も同様の配慮がなされる。

しかし、
新人性奴隷が結婚を申請するときには、特別なルールがある。
それは、処女喪失は必ず 館で市民(旦那さま)によって執り行われなければならないということ。
性奴隷の操は、市民の所有物なのである。
性奴隷は、それを自覚せねばならぬ。


━━━━

クレスの瞳の宇宙が揺れる。
アランは、こぼれ落ちる彗星の欠片を肉厚の唇で受け止め、柔らかな体を毛布でくるんでやった。

「クレス、そういうことは、もっと早く言えよな」
漸く気がついた。何故、館で処女を捧げ、戻ったクレスがあんなに上機嫌に笑っていたのか。制約を解かれた彼は、本当は不安に揺れていたに違いない。
自分の姿を映すこの宇宙のように。

アランが、クレスの膨らとした頬をつねる。
「夫婦の間に 隠し事は、無しだ」
「アラン、…、それ、本当？」
アランは、おいで とクレスを抱き寄せ、薬指を握りしめた。
笑窪が引っ込む、小さな手。

それは、まるで、天国に導いてくれる、赤ん坊の天使のようじゃないか。


━━━━

久々に晴れた日の夕暮れ時、
所長室の壁が橙色に染まっている。

重厚な机の上
所長の手元のタブレット端末のブルーライトが眩しい画面に、アランとクレスの婚姻届が表示されている。
所長は、さらさらと流れる達筆のサインを書き、書類を送信した。


クレスには…
それは、
クレスを…
クレスから…
アランは…


「もしもし、指輪をふたつ注文したいのだが。えっと、待って、サイズは…、とりあえずカタログを私の端末に送って…ああ、よろしく」