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episode U . ジュンの場合 / ビデオ・スレイブ
June 006. TV 弐 . 花と煙
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花はあるが、花瓶は無い
Il faudrait les inventer(ぜひとも作り出さにゃならんのだ)
寝台で赤ん坊がおむつを交換してもらうときのような、尻を高く上げて開脚させられたポーズの継続を強制され、
もう、物語も何もあったものでない。
ジュンはさめざめと、閉口している。
冬眠鼠は、自分や酷い仕打ちに排撃できぬジュンをこれ以上どうこうしようなんて考えていない。
ただ、肉の蕾に花を活ければ、ジュンの唇からかわいらしい声が迸り、大勢の人々が喜ぶことを知っている。
冬眠鼠の小さな左手が、震えるジュンのペニスから睾丸、尻の肉をやさしく撫でる。
小さな右手で三本の茎を束ねた切っ先を、微かに空洞を広げた状態のアヌスにゆっくりと差し込んでいった。
「く…うぅん…ッ、は、」
ジュンの唇から、屈辱と降伏がない交ぜになったうめき声が漏れるが、アヌスはディルドでよく解されていたし、茎にはローションがたっぷり付着しているため、苦痛の響きは無い。
「ぁぁ…、あぁ…、」
ジュンは更に鳴いた。切ない響きを含んでしまうのは、冬眠鼠が、
「あぁ、これは美しいな」
「かわいらしい花瓶。アールヌーボーも泣いて逃げ出すよ」
と、いちいち褒め称えるからだ。
冬眠鼠はもう一束、ここに挿し込むことにした。
コンドームのゴムで入り口の肉を撫でやさしく擽ると、
「ぁぁ…、ぁぁンン~」
と、ジュンは欲しがった。
ジュンのアヌスは、だいたい四センチほどの歪な円に拡がった。
アヌスに穿たれている長さは、然程でもない。
コンドームの感触が気持ち良さそうだ。
括約筋が収斂するたびに、アヌスに甘い刺激が緩やかに伝わって、
いまは泣きたくなって、舌もつれ、胴ふるえて、悲鳴に似たかん高い声を挙げ、
「ぁぁンン、ア、」
もっと、と、更なる刺激を求めた。
「ぁぁ…ヒィ、ん、グズ…」
そして、彼はすすりあげて泣きだしさえした。彼は感傷的であった。
冬眠鼠は、追加のもう一束に手を伸ばし、
「なぁ、ジュン。僕は知っているよ。お前の心の中は未だに純潔な処女だということを」
ジュンに語りかける。
「何をしても汚れないな、お前。まさかと思うかもしれんが、僕はおまえが大好きになってしまったのだよ……」
そして、アヌスにまだ僅かに残るスペースに、ギュププと挿し込んだ。
「あぁ…、あぁ…、うん、オぉぉ…!!」
アヌスがクポォと拡がる感覚に、ジュンが喚く。
「僕がおまえに許しを与えるのも、つまりは、それを当てにするからなんだよ。おまえの心はまだ悪魔に食われていないからな」
冬眠鼠の小さな右手が三束の茎を掴み、ゆっくりとなだらかにピストンしていく。
「ンおゥ…、あぁん~アア!…ッヒィ」
泣くジュンが、夢の船で酔い溺れ、
菊が、百合が、エキナセアが、
花びらが散る。
「ンおゥ…、ゥゥゥ…、」
呻き、悶えるジュンのアヌスに花束を安定させた冬眠鼠は、寝台の周りを優雅に歩き、
ほっそりとしている彼の頬にキスをし、
ジュンの頬は百合と同じ薄朱色だ。
その場から立ち去った。
真ん中のテレビの画面には暫く、
スクリーンに仕立てられたタペストリーが映し出されていた。
テーブルセットでは、モスグリーンの制服を着た顔のない職員が三人か四人座っていて、お茶会をしている。
小さな動物のぬいぐるみがテーブルの上でバレエを踊る。
ウサギさん、カエルさん、ヤマネさん。
時折、
不安定に揺れる豪奢な花束が映る。
「アァぁぁ…、アァぁぁ…、」
と、ジュンの寂しげな声も聞こえるが、倍速再生のため、声が変だ。
壊れた玩具のように、花束が揺れ、ジュンは泣いた。
画面に時計が映る。
チクタクチクタク。
一分の間に二時間進んだ。
冬眠鼠が鼻歌を鳴らしながら、戻ってきた。
ジュンはというと、殆ど萎えかけたペニスから漏れた小便で腹を濡らし、
顔は拗ねて不貞腐れて、鼾をかいて、眠っていた。
「なんて、良い子なんだろうね」
健気に花を活け続けたアヌスの縁を指でくるくる撫でながら、冬眠鼠は呟いた。
そして、小さな右手で、花束をゆっくりと、デリケートな肉壁を傷つけないように引き抜いていった。
「うぅん…ッ…」
敏感な肉を引き摺られる感触にジュンが自由の利かぬ体で身動ぐ。
「起こしてしまったね」
「冬眠鼠さま…」
寂しがり屋の声に”二時間も何処へ行ってたのだ”と非難めいた響きもある。
「ごめんね」
冬眠鼠は、ぽっかりと空洞になったアヌスに向かって謝り、
直径五センチもあるキャンドルを、その穴に射し込んだ。
「アァぁぁ…、…」
幸いにも、ジュンは自分が何をされているか分からないまま、新たな刺激に喘いだ。
冬眠鼠がジッポライターでキャンドルに火を灯しても、
地獄に叩き落とされようとも、
冬眠鼠ならば、自分を元に戻してくれると信じている。
ジュンのアヌスから垂直に立つキャンドルで、
冬眠鼠は咥えたメンソールシガーに火を着け、
スーッと煙を吐き出したところで、ヴィデオが終わった。
真ん中のテレビが、自動的に巻き戻される。
大木の根を一気に抜き取る蒸気抜根機が、その成効力の余りに偉大な為めに、使い処がなくて、鏽びたまゝ捨てゝある
その前を後ろ手に拘束され、slave刻印入りの首輪のリードで引かれて歩く性奴隷のジュンが哀れっぽく横切っていった。
切れ長の漆黒の瞳が、
今にも泣き出しそうだ。
今は、真夜中。
淫蕩の巣窟たる館のシガールームでは、三名の肉便器が蝋燭立てとなって、
旦那さま方の葉巻や煙草に火を着けている。
Il faudrait les inventer(ぜひとも作り出さにゃならんのだ)
寝台で赤ん坊がおむつを交換してもらうときのような、尻を高く上げて開脚させられたポーズの継続を強制され、
もう、物語も何もあったものでない。
ジュンはさめざめと、閉口している。
冬眠鼠は、自分や酷い仕打ちに排撃できぬジュンをこれ以上どうこうしようなんて考えていない。
ただ、肉の蕾に花を活ければ、ジュンの唇からかわいらしい声が迸り、大勢の人々が喜ぶことを知っている。
冬眠鼠の小さな左手が、震えるジュンのペニスから睾丸、尻の肉をやさしく撫でる。
小さな右手で三本の茎を束ねた切っ先を、微かに空洞を広げた状態のアヌスにゆっくりと差し込んでいった。
「く…うぅん…ッ、は、」
ジュンの唇から、屈辱と降伏がない交ぜになったうめき声が漏れるが、アヌスはディルドでよく解されていたし、茎にはローションがたっぷり付着しているため、苦痛の響きは無い。
「ぁぁ…、あぁ…、」
ジュンは更に鳴いた。切ない響きを含んでしまうのは、冬眠鼠が、
「あぁ、これは美しいな」
「かわいらしい花瓶。アールヌーボーも泣いて逃げ出すよ」
と、いちいち褒め称えるからだ。
冬眠鼠はもう一束、ここに挿し込むことにした。
コンドームのゴムで入り口の肉を撫でやさしく擽ると、
「ぁぁ…、ぁぁンン~」
と、ジュンは欲しがった。
ジュンのアヌスは、だいたい四センチほどの歪な円に拡がった。
アヌスに穿たれている長さは、然程でもない。
コンドームの感触が気持ち良さそうだ。
括約筋が収斂するたびに、アヌスに甘い刺激が緩やかに伝わって、
いまは泣きたくなって、舌もつれ、胴ふるえて、悲鳴に似たかん高い声を挙げ、
「ぁぁンン、ア、」
もっと、と、更なる刺激を求めた。
「ぁぁ…ヒィ、ん、グズ…」
そして、彼はすすりあげて泣きだしさえした。彼は感傷的であった。
冬眠鼠は、追加のもう一束に手を伸ばし、
「なぁ、ジュン。僕は知っているよ。お前の心の中は未だに純潔な処女だということを」
ジュンに語りかける。
「何をしても汚れないな、お前。まさかと思うかもしれんが、僕はおまえが大好きになってしまったのだよ……」
そして、アヌスにまだ僅かに残るスペースに、ギュププと挿し込んだ。
「あぁ…、あぁ…、うん、オぉぉ…!!」
アヌスがクポォと拡がる感覚に、ジュンが喚く。
「僕がおまえに許しを与えるのも、つまりは、それを当てにするからなんだよ。おまえの心はまだ悪魔に食われていないからな」
冬眠鼠の小さな右手が三束の茎を掴み、ゆっくりとなだらかにピストンしていく。
「ンおゥ…、あぁん~アア!…ッヒィ」
泣くジュンが、夢の船で酔い溺れ、
菊が、百合が、エキナセアが、
花びらが散る。
「ンおゥ…、ゥゥゥ…、」
呻き、悶えるジュンのアヌスに花束を安定させた冬眠鼠は、寝台の周りを優雅に歩き、
ほっそりとしている彼の頬にキスをし、
ジュンの頬は百合と同じ薄朱色だ。
その場から立ち去った。
真ん中のテレビの画面には暫く、
スクリーンに仕立てられたタペストリーが映し出されていた。
テーブルセットでは、モスグリーンの制服を着た顔のない職員が三人か四人座っていて、お茶会をしている。
小さな動物のぬいぐるみがテーブルの上でバレエを踊る。
ウサギさん、カエルさん、ヤマネさん。
時折、
不安定に揺れる豪奢な花束が映る。
「アァぁぁ…、アァぁぁ…、」
と、ジュンの寂しげな声も聞こえるが、倍速再生のため、声が変だ。
壊れた玩具のように、花束が揺れ、ジュンは泣いた。
画面に時計が映る。
チクタクチクタク。
一分の間に二時間進んだ。
冬眠鼠が鼻歌を鳴らしながら、戻ってきた。
ジュンはというと、殆ど萎えかけたペニスから漏れた小便で腹を濡らし、
顔は拗ねて不貞腐れて、鼾をかいて、眠っていた。
「なんて、良い子なんだろうね」
健気に花を活け続けたアヌスの縁を指でくるくる撫でながら、冬眠鼠は呟いた。
そして、小さな右手で、花束をゆっくりと、デリケートな肉壁を傷つけないように引き抜いていった。
「うぅん…ッ…」
敏感な肉を引き摺られる感触にジュンが自由の利かぬ体で身動ぐ。
「起こしてしまったね」
「冬眠鼠さま…」
寂しがり屋の声に”二時間も何処へ行ってたのだ”と非難めいた響きもある。
「ごめんね」
冬眠鼠は、ぽっかりと空洞になったアヌスに向かって謝り、
直径五センチもあるキャンドルを、その穴に射し込んだ。
「アァぁぁ…、…」
幸いにも、ジュンは自分が何をされているか分からないまま、新たな刺激に喘いだ。
冬眠鼠がジッポライターでキャンドルに火を灯しても、
地獄に叩き落とされようとも、
冬眠鼠ならば、自分を元に戻してくれると信じている。
ジュンのアヌスから垂直に立つキャンドルで、
冬眠鼠は咥えたメンソールシガーに火を着け、
スーッと煙を吐き出したところで、ヴィデオが終わった。
真ん中のテレビが、自動的に巻き戻される。
大木の根を一気に抜き取る蒸気抜根機が、その成効力の余りに偉大な為めに、使い処がなくて、鏽びたまゝ捨てゝある
その前を後ろ手に拘束され、slave刻印入りの首輪のリードで引かれて歩く性奴隷のジュンが哀れっぽく横切っていった。
切れ長の漆黒の瞳が、
今にも泣き出しそうだ。
今は、真夜中。
淫蕩の巣窟たる館のシガールームでは、三名の肉便器が蝋燭立てとなって、
旦那さま方の葉巻や煙草に火を着けている。
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