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episode X . ギュスターヴの場合 / 性奴隷虐めの代償
Gustave 005. deep red
しおりを挟むソファに横たえても尚カチコチに体を強張らせ震えが治まらないエドガーに、
調教師は、困惑した。
数日前の館での奉仕では、とてもやさしい旦那さま方にたっぷり可愛がられ思い切り甘え満たされ、メディカルルームのスタッフからもエドガーの心身状態はお墨付きの報告を受けていたからだ。
だから、
フェラチオ、性感帯の開発…
次回の館での奉仕でもっと色々なことができるように…
元気な初心者性奴隷を鍛えるためのメニューを組んでいたのだ。
調教師は、立ち上がりテーブルに置いておいた拘束具を片付け、端末機を操作し、調教室にモーツァルトを流した。
心やさしい調教師は、エドガーの小さなぺニスに二種類の振動付きのオナニーホールを被せ、ニップルクリップのローターで乳首を刺激してやった。
それらは、ゆったりとした丁寧な仕草だったし、オナニーホールはフローラルウッディの香りのするローションで潤っていた。
が、
「さっさとしろ。調教師に言ってきつく仕置きをしてもらうことだってできるんだぞ」
エドガーの頭上では、
先ほど浴びたギュスターヴの
言葉の暴力ひらひらとゆっくり降っていました。でも、言葉のかけらがひらひら降ってくるのは、エドガーにとってはシャベル一杯分の罵声を頭の上に落とされたと同じなのです。
調教師の聡明らしい生き生きとした鳶色の眼で眼を覗きこまれても、
思慮深い声で宥められても、
振り払うことはできなかった。
だが、漸く、紅潮がエドガーの顔に上った。
調教師の粘り強さが一時でもエドガーの恐怖心を上回ったのだ。
エドガーは、
ぶるるん、ぶるるん、ぶるるん、と電子音を立てるオナニーホールに、
しくん、しくん、しゃくりあげながら
館でのセックス以来、幾日も溜め込んでいた精液を吐き出した。
調教師は、安堵とも何ともとれぬため息を吐き、
エドガーの裸体をバスタオルでくるみ
調教室の壁に取り付けられている受話器をとった。
「エドガーの調教が終了した…あぁ、今日は殆どお手上げだよ。…入浴は一人でもできるだろう。
メディカルルームのスタッフに、エドガーの個室のバイタルチェックシステムを監視させろ。あれじゃ、とても調教を進められない」
数分後、
体の大きな温厚そうな職員が迎えに来て、
哀しそうに放心してしまったエドガーに、あれこれと世話を焼いてくれたが、
エドガーは夕食もとれずに、
個室のベッドに潜り込んでしまった。
いつもなら、あのような心やさしい調教師と一緒に過ごせたあとには、解放感と充実感と仄かに残る恥ずかしい気持ちに包まれ、夜の不思議さに酔いしれ眠れるのだが、
今宵のエドガーの頭の中では、
「これが、最下層の家畜のおまんこか!数年後にはガバガバの節操無しの下品な性器になってしまうんだろうなあ」
「さっさと脱いで裸になれ。性奴隷がいつまでも人間扱いされると思うなよ」
ギュスターヴの言葉が何度も何度も響き続け、
小突かれた肩と手錠で締め上げられた手首が、
悲しく痛んだ。
エドガーは
「ーーーー、」
とある名前を呼んで、毛布を蹴りあげベッドから這い出した。
心をどうにか落ち着けようと、個室のプロジェクターをオンにし、
思い出の場所と音楽をかけるようリモコンでリクエストを入れた。
映し出されたのは、
薔薇の谷。
いつもここで歌を歌い、かつての恋人が踊ったのだ。
薔薇だけではなく、めずらしい、美しい花がいたるところで咲き誇っていた。
壁いっぱいに、初夏の空が映り、
エドガーは何か歌って、不安を振り払おうと思いついた。
喉が少し渇いていたが構わずに唇を開いた
そのとき。
空がみるみる赤く染まり、
薔薇の谷に真っ黒な死神が降りてきた。
死神は大きな、うつろな目で、エドガーをじろじろみつめていました。
そしてあたりは、まったくおそろしいほど、しいんとしていました。
いつの間にか、
死神はエドガーの胸の上までやってきて腰をおろした。
エドガーのおむねの上の、死神が、slaveの刻印入りの金の冠をかぶり、片手には血のついたナイフを、片手に真っ黒な金属でできた手錠を持って、すわっていました。
エドガーは、ほとんど
半狂乱になって泣き叫んだが、
歌うことが好きな彼のために性奴隷施設が用意してくれた
完璧な防音加工がなされたこの個室。
声は、
誰の耳にも届かない。
応援ありがとうございます!
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